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「……かすみちゃんは、私と近くにいるの嫌?」

「そうじゃないよ。さっきまで大変な状態だったじゃん。だから、涼んだ方が良いんじゃない?」

「……なら、私のこと好き?」

今さらなぜそんなことを聞くのだろう。
疑問に思うかすみ。

「ふふふ、なにその面倒な彼女みたいな質問。」
笑いながら冗談めいたことを言うかすみ。

「……みたいじゃないよ、面倒な彼女だよ。」
こちらも笑っている。

アイドルのような扱いを受けているゆかり。
そんな彼女と、こんな冗談を言い合えるのも、幼馴染の特権なのだろうな。
彼女の笑顔を見て、そう思うかすみであった。


「……ほら、言ってよ。」

「えー?恥ずかしいよー……。」
笑って誤魔化すかすみ。

しかし、ゆかりの追撃。
「……言ってくれれば離れるから。」

確証はない。
しかし、このままでは埒があかない。

「分かったよ。言うよ、言うから。」

「……うん。」
ピロン。

「え?なに、今の音?」

「……な、なんでもない。ほら、早く。」

明らかに機械音がした。
これまでの経験から、何をしたのかおおよその予想はつく。

録音か。
それとも録画か。
どちらにせよ、悪用しなければ良いか。
そう思い、口を開く。

「ゆかりちゃんのこと、大好きだよ。」

ピロリン。
再度の機械音。

「……ありがとう。」
心底嬉しそうだ。
満足したのか、先ほど言った通りにかすみから離れる。

「それ、変なことには使わないでね……。」

「……ふふふ、もちろん。」
上機嫌だ。


時は進み、夕暮れ時。
ゆかりの家に仕えている家政婦だろうか。
彼女を迎えに来ていた。

「……また明日。」

「うん、でも無理しちゃ駄目だよ?」

ゆかりの背中を見つめる。
真っ赤な日傘が段々小さくなる。

もう見えなくなる。
それぐらいになった頃に、かすみは家の中へ戻った。


部屋へ戻るかすみ。
ふと、視界に入る卒業アルバム。

懐かしさを感じる。
久しぶりに見てみよう。
そう思い、ページをめくる。

そうだ、こんなこともあったな。
こうだったな。
懐かしい。
心が暖まる。

一枚、また一枚めくっていく。
五年ほどだろうか。
やはり、街並みはそれなりに変わっている。
懐かしさだけでなく、少しの悲しさ、切なさだろうか。
それも感じる。


「あ、あれ……?」
無視することの出来ない違和感がかすみに降り掛かる。
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