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「仕返ししてやって胸のもやもやも晴れました」
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「でしょでしょ? やっぱね。美月さんならそう言ってくれると思ったんだ~」
「でも、どうすればみんなに広められますか? ヨシキさんのモデルを断るというのを」
「簡単じゃない。掲示板とかに書いてさ、拡散するのよ」
「掲示板って、なんですか?」
わたしは知らない振りをした。
怪訝そうに、彼女はわたしの顔を覗き込む。
「美月さん、掲示板知らないの? 『こすちゃんねる』とか」
「ええ。見たことありません」
「え~~~っ?! ダメじゃない、そんなの」
「ダメなんですか? 噂は聞いたことありますけど…
こすちゃんねるって、悪名高い匿名掲示板でしょ? 誹謗中傷の書き込みばかりだって。
わたし、そんなものを見るほど、程度低くないです」
「程度の問題じゃないのよ。美月さん、ほんとに今まで見たことないの?」
「存在は知っていますけど、見る機会はなかったです」
「コスプレするなら『たしなみ』として、そういう所も見てた方がいいわよ」
「なんのたしなみですか?」
「まったく、、、 美月さんって、ほんとに天然お嬢さまなのね~」
「じゃあ、教えてください?」
ブラフをかましてみる。
美咲麗奈があのメールを送りつけた犯人なら、なにか反応があるかもしれない。
「その掲示板のアドレス、送ってくれませんか? 美咲さんはわたしのメルアド、知っていますよね」
「えっ?」
一瞬、美咲麗奈の顔色が変わった。
さらにもう一度、念を押す。
「以前、メルアド交換したから、わたしのアドレス、わかりますよね」
「そっ、それは。わかると思うけど、、、 多分」
「じゃあそのメールに、美咲さんが見ておいた方がいいという掲示板のアドレスを、送って下さい。わたしも見てみたいです。その掲示板とやらを」
「でもまぁ、、、 そういう世間を知らないのも、美月さんらしいかもね」
「え? 『たしなみ』として見ておいた方がいいんでしょ? 社会勉強のためにも、わたしも見てみたいです。ぜひ教えて下さい。美咲さんが」
「…やめといた方がいいかもよ」
「どうして? 美咲さんから言ってきたのに?」
そう応えて彼女の瞳をじっと見つめ、わたしはかすかに口の端を上げた。
「わたしはぁ、、 美月さんには、ずっとピュアなお嬢様のままでいてほしいから、、、 じゃあ、そろそろ、、、 約束もあるし…」
怯えるように目をそらした美咲麗奈は、そう誤魔化しながら少しずつ後ずさりしていき、雑踏のなかへ紛れていった。
間違いないだろう。
あのメールの送り主は、美咲麗奈だ。
リンク先の『悪魔カメコ夜死期の悪行を晒すスレ』を、わたしが見ていないことが計算外で、慌てたのだろう。
もしくは、自分がメールを送ったことが、わたしにバレていると思ったのかもしれない。
なんだか胸のもやもやが、少し晴れたかも。
これまで彼女には、なにかとイヤな気持ちにさせられていたから、まさに仕返ししてやった気分。
これでもう、美咲麗奈がわたしに絡んでくる事はなくなるだろう。
ふん。
いい気味♪
胸につかえていた鬱憤が晴れると同時に、別の罪悪感がよぎる。
疑ってしまった優花さんに恋子さん。
ふたりには悪いことしちゃったな。
特に優花さんには、ひどいことをいっぱい言ってしまったし。
機会があったら、謝らなきゃ。
つづく
「でも、どうすればみんなに広められますか? ヨシキさんのモデルを断るというのを」
「簡単じゃない。掲示板とかに書いてさ、拡散するのよ」
「掲示板って、なんですか?」
わたしは知らない振りをした。
怪訝そうに、彼女はわたしの顔を覗き込む。
「美月さん、掲示板知らないの? 『こすちゃんねる』とか」
「ええ。見たことありません」
「え~~~っ?! ダメじゃない、そんなの」
「ダメなんですか? 噂は聞いたことありますけど…
こすちゃんねるって、悪名高い匿名掲示板でしょ? 誹謗中傷の書き込みばかりだって。
わたし、そんなものを見るほど、程度低くないです」
「程度の問題じゃないのよ。美月さん、ほんとに今まで見たことないの?」
「存在は知っていますけど、見る機会はなかったです」
「コスプレするなら『たしなみ』として、そういう所も見てた方がいいわよ」
「なんのたしなみですか?」
「まったく、、、 美月さんって、ほんとに天然お嬢さまなのね~」
「じゃあ、教えてください?」
ブラフをかましてみる。
美咲麗奈があのメールを送りつけた犯人なら、なにか反応があるかもしれない。
「その掲示板のアドレス、送ってくれませんか? 美咲さんはわたしのメルアド、知っていますよね」
「えっ?」
一瞬、美咲麗奈の顔色が変わった。
さらにもう一度、念を押す。
「以前、メルアド交換したから、わたしのアドレス、わかりますよね」
「そっ、それは。わかると思うけど、、、 多分」
「じゃあそのメールに、美咲さんが見ておいた方がいいという掲示板のアドレスを、送って下さい。わたしも見てみたいです。その掲示板とやらを」
「でもまぁ、、、 そういう世間を知らないのも、美月さんらしいかもね」
「え? 『たしなみ』として見ておいた方がいいんでしょ? 社会勉強のためにも、わたしも見てみたいです。ぜひ教えて下さい。美咲さんが」
「…やめといた方がいいかもよ」
「どうして? 美咲さんから言ってきたのに?」
そう応えて彼女の瞳をじっと見つめ、わたしはかすかに口の端を上げた。
「わたしはぁ、、 美月さんには、ずっとピュアなお嬢様のままでいてほしいから、、、 じゃあ、そろそろ、、、 約束もあるし…」
怯えるように目をそらした美咲麗奈は、そう誤魔化しながら少しずつ後ずさりしていき、雑踏のなかへ紛れていった。
間違いないだろう。
あのメールの送り主は、美咲麗奈だ。
リンク先の『悪魔カメコ夜死期の悪行を晒すスレ』を、わたしが見ていないことが計算外で、慌てたのだろう。
もしくは、自分がメールを送ったことが、わたしにバレていると思ったのかもしれない。
なんだか胸のもやもやが、少し晴れたかも。
これまで彼女には、なにかとイヤな気持ちにさせられていたから、まさに仕返ししてやった気分。
これでもう、美咲麗奈がわたしに絡んでくる事はなくなるだろう。
ふん。
いい気味♪
胸につかえていた鬱憤が晴れると同時に、別の罪悪感がよぎる。
疑ってしまった優花さんに恋子さん。
ふたりには悪いことしちゃったな。
特に優花さんには、ひどいことをいっぱい言ってしまったし。
機会があったら、謝らなきゃ。
つづく
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