32 / 259
level 4
「過去の恋も肯定的にとらえられると思います」
しおりを挟む
「凛子ちゃんはなにぶん、経験値がまだまだ『レベル5』くらいだからね~。
そういうラスボスみたいな、『レベル99』以上の男を相手にするには、まだ無謀過ぎるかもしれない。あっさりパーティー全滅でバッドエンド。ってことにならなきゃいいんだけどね~」
ん~…
ちょっと癪にさわる言われ方だけど、事実だからしかたない。
「優花さん… あまり落ち込ませるようなことばかり、言わないで下さい」
「あははは、ごめんごめん。まあ、凛子ちゃんは超絶美少女だし、いい女になる素質はすごくあると思うから、これから頑張って女磨きやれば大丈夫よ!」
そう言って笑いながら、優花さんは溶けかけたバニラクリームフラペチーノを、パクリと口にした。
わたしは先週のアフターのことを憶い出す。
たった三つしか席が離れていないのに、はるか遠くの人に感じたヨシキさん。
ほんとうに、その差は埋まるのかな?
手元のアイスココアの氷が、夏の日射しを受けて、カラリと崩れていく。
その様子を見ながら優花さんは、想いに沈んだように頬杖ついて、ポツリと話しはじめた。
「でも『恋愛レベル』って、何回か恋を繰り返して、いろいろ失敗して、相手との距離感をからだでつかまないと、得られないのよね~」
「え?」
「あたしの元彼も、そのヨシキさんみたいなタイプだったのよ」
「えっ?!」
「あはっ。フィアンセの妹さんに言うことじゃないかもしれないけど、凛子ちゃんだからついしゃべっちゃった。忠彰さんと出会う前ね、あたしがつきあってた男は、三股かけてたのよね~。
信じられる? 三股よ!」
「そ、それはすごいというか…」
「乙女の敵よ! もうドロドロだったわ、ヤツはバンドやっててボーカルで、当然イケメンで女の子のファンが多くって、そのなかでわたしを彼女に選んでもらえてすっごく嬉しくて、あたし舞い上がってた。
ね。そのあたりも、今の凜子ちゃんの境遇と似てない?」
「まあ、そう言われれば同じですけど。わたしはまだ、選ばれてはいませんが」
「まあね。でも、そいつは作る歌詞も軽かったけど、頭も軽い男でさ。ライブのたびにほかのファンの女をつまみ喰いして回るようなチャラ男だったの。
知りたくもない話ばっかり耳に入ってきて、そのたびにあたし、彼に不満と嫉妬をぶつけてさ、お互いボロボロになって別れたわ」
「そ、そうなんですか」
「忠彰さんもルックスがいいけど、元カレとは性格が真反対でね。
女の子がキャアキャア騒ぐような派手なパフォーマンスとか、忠彰さんにはないし、キュンキュンくるサプライズもしてくれないし、どちらかというと地味でおとなしくって、ちょっと物足りなく感じることもあるけど。
でも、すごく実直で誠実なの」
「はぁ」
「だから、忠彰さんと出会ってすごく癒されたっていうか、安心できるのっていいなって、忠彰さんの存在を心から肯定できたの。
まあ、今となっては、元カレは忠彰さんと出会うための、単なる前フリにしか感じないけどね」
「わたしとしても、それで兄のよさをわかってもらえたのなら、優花さんの過去も肯定的にとらえられると思います」
「あは。凛子ちゃん、真面目~」
「す、すみません」
つづく
そういうラスボスみたいな、『レベル99』以上の男を相手にするには、まだ無謀過ぎるかもしれない。あっさりパーティー全滅でバッドエンド。ってことにならなきゃいいんだけどね~」
ん~…
ちょっと癪にさわる言われ方だけど、事実だからしかたない。
「優花さん… あまり落ち込ませるようなことばかり、言わないで下さい」
「あははは、ごめんごめん。まあ、凛子ちゃんは超絶美少女だし、いい女になる素質はすごくあると思うから、これから頑張って女磨きやれば大丈夫よ!」
そう言って笑いながら、優花さんは溶けかけたバニラクリームフラペチーノを、パクリと口にした。
わたしは先週のアフターのことを憶い出す。
たった三つしか席が離れていないのに、はるか遠くの人に感じたヨシキさん。
ほんとうに、その差は埋まるのかな?
手元のアイスココアの氷が、夏の日射しを受けて、カラリと崩れていく。
その様子を見ながら優花さんは、想いに沈んだように頬杖ついて、ポツリと話しはじめた。
「でも『恋愛レベル』って、何回か恋を繰り返して、いろいろ失敗して、相手との距離感をからだでつかまないと、得られないのよね~」
「え?」
「あたしの元彼も、そのヨシキさんみたいなタイプだったのよ」
「えっ?!」
「あはっ。フィアンセの妹さんに言うことじゃないかもしれないけど、凛子ちゃんだからついしゃべっちゃった。忠彰さんと出会う前ね、あたしがつきあってた男は、三股かけてたのよね~。
信じられる? 三股よ!」
「そ、それはすごいというか…」
「乙女の敵よ! もうドロドロだったわ、ヤツはバンドやっててボーカルで、当然イケメンで女の子のファンが多くって、そのなかでわたしを彼女に選んでもらえてすっごく嬉しくて、あたし舞い上がってた。
ね。そのあたりも、今の凜子ちゃんの境遇と似てない?」
「まあ、そう言われれば同じですけど。わたしはまだ、選ばれてはいませんが」
「まあね。でも、そいつは作る歌詞も軽かったけど、頭も軽い男でさ。ライブのたびにほかのファンの女をつまみ喰いして回るようなチャラ男だったの。
知りたくもない話ばっかり耳に入ってきて、そのたびにあたし、彼に不満と嫉妬をぶつけてさ、お互いボロボロになって別れたわ」
「そ、そうなんですか」
「忠彰さんもルックスがいいけど、元カレとは性格が真反対でね。
女の子がキャアキャア騒ぐような派手なパフォーマンスとか、忠彰さんにはないし、キュンキュンくるサプライズもしてくれないし、どちらかというと地味でおとなしくって、ちょっと物足りなく感じることもあるけど。
でも、すごく実直で誠実なの」
「はぁ」
「だから、忠彰さんと出会ってすごく癒されたっていうか、安心できるのっていいなって、忠彰さんの存在を心から肯定できたの。
まあ、今となっては、元カレは忠彰さんと出会うための、単なる前フリにしか感じないけどね」
「わたしとしても、それで兄のよさをわかってもらえたのなら、優花さんの過去も肯定的にとらえられると思います」
「あは。凛子ちゃん、真面目~」
「す、すみません」
つづく
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
還暦妻と若い彼 継承される情熱
MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。
しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。
母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。
同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる