恋とかできるわけがない 〜ヲタクがJC拾ってもなにもできない件

茉莉 佳

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1st stage

美少女と出会った夜を思い出せない

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「それで、オレの事はもういいから、本題に移ろうぜ。
どうしてそんな女の子がおまえの部屋にいるんだ?
どこで知り合ったんだ?
どんな感じの なんだ?
んで、ほんとにヤッたのか?」

興味津々という感じで、ヨシキは訊いてきた。それには答えず、ぼくはもうひとつ、質問した。

「ヨシキ。『責任とる』って、具体的になにをすればいいんだ?」
「責任? なんの責任だ?」
「だから、その…」
「エッチした責任か?」
「…あ、ああ、、 多分、、、」
「そうだな~、、、」

ヨシキはしばらく考えてたが、突然 “ププッ”と笑い出した。

「ふつー、『責任取って』って言われたら、『つきあって』とか『結婚して』って意味だと思うけど、おまえがそんなセリフを中坊の女に言われるとか、、、 マジありえね~wwwwwww」

ゲラゲラ笑い出したおかげでハンドルが取られ、クルマが蛇行する。

なんか、、、
気分が悪くなった。
クルマが揺れたからじゃない。
あまりにもバカにされたからだ。

まあ、そういうのはいつもの事だし、こいつといると、その完璧モテ男っぷりに、いちいち劣等感を刺激されてしまう自分も、なんだか情けない。ぼくにはぼくのいい所があるんだと、信じたい、、、

「それで? あの後なにか思い出したか?」

気のすむまで あざけり笑った後、ヨシキはハンドルを握り直しながら、今度はやけにまじめに訊いてきた。

「タクシーには、確かにおまえひとりで乗ったぞ。その後はどうだったんだ? 途中どこかに寄った覚えはないのか?」
「いや。まっすぐ帰ったと思うけど…」
「じゃあ、おまえのマンションに着いた後、近所で会ったんじゃないのか?」
「あ、ああ…」
「よく考えてみろ。タクシー降りてからマンションのアプローチを通ってホールに入って、エレベーターに乗って、自分の部屋にたどり着くまでの道のりを」

彼の言葉に従って、ぼくは必死に記憶を掘り起こしてみた。

タクシーがマンションの前に着いた事は、よく覚えていない。
『お客さん、着きましたよ』という運転手の声に起こされて、、、
ぼくは寝ぼけながら財布を出してお金を払い、タクシーから降りて、ポーチをふらふら歩いて…

、、、そう言えば。

「マンションに入る前の… エントランスの柱の陰に、だれかうずくまってた様な、、、 」
「それだよ。よく思い出してみろ。そこで話しかけたか、かけられたかしたんじゃないのか?」
「そうかも…」
「そしてなりゆきで、おまえの部屋に着いて来たんだろ」
「それは、、、 ありえるかも」

そうこうしてるうちに、もう、ぼくの住む15階建のワンルームマンションが見えてきた。
その途端、なんだか不安になってくる。

ほんとに彼女は、ひとりでおとなしく待ってるだろうか?
コミケの稼ぎをパクって、逃げたりしてないだろうか?
それとも、もしかして…
怖いお兄さんがいっしょに、待ち構えてたりとか、、、
思わずからだがすくんでしまう。

「ヨ、ヨシキ、悪いけどいっしょに部屋まで来てくれないか? おまえがいた方が、なにかと心強いかも…」
「ああ…」

そう言って、なにか考える様に黙ったヨシキは、かぶりを振った。

「…いや。やめとくよ」
「え? なんで? 今日はそのために、わざわざ送ってくれたんじゃないのか?」
「今の段階での事情はだいたいわかったし。あとはおまえが、次のステージに進んでからだな」
「次のステージ?」
「おまえだけで、その女の子と、ちゃんと向き合って、話ししろよ」
「でも…」
「その子、家出少女なんじゃないか?」
「家出少女?」
「ああ。泊まる所がなくて途方にくれて、マンションの陰に座り込んでいたところに、たまたまおまえが帰ってきて、なんだかんだで部屋に転がり込んだんじゃないのか?」
「…そうかな?」
「それだったら、オレがいっしょに行くと、その子、絶対不安がるぞ。
密室で知らない男二人に囲まれるのは、オレ達が思ってる以上に、女の子にとっちゃ怖い事だからな」
「そっ、そうなのか?」
「多分な。だから、その子のためにも、オレは今日は遠慮しとくよ。とりあえず近くでヒマ潰してっから、なにか問題が起こったら、電話かメッセでもしろよ。オレも頃合いを見て連絡するから」
「あ、ああ… サ、サンキュ」
「じゃな。頑張れよ!
もしコミケの売り上げかっぱらってトンズラしてても、許してやれよ。
そして冬コミの印刷代は全額おまえ持ち、なw」

励ましとも脅しともつかないことをほざいたヨシキは、ぼくのマンションのエントランス前に、ピタリとTOYOTA Bbを停めた。
クルマから降りたぼくに、ヤツはニッと微笑んでVサインを送り、アクセルを吹かして走り去る。

まったく… 憎たらしいヤツだ。

ふだんはチャランポランとした、いけすかないカメコで、ぼくのことも散々バカにするくせに、いざという時は真剣に考えてくれて、アドバイスしてくれる。
ヨシキのこういう優しさと気配りと、傲慢さとオレ様具合が、甘辛ミックスな感じで、腐れ縁が切れないのだ。
とりあえずぼくは、緊張で顔をこわばらせながら、『セカンドステージ』へと歩を進めた。

つづく
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