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執着旦那と愛の子作り&子育て編
やっぱり一番だと思うんだ。①
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建国記念祭の夜。
今夜は城で国主催の夜会が開かれる。
ガリウスは今、レオンに呼び出されてそちらに行っていてこの部屋にはいない。
この空の時間にシャリオンは準備のために用意された部屋にいるのだが、時が進むにつれてそわそわしていた。
これは・・・大丈夫だろうか
ガリウスの為に仕立てられた、その衣装を見て自問自答を繰り返す。
「やっぱり・・・良くないんじゃ」
「それなら、別の服を用意するか?」
もしもの時の為にスペアは2着ずつ持ってきている。
しかし、そういうゾルにジャスミンが声を荒げる。
「な~に言ってるのよ!!」
「でも、こんなの素敵な衣装、着たら皆見とれてしまうよ。
やりすぎだよジャスミン」
確認したときは余りの出来に喜んでいたのだが、落ち着いてくると色々なことが見えるようになった。
すこしジト目でジャスミンも怒ったようにこちらを見てくる。
ちなみに、今日はすっかりクマも消えていて美しくメイクしている。
男性だと忘れそうになるが、その長身は女性ではあまり見ない。
「んまぁ~っ!
褒めるか貶すかどっちかにしてくれる!?」
怒ったように声を張り上げるが、どこか嬉しそうなジャスミン。
「それに、心配するところが間違っているわ」
「まったくだ・・・」
呆れたようにゾルにまでそう言われてしまう。
「そうかな」
「そうよ!
私。・・・もしかしたら貴方の伴侶様に殺されるかもしれない・・・。
どうしましょう」
「え?なぜ?こんな素敵な出来なのに、ガリウスがこの衣装に不満を抱くわけないじゃないか」
シャリオンが冒頭から悩んでいるのはガリウスの衣装についてだ。
朝に着た衣装は式典・祭典用。
夜会用のものは別途用意されていてたのだが、それがあまりにもガリウスを引き立てる仕様になっているのだ。
出来はすごくいい。
ガリウスが着ていることを、想像しているだけだが、目を惹くのが目に見えている。
これを見せられた時、何故似合っていることしか想像できなかったのだろうか。
「そう言って頂けるのはうれしいけど。
・・・やっぱりこちらも見せて置けばよかったかしら」
何をそんなに考えているのか、舌打ちを打ったあとカジカジと爪を齧るジャスミンに首をかしげる。
「ガリウスに?
駄目だよ。忙しいんだからそんなことで呼びだすなんて。
それに僕が見たんだから。・・・僕じゃ駄目だった?」
そういうと、ジャスミンは驚いたようにしながらも苦笑を浮かべた。
「それは・・・慣れていただけたということかしら」
「?・・・どういうこと?」
言われた意味が良くわからなくていぶかし気に首を傾げている。
初めて会ったときジャスミンとは口調も態度も固く、こんな拗ねたように言わなかった。
それはレオンの教育の賜物である。
シャリオンの親であるシャーリーのほんわかした雰囲気は余計なものを引き寄せる。
その為、生き写しのようなシャリオンにはそんな風に教育したのだ。
不機嫌そうなシャリオンにジャスミンは困った様に首を横に振った。
「シャリオン様は他の人と違って私が大柄なのにこんな口調でも驚きはしても、嫌悪を示したりしなかった。
けど、やっぱり口調は固かったもの。
だから、私に慣れてくれたのかしら?と、思ったのよ」
そう言われてハッとした。
「あ。・・・すまない。ちょっと衣装に舞い上がってしまったみたいだ。
その、貴方を下に見てるとかでは」
「いいのよ!私はさっきみたいな方が仲良くなれたようで嬉しいわ。
それと、確認しないとと言ったのは、シャリオン様が頼りないとかそういう事じゃないの。
そうね・・・。逆に考えればわかりやすいかもしれないわね」
「逆?」
「貴方が褒めてくれたこの衣装を、当日知らされないまま伴侶様が着ていらして、皆の視線を集めていたとするわ。
誰も彼も皆くぎ付けになったして、貴方ならどうする?」
「逆も何も・・・今それで悩んでるんだけど」
「あら。そっちを気にしていたの?
私はてっきりシャリオン様の衣装のほう気にしてらっしゃるのかと」
「シャリオン様は余り自身の見た目にそれほど気にしない」
驚いたジャスミンにゾルは呆れたようにそう言う。
というか、ゾルはよくシャリオンのことを世間知らずみたいに言うのは何故なのだろうか。
絶対にこの衣装を着たガリウスはみんなの注目の的に間違いないのに。
そう思いつつも、2人が言っているのはどうやら自分の事だったと理解した。
「そうだったわね。
・・・まぁそういう事よ。伴侶様も貴方が同じように他からの視線を集めて居たら嫉妬する。
そして・・・その怒りの矛先が私に来るのは間違いないと言う事よ・・・」
最後の方は想像してかため息をつくジャスミン。
「なるほど」と理解をするシャリオン。
ちらりと、その衣装を見る。
「絶対に似合うと思うんだ。
けど、・・・いつも以上に素敵になったガリウスに皆が話しかけに来るのも嫌なんだ。
だから、最初僕が傍に居たら良いと思ったんだけど・・・」
真剣にそう呟いたシャリオンに、ジャスミンはニコリとほほ笑んだ。
「なら、良いことを教えて差し上げますわ」
そう言って、美しい男はウィンクをしてほほ笑んだ。
「そもそも、素敵に着飾った美しい伴侶が目の前にいるのに、他に目に行くはずがありません。
伴侶様はシャリオン様しか見られないでしょうし、シャリオン様も伴侶様しか見ておられないでしょうから、他人の目など気にならないはずですわ」
「・・・それってなんの解決にもならないじゃないか」
「そうかしら?周りに声がしながらもシャリオン様しか見てないなんて、嬉しく感じると思いますわ」
「本当に?」
「なんなら見せつけてやればいいのですよ」
「・・・?」
「シャリオン様はそういう事には疎いというか・・・そういう感情がないかもしれませんわね・・・。
まぁ。・・・伴侶様がシャリオン様にメロメロなところを見せれば、他の令息・令嬢も伴侶様に手を出さないと言う事です」
それを最後まで半信半疑だったが、その衣装を着ているガリウスを見たいという欲求は止まらなかった。
☆☆☆
不安を募らせていたシャリオンだったが、戻ってきたガリウスの着付けが終わって姿を現すと目が釘付けになる。
そんな様子のシャリオンにガリウスは驚いたようだったが、苦笑を浮かべこちらに歩み寄ってきた。
わぁ・・・かっこいい
そんな風に思っているとガリウスがクスリと笑った。
「ありがとうございます」
「え?・・・僕、口に出してた・・・?
あ!・・・それとも気づかないうちに心で問いかけてた?」
思わず一気に頬が熱くなるが、ガリウスは腰をかがめると頬にちゅっと口づけた。
「たくさん言って下さい。私は貴方に褒められるととても嬉しいです」
「・・・。それよりも、口にも出していないし、念じたわけでもないことを教えてやって下さいませんか」
ゾルの呆れた声にホッとする。
余り思っていることを口に出してしまうのは良くない。
「気を付けないと・・・」
「今日くらいは大丈夫です。
王族主催の夜会でこれ以上ないくらいセキュリティはいきわたってますし、貴方の大好きなゾル兄様もいますからね」
「・・・やめていただけますか」
心底嫌そうに言うゾルにガリウスはクスリと笑った。
「貴方の兄様は怖いですねぇ」
「えーっと」
「私は改めませんから」
「だって。・・・ごめんね?ガリウス」
「ふふ。わかってますよ。受け入れられても私こそ気持ちが悪いです。
ただ、意地悪をされたのでし返しただけですよ」
「されてた・・・?」
「してない。あれは事実だ」
シャリオンには分からなくて首をかしげると、ゾルは不満げに言葉をつづけた。
「シャリオン。思ったことを口に出すのは良くない。
だが・・・その男への賛辞は好きなだけ言ってやれ。
・・・つまりそういう事だ」
「・・・、ガリウス」
言いたいことが分かって、ガリウスの方を見ればニコリとほほ笑む。
どうやらゾルの言った言葉は正しいらしい。
「・・・かっこいいよ。・・・ガリィ」
ぽそりとつぶやくとガリウスはよりうれしそうにほほ笑む。
そしてシャリオンを抱き込むと、それに合わせてゾルはため息をついて部屋の扉に向かって歩き出した。
「待てても5分です。・・・あまり艶を出さないで下さいね」
「善処します。・・・が、シャリオンの美しさを引き出さないようにするのは難しいですねぇ」
「・・・仕事を増やすなと言っているんだ」
そう捨て台詞を吐くと、ゾルは部屋を出て行った。
もう一年以上も一緒にいるから分かっていると思うのだが、シャリオンは上を見上げる。
「あの、ゾルのは」
「わかってます。貴方の為であり私の為でもあります」
「それなら良いのだけど」
「・・・さて、シャリオン?ゾルは先ほど5分しか待ってくれないと言いました。
シャリオンには私の魔力を込めた魔法具を持っていただいておりますが、始まる前にしておきたいのですが」
ついっと親指で唇を撫でられる。
ガリウスがどんなつもりかなんてシャリオンにだってわかっている。
むしろ、したいのはシャリオンだって一緒である。
「先ほどのあれ嬉しかったですよ」
「あれ?」
「私のことを愛称で呼んでいただけたでしょう?」
たったそれだけで嬉しかったのだろうか。
「なら・・・公式の場所でなければそう呼ぼうか?
・・・でも、それよりも僕もガリィとキスしたいのだけど」
「シャリオン」
そう言うと、顎をすくわれる。
唇を啄むように食みつきながら、次第に深くなるキス。
昼間の熱が再びぶり返していく。
「っ・・・はっ・・・んぅ」
舌が絡むたびにぴちゃりと水音が響く。
ガリウスに触れているすべてが気持ちよくて、あっという間にトロリと溶けていく。
なんだか、子供が出来てから感度が高くなった気がする。
もっとしてほしくてちゅうっと舌に吸い付く。
すると、ガリウスの体がピクっと動いた。
感じていると思うと嬉しくて、無意識に腰を擦り付けるように動かしていた。
「こら」
「っ・・・?」
「そんな風にしては、私が恥ずかしい状態になってしまいます」
「!」
「破廉恥な状態で夜会に出したいのですか?」
「!?だめっ・・・そんなのっ他の人に見せない!」
思わずそう叫ぶと、ガリウスはクスリと笑って、額にちゅっとなだめる様に口づけた。
「私もそうです。・・・シャリオンもそんな風にしたら感じてしまうでしょう?」
「っ・・・ごめん。・・・なんか僕・・・最近みさかいないというか・・・」
「ベッドの中ではいくらでもしてください」
「・・・でも、その・・・もっとしたくなるというか。・・・い、・・・らん・・・に、なっちゃったのかな」
そう言いながら頬があつくなる。
「貴方がのそれが淫乱?・・・。
シャリオン。あまりにも可愛いことを言っていると屋敷に閉じ込めますよ?」
「え?」
「本当の淫乱という意味が分かるまで」
「っ」
そうほほ笑むガリウスに何かを感じて首をぶんぶんと振った。
でも・・・ほんの少しだけ、どんなものか見たいと思うシャリオンなのだった。
今夜は城で国主催の夜会が開かれる。
ガリウスは今、レオンに呼び出されてそちらに行っていてこの部屋にはいない。
この空の時間にシャリオンは準備のために用意された部屋にいるのだが、時が進むにつれてそわそわしていた。
これは・・・大丈夫だろうか
ガリウスの為に仕立てられた、その衣装を見て自問自答を繰り返す。
「やっぱり・・・良くないんじゃ」
「それなら、別の服を用意するか?」
もしもの時の為にスペアは2着ずつ持ってきている。
しかし、そういうゾルにジャスミンが声を荒げる。
「な~に言ってるのよ!!」
「でも、こんなの素敵な衣装、着たら皆見とれてしまうよ。
やりすぎだよジャスミン」
確認したときは余りの出来に喜んでいたのだが、落ち着いてくると色々なことが見えるようになった。
すこしジト目でジャスミンも怒ったようにこちらを見てくる。
ちなみに、今日はすっかりクマも消えていて美しくメイクしている。
男性だと忘れそうになるが、その長身は女性ではあまり見ない。
「んまぁ~っ!
褒めるか貶すかどっちかにしてくれる!?」
怒ったように声を張り上げるが、どこか嬉しそうなジャスミン。
「それに、心配するところが間違っているわ」
「まったくだ・・・」
呆れたようにゾルにまでそう言われてしまう。
「そうかな」
「そうよ!
私。・・・もしかしたら貴方の伴侶様に殺されるかもしれない・・・。
どうしましょう」
「え?なぜ?こんな素敵な出来なのに、ガリウスがこの衣装に不満を抱くわけないじゃないか」
シャリオンが冒頭から悩んでいるのはガリウスの衣装についてだ。
朝に着た衣装は式典・祭典用。
夜会用のものは別途用意されていてたのだが、それがあまりにもガリウスを引き立てる仕様になっているのだ。
出来はすごくいい。
ガリウスが着ていることを、想像しているだけだが、目を惹くのが目に見えている。
これを見せられた時、何故似合っていることしか想像できなかったのだろうか。
「そう言って頂けるのはうれしいけど。
・・・やっぱりこちらも見せて置けばよかったかしら」
何をそんなに考えているのか、舌打ちを打ったあとカジカジと爪を齧るジャスミンに首をかしげる。
「ガリウスに?
駄目だよ。忙しいんだからそんなことで呼びだすなんて。
それに僕が見たんだから。・・・僕じゃ駄目だった?」
そういうと、ジャスミンは驚いたようにしながらも苦笑を浮かべた。
「それは・・・慣れていただけたということかしら」
「?・・・どういうこと?」
言われた意味が良くわからなくていぶかし気に首を傾げている。
初めて会ったときジャスミンとは口調も態度も固く、こんな拗ねたように言わなかった。
それはレオンの教育の賜物である。
シャリオンの親であるシャーリーのほんわかした雰囲気は余計なものを引き寄せる。
その為、生き写しのようなシャリオンにはそんな風に教育したのだ。
不機嫌そうなシャリオンにジャスミンは困った様に首を横に振った。
「シャリオン様は他の人と違って私が大柄なのにこんな口調でも驚きはしても、嫌悪を示したりしなかった。
けど、やっぱり口調は固かったもの。
だから、私に慣れてくれたのかしら?と、思ったのよ」
そう言われてハッとした。
「あ。・・・すまない。ちょっと衣装に舞い上がってしまったみたいだ。
その、貴方を下に見てるとかでは」
「いいのよ!私はさっきみたいな方が仲良くなれたようで嬉しいわ。
それと、確認しないとと言ったのは、シャリオン様が頼りないとかそういう事じゃないの。
そうね・・・。逆に考えればわかりやすいかもしれないわね」
「逆?」
「貴方が褒めてくれたこの衣装を、当日知らされないまま伴侶様が着ていらして、皆の視線を集めていたとするわ。
誰も彼も皆くぎ付けになったして、貴方ならどうする?」
「逆も何も・・・今それで悩んでるんだけど」
「あら。そっちを気にしていたの?
私はてっきりシャリオン様の衣装のほう気にしてらっしゃるのかと」
「シャリオン様は余り自身の見た目にそれほど気にしない」
驚いたジャスミンにゾルは呆れたようにそう言う。
というか、ゾルはよくシャリオンのことを世間知らずみたいに言うのは何故なのだろうか。
絶対にこの衣装を着たガリウスはみんなの注目の的に間違いないのに。
そう思いつつも、2人が言っているのはどうやら自分の事だったと理解した。
「そうだったわね。
・・・まぁそういう事よ。伴侶様も貴方が同じように他からの視線を集めて居たら嫉妬する。
そして・・・その怒りの矛先が私に来るのは間違いないと言う事よ・・・」
最後の方は想像してかため息をつくジャスミン。
「なるほど」と理解をするシャリオン。
ちらりと、その衣装を見る。
「絶対に似合うと思うんだ。
けど、・・・いつも以上に素敵になったガリウスに皆が話しかけに来るのも嫌なんだ。
だから、最初僕が傍に居たら良いと思ったんだけど・・・」
真剣にそう呟いたシャリオンに、ジャスミンはニコリとほほ笑んだ。
「なら、良いことを教えて差し上げますわ」
そう言って、美しい男はウィンクをしてほほ笑んだ。
「そもそも、素敵に着飾った美しい伴侶が目の前にいるのに、他に目に行くはずがありません。
伴侶様はシャリオン様しか見られないでしょうし、シャリオン様も伴侶様しか見ておられないでしょうから、他人の目など気にならないはずですわ」
「・・・それってなんの解決にもならないじゃないか」
「そうかしら?周りに声がしながらもシャリオン様しか見てないなんて、嬉しく感じると思いますわ」
「本当に?」
「なんなら見せつけてやればいいのですよ」
「・・・?」
「シャリオン様はそういう事には疎いというか・・・そういう感情がないかもしれませんわね・・・。
まぁ。・・・伴侶様がシャリオン様にメロメロなところを見せれば、他の令息・令嬢も伴侶様に手を出さないと言う事です」
それを最後まで半信半疑だったが、その衣装を着ているガリウスを見たいという欲求は止まらなかった。
☆☆☆
不安を募らせていたシャリオンだったが、戻ってきたガリウスの着付けが終わって姿を現すと目が釘付けになる。
そんな様子のシャリオンにガリウスは驚いたようだったが、苦笑を浮かべこちらに歩み寄ってきた。
わぁ・・・かっこいい
そんな風に思っているとガリウスがクスリと笑った。
「ありがとうございます」
「え?・・・僕、口に出してた・・・?
あ!・・・それとも気づかないうちに心で問いかけてた?」
思わず一気に頬が熱くなるが、ガリウスは腰をかがめると頬にちゅっと口づけた。
「たくさん言って下さい。私は貴方に褒められるととても嬉しいです」
「・・・。それよりも、口にも出していないし、念じたわけでもないことを教えてやって下さいませんか」
ゾルの呆れた声にホッとする。
余り思っていることを口に出してしまうのは良くない。
「気を付けないと・・・」
「今日くらいは大丈夫です。
王族主催の夜会でこれ以上ないくらいセキュリティはいきわたってますし、貴方の大好きなゾル兄様もいますからね」
「・・・やめていただけますか」
心底嫌そうに言うゾルにガリウスはクスリと笑った。
「貴方の兄様は怖いですねぇ」
「えーっと」
「私は改めませんから」
「だって。・・・ごめんね?ガリウス」
「ふふ。わかってますよ。受け入れられても私こそ気持ちが悪いです。
ただ、意地悪をされたのでし返しただけですよ」
「されてた・・・?」
「してない。あれは事実だ」
シャリオンには分からなくて首をかしげると、ゾルは不満げに言葉をつづけた。
「シャリオン。思ったことを口に出すのは良くない。
だが・・・その男への賛辞は好きなだけ言ってやれ。
・・・つまりそういう事だ」
「・・・、ガリウス」
言いたいことが分かって、ガリウスの方を見ればニコリとほほ笑む。
どうやらゾルの言った言葉は正しいらしい。
「・・・かっこいいよ。・・・ガリィ」
ぽそりとつぶやくとガリウスはよりうれしそうにほほ笑む。
そしてシャリオンを抱き込むと、それに合わせてゾルはため息をついて部屋の扉に向かって歩き出した。
「待てても5分です。・・・あまり艶を出さないで下さいね」
「善処します。・・・が、シャリオンの美しさを引き出さないようにするのは難しいですねぇ」
「・・・仕事を増やすなと言っているんだ」
そう捨て台詞を吐くと、ゾルは部屋を出て行った。
もう一年以上も一緒にいるから分かっていると思うのだが、シャリオンは上を見上げる。
「あの、ゾルのは」
「わかってます。貴方の為であり私の為でもあります」
「それなら良いのだけど」
「・・・さて、シャリオン?ゾルは先ほど5分しか待ってくれないと言いました。
シャリオンには私の魔力を込めた魔法具を持っていただいておりますが、始まる前にしておきたいのですが」
ついっと親指で唇を撫でられる。
ガリウスがどんなつもりかなんてシャリオンにだってわかっている。
むしろ、したいのはシャリオンだって一緒である。
「先ほどのあれ嬉しかったですよ」
「あれ?」
「私のことを愛称で呼んでいただけたでしょう?」
たったそれだけで嬉しかったのだろうか。
「なら・・・公式の場所でなければそう呼ぼうか?
・・・でも、それよりも僕もガリィとキスしたいのだけど」
「シャリオン」
そう言うと、顎をすくわれる。
唇を啄むように食みつきながら、次第に深くなるキス。
昼間の熱が再びぶり返していく。
「っ・・・はっ・・・んぅ」
舌が絡むたびにぴちゃりと水音が響く。
ガリウスに触れているすべてが気持ちよくて、あっという間にトロリと溶けていく。
なんだか、子供が出来てから感度が高くなった気がする。
もっとしてほしくてちゅうっと舌に吸い付く。
すると、ガリウスの体がピクっと動いた。
感じていると思うと嬉しくて、無意識に腰を擦り付けるように動かしていた。
「こら」
「っ・・・?」
「そんな風にしては、私が恥ずかしい状態になってしまいます」
「!」
「破廉恥な状態で夜会に出したいのですか?」
「!?だめっ・・・そんなのっ他の人に見せない!」
思わずそう叫ぶと、ガリウスはクスリと笑って、額にちゅっとなだめる様に口づけた。
「私もそうです。・・・シャリオンもそんな風にしたら感じてしまうでしょう?」
「っ・・・ごめん。・・・なんか僕・・・最近みさかいないというか・・・」
「ベッドの中ではいくらでもしてください」
「・・・でも、その・・・もっとしたくなるというか。・・・い、・・・らん・・・に、なっちゃったのかな」
そう言いながら頬があつくなる。
「貴方がのそれが淫乱?・・・。
シャリオン。あまりにも可愛いことを言っていると屋敷に閉じ込めますよ?」
「え?」
「本当の淫乱という意味が分かるまで」
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