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執着旦那と愛の子作り&子育て編
【別視点:ライガー:セレドニオ:ゾル】試練④(最後)
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ポンツィオに落ち着くように言われながら言われたのは、サーベル国では最近難破船が多いという事だった。
そして、それを助けた船が港に着くと数人消えるという摩訶不思議なことが起きていた
乗り合わせた人間は毎回口裏を合わせたように同じように、「難破船を助けた」「攫われる人間には数日前に痣が出来ていること」「助けたはずの人間も同時に攫われているが、その顔を誰も覚えていない」というのだ。
難破船を直前に助けたばかりのライガーは早急に、乗組員に欠員が居ないか、また助けたリュシの安否を確認するがどちらも無事だったことにひとまず安心する。
しかし、ポンツィオはもう一つ大きなネタを提供してくれる。
人攫いが起きる時のやり口は、コンドル家が得意な隠密行動の様だと。だが、それは確証がない。
それを聞きながらライガーは理解を示しながらも、ポンツィオは言えない手札があるのか、コンドル家が犯人だろうとみているように見えた。
アルアディアで奴隷を買っていたアボットの行方が居なくなったことを聞いて、ピンと来たらしい。
コンドル家が人身売買をしているならば、アボットに利用価値を見出すということを。
ゾイドスやその他の売人から奴隷を買った貴族たちは、この一年爵位を落とされ人衆からは白い目で見られたり辛い一年だっただろう。
しかし、その辛さも一年も経つとその傷も癒えてくるころだ。
それと同時に再び目を覚ますであろう、奴隷への支配欲。
人を人として扱わず、自分の好きに扱えることの至福を思い出す。
泣き叫び苦しみ自分に媚び許しを請う無様で可哀そうな奴隷は、彼等にとっては甘い蜜だ。
コンドル家はその者達に再び買わせたいと目を付けるはずだ。
それを考えれば、コンドル家がアボッドを助ける可能性はあり得る。
国外追放をされアルアディアではもう満足に活動出来ない。
しかし、買っていた人間の情報をアボッドが持っているのだから、それを利用しない訳がない。
裏の仕事を請け負うコンドル家を疎ましく思っても、使い勝手のいいそれを壊すことは出来ないが、人身売買は少し話が違う。
それにより、大きな金がコンドル家へと動く。
コンドル家をないがしろには出来ないが、力を持ちすぎるのもサーベル家としても困ることなのだ。
そこで、ポンツィオはコンドル家にアボッドのことを話すことを提案し、城へと召喚した。
☆☆☆
コンドル家は貴族であってもその他の貴族とは違う。
普段王家からの召喚があったとしても、彼等が現れるのは殆ど無いそうだ。
しかし、コンドル家は予想に反して城へと現れる。
それも、滅多に見ることが無いという、現当主だ。
男は年老いた人のいい老人と見せかけながらも、年齢には見合わない覇気を纏う男は、自身の顎髭に手をやる。
髪はすっかり銀に染まり、もう隠居をしていい年のはずだが、そんなことを感じさせない。
あからさまな体格な良さはないのに、とても不気味である。
「それは誠の話か」
シルヴェストル・コンドルと名乗った男はポンツィオの話を聞きながら眉を顰めた。
「はい」
「・・・確かに、私名義でアボッド殿の屋敷は数個預かっているが」
やはり別名義買っている様子のシルベストルは小さくため息をついた。
「わかった。その土地は返還しよう」
年老いた彼はポンツィオ相手でも子供ほど離れているからなのかそんな口調だった。
だが、大人しく従ってくれたのは助かる。
「・・・、」
そのことに安堵したライガーだったが、口元に小さく笑みを浮かべていシルヴェストルはなにを考えているかわかりにくく、居心地がわるかった。
☆☆☆
その日の晩。
ガリウスに決まったことを報告するライガーに、なんだか深く考えている様だった。
『可笑しいですねぇ』
『何がだ』
『確かにアボッドを振り切ったのは誰かの介入があったからだと想定し、ウルフ家を振り切れるのはそのコンドル家であるのも間違いないとは思いますが。
・・・コンドル家は一体何をしたいんでしょうね』
『・・・、』
アボッドを助けたのがコンドルだったとして、何かアボッドに利用価値を見出していたとしても、何故別荘の返還に応じたのか。それ以前になかなか出てこないという男が何故出てきたのか。
『・・・、・・・もしかしたら、・・・あの男を助けたのは別の男かもしれません』
『誰が、そんな。ウルフ家の追手から逃げられるのは』
『まぁ、コンドル家とは言われますが、1人やりそうな男が残っているでしょう?』
『・・・?』
分からずに考えていると、ガリウスが可笑しそうに笑った。
『お忘れですか?・・・あの事件の日からずっと姿を消しているゾイドスですよ』
『!』
『あの男は殆どの貴族から見下されていた。それは言語が疎いだけでなくその振舞いにもあったのですよ』
ゾイドス家の資金繰りが難しいのは知っていた。
彼がサーベル国の出身であるのも、その目を見ればわかる。
そんな彼は男爵家の養子となり、貴族の地位を手に入れたものだから、他の貴族に疎まれ良いように使われてしまっていたのだ。
『動きが粗野で野蛮だと。・・・でも、衛兵たちはその動きを傭兵のようだと言う者もいました』
『!』
『あの男の息子であるカインはかなりの身体能力を持っていますし、その親であるゾイドスが油断していたウルフ家の者の隙をついたか、・・・もしくは純粋にあの男が強いのか分かりませんが』
『そうだな・・・』
『彼等がまだアルアディアから出たという報告情報は来ていません。
よって、もしコンドル家の狙いがアボットな場合、ポンツィオ様をお連れするとき、コンドル家は何かしらの理由で同乗を願うかもしれません。
殿下はそれを拒否してください。
今は不要な戦闘は避けたいので』
『わかった』
『それと、助けた男が、もし「シディアリア」に、「戻りたい」と言った場合、そちらは乗せて構いません』
『え』
『ただしその時は1人で乗せてください』
その言葉にライガーは首をひねる。
最初難破船の話を聞いた時に、彼等はコンドル家のものかもしれないと思った。
しかし彼は姿も消さなかったし、行方不明になったものはいなかったらだ。
『何故「シディアリアに、戻りたい」というんだ?』
『今年は100年に一度の建国記念祭です。
こちらが警戒しているのに、アルアディアへ行きたいと言わないでしょう』
それで真ん中の島なそうだ。
ガリウスからそれからいくつか話を聞くと、明日に備えるのだった。
ガリウスの考えは半分の確立だった。
コンドル家の者はアルアディアに行きたいと言わなかった。
しかし、リュシの方は『シディアリア』に行きたがった。
リュシにはライガー達は内密で来ていることは伝えていないのだが、申し訳なさそうに言った。
そんなリュシにはゾルが常についた。
遭難していた時の様に、再び海賊現れたらいけないと言いながら。
もう間もなく約束のシディアリアにつくころ、それは起きた。
金属と金属がぶつかる音に、ライガーはハッとする。
「動かないでください」
そう言うセレドニオは入口当たりに陣取った。
「しかし、この音は」
「えぇ。考えられれている通り誰かが戦闘を行っています」
「!」
「この部屋は結界を張っておりますため、安全です」
「ポンツィオ様達は」
「勿論結界は張っています。それに、彼等にはあのカイザーとかいう男がついているので大丈夫でしょう」
「そうか・・・」
もしここで何かあったら国際問題に発展してしまう。
何としてもポンツィオと陛下だけは安全に連れて行かなければならい。
「・・・。やはり気になる。セレドニオ。ついてきてくれないか」
ライガーの言葉にセレドニオはこちらを暫く見てきたが、結局『わかりました』と通してくれた。
・・・
・・
・
甲板の上ではゾルと見知らぬ男が刃を交えている。
その状態に一瞬頭が困惑するが、あたりを見回すと甲板の端に大きな麻袋が見える。
それは丁度人ひとりが入るくらいの様にもみえた。
そう思ったら、その中はリュシの様に思えて仕方がなかった。
走りだしたライガーにセレドニオは舌打ちをする。
こんな行動はばかげている。
しかし、止まらなかったのだ。
その手に麻袋が手に届きそうなところだった。
「ぐっ」
「!?」
ゾルのうめき声に顔を上げそちらに振り返ったところだった。
遠くにいると思われていた謎の男はすぐ目の前に来て、ナイフを振り上げていた。
「!」
「ライガー様!!」
咄嗟に動けなかったライガーに駆けつけた間に滑りこんだのは、・・・セレドニオだった。
それに驚いていると、はらりと布が落ちた。
目元にあった布だ。
そして、そこに現れた目の色に息を飲んだ。
「・・・く・ろ」
「!・・・っ」
それは、王妃エルビナ・・・ライガーの母親と同じ目の色だった。
勿論ライガーは一度も見た事がないが、以前残っていた肖像画の王妃は真っ黒な瞳に王家の血が混じった金色の髪でえがかれたのを思い出す。
そのセレドニオの顔は男女で違うはずなのに、姉弟だからなのかとてもそっくりだ。
困惑しその顔を見ていると、再び振り下ろされそうになる刃をセレドニオ越しに見えた。
「セレドニオッ」
「!?」
セレドニオの腕を掴むと横に薙ぎ払う。
しかし、そこに空いた空間にニヤリと不気味な笑みを浮かべた男がが滑り込み・・・。
肉が刻まれる音に血の気が引くのだが痛みは不思議と無い。
「っ・・・・!」
咄嗟に状況を理解するとその男を掴んだ。
男は大した力を入れた風でもなくライガーの体を退かし投げ捨てようとしたのを、今度はセレドニオがキャッチする。
そして、何やら呪文を唱えると男にめがけて投げつけた。
聞いたことがない、その呪文は男の四肢の自由を奪うと黒い杭が現れると、心臓を一突きする。
「ぐぁぁっ」
そう叫ぶのに胸からは血が流れていない。
そして、その黒いつたは男のを掴み上げるとそのまま海に放り投げるのだった。
「殿下!」
「ライガー様っ」
2人がこちらにかけよってくると心配そうにこちらを見てくる。
「・・・。大丈夫か」
「!」
「話さないでください。セレドニオ、止血を」
「っ」
「それから治療だ」
「わかった」
なんだか寒いと思ったのは血が抜けているからだったようだ。
☆☆☆
手当はあっと言う間だった。
それは切られた時間と同じくらいの速さだ。
痛みも感じないようにセレドニオが取っていてくれていたようだ。
傷口のあったはずの個所を見ていると、ゾルからガリウスにつなげられた。
『大丈夫ですか』
『あぁ。手当はすんでいる』
『そうですか・・・。結構な量の血が流れたと聞きました。
余り無理をしないでください』
『あぁ。ちなみにサーベル国の彼等には怪我無い』
『それは良かったですが』
そう答えつつもどこか不満げだった。
『兄上!!!』
『ルーク。どうしたんだこんな時間に』
『どうしたも何も無いよ。・・・今まで仕事だったけど兄上が切られたっていうから!』
『あぁ。すまない。心配かけた』
『・・・ッ・・・本当に良かった。最悪な状況になったらシャリオンが』
『シャリオン?』
『あれ?ガリウスからシャリオンが子を授かったって聞いてない?』
『え』
『言ったら余計に張り切ると思いましたので』
『・・・、本当にそれだけか?また変な嫉妬したんじゃ』
『何に嫉妬するというんですか。・・・まぁ切られてしまえば同じですが。
シャリオンは今なら大分安定してきてますから大丈夫ですよ』
そう言う言葉にライガーは少し考えた後に首を振った。
『黙っていよう』
『ですが』
『今こんなことで不安定にするわけには行かない。なに。王都につくまでに回復しているさ』
そう言うと、ガリウスは納得いっていなそうだったがライガーはそれを気づかないふりをするのだった。
それはシャリオンに言いたくないというのもあったが、ガリウスにも心配かけたくなかったからだ。
今は少しでも回復しなければならない。
この船がハドリーに入港したら、記念祭の間は港は封鎖される。
それまでに直さなければと思うライガーだった。
そして、それを助けた船が港に着くと数人消えるという摩訶不思議なことが起きていた
乗り合わせた人間は毎回口裏を合わせたように同じように、「難破船を助けた」「攫われる人間には数日前に痣が出来ていること」「助けたはずの人間も同時に攫われているが、その顔を誰も覚えていない」というのだ。
難破船を直前に助けたばかりのライガーは早急に、乗組員に欠員が居ないか、また助けたリュシの安否を確認するがどちらも無事だったことにひとまず安心する。
しかし、ポンツィオはもう一つ大きなネタを提供してくれる。
人攫いが起きる時のやり口は、コンドル家が得意な隠密行動の様だと。だが、それは確証がない。
それを聞きながらライガーは理解を示しながらも、ポンツィオは言えない手札があるのか、コンドル家が犯人だろうとみているように見えた。
アルアディアで奴隷を買っていたアボットの行方が居なくなったことを聞いて、ピンと来たらしい。
コンドル家が人身売買をしているならば、アボットに利用価値を見出すということを。
ゾイドスやその他の売人から奴隷を買った貴族たちは、この一年爵位を落とされ人衆からは白い目で見られたり辛い一年だっただろう。
しかし、その辛さも一年も経つとその傷も癒えてくるころだ。
それと同時に再び目を覚ますであろう、奴隷への支配欲。
人を人として扱わず、自分の好きに扱えることの至福を思い出す。
泣き叫び苦しみ自分に媚び許しを請う無様で可哀そうな奴隷は、彼等にとっては甘い蜜だ。
コンドル家はその者達に再び買わせたいと目を付けるはずだ。
それを考えれば、コンドル家がアボッドを助ける可能性はあり得る。
国外追放をされアルアディアではもう満足に活動出来ない。
しかし、買っていた人間の情報をアボッドが持っているのだから、それを利用しない訳がない。
裏の仕事を請け負うコンドル家を疎ましく思っても、使い勝手のいいそれを壊すことは出来ないが、人身売買は少し話が違う。
それにより、大きな金がコンドル家へと動く。
コンドル家をないがしろには出来ないが、力を持ちすぎるのもサーベル家としても困ることなのだ。
そこで、ポンツィオはコンドル家にアボッドのことを話すことを提案し、城へと召喚した。
☆☆☆
コンドル家は貴族であってもその他の貴族とは違う。
普段王家からの召喚があったとしても、彼等が現れるのは殆ど無いそうだ。
しかし、コンドル家は予想に反して城へと現れる。
それも、滅多に見ることが無いという、現当主だ。
男は年老いた人のいい老人と見せかけながらも、年齢には見合わない覇気を纏う男は、自身の顎髭に手をやる。
髪はすっかり銀に染まり、もう隠居をしていい年のはずだが、そんなことを感じさせない。
あからさまな体格な良さはないのに、とても不気味である。
「それは誠の話か」
シルヴェストル・コンドルと名乗った男はポンツィオの話を聞きながら眉を顰めた。
「はい」
「・・・確かに、私名義でアボッド殿の屋敷は数個預かっているが」
やはり別名義買っている様子のシルベストルは小さくため息をついた。
「わかった。その土地は返還しよう」
年老いた彼はポンツィオ相手でも子供ほど離れているからなのかそんな口調だった。
だが、大人しく従ってくれたのは助かる。
「・・・、」
そのことに安堵したライガーだったが、口元に小さく笑みを浮かべていシルヴェストルはなにを考えているかわかりにくく、居心地がわるかった。
☆☆☆
その日の晩。
ガリウスに決まったことを報告するライガーに、なんだか深く考えている様だった。
『可笑しいですねぇ』
『何がだ』
『確かにアボッドを振り切ったのは誰かの介入があったからだと想定し、ウルフ家を振り切れるのはそのコンドル家であるのも間違いないとは思いますが。
・・・コンドル家は一体何をしたいんでしょうね』
『・・・、』
アボッドを助けたのがコンドルだったとして、何かアボッドに利用価値を見出していたとしても、何故別荘の返還に応じたのか。それ以前になかなか出てこないという男が何故出てきたのか。
『・・・、・・・もしかしたら、・・・あの男を助けたのは別の男かもしれません』
『誰が、そんな。ウルフ家の追手から逃げられるのは』
『まぁ、コンドル家とは言われますが、1人やりそうな男が残っているでしょう?』
『・・・?』
分からずに考えていると、ガリウスが可笑しそうに笑った。
『お忘れですか?・・・あの事件の日からずっと姿を消しているゾイドスですよ』
『!』
『あの男は殆どの貴族から見下されていた。それは言語が疎いだけでなくその振舞いにもあったのですよ』
ゾイドス家の資金繰りが難しいのは知っていた。
彼がサーベル国の出身であるのも、その目を見ればわかる。
そんな彼は男爵家の養子となり、貴族の地位を手に入れたものだから、他の貴族に疎まれ良いように使われてしまっていたのだ。
『動きが粗野で野蛮だと。・・・でも、衛兵たちはその動きを傭兵のようだと言う者もいました』
『!』
『あの男の息子であるカインはかなりの身体能力を持っていますし、その親であるゾイドスが油断していたウルフ家の者の隙をついたか、・・・もしくは純粋にあの男が強いのか分かりませんが』
『そうだな・・・』
『彼等がまだアルアディアから出たという報告情報は来ていません。
よって、もしコンドル家の狙いがアボットな場合、ポンツィオ様をお連れするとき、コンドル家は何かしらの理由で同乗を願うかもしれません。
殿下はそれを拒否してください。
今は不要な戦闘は避けたいので』
『わかった』
『それと、助けた男が、もし「シディアリア」に、「戻りたい」と言った場合、そちらは乗せて構いません』
『え』
『ただしその時は1人で乗せてください』
その言葉にライガーは首をひねる。
最初難破船の話を聞いた時に、彼等はコンドル家のものかもしれないと思った。
しかし彼は姿も消さなかったし、行方不明になったものはいなかったらだ。
『何故「シディアリアに、戻りたい」というんだ?』
『今年は100年に一度の建国記念祭です。
こちらが警戒しているのに、アルアディアへ行きたいと言わないでしょう』
それで真ん中の島なそうだ。
ガリウスからそれからいくつか話を聞くと、明日に備えるのだった。
ガリウスの考えは半分の確立だった。
コンドル家の者はアルアディアに行きたいと言わなかった。
しかし、リュシの方は『シディアリア』に行きたがった。
リュシにはライガー達は内密で来ていることは伝えていないのだが、申し訳なさそうに言った。
そんなリュシにはゾルが常についた。
遭難していた時の様に、再び海賊現れたらいけないと言いながら。
もう間もなく約束のシディアリアにつくころ、それは起きた。
金属と金属がぶつかる音に、ライガーはハッとする。
「動かないでください」
そう言うセレドニオは入口当たりに陣取った。
「しかし、この音は」
「えぇ。考えられれている通り誰かが戦闘を行っています」
「!」
「この部屋は結界を張っておりますため、安全です」
「ポンツィオ様達は」
「勿論結界は張っています。それに、彼等にはあのカイザーとかいう男がついているので大丈夫でしょう」
「そうか・・・」
もしここで何かあったら国際問題に発展してしまう。
何としてもポンツィオと陛下だけは安全に連れて行かなければならい。
「・・・。やはり気になる。セレドニオ。ついてきてくれないか」
ライガーの言葉にセレドニオはこちらを暫く見てきたが、結局『わかりました』と通してくれた。
・・・
・・
・
甲板の上ではゾルと見知らぬ男が刃を交えている。
その状態に一瞬頭が困惑するが、あたりを見回すと甲板の端に大きな麻袋が見える。
それは丁度人ひとりが入るくらいの様にもみえた。
そう思ったら、その中はリュシの様に思えて仕方がなかった。
走りだしたライガーにセレドニオは舌打ちをする。
こんな行動はばかげている。
しかし、止まらなかったのだ。
その手に麻袋が手に届きそうなところだった。
「ぐっ」
「!?」
ゾルのうめき声に顔を上げそちらに振り返ったところだった。
遠くにいると思われていた謎の男はすぐ目の前に来て、ナイフを振り上げていた。
「!」
「ライガー様!!」
咄嗟に動けなかったライガーに駆けつけた間に滑りこんだのは、・・・セレドニオだった。
それに驚いていると、はらりと布が落ちた。
目元にあった布だ。
そして、そこに現れた目の色に息を飲んだ。
「・・・く・ろ」
「!・・・っ」
それは、王妃エルビナ・・・ライガーの母親と同じ目の色だった。
勿論ライガーは一度も見た事がないが、以前残っていた肖像画の王妃は真っ黒な瞳に王家の血が混じった金色の髪でえがかれたのを思い出す。
そのセレドニオの顔は男女で違うはずなのに、姉弟だからなのかとてもそっくりだ。
困惑しその顔を見ていると、再び振り下ろされそうになる刃をセレドニオ越しに見えた。
「セレドニオッ」
「!?」
セレドニオの腕を掴むと横に薙ぎ払う。
しかし、そこに空いた空間にニヤリと不気味な笑みを浮かべた男がが滑り込み・・・。
肉が刻まれる音に血の気が引くのだが痛みは不思議と無い。
「っ・・・・!」
咄嗟に状況を理解するとその男を掴んだ。
男は大した力を入れた風でもなくライガーの体を退かし投げ捨てようとしたのを、今度はセレドニオがキャッチする。
そして、何やら呪文を唱えると男にめがけて投げつけた。
聞いたことがない、その呪文は男の四肢の自由を奪うと黒い杭が現れると、心臓を一突きする。
「ぐぁぁっ」
そう叫ぶのに胸からは血が流れていない。
そして、その黒いつたは男のを掴み上げるとそのまま海に放り投げるのだった。
「殿下!」
「ライガー様っ」
2人がこちらにかけよってくると心配そうにこちらを見てくる。
「・・・。大丈夫か」
「!」
「話さないでください。セレドニオ、止血を」
「っ」
「それから治療だ」
「わかった」
なんだか寒いと思ったのは血が抜けているからだったようだ。
☆☆☆
手当はあっと言う間だった。
それは切られた時間と同じくらいの速さだ。
痛みも感じないようにセレドニオが取っていてくれていたようだ。
傷口のあったはずの個所を見ていると、ゾルからガリウスにつなげられた。
『大丈夫ですか』
『あぁ。手当はすんでいる』
『そうですか・・・。結構な量の血が流れたと聞きました。
余り無理をしないでください』
『あぁ。ちなみにサーベル国の彼等には怪我無い』
『それは良かったですが』
そう答えつつもどこか不満げだった。
『兄上!!!』
『ルーク。どうしたんだこんな時間に』
『どうしたも何も無いよ。・・・今まで仕事だったけど兄上が切られたっていうから!』
『あぁ。すまない。心配かけた』
『・・・ッ・・・本当に良かった。最悪な状況になったらシャリオンが』
『シャリオン?』
『あれ?ガリウスからシャリオンが子を授かったって聞いてない?』
『え』
『言ったら余計に張り切ると思いましたので』
『・・・、本当にそれだけか?また変な嫉妬したんじゃ』
『何に嫉妬するというんですか。・・・まぁ切られてしまえば同じですが。
シャリオンは今なら大分安定してきてますから大丈夫ですよ』
そう言う言葉にライガーは少し考えた後に首を振った。
『黙っていよう』
『ですが』
『今こんなことで不安定にするわけには行かない。なに。王都につくまでに回復しているさ』
そう言うと、ガリウスは納得いっていなそうだったがライガーはそれを気づかないふりをするのだった。
それはシャリオンに言いたくないというのもあったが、ガリウスにも心配かけたくなかったからだ。
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