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婚約編

いつからなんて、そんなの分かるわけない。

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『「関わってない」と、言って』

そんな気持ちの所為か自然とガリウスをすがるように見つめていると、そっと頬を両手で包まれた。


「貴方が・・・不安に思って。・・・私を認めてくださらないのは、それが原因ですか?」


質問の意味は「肯定」なのだろうか・・・?
ガリウスに惹かれているのは自分でも気づいていた。
認めていないわけではない。
むしろ、結婚前だというのに様々な問題が押し寄せてきているが、それはガリウスのアドバイスがあるから進んでいることばかりだ。


だけど、・・・どうしても引き留められていてた。
ガリウスがライガーとの婚約を破棄させるように動かしたのではないか?と。


その手に、優しさを感じてすり寄りたくなる。
もし、「関わっていた」としても、犯罪でなければこの婚約は継続される。
犯罪に手を染めているなら、レオンが婚約を認めるとは思えない。
だから、シャリオンの問いかけは、意味のないものと言える。
知りたがるのは自分の精神が子供なのだろう。

結果は変わらないはずなのに、真実を知りたい。
だから、視線でしか答えることが出来なかった。

それから、ガリウスは目を閉じた。
外されたことがない視線に不安になる。
そして・・・。


「ー・・・すみません」
「っ」


その言葉を聞いた瞬間息が詰まるかと思った。

『結果は変わらない』と、散々自分に言い聞かせていたはずなのに心をぎゅっと掴まれ身動きが出来ない。

きっと、なにか理由があったのだろう。
それも聞いてみなければ。
だが、言葉が続かない。

それほど、ガリウスを想っていたのだと、期待していたのだと知る。


「・・・そう」


今となっては、ライガーとのことは何とも思っていない。
それに、あの時でさえもそのままライガーと結婚をしたとして、その事でファングス家に再び影響力を与えてしまうくらいなら、自分が引くしかないと婚約破棄を受け入れた。



でも、ガリウスへの気持ちはもっと複雑だった。

自分の感情を押し付けていたのだろうか。
自分が潔癖すぎたのだろうか。
貴族ならもっと賢く、これは受け入れなければ。


気持ちを切り替えようと浮かんだ言葉はすべてから回る。
泣いてはない。いや。泣きたくない。

だが、ガリウスが目元を撫でる。
優しくなんてしてほしくないのに、その手を払えない。

「っ」
「・・・違うんです」
「!」

違うとは?それは弁明なのだろうか?

不安でいると、ぎゅっと抱きしめられたが、安心してしまいそうな自分が嫌になる。
安心をしてしまうのは、ガリウスに気持ちがあるから。
だけど、今は心を整理したい。

関係があったとしても、次に進めるように自分を言い聞かせる時間が欲しかった。

「っ・・・、っ・・・大丈夫だ。
ちゃんと婚約も続けるし、ガリウスにも・・・ガディーナ家にも不利益になるようなことにはならないから、
今は・・・」

抱きしめられるのを拒否する様に腕を突っぱねるが、それ以上の力で抱きしめられる。

「ガリウス、おね」
「っ私は王子との婚約破棄に関係ありません」

全てを言い切る前に、ガリウスが口早に答えた。

「っ・・・っ?」

そろそろと視線をあげると、見たことがないほど動揺している視線があった。
その言葉を理解しながら、自分の都合のいいように聞き取ってしまったのではないかと。
嘘を探すようにガリウスの瞳を見つめる。

「本当です。・・・本当に」
「っ・・・本当?」
「・・・、えぇ」


痛いのに。
心が痛いのに、ぎゅっと抱きしめられて撫でられると安心した。

関係が無い。と。

それを言われたとき、シャリオンはガリウスに抱きしめたまま、しばらく動けなかった。




☆☆☆


















「紛らわしい」




泣いてはいない。・・・ガリウスにひっついていたため、どうかわからないが見られてないのだから泣いてない。


目元が熱いのは抱き着いていた所為だ。
そう思い込むシャリオン。
拗ねたように発したそれとは反して、心は安心をしていた。
自分がガリウスに感情を押し付けてしまっていた所為だと反省しつつも、かもしたのはガリウスでもある。

「貴方がそんな風に取ってしまうとは思わなかったんです」
「そうとしか取れないと思う」
「そうでしょうか?・・・それは余計な心配をかけてすみません」

相変わらずそんなことを思っていなそうな、クスクスと笑った顔で言われた。

「ほかに私に気になるところはありませんか?」
「・・・、」

まっすぐ見られた顔を見とれてしまった。
それとともに。

『貴方はどうしたら私を認めていただけますか』

それは、誓約書につながることなのだろうか。
シャリオンの気にしていたことはクリアになり、もう『ガリウスが望むなら領地を譲渡する』という項目以外はなくなっても良いと思っている。
だが、ガリウウスの項目を思い出してしまう。

ガリウスを疑うわけではないが、ガリウスがもし浮気をしてしまったら?
そう、思うのは自然なほど、・・・ガリウスは見た目も、面倒見もいいし、なにより優しい男なのだ。
公爵とはいえ、いわくつきの自分なんかより、素晴らしい人物はいたと思う。
そう思うと、外せなくなるのが誓約書である。

「・・・」
「シャリオン?」
「っ」

なんだか急に恥ずかしくなって、リストを自分とガリウスの間に挟む。

「っ・・・っ・・・わか、らない」
「なにがです・・・?」
「気になることはある、けど・・・それがなんて言っていいか・・・わからない」
「・・・、」
「・・・、まだ誓約書を残しておきたい理由があるんだ」
「シャリオン・・・」
「っ・・・結婚前には・・・答えをだすからっ」
「・・・」
「駄目・・・?」
「・・・。私も不安なんです。貴方があの人に戻ってしまうのではないかと」
「え?」

『あの人』というのは、文脈からライガーのことだ。
王妃の派閥の話をしていたからなのだろうか。

「ふふふっ・・・ガリウスでも不安になることがあるんだ」
「・・・むしろ、貴方より不安だらけだと思いますが?」
「え、そんなに不安?」
「言ったでしょう?・・・魅力的な婚約者に不安は尽きないんです」
「・・・それは僕もだよ。
ガリウス、結構人気があるから・・・夜会に出るのちょっと心配になってきた」
「・・・」
「ガリウス?」
「・・・」
「・・・あの・・・ガリウス?わぁっ」

固まるガリウスに不安になって名前をもう一度呼ぶと、強く抱きしめられた。
それはちょっと力が強かったが、シャリオンを幸せにしたのだった。




☆☆☆





「んっ・・・あの、がり」

お互いに不安だったことはクリアーになったからなのか、ガリウスが甘えてくるのはちょっとかわいい。
バードキスを繰り返すガリウス。
けど、手に持った書類のことは片付けて置きたい。
話がしたいから止めたいのに、それをやめてくれとは言えなくて強く言えなかった。

「っんんっ・・・ガリウスっ・・・あの、話が、・・・したいのだけど・・・?」
「それは・・・今じゃないと駄目でしょうか」
「・・・、・・・駄目」

本当はキスを続けていたい。
けれど、このことも急を要することだと思う。
いつまでソフィアが無事でいられるかはわからないからだ。
今の時間から出来ることは少ないが、ガリウスから知恵を貰う頃は出来る。

「僕は・・・このリストをうまく使いたいんだけど」
「・・・」
「この先(リスト)に・・・ソフィアがいると思うんだよね。・・・だから、国内で人攫いがどこで多く起きてるか知りたいんだ」
「・・・、・・・・」
「・・・ガリウス?」
「他は?」
「え?」
「他はあと何を得れば、貴方に触れる権利を頂けますか」
「!?」

その言葉を理解するのと同時に、頬が熱くなった。
触れ合いの代償に情報を求むような、そんなつもりは全くなかった。
けれど、自分はそう要求したように聞かれてしまったのかもしれない。
シャリオンはガリウスの手を取る。

「僕の意思を尊重してくれてありがとう」
「・・・、シャリオン」
「仕事に夢中になりすぎないでっていわれてたのに。忘れてたみたいだ」
「・・・。・・・、いえ。私が大人げなかったです」

そういうと苦笑するガリウスにシャリオンから抱き着いた。
それに、驚いたのはガリウスだ。

「!」
「っ・・・僕の心臓の音、聞こえる・・・?」
「っ」
「・・・少しずつ頑張るから、・・・今はこれで許してほしい」

頬が熱かった。
でもそれでガリウスは安心してくれただろうか?
強まる腕の心地よさにホッとする。

「ですが、・・・夜の練習は続けますよ?」
「っ」

その途端、握らされたガリウスのモノを思い出す。
初夜までに、本当に大丈夫なのだろうか・・・?


☆☆☆


シャリオンの聞きたいことは、まず騎士団に聞いてみることになった。
情報を仕入れないことには先に進まないからである。

そして方向性が決まったと思ったら、・・・ガリウスに抱きあげられベッドへと運ばれる。
性急なそれは珍しく驚いてしまうが、あれよあれよとしている間に服はすっかり脱がされた。

何を血迷ったのか、お風呂に入っていないのに『約束したので』とか言って舐めて解そうとするガリウスをなだめるも、四つん這いにさせられローションをたっぷり使われ解される。
恥ずかしさで一杯だったのは数分で、今には逝ってしまいそうになるのを何とか耐えている状態だ。

この数か月。
まだセックスはしなくとも、ガリウスの手で自分の色々な性感帯を知ったのは言うまでもなく、
今も容赦なく2本の指で快楽に揺るがされている。


「ひぁぁっ・・・そこばかっ・・・っ・・・イッちゃうからっ」


腰をひねり逃げようとするが、ガリウスが腰を抑えて許してくれない。
そして、尻たぶに口づけられる。

「!」
「駄目ですよ。舐めさせていただけない代わりに、今日は3本入れるのが約束でしょう?」
「っ・・・そ、そうだけどっんぁぁっっ」

ゴリゴリと前立腺をこすられると、どうしようもなかった。
まるで、動物みたいな鳴き声を上げて善がってしまう。

恥ずかしくて仕方がないのに、ガリウスがそれを見て嬉しそうにするのがシャリオンを安心させる。

「んぅっ・・・はっ・・・ぁぁっ」

ガリウスの頑張りのおかげでもっと奥が切ない。
ふと、核を入れてなければとかそんなことを想ってしまう。
男性同士の初夜に処女かどうか?なんてこと証明のしようがないからだ。
だが、それを言うには理性がまだありすぎた。

「っ・・・」
「何を考えたんですか?・・・いまとてもエロイ顔をしましたね」
「!?」

ガリウスから『エロイ』だなんて言葉が出るとは思わなかった。
どちらかと言えば庶民的な言葉で、・・・露骨的な言葉である。

「何を・・・考えたんですか?」
「ぁっ・・・ゃっ・・・ご、ごめんなさいっ」
「謝るほど激しい内容の情事を思い浮かべたのですか?」
「!?・・・っちがっ」
「なら、・・・教えてください」

ガリウスの声が今まで以上に興奮しているのは分かる。
それに、興奮する自分は変態なのだろうか・・・。

「っ・・・」
「教えてください。・・・シャリオン」

ちゅっちゅっと唇をついばまれる。

「っ・・・っ・・・ぼくが・・・」
「えぇ」

返事が耳にやたら優しい。

「・・・、・・・、・・・、・・・・・・・・・・・・変態なんだっ」
「・・・・貴方が変態なら私はどうなってしまうのですか?」

クスクスと笑うガリウスは言わないシャリオンに聞き出すのをあきらめてくれたようだ。

「今日は私とキスしながら、・・・逝ってくださいますか?」
「!」

ガリウスとの口づけは好きだ。
心地よいそれに、コクりと頷くシャリオンにガリウスも目を細めた。

それからは不安に思ていた指も、・・・怖くはなくなった。
キツイのは変わらないが、・・・今までと何かが違っていた。

「っ・・・その、ガリウスは、良いの?」
「・・・、」
「僕、・・・あの、・・・っ手で、・・・っ」

頬が熱くなるのが止まらなかった。
だが、1人であんな風にさせてしまうくらいなら、一緒にしたほうが良いと思ったのだ。

「っ・・・初夜までは、見せない約束だけど、・・・駄目かな?」
「・・・。・・・。駄目でありません。・・・それなら、私と一緒に気持ち良くなりましょう」
「っ・・・うん」

それから、ガリウスが一枚ずつ服を脱いでいく。
いつの間にかじっと見すぎてしまっていたみたいで、視線があったガリウスにフっとほほ笑まれた。

「っ」

あんなにじっと見ていたのに、裸になると視線が合わせられなくなる。
ベッドに乗ってくるガリウスを見上げると、額にそして目じりに口づけられる。

「せっかく裸になったのですから。見ていただいていいのですよ?」
「っ・・・」

導かれるまま正面を向き合った形になると、ガリウスの腿の付け根の上に乗る。
あの時に握らされたペニスがそこにはあった。
ぱっと見ただけでも大きくて太かった。
腰が引けていたのだが、ガリウスに引き寄せられ腰が密着する。
すると当然自分のモノと重なるわけで。
・・・大きさも色もすべてなんだか卑猥に見えてきてしまう。

「っ・・・」
「握って下さらないのですか?」

そういいながらガリウスの腕は後ろに回り込み尻タブを握られる。
先ほどよりも近い距離にめまいがしそうだ。

「っ・・・さわるっ」

恐る恐る触れると、ビクンとに動く。

「・・・可愛がってくださいね」
「っ~っ」

耳元で囁かれる。

「ほら、・・・シャリオン?おねがいです」
「っ・・・い・・・痛くない?」

いつまでも恥ずかしがっていられない。
それに、ガリウスの甘えた声でお願いされるのは・・・なんだか嬉しくなってくる。
恐る恐る触れると、怖いのはその瞬間だけだった。
熱くて・・・柔らかい気もするのに固い。なんだか不思議な気分になってくる。
それに興奮したのか、自分のモノから蜜がこぼれると、クンと腰を動かされた。

「!」

その動きで自分のモノがガリウスのモノに擦り付けられ、その蜜が伝う。

「っぁ!」
「シャリオン。・・・焦らさないでください。・・・いじわるするの好きなのですね」
「!?ちがっ」
「では、・・・私のモノと一緒に扱いてください」
「っ」

言われるまま一緒に扱きだす。
2つのものがこすりあうだけで、自分のモノから溢れるモノがガリウスを濡らしていく。

「ぁっ・・・んっ」

それが気持ちよくて手の刺激に夢中になるころ。
・・・ガリウスの指がシャリオンの穴に触れた。
先ほどまで解されて、ローションで濡れたそこは簡単にガリウスの指を飲み込む。

「あっ・・・んっ・・・ぁぁっ」
「・・・この体勢では奥まで入りませんね。・・・そのまま力を抜いていてくださいね?」
「っ・・・?・・・!」

すると、3本・4本と続けて入ってくる。
指先で大してきつくはないが、その指を締め付けてしまう。

「ぁぁっ・・・ぁっ・・・ひゃっ」

その途端、ペロリと乳首を舐められる。

「手が止まってます。・・・イカせてくれないのですか?」
「っ・・・っ」

後ろが気持ちよくて考えられなくなっていく。

「シャリオン・・・」

必死に手を動かし、水音が響く。
繰り返し唇を重ねながら、気持ちよくて必死に手を動かした。

「んんっ・・・はぁっ・・・がりぃっ・・・きもちいっ」
「っ・・・私も気持ちいですよ・・・シャリオン・・・っ」
「ぁっ・・・ぁっ・・・・もうっ・・・イクっ・・・いっちゃうっっ」
「っ・・・えぇ。私ももう。一緒に、ね?」
「うんっ・・・んっ・・ッイ・・・イクッ・・・!」
「ッ・・・クッ」

シャリオンは自分の手の中に自分とガリウスの熱いモノを感じながら、果てるのだった。

もう、指一本も動かせない。
だが、このまま眠るわけには、今日こそは起きていないと。・・・と思うのだが。

「今日疲れたでしょう?
後は任せてください。・・・ね?」

いつだって任せきりなのに。
優し気なその声にコクリと頷くと、安心して眠りに落ちていくのだった。


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