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第三章 第十三話
143 初体験
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そう言われながらも指の腹で先端のくぼみをくすぐられ、それだけで身体が震えた。敏感に痙攣する聖月を見て、宗祐は口角を上げる。愉しそうに笑いオールバックの髪をまとめるようにかき上げる姿はカッコよく妖艶で聖月は見惚れた。それは聖月だけではなく、誰が見ても見惚れる光景だった。
聖月は宗祐に先端を弄ばれ荒く息をしながら、快楽を追う。すっかり聖月の顔はよだれと汗と涙でグチャグチャだった。
性器を弱くくすぐられるたびに、くちゅくちゅと粘着質な音が部屋に響く。それは、酷く羞恥を煽るものであった。
顔を赤くし、少し歪め、聖月は必死に震えながら感覚に耐える。
「まるで初めてみたいな反応だな」
まるでこんな『快楽』が初めてだというように、身体は過敏に反応する聖月を見て宗祐は言葉を紡ぐ。その表情には嘲笑ではない笑みを浮かべられた。あのDVDでは、そんなこともなかったのに―――続けてそう言われた。
聖月は弄られる性器に腰を揺らす。快感に満ちた脳内で、聖月はぼんやりとした頭のまま答えた。
「おれ、あの『ビデオ』が撮られた時から…、触れられても…痛くされても何も感じなくて。だから、客の痛い事にも耐えられた。だけど、あの…宗祐さんに慰めてもらった時、久しぶりに感覚がもどって…、本当にびっくりして、でも本当に嬉しかった…これでやっと人間に戻ったんだ…って。でも、結局…その後は客から行為をされてもなくて。最近はやっと感覚が戻るようになったけど…宗祐さんから貰った感覚が初めてだったから」
「――――――」
宗祐は、聖月の真実の告白に目を瞬かせる。長い、ゆっくりとした告白に宗祐は口を挟まずに聞いてくれた。全てを言い終わった聖月は、宗祐の間近にある顔を見つめる。宗祐に弄っていた手を離され、じっと見つめられる。二人の視線が混じり合い、静寂が流れた。
こんなことを言うつもりはなかった。ウソだと言われても仕方がないような話だと聖月でも思う。感覚がなくなって、客とのセックスに耐えられていた。―――なんという不思議な話だと。荒唐無稽な話だと普通だったら思うだろう。だがそんな聖月の予想と反し宗祐は頷いた。
「…だから、ディメントにずっと居られたのか」
そう言った彼の表情は、柔らかいものだった。納得した声音で頭をそっと撫でられ、気持ちよさに頭を預けてしまいそうになった。信じてもらえたんだ―――。その安心感は大きく、形容しがたい感情に身体が包まれる。信じてもらえて嬉しかった。泣きたくなるほどに。
頭を撫でられたまま、そっと背中に触れられ聖月は大きく震えた。触れた瞬間、身体全体に痛みが走る。
「ッ」
痛みに喘ぐ悲鳴をあげると、宗祐は痛みが続く背中を確かめるように撫でる。ヒリヒリとした、熱い痺れに似た痛みが背中から身体全体に広がる。宗祐が触れた場所には、客から受けた無数の傷がある。それは、雨の日やシャワーを浴びるたび痛みをあげる代物だった。
「…見てもいいか?」
そっと耳元に囁かれ、聖月はずいぶんと時間を使ってから頷いた。
それを宗祐が見て、気分のいいものではないと思ったからだ。シャワーを浴びるたびに鏡に映る腐った果実を塗りたくったような背中の色。鞭による無数の傷跡は聖月にとっては見られたくないタブーの場所であった。それを見せることは恥ずかしいし、後ろめたかった。
しかし、真剣な顔をしている宗祐を見たら頷くしかない。
シャツを大きく捲られ背中を上から覗かれる。背中は冷たい空気に当たり、鳥肌が立つ。聖月の無数の傷まみれの背中を宗祐は長い時間見ていた。熱い視線に汗が噴き出る。聖月は緊張しながら宗祐の反応を待つ従順な動物になった。
しばらくして宗祐はゆっくりと口を開く。
「俺が付けたかったな」
「…ぁ……」
それは甘い、甘い告白だった。歪(いびつ)で、執着に満ちた、普通の人だったら恋人に言わない言葉だった。その言葉と共に、背中にキスをされる。欲望と、慈愛が含まれていたキスだった。その行為は目を背けたくなる光景である聖月の背中を受け入れてくれたように感じられた。
それは聖月の心を温め、満たしてくれた。誰にも見せたくない汚い自分の場所を受け入れてもらえて、救われたような気持ちになる。
泣きたくなるのを堪える聖月だったが…、
「まだ、付けれる場所はあるし。…今度付けてもいいか?」
「あ……」
それは普通だったら、恋人には言わない欲望であった。瞬間、でかかった涙が引っ込む。言われた言葉に、急に驚きと恐怖がやってくる。他の場所に、傷をつけられる。この愛おしそうに背中を見詰める彼に。
だが聖月は決めたのだ。―――この人の傍にずっと一緒にいたいと。この人の傍にいるなら、何をされてもいいと目の前の彼に誓ったのだ。聖月は決意を新たにしゆっくりと頷いた。
その瞬間の宗祐の表情は本当に嬉しそうだった。
恐怖で震えながらも頷く可愛い恋人が愛おしかった。震える聖月の顔を上げさせ、宗祐は唇を重ねる。聖月は慣れない舌遣いで宗祐の舌を絡める。啄むように深く口づけを交わす。愛撫を辞めていた大きな手が、ゆっくりと聖月の腹を撫でる。それだけで、ヒクヒクと身体は痙攣してしまう。好きな人からの愛撫は想像以上に敏感に反応してしまう。
「ん…ぅ…っ」
宗祐の指は傷がない部分ばかり触れた。まるでそこを、傷つけたいというように。キスをしながらの愛撫は、キスだけでも気持ちがいいのに、ぐずぐずに溶けてしまいそうな快感があった。口が離され、肌への愛撫に変わっていく。肌にキスの雨が降らされ、身体が陸上に打ち上げられた魚のように跳ねる。
いつの間にかベットの背中をつけた聖月は、宗祐の舌先を目を瞑って感じていた。滑るシーツを必死に掴み、段々と下へ降りていくキスを唇を噛みしめ耐えしのぐ。真っ暗な瞼の裏で、一体何が起こっているのか―――。聖月にはもう分からなくなっていた。
「可愛いな」
宗祐に喉を鳴らすように音を立てて笑われる。どうしてそんな風に笑われるのかは分からないが愉しそうにしているからいいとさえ思った。可愛いと言われてドキドキと心臓が高鳴ってしまう。
「――――ッ」
聖月が背中をそらしたのは、宗祐の舌がヘソの中に侵入してきたからだ。ねっちょりとした感覚と、どう動くか分からない熱い舌にゾクゾクと震えた。宗祐がヘソを指を広げ大胆に動かした瞬間、身体の中にゾクゾクとした味わったこともない感覚がやってくる。
「や、やめ…ッ、きたな…っ」
聖月は普通だったら起こらないだろう感覚に震えた。恐怖が沸き上がり、嫌だと大きく首を振る。彼は今まで優しかった動きがウソのように、逃げようともがく聖月を強く押さえつけ舌でヘソを抉る。宗祐の手も力も大きく聖月はなすすべがない。サディスティックな宗祐のいじわるに聖月は大きく首を振る。
腹の中が、お尻の中がどうしてか疼く感覚に聖月は暴れる。ヘソをいじられただけで、そんな場所が疼くなんて信じられない聖月はパニックに陥ってしまう。大好きな彼の受け入れようと思っていたが、やはり未知の恐怖には勝てない。
「うっ、う…ぅ…っぁ」
苦し気に聖月は呻く。その瞬間、グリッと大きく中を抉られる。
びくびくと大きく震え聖月は、絶頂感を味わった。精を吐き出さず、性器を切なげに震わせる姿はいじらしく宗祐の目を楽しませた。聖月は背中を逸らし、どうしていいか分からず顔をシーツに押し付ける。はぁ、はぁ…と熱く息を吐くと宗祐が涼しい顔でこちらをニヤニヤとみていることが分かりどうしようもなく腹が立つ。
聖月はせめてもの抵抗に、涙目でキッと睨みつける。
それは弱弱しい抵抗であった。そしてそんな表情は、サディストの加虐心をくすぐるものだった。
「嫌だって言ったのに…、意地悪すぎる…ひでぇ…」
こんな風に宗祐に悪態をつくのは初めてだった。口悪く憎まれ口を叩く聖月に、宗祐は驚いた顔をしたがすぐにニヤニヤと笑っている。それは先程まで目を瞑っていた聖月にとって、眩しすぎた。
「『セイくん』とは思えないぐらい口が悪いな」
「もうセイは卒業したんで」
もうどうにでもなれと、聖月はぶっきらぼうに言い切った。ああ、ずっと、いい子で居たかったのについにボロが出てしまった。
もうすっかり素が出てる聖月を見て面白いのだろう。宗祐は心底愉しそうにくすくすと笑っている。
「ヘソをいじるだけで空イキする聖月が可愛いからつい」
「…やっぱり、いじわるだ…」
言葉で聖月を嬲る宗祐に聖月ははぁ、とため息を吐く。宗祐は、その言葉でさえくすくすと笑っている。
そうやって笑いながら宗祐は聖月のズボンをマジシャンのように華麗に剥ぎ取ってしまった。その一連の行動は魔法でも使ったのか?と思うほどスムーズなものだった。
サイドテーブルから、ローションを取り出し自身の手に出す。目の前にローションにまみれのぬとぬとした手を見せつけられ、先程までの和やかな雰囲気が一変した。そのローションに濡れた手で聖月の性器を包みこんだ。馬乗りのような体勢になった宗祐は、両肩に聖月の脚を片方づつ置く。
聖月は前触れもなく股を大きく広げられてしまい小さく悲鳴を上げる。
「ぁ…ッ、」
「この体勢だったら背中痛くないだろ?」
「う…。うん」
宗祐の言う通り、背中を宙に浮かせた状態であるため、先程まであった背中の痛みが消えた。優しい配慮に嬉しくなるが、不安定な体勢であり、脚が肩に乗っている宗祐に負担が大きい体勢でないかと考えてしまう。聖月は少しでも宗祐に負担をかけないよう足が落ちないように集中させる。だが、すぐにその集中は途切れた。
性器を包んだ手をそのまま下に移動させ、壺まりに指を這わせたからだ。指でシワの部分を円を描くようになぞられ、カーッと顔が一気に熱くなる。そして、はたと気づく。この体勢だと宗祐に、見られたくない秘部が丸見えだと。しかも、息がかかる距離にいると―――宗祐の息が肌に当たりそんな気づかない方が幸せなことも分かってしまった。
そして、丸見えなのは宗祐の目だけではない。聖月も足を抱えられているため今行われるものが丸見えの状態であった。視界に煌々とした明るい照明が入り、聖月は思わず叫ぶ。
「そ、宗祐さん…で。電気、でんき消して…っ」
こんな状態では、宗祐さんに部分に恥ずかしい部分が丸見えじゃん――――。それに気づいた聖月は答えは分かっているはずなのに、宗祐の腕を掴み懇願してしまう。
「…そんな事駄目だって分かってるだろう? 暗くちゃ、聖月が泣いてる姿も恥ずかしい姿も全部見れないんだから」
目を細められ告げられ聖月はさらに顔を熱くさせる。ぷらんと揺れる自分のすっかり勃起したペニスが目に入り、聖月は目を逸らす。掴んだ手を外され、宗祐は優しくソコへ誘導する。触れた硬さと熱に顔を上げると、聖月の手は宗祐のスラックスの盛り上がった部分に触れていた。
「ほら暗くちゃ分からないだろ?俺が聖月にこんなになってることとか…」
「う…うわ…」
スラックスからでも分かるぐらいドクドクと脈打つモノに、聖月は感嘆を吐くほかない。自分が宗祐のものに触れているという事実がまだ信じられない。腰を動かされ、手がその場所と擦れる。形がはっきりわかるぐらいの大きいものに、聖月はどうしていいか分からなくなる。
だけど、こんなになってしまっているなら、ずっとこのままじゃ大変だと感じた。
「…そ、宗祐さんは…まだ、出さないで大丈夫…?」
恐る恐る問うと、宗祐は聖月の股の間から返事を返す。
「あぁ、お前の中で沢山出したいから今は我慢してる」
「~~~~~…ッ、そ、そうなんだ…っぅ、」
笑みを浮かべてはっきりと言われ、聖月は混乱しつつ大きく頷いた。彼が大丈夫だというのだったら大丈夫なのだろう。多分。こうハッキリ宣言されると、『その場所』を意識せざるおえない。この状態でいることが恥ずかしく身体中から汗が溢れ出て、宗祐のものを触っている手が湿る。
すっかり固まってしまった聖月に宗祐は口角を上げる。やがてドクドクと脈打つソレに誘導していた手がなぜか聖月の性器へ移動する。
「沢山イく姿を見せてくれるんだろ?」
「う…、うぅ…っ、」
確かにそう言っていたのを、了承した気がするけども…―――。
期待した目で射貫かれ、聖月は低く呻く。宗祐は圧倒的な存在感を放ち、自分の性器を擦れとその目と言葉で語ってくる。こんな丸見えの格好でまるで赤ん坊みたいな恰好で、自慰をしろだなんて。そんなの聖月じゃなくたって誰だって恥ずかしいに決まっている。
好きな人の頼みであっても、すぐに了承することなんてできない。唸る聖月に、宗祐は言葉を続けた。
「可愛く呻いても駄目だ。ほら、手伝ってやるから」
「―――ヒィ」
ローションをかけられ、冷たさに悲鳴を上げる。粘着質なものが尻を伝う感覚に、聖月はビクビクと敏感に痙攣を繰り返した。行動に移さない聖月に焦れた宗祐は促すように、聖月の手を包み込み性器を上下に擦る。不安定な体勢で刺激を与えられ、身体が宗祐の肩で歪に跳ねる。それを宗祐は尻を掴み固定し、口を開けた。
「あーぁ、すごいな…。聖月、分かるか? お前のココ俺がちんこ動かすたびにヒクついて、すごいエロいことになってる…、中もほら…美味しそうだ」
性器を弄りながら小さくヒクついた穴をまじまじと見て、宗祐は興奮気味に聖月を責める。背中を労わってくれた紳士はもうどこかへ消えてしまった。
言いながら宗祐はなんの前触れもなく舌でヒクつく場所を舐める。中をこじ開けられ、宗祐の息が当たり、聖月の意思と関係なくそこは収縮を繰り返す。人にそんな場所を舐められる経験なんてしたことがない聖月は、初体験の事に大きく叫び暴れる。
「う、ひぃいいっ、やだ、やだ、何やって…っい、嫌だあっやめてっ、こわいっ、こわいっ」
気持ちよさと、未知の恐怖に聖月は嬌声を上げながらもうやめてくれと懇願する。じゅるじゅると中を噛まれ、吸われ、性器はグチャグチャに擦られ聖月はがくがくと痙攣し泣き叫ぶ。その声は部屋に響き渡り、宗祐の耳を愉しませた。
聖月は宗祐に先端を弄ばれ荒く息をしながら、快楽を追う。すっかり聖月の顔はよだれと汗と涙でグチャグチャだった。
性器を弱くくすぐられるたびに、くちゅくちゅと粘着質な音が部屋に響く。それは、酷く羞恥を煽るものであった。
顔を赤くし、少し歪め、聖月は必死に震えながら感覚に耐える。
「まるで初めてみたいな反応だな」
まるでこんな『快楽』が初めてだというように、身体は過敏に反応する聖月を見て宗祐は言葉を紡ぐ。その表情には嘲笑ではない笑みを浮かべられた。あのDVDでは、そんなこともなかったのに―――続けてそう言われた。
聖月は弄られる性器に腰を揺らす。快感に満ちた脳内で、聖月はぼんやりとした頭のまま答えた。
「おれ、あの『ビデオ』が撮られた時から…、触れられても…痛くされても何も感じなくて。だから、客の痛い事にも耐えられた。だけど、あの…宗祐さんに慰めてもらった時、久しぶりに感覚がもどって…、本当にびっくりして、でも本当に嬉しかった…これでやっと人間に戻ったんだ…って。でも、結局…その後は客から行為をされてもなくて。最近はやっと感覚が戻るようになったけど…宗祐さんから貰った感覚が初めてだったから」
「――――――」
宗祐は、聖月の真実の告白に目を瞬かせる。長い、ゆっくりとした告白に宗祐は口を挟まずに聞いてくれた。全てを言い終わった聖月は、宗祐の間近にある顔を見つめる。宗祐に弄っていた手を離され、じっと見つめられる。二人の視線が混じり合い、静寂が流れた。
こんなことを言うつもりはなかった。ウソだと言われても仕方がないような話だと聖月でも思う。感覚がなくなって、客とのセックスに耐えられていた。―――なんという不思議な話だと。荒唐無稽な話だと普通だったら思うだろう。だがそんな聖月の予想と反し宗祐は頷いた。
「…だから、ディメントにずっと居られたのか」
そう言った彼の表情は、柔らかいものだった。納得した声音で頭をそっと撫でられ、気持ちよさに頭を預けてしまいそうになった。信じてもらえたんだ―――。その安心感は大きく、形容しがたい感情に身体が包まれる。信じてもらえて嬉しかった。泣きたくなるほどに。
頭を撫でられたまま、そっと背中に触れられ聖月は大きく震えた。触れた瞬間、身体全体に痛みが走る。
「ッ」
痛みに喘ぐ悲鳴をあげると、宗祐は痛みが続く背中を確かめるように撫でる。ヒリヒリとした、熱い痺れに似た痛みが背中から身体全体に広がる。宗祐が触れた場所には、客から受けた無数の傷がある。それは、雨の日やシャワーを浴びるたび痛みをあげる代物だった。
「…見てもいいか?」
そっと耳元に囁かれ、聖月はずいぶんと時間を使ってから頷いた。
それを宗祐が見て、気分のいいものではないと思ったからだ。シャワーを浴びるたびに鏡に映る腐った果実を塗りたくったような背中の色。鞭による無数の傷跡は聖月にとっては見られたくないタブーの場所であった。それを見せることは恥ずかしいし、後ろめたかった。
しかし、真剣な顔をしている宗祐を見たら頷くしかない。
シャツを大きく捲られ背中を上から覗かれる。背中は冷たい空気に当たり、鳥肌が立つ。聖月の無数の傷まみれの背中を宗祐は長い時間見ていた。熱い視線に汗が噴き出る。聖月は緊張しながら宗祐の反応を待つ従順な動物になった。
しばらくして宗祐はゆっくりと口を開く。
「俺が付けたかったな」
「…ぁ……」
それは甘い、甘い告白だった。歪(いびつ)で、執着に満ちた、普通の人だったら恋人に言わない言葉だった。その言葉と共に、背中にキスをされる。欲望と、慈愛が含まれていたキスだった。その行為は目を背けたくなる光景である聖月の背中を受け入れてくれたように感じられた。
それは聖月の心を温め、満たしてくれた。誰にも見せたくない汚い自分の場所を受け入れてもらえて、救われたような気持ちになる。
泣きたくなるのを堪える聖月だったが…、
「まだ、付けれる場所はあるし。…今度付けてもいいか?」
「あ……」
それは普通だったら、恋人には言わない欲望であった。瞬間、でかかった涙が引っ込む。言われた言葉に、急に驚きと恐怖がやってくる。他の場所に、傷をつけられる。この愛おしそうに背中を見詰める彼に。
だが聖月は決めたのだ。―――この人の傍にずっと一緒にいたいと。この人の傍にいるなら、何をされてもいいと目の前の彼に誓ったのだ。聖月は決意を新たにしゆっくりと頷いた。
その瞬間の宗祐の表情は本当に嬉しそうだった。
恐怖で震えながらも頷く可愛い恋人が愛おしかった。震える聖月の顔を上げさせ、宗祐は唇を重ねる。聖月は慣れない舌遣いで宗祐の舌を絡める。啄むように深く口づけを交わす。愛撫を辞めていた大きな手が、ゆっくりと聖月の腹を撫でる。それだけで、ヒクヒクと身体は痙攣してしまう。好きな人からの愛撫は想像以上に敏感に反応してしまう。
「ん…ぅ…っ」
宗祐の指は傷がない部分ばかり触れた。まるでそこを、傷つけたいというように。キスをしながらの愛撫は、キスだけでも気持ちがいいのに、ぐずぐずに溶けてしまいそうな快感があった。口が離され、肌への愛撫に変わっていく。肌にキスの雨が降らされ、身体が陸上に打ち上げられた魚のように跳ねる。
いつの間にかベットの背中をつけた聖月は、宗祐の舌先を目を瞑って感じていた。滑るシーツを必死に掴み、段々と下へ降りていくキスを唇を噛みしめ耐えしのぐ。真っ暗な瞼の裏で、一体何が起こっているのか―――。聖月にはもう分からなくなっていた。
「可愛いな」
宗祐に喉を鳴らすように音を立てて笑われる。どうしてそんな風に笑われるのかは分からないが愉しそうにしているからいいとさえ思った。可愛いと言われてドキドキと心臓が高鳴ってしまう。
「――――ッ」
聖月が背中をそらしたのは、宗祐の舌がヘソの中に侵入してきたからだ。ねっちょりとした感覚と、どう動くか分からない熱い舌にゾクゾクと震えた。宗祐がヘソを指を広げ大胆に動かした瞬間、身体の中にゾクゾクとした味わったこともない感覚がやってくる。
「や、やめ…ッ、きたな…っ」
聖月は普通だったら起こらないだろう感覚に震えた。恐怖が沸き上がり、嫌だと大きく首を振る。彼は今まで優しかった動きがウソのように、逃げようともがく聖月を強く押さえつけ舌でヘソを抉る。宗祐の手も力も大きく聖月はなすすべがない。サディスティックな宗祐のいじわるに聖月は大きく首を振る。
腹の中が、お尻の中がどうしてか疼く感覚に聖月は暴れる。ヘソをいじられただけで、そんな場所が疼くなんて信じられない聖月はパニックに陥ってしまう。大好きな彼の受け入れようと思っていたが、やはり未知の恐怖には勝てない。
「うっ、う…ぅ…っぁ」
苦し気に聖月は呻く。その瞬間、グリッと大きく中を抉られる。
びくびくと大きく震え聖月は、絶頂感を味わった。精を吐き出さず、性器を切なげに震わせる姿はいじらしく宗祐の目を楽しませた。聖月は背中を逸らし、どうしていいか分からず顔をシーツに押し付ける。はぁ、はぁ…と熱く息を吐くと宗祐が涼しい顔でこちらをニヤニヤとみていることが分かりどうしようもなく腹が立つ。
聖月はせめてもの抵抗に、涙目でキッと睨みつける。
それは弱弱しい抵抗であった。そしてそんな表情は、サディストの加虐心をくすぐるものだった。
「嫌だって言ったのに…、意地悪すぎる…ひでぇ…」
こんな風に宗祐に悪態をつくのは初めてだった。口悪く憎まれ口を叩く聖月に、宗祐は驚いた顔をしたがすぐにニヤニヤと笑っている。それは先程まで目を瞑っていた聖月にとって、眩しすぎた。
「『セイくん』とは思えないぐらい口が悪いな」
「もうセイは卒業したんで」
もうどうにでもなれと、聖月はぶっきらぼうに言い切った。ああ、ずっと、いい子で居たかったのについにボロが出てしまった。
もうすっかり素が出てる聖月を見て面白いのだろう。宗祐は心底愉しそうにくすくすと笑っている。
「ヘソをいじるだけで空イキする聖月が可愛いからつい」
「…やっぱり、いじわるだ…」
言葉で聖月を嬲る宗祐に聖月ははぁ、とため息を吐く。宗祐は、その言葉でさえくすくすと笑っている。
そうやって笑いながら宗祐は聖月のズボンをマジシャンのように華麗に剥ぎ取ってしまった。その一連の行動は魔法でも使ったのか?と思うほどスムーズなものだった。
サイドテーブルから、ローションを取り出し自身の手に出す。目の前にローションにまみれのぬとぬとした手を見せつけられ、先程までの和やかな雰囲気が一変した。そのローションに濡れた手で聖月の性器を包みこんだ。馬乗りのような体勢になった宗祐は、両肩に聖月の脚を片方づつ置く。
聖月は前触れもなく股を大きく広げられてしまい小さく悲鳴を上げる。
「ぁ…ッ、」
「この体勢だったら背中痛くないだろ?」
「う…。うん」
宗祐の言う通り、背中を宙に浮かせた状態であるため、先程まであった背中の痛みが消えた。優しい配慮に嬉しくなるが、不安定な体勢であり、脚が肩に乗っている宗祐に負担が大きい体勢でないかと考えてしまう。聖月は少しでも宗祐に負担をかけないよう足が落ちないように集中させる。だが、すぐにその集中は途切れた。
性器を包んだ手をそのまま下に移動させ、壺まりに指を這わせたからだ。指でシワの部分を円を描くようになぞられ、カーッと顔が一気に熱くなる。そして、はたと気づく。この体勢だと宗祐に、見られたくない秘部が丸見えだと。しかも、息がかかる距離にいると―――宗祐の息が肌に当たりそんな気づかない方が幸せなことも分かってしまった。
そして、丸見えなのは宗祐の目だけではない。聖月も足を抱えられているため今行われるものが丸見えの状態であった。視界に煌々とした明るい照明が入り、聖月は思わず叫ぶ。
「そ、宗祐さん…で。電気、でんき消して…っ」
こんな状態では、宗祐さんに部分に恥ずかしい部分が丸見えじゃん――――。それに気づいた聖月は答えは分かっているはずなのに、宗祐の腕を掴み懇願してしまう。
「…そんな事駄目だって分かってるだろう? 暗くちゃ、聖月が泣いてる姿も恥ずかしい姿も全部見れないんだから」
目を細められ告げられ聖月はさらに顔を熱くさせる。ぷらんと揺れる自分のすっかり勃起したペニスが目に入り、聖月は目を逸らす。掴んだ手を外され、宗祐は優しくソコへ誘導する。触れた硬さと熱に顔を上げると、聖月の手は宗祐のスラックスの盛り上がった部分に触れていた。
「ほら暗くちゃ分からないだろ?俺が聖月にこんなになってることとか…」
「う…うわ…」
スラックスからでも分かるぐらいドクドクと脈打つモノに、聖月は感嘆を吐くほかない。自分が宗祐のものに触れているという事実がまだ信じられない。腰を動かされ、手がその場所と擦れる。形がはっきりわかるぐらいの大きいものに、聖月はどうしていいか分からなくなる。
だけど、こんなになってしまっているなら、ずっとこのままじゃ大変だと感じた。
「…そ、宗祐さんは…まだ、出さないで大丈夫…?」
恐る恐る問うと、宗祐は聖月の股の間から返事を返す。
「あぁ、お前の中で沢山出したいから今は我慢してる」
「~~~~~…ッ、そ、そうなんだ…っぅ、」
笑みを浮かべてはっきりと言われ、聖月は混乱しつつ大きく頷いた。彼が大丈夫だというのだったら大丈夫なのだろう。多分。こうハッキリ宣言されると、『その場所』を意識せざるおえない。この状態でいることが恥ずかしく身体中から汗が溢れ出て、宗祐のものを触っている手が湿る。
すっかり固まってしまった聖月に宗祐は口角を上げる。やがてドクドクと脈打つソレに誘導していた手がなぜか聖月の性器へ移動する。
「沢山イく姿を見せてくれるんだろ?」
「う…、うぅ…っ、」
確かにそう言っていたのを、了承した気がするけども…―――。
期待した目で射貫かれ、聖月は低く呻く。宗祐は圧倒的な存在感を放ち、自分の性器を擦れとその目と言葉で語ってくる。こんな丸見えの格好でまるで赤ん坊みたいな恰好で、自慰をしろだなんて。そんなの聖月じゃなくたって誰だって恥ずかしいに決まっている。
好きな人の頼みであっても、すぐに了承することなんてできない。唸る聖月に、宗祐は言葉を続けた。
「可愛く呻いても駄目だ。ほら、手伝ってやるから」
「―――ヒィ」
ローションをかけられ、冷たさに悲鳴を上げる。粘着質なものが尻を伝う感覚に、聖月はビクビクと敏感に痙攣を繰り返した。行動に移さない聖月に焦れた宗祐は促すように、聖月の手を包み込み性器を上下に擦る。不安定な体勢で刺激を与えられ、身体が宗祐の肩で歪に跳ねる。それを宗祐は尻を掴み固定し、口を開けた。
「あーぁ、すごいな…。聖月、分かるか? お前のココ俺がちんこ動かすたびにヒクついて、すごいエロいことになってる…、中もほら…美味しそうだ」
性器を弄りながら小さくヒクついた穴をまじまじと見て、宗祐は興奮気味に聖月を責める。背中を労わってくれた紳士はもうどこかへ消えてしまった。
言いながら宗祐はなんの前触れもなく舌でヒクつく場所を舐める。中をこじ開けられ、宗祐の息が当たり、聖月の意思と関係なくそこは収縮を繰り返す。人にそんな場所を舐められる経験なんてしたことがない聖月は、初体験の事に大きく叫び暴れる。
「う、ひぃいいっ、やだ、やだ、何やって…っい、嫌だあっやめてっ、こわいっ、こわいっ」
気持ちよさと、未知の恐怖に聖月は嬌声を上げながらもうやめてくれと懇願する。じゅるじゅると中を噛まれ、吸われ、性器はグチャグチャに擦られ聖月はがくがくと痙攣し泣き叫ぶ。その声は部屋に響き渡り、宗祐の耳を愉しませた。
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