標識しか召喚出来ない無能と蔑まれ召喚師の里から始末されかけ隣国に逃げ延びましたが、どうやら予想以上に標識の力は凄まじかったようですよ

空地大乃

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第一章 追放された召喚師編

第3話 標識の力で休憩する

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 落石で大型の狼を倒すことは出来た。落ちてきた岩に関しては標識を消すと消え去った。後に残ったのは息絶えた狼だけだ。

「狼は毛皮が売れるんだよね――」

 今の僕にはお金がない。こういった物は出来れば回収しておきたいところだ。

 何か使えそうな標識はないだろうか――記憶を探ると気になる標識が思い浮かんだ。

「標識召喚・荷物預かり所」

 すると何かカバンのようなマークの入った標識が姿を見せた。同時にとなりには台と箱型の奇妙な何かが姿を見せる。

 これは一体何だろうか。疑問に思っているともう一つの魂から記憶が流れ込んでくる。

「そうか。モニター型の端末なんだ」

 なんとなく理解した。タッチパネルを使った操作方法で作業を進めていく。

 画面には荷物をお預かりしますか? と表示されているのでハイをタッチした。荷物はどれかと問われたので狼の死体を指差すと、ジャイアンとウルフの死体、と表示された。

 そうか。あれはジャイアントウルフというのか。僕は名前までは知らなかったけど、このパネルのおかげで助かった。

 お預かりしますか? と表示が出たのでハイをタッチすると狼の死体が消えた。どうやら自動で回収してくれるようだ。

「でも預けたのはどうなるんだろう?」

 そう思った矢先、画面に預かり品リストというのが出てきた。タッチすると今預けた死体が表示される。タッチすると引き取られますか? と表示されてハイをタッチするとまた現れた。

 これはかなり便利だ。魔法の鞄という見た目以上に物が入る道具があるけど、それと似たような物かも知れない。ただ使い勝手はこの魔法の方が上だ。

 改めて預け直した後、標識を消す。この標識召喚ただの物を召喚する魔法ではない。召喚出来る標識の効果がかなり高いからだ。

 改めて僕は森を進んだ。暫く進むと上空に巨大なカラスが見えた。僕に狙いを定め急降下してくる。

「標識召喚・一時停止!」

 止まれと表記された標識を設置。途端にカラスが動きを止めそのまま落下。頭から墜落したからか暫く痙攣した後に死んだ。

 ここが危険な森なのはあの狼やこの巨大カラスを見るに間違いない。だけど、標識召喚のおかげで何とか乗り切れそうだ。

「これ売れる素材あるのかな?」

 倒した巨大ガラスを見ながら考える。大きさは僕より一回り大きいぐらいか。カラスの羽はもしかしたら素材として買い取ってくれるかもしれない。
 
 とりあえずまた荷物預かり所の標識を使い回収しておくことにした。

 そのまま山歩きを再開。すでに二回も危険な獣と出くわしたけど、とりあえず全て倒した。ただ通常の獣より凶悪な魔獣も潜んでるらしい。

 引き続き気をつける必要があるだろう。歩き続け段々と薄暗くなってきた。野獣の遠吠えも聞こえてくる。森は当然夜のほうが危険だ。

 このまま歩き続けるわけにはいかない。しかし休むにしても安全な場所を確保するのが大変だ。そもそもこの森に安全な場所なんてあるのか――

 ふとある標識を思い出した。これならもしかして――

「標識召喚・パーキングエリア」

 魔法を唱えるとすぐ側にPとカップが表示された緑色の標識が出現した。標識の斜め下には矢印が振ってある。

「こっちにいけってことなのかな?」

 矢印の向いている方に向けて足を進める。すると景色が変化した。何か広い場所に立たされている。同時に表の標識が消えた感覚を覚えた。

 どうやら僕が入ると自動で標識が消え入り口が閉ざされる仕組みなようだ。

 空はこっちも暗くなってる。ただあちらこちらが光ってる。

 これは魂の記憶によると電灯だ。こっちの世界にも魔導灯というのが設置されてる都市はあるけど、電灯の方が明るい。

 地面も綺麗だ。記憶を探る。どうやらアスファルトで舗装された駐車スペースらしい。

 奥には小屋が一つあった。徒歩で向かい小屋に入ってみる。中では明かりが保たれている。

 こじんまりとした内部にはテーブルと椅子が設置されている。手前の壁際には長椅子もあった。

 一方奥の壁際には奇妙な長方形の箱が並んで設置されている。

「これは、自動販売機――」

 魂の記憶から情報を引き出した。そうこれは自動販売機。本来はお金を入れてボタンを押すことでそれに対応した品が下の取り出し口に落ちてくる。

 どうやらそれはこれも変わらないようだけど、何故かボタンが全て光っていた。よく見ると小さな画面に初回無料という表示がされている。

「つまりそれぞれの販売機で一つずつ無料で買えるってことか――」

 自動販売機はホットスナックとカップラーメン系とサンドイッチやおにぎりにパン、お菓子、アイス、そしてドリンクの自動販売機が三種合計で八種類あった。

 どれも僕にとっては珍しい食べ物だ。記憶でどんなものかはわかるけど味は食べたり飲んだりしないとわからないだろう。

 自動販売機の近くには両替機というのがあった。販売機にはカードの投入口がある。本当なら両替機に僕の国の貨幣を入れることで両替してくれるようだ。何となく判ったけど両替分はポイントとして纏められてカードとして出てくる模様。

「見てたらお腹が減ってきた――とりあえずカップラーメンというのを食べてみようか。後はこのホットスナックから唐揚げを注文してみよう」

 独りごちりつつ、二種類の自動販売機のボタンを押した。カップラーメンはお湯が必要だがお湯ボタンを押すことで自動で蓋を開けて注いでくれるようだ。そのまま三分待てば出来上がる仕組みらしい。

 お湯を押さなければそのまま保存食として持っていく事も可能だ。今回はお腹が減っていたからこのまま食べることにするけど今後は持っていくことも考えていいかも知れない。

 待ってる間に今度は飲み物を見た。二種類は缶ジュースとペットボトル系で分かれていた。もう一種類は直接カップに飲み物を注ぐタイプ。

 この場で飲むならやっぱりカップかと思い見てみる。色々種類があったけどコーラというのを頼んでみた。
 
 紙のカップが出てきて中に黒くてシュワシュワした液体が注がれる。これがコーラか。

 カップラーメンを頼んだ自動販売機からピッピという音が聞こえてきた。どうやら出来上がったらしい。

 見ると湯気の立ってカップラーメンが出来ていた。唐揚げと一緒に持っていき椅子に座り食す。

「お、美味しい!」

 驚きの美味しさだった。こんな美味しいものこれまで食べたことがない。しかも何だか病みつきになる美味しさだ。

 カップラーメンは醤油味を頼んだ。醤油は向こうの世界の調味料の一つだ。唐揚げも向こうの料理で、鶏肉を油で揚げたらしい。

 揚げる料理はこっちにもあるが、ここまでジューシーで旨味が溢れた物は初めてだ。

 ただこの料理は喉が渇く。コーラとやらを飲んでみた。何かシュワシュワとした不思議な感覚。もう一つの記憶から探ると炭酸飲料という飲み斧らしい。

 こっちは変わった味だけど慣れると癖になりそうだ。

「ふぅ、満腹だよ」
 
 お腹を擦って思わず呟く。森でここまで美味しい食事にありつけるとは思わなかった。

 食事が終わると下のほうがムズムズしてきた。そこで更に奥を見るとWCという表記。これはトイレだ。

 僕はトイレに向かった。通路の途中にはウォーターサーバーが置かれている。これも記憶から引き出した情報だ。自動販売機と違って無料で水が飲める。

 トイレに入って更に驚いた。記憶にはあったけどなんと小さい用と大きい用がある。
 
 小さい方で用を済ませて出た。水を一杯飲んで席に戻る。

 この小屋。よく見ると時計もあった。数字が奇妙な光で表現されている。デジタル時計という記憶が入り込んできた。

 時計そのものはこの世界にもあるがもっと巨大な代物で時間は長針と短針で示される。もう一つの世界にもそういった時計はアナログ時計として存在していたようだ。ただ腕に巻いたりとかなり小さく精巧な代物だったらしい。

 色々と物珍しく思いながらも僕は長椅子を見た。

「……ここってこのまま寝ても大丈夫かな?」

 触ってみたけど丁度いい硬さにも思える。僕一人しかいないし横になっても問題なさそうだ。

 僕は長椅子を利用してその日は眠ることにした。中は温度も適温だった事と疲れもあり僕はすぐに眠りについた――
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