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第五章 転生忍者吸血鬼出現編
第三百五話 謎多き事件
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sideカイエン
「団長、振られたってマジっすか?」
「ちょっともう団長に失礼でしょう」
「はは――」
馬上で今回の任務に選ばれた中の二人の若き騎士が私の話で盛り上がっていた。王国軍第四魔法騎士団の団長。それが私だ。今回はその中から精鋭の騎士たちを連れてエイガ領から西側に位置するファーム領にやってきた。
エイガ領も温かみ溢れるとてもフレンドリーなよい領地であったが、いや中には突如全裸になる少々変わった冒険者に遭遇したりもしたが、とにかくエイガ領は良い領地であった。
そしてそこでスワローとある意味で決着をつけ私は仲間の騎士たちを連れてこのファーム領にやってきたわけだ。
しかしここもまた、なんとも長閑な領地であるな。畑が多く、流石は畜産が主な産業というだけある。
しかし、スワローとのことをついうっかり彼らに話してしまった為に、今はすっかり旅の途中のネタにされてしまっている。
「団長、でも本当にそれで諦めちゃうんですか?」
「そうですよ。団長は血筋もいいのですし、その上王国軍のエリート集団と言われる魔法騎士団の団長なのですから一度や二度の失敗ぐらいで諦めるのは勿体ないですって」
「……十一度目だ」
「え? えっと?」
「私はこれまで求婚を十回断られ、そしてこの間、十一度目のお断りをされたのだ。ふふっ」
「あ、何かすみません」
団員の一人が困った顔で謝罪してきた。
「気にすることはない。事実さ! はっはっは……」
「あぁ、団長。笑い声に覇気がない」
「やっぱりショックだったのね」
む、むぅ? 私はいつもどおりなつもりなのだがな。全く確かに何も思わないと言えば嘘になるが。
だが、あのジンという少年は見どころがある。ほぼ間違いなく婚約者というのは嘘であろうが、彼が言った言葉によって私は考えさせられた。
それに、彼がどう思っているかはわからないが、確かに今のスワローからしてみれば私よりもジンというあの少年に心が傾いているようだ
もっともそれは愛とはまた別な何かの可能性があるとは思うが、どちらにせよ今の私に入り込める隙間はありはしないだろう。それが一層清々しい。
しかし、惜しいな。彼は魔法学園に通うようだが、ジンのような人材にこそ本来は騎士を目指してもらいたいものだ。ましてや剣の腕もあり魔法も扱えるなど実に魔法騎士向きではないか。
いや、魔法騎士であれば魔法学園に通っていても目指せるではないか。カレンとてそうであるしな。ならば今度本格的に勧誘を――
「でも団長。振られてよかったかも知れませんよ。確か妹さんが団長にべったりでしたよね?」
「うん? ははは、それはまだ小さなころの話だろう。今は流石にそこまでじゃないさ」
「あ、そういえば妹のカレンちゃんは今度魔法学園に通うんでしたよね」
「うむ! もっともゆくゆくは私のような魔法騎士になると言ってくれているがな」
「そこは流石はブレイド家の血筋ですね」
確かに我がブレイド家は剣も魔法も巧みに使いこなす者が多い。小さな頃からの徹底した教育もあるのかもしれないがな。
「でも確か団長の妹さんて凄い可愛いって評判なんだよな」
「本当か? それなら嫁にほしいな」
「お前、団長に斬り殺され、てもう脱いてる!」
「はっはっは、何か言ったかね?」
「じょ、冗談ですって」
「全くカイエン団長も十分すぎるほどのシスコンよね」
ミシェルが呆れたように言うが寧ろ兄が妹を大事にするのは当然であろう。
「でも、それなら振られたお兄ちゃんは、今回の仕事なんてさっさと終わらせて愛しの妹ちゃんになでなでしてもらわないと駄目ですね」
ダルクがククッと笑いを堪える。全く相変わらずこいつは、私に対しても全く遠慮がないな。
もっともそこがいいところなんだが。
「しかし団長。わざわざ俺たち魔法騎士団が派遣されるってそんなに厄介な事件なんですか?」
「ふむ――最初は家畜の被害から始まり、男爵も冒険者ギルドに依頼していたそうなのだが一向に解決できないどころか、行方不明となった冒険者が出ているようなのだ。その知らせがファーム領の冒険者ギルドから男爵と連名で騎士団宛に届いたそうでな」
「それはまた珍しい。冒険者ギルドは国からは頼られても自分たちからは頼らんっていいそうな集団でしょ?」
ダルクの言うとおりで、冒険者には冒険者の矜持というものがある。よく言われることでもあるが冒険者は騎士を騎士は冒険者をライバル視しているところもあるからな。
もっとも本来冒険者と騎士では扱う仕事が異なる。騎士は魔獣や魔物による大規模な被害が出た場合などに場所に限らず動くが、冒険者は雑用も含めて何でもこなすような組織だ。それでいて上級の冒険者を除けば個々の活動エリアは狭い傾向にある。
そのためフットワークは軽いが大規模な事件となった時には対応しきれないことも多い。
「ま、でもわざわざ俺たち魔法騎士団が出て来るのだから、畑を荒らす程度の事件なら楽勝だろう」
「お前たち油断はするなよ。そういう気の緩みが大きな被害に繋がることもあるのだからな」
そんな会話をしながら私達は先ずファーム男爵領の領主に事情を聞きに村へ向かった。
この領地は農地中心の為、街と言える場所は存在せず領主が暮らす地も村となる。
「よ、ようこそおいで下さいました。ほ、本当に本当に」
「いや、そんな、頭を上げて下さい」
私が領主の暮らす屋敷に向かうと、ふらふらの足取りでファーム男爵が姿を見せた。顔色が悪く、事前の情報では恰幅の良い男だと聞いていたが、もしかして情報が間違っていたのか? と思えるほど窶れてしまっている。
だが、これはどうやらこの領地で起きている事件の対応に追われてのことなようだ。聞くところに寄ると妻も具合を悪くして寝込んでいるらしい。
「……話では村の家畜に被害が出ているというのと、依頼されて動いていた冒険者も何人か消息不明になっていると聞いていたのだが?」
「ギルドと話し合った当初はたしかにそうでした。しかし今はもぅステージが変わっていまして、既に領内の村の二箇所から村民が全て消えてしまったのです。家畜の被害も収まらずもうどうしていいか……」
「何だと……?」
まさか、そこまでの事態になっていたとは……どうやら一筋縄ではいかない話になってきたようだ――
◇◆◇
side???
喉が渇く。全くまだまだ魔力が満たされていない。血ももう少し欲しいところか。
だがそれより、我が駒となる兵ももう少し欲しいどころか。奴は手強い。例え私が完全に回復していたとしても油断のならない相手だ。
しかもこいつらの多くは正気を失ったような雑兵でしかない。そもそもで言えばあの女のような完璧な眷属になる例が少ないのだが、せめて多少の意思が残ってる兵が欲しい。
さて、どこかにそんな人材が転がっていないものか、クククッ――
「団長、振られたってマジっすか?」
「ちょっともう団長に失礼でしょう」
「はは――」
馬上で今回の任務に選ばれた中の二人の若き騎士が私の話で盛り上がっていた。王国軍第四魔法騎士団の団長。それが私だ。今回はその中から精鋭の騎士たちを連れてエイガ領から西側に位置するファーム領にやってきた。
エイガ領も温かみ溢れるとてもフレンドリーなよい領地であったが、いや中には突如全裸になる少々変わった冒険者に遭遇したりもしたが、とにかくエイガ領は良い領地であった。
そしてそこでスワローとある意味で決着をつけ私は仲間の騎士たちを連れてこのファーム領にやってきたわけだ。
しかしここもまた、なんとも長閑な領地であるな。畑が多く、流石は畜産が主な産業というだけある。
しかし、スワローとのことをついうっかり彼らに話してしまった為に、今はすっかり旅の途中のネタにされてしまっている。
「団長、でも本当にそれで諦めちゃうんですか?」
「そうですよ。団長は血筋もいいのですし、その上王国軍のエリート集団と言われる魔法騎士団の団長なのですから一度や二度の失敗ぐらいで諦めるのは勿体ないですって」
「……十一度目だ」
「え? えっと?」
「私はこれまで求婚を十回断られ、そしてこの間、十一度目のお断りをされたのだ。ふふっ」
「あ、何かすみません」
団員の一人が困った顔で謝罪してきた。
「気にすることはない。事実さ! はっはっは……」
「あぁ、団長。笑い声に覇気がない」
「やっぱりショックだったのね」
む、むぅ? 私はいつもどおりなつもりなのだがな。全く確かに何も思わないと言えば嘘になるが。
だが、あのジンという少年は見どころがある。ほぼ間違いなく婚約者というのは嘘であろうが、彼が言った言葉によって私は考えさせられた。
それに、彼がどう思っているかはわからないが、確かに今のスワローからしてみれば私よりもジンというあの少年に心が傾いているようだ
もっともそれは愛とはまた別な何かの可能性があるとは思うが、どちらにせよ今の私に入り込める隙間はありはしないだろう。それが一層清々しい。
しかし、惜しいな。彼は魔法学園に通うようだが、ジンのような人材にこそ本来は騎士を目指してもらいたいものだ。ましてや剣の腕もあり魔法も扱えるなど実に魔法騎士向きではないか。
いや、魔法騎士であれば魔法学園に通っていても目指せるではないか。カレンとてそうであるしな。ならば今度本格的に勧誘を――
「でも団長。振られてよかったかも知れませんよ。確か妹さんが団長にべったりでしたよね?」
「うん? ははは、それはまだ小さなころの話だろう。今は流石にそこまでじゃないさ」
「あ、そういえば妹のカレンちゃんは今度魔法学園に通うんでしたよね」
「うむ! もっともゆくゆくは私のような魔法騎士になると言ってくれているがな」
「そこは流石はブレイド家の血筋ですね」
確かに我がブレイド家は剣も魔法も巧みに使いこなす者が多い。小さな頃からの徹底した教育もあるのかもしれないがな。
「でも確か団長の妹さんて凄い可愛いって評判なんだよな」
「本当か? それなら嫁にほしいな」
「お前、団長に斬り殺され、てもう脱いてる!」
「はっはっは、何か言ったかね?」
「じょ、冗談ですって」
「全くカイエン団長も十分すぎるほどのシスコンよね」
ミシェルが呆れたように言うが寧ろ兄が妹を大事にするのは当然であろう。
「でも、それなら振られたお兄ちゃんは、今回の仕事なんてさっさと終わらせて愛しの妹ちゃんになでなでしてもらわないと駄目ですね」
ダルクがククッと笑いを堪える。全く相変わらずこいつは、私に対しても全く遠慮がないな。
もっともそこがいいところなんだが。
「しかし団長。わざわざ俺たち魔法騎士団が派遣されるってそんなに厄介な事件なんですか?」
「ふむ――最初は家畜の被害から始まり、男爵も冒険者ギルドに依頼していたそうなのだが一向に解決できないどころか、行方不明となった冒険者が出ているようなのだ。その知らせがファーム領の冒険者ギルドから男爵と連名で騎士団宛に届いたそうでな」
「それはまた珍しい。冒険者ギルドは国からは頼られても自分たちからは頼らんっていいそうな集団でしょ?」
ダルクの言うとおりで、冒険者には冒険者の矜持というものがある。よく言われることでもあるが冒険者は騎士を騎士は冒険者をライバル視しているところもあるからな。
もっとも本来冒険者と騎士では扱う仕事が異なる。騎士は魔獣や魔物による大規模な被害が出た場合などに場所に限らず動くが、冒険者は雑用も含めて何でもこなすような組織だ。それでいて上級の冒険者を除けば個々の活動エリアは狭い傾向にある。
そのためフットワークは軽いが大規模な事件となった時には対応しきれないことも多い。
「ま、でもわざわざ俺たち魔法騎士団が出て来るのだから、畑を荒らす程度の事件なら楽勝だろう」
「お前たち油断はするなよ。そういう気の緩みが大きな被害に繋がることもあるのだからな」
そんな会話をしながら私達は先ずファーム男爵領の領主に事情を聞きに村へ向かった。
この領地は農地中心の為、街と言える場所は存在せず領主が暮らす地も村となる。
「よ、ようこそおいで下さいました。ほ、本当に本当に」
「いや、そんな、頭を上げて下さい」
私が領主の暮らす屋敷に向かうと、ふらふらの足取りでファーム男爵が姿を見せた。顔色が悪く、事前の情報では恰幅の良い男だと聞いていたが、もしかして情報が間違っていたのか? と思えるほど窶れてしまっている。
だが、これはどうやらこの領地で起きている事件の対応に追われてのことなようだ。聞くところに寄ると妻も具合を悪くして寝込んでいるらしい。
「……話では村の家畜に被害が出ているというのと、依頼されて動いていた冒険者も何人か消息不明になっていると聞いていたのだが?」
「ギルドと話し合った当初はたしかにそうでした。しかし今はもぅステージが変わっていまして、既に領内の村の二箇所から村民が全て消えてしまったのです。家畜の被害も収まらずもうどうしていいか……」
「何だと……?」
まさか、そこまでの事態になっていたとは……どうやら一筋縄ではいかない話になってきたようだ――
◇◆◇
side???
喉が渇く。全くまだまだ魔力が満たされていない。血ももう少し欲しいところか。
だがそれより、我が駒となる兵ももう少し欲しいどころか。奴は手強い。例え私が完全に回復していたとしても油断のならない相手だ。
しかもこいつらの多くは正気を失ったような雑兵でしかない。そもそもで言えばあの女のような完璧な眷属になる例が少ないのだが、せめて多少の意思が残ってる兵が欲しい。
さて、どこかにそんな人材が転がっていないものか、クククッ――
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