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恋心
しおりを挟む「どうしたんですか?ため息なんか吐いて...珍しい...」
「...仲良さそうだったなって思ってさ、姫神先生と若王子先生。喧嘩したことある?」
「いや...喧嘩はしたことないかな...。お互いいい歳なんで喧嘩って柄でも無いですし」
あれ、なんか余計に肩を落としてないか。
不味いこと言った...?
「あの...」
「ああ、いや...好きな人を怒らせてしまったみたいでね。気に障ることをしたなら謝りたいんだけど...残念ながら、怒らせるようなことをした記憶が全く無いんだ」
...す...!?
黒田先生にす、好きな人がいるなんて初耳だ。
好きな人、と言うことはまだ恋人関係では無いのだろう。
この男が落とせない女性が世の中にいることに驚きを隠せない。
「取り敢えず謝るしか無いんじゃない...?」
「口も聞いてくれない目も合わせてくれない、電話にも出ない、メッセージは3度目のブロック...もうオレには手紙か伝書鳩しか残されてない...」
「すっっっごい人なんですね、黒田先生が手こずるって」
「うん、あんな子はオレも初めて。女王様気質だけど可愛いんだ~」
黒田はこの顔でしりにしかれたいタイプなのか。
それにしても数多くの女性に言い寄られても靡かず、ただ1人の人に入れ込むなんて...黒田から好意を寄せられてる方も満更じゃないのでは?
顔もカッコイイし優しいし、何考えてるのか分かんない辺りは怖いけど、こんな人が隣で笑ってくれたら...どんな女性でも喜ぶだろうに。
てか...相手が気になり過ぎる...!
「く、黒田せんせ...」
「ん?」
「どんな方なんですか、黒田先生が好きな人って。さぞ素敵な女性なんでしょうね...!」
「女性...?」
一瞬頭上に?を浮かべた黒田に釣られ、私も?を浮かべる。
「あー...えっと、綺麗めで眼鏡が似合ってて、驚くほど口が悪い。でもって、自己中心的で自信過剰で高圧的で、他人を常に見下してて」
ん?それ本当に好きな人?
言っちゃ悪いけど、趣味が悪いのか、ただの好きものなのか。
絶対他にいい人いるだろ。
まだ32なんだから、早まっちゃダメだよ。
「凄く可愛いんだ」
可愛い要素がどこにあるんですか
って、言えたらどれだけ言いか。
この笑顔を前にそんな酷いセリフを吐き捨てれるのは若王子ぐらいだろう。
「そ、そうなんですね...。何はともあれ、仲直り出来ることを願ってます」
「ありがとう。もうこんな時間か...煙草吸いに来ただけだし、そろそろ戻ろうかな」
「あ、私も...!」
「ん、足元気を付けて」
席を立った黒田に続き、一緒に職員室へ戻れば「やっと戻ってきた」と碓氷が私を睨みつける。
「姫神先生、どちらへ行かれてたんです。修学旅行の下見...」
「碓氷くん...?」
私の後ろの人物を見た途端、眉間に皺を刻む碓氷はくるりと踵を返した。
「やっぱり後でいいです」
?
なんなんだ、この子は本当によく分からん。
「そう言えば、修学旅行の下見を任されてたね。オレも行きたかったな」
「行きたかったんですか!?私の代わりに行く?」
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