2人の男に狙われてます

胸の内

｢...｣

｢あ、ごめん...驚かせちゃって｣

お茶を飲んだ若王子は静かにカップを置き、スマホを持つ私の手をギュッと掴んだ。

｢...？亮くん...？｣

｢...｣

どうしたんだ。
いつもの君じゃないみたい...。

何かを言おうとして口を開いた若王子だったが、思いとどまるように唇を噛んだ。

｢何かあった？｣

｢...いえ｣

珍しく私の胸に抱き着いた彼に、不覚にもドキリとする。
大きな子供みたいに見えて、反射的に頭を優しく撫でてしまう。

甘えたいのかな...？

｢ふふ、変なの...｣

｢...ちゃんと、言うから...｣

小さく呟かれた言葉は、私の耳には届かない。

｢ねえ、本当にどうしたの？｣

私の手からスマホを取り上げたかと思うと、そのままベッドまで運ばれた。

どうも様子がおかしい若王子を見詰めながらベッドで身構えていると、力強く抱き締められる。

｢...亮くん、っ苦しいよ...｣

｢...、好きです｣

珍しく感情を口にした若王子の手に、余計力が篭る。

｢だからこそ、政宗さんには傷付いて欲しくない｣

少しだけ可愛く見える若王子の胸の中で、彼の心音を聞いた。

彼が今何を思っているのかは分からないが、きっと私のことを1番に考えているに違いない。
彼がいつか、胸の内を明かしてくれればいいな...。

背中に腕を回し、数分抱き合った状態でいたが、ふと、彼の手が私の衣服に掛けられていることに気付いた。

｢えっ、なに...｣

｢脱がせていい...？｣

｢あ、ちょっと...っ｣

いい、と言う前にシャツを脱がされた私は身体を隠すように身を捩った。

｢...僕のものって証、全身につけさせて...｣

身体が彼に噛まれたことを思い出して、熱くなる。

噛まれたい、色んなところを強く噛んで欲しいけど、先程まであんなに可愛らしかった若王子が突然豹変したことに驚いた。

でも、その前に...

｢亮くん、舌...見たい...｣

彼の腕を掴んでは身を乗り出し、唇を見詰める。

ぺろ、と出された赤い舌の上で銀色のピアスが輝いた。

いやらしく光るピアスに吸い付くように、私から舌を絡めると彼は一瞬目を見開く。

まさか、私からキスをされるとは思ってもいなかったのだろう。

強ばったのも束の間、目を細めた若王子は私の身体を抱きながら舌を絡め、優しく口内を犯した。

｢、ん...っ｣

｢あ、ふ...ぅ♡｣

キス、気持ちいい...。

｢積極的だね...｣

下唇を甘噛みし、首筋、喉仏、鎖骨を順番に噛まれる。

優しく噛んだかと思えば、時たま強く歯を立てられ腰が大きく跳ねた。

｢あっ...は、♡｣

｢肌、柔らかい...もっと色んなところ噛んでいい...？｣

熱い吐息が皮膚に触れる度、身体を震わせる。

頭を撫でながら耳朶を噛まれると、気持ちよさで肌が粟立った。

項は噛まれたらどんな感じがするんだろ...。

キスされるだけでもゾクゾクして堪らないのに、若王子の歯を立てられて吸われたら...

｢あ、...っ♡｣

じわ...

想像しただけで下着が濡れるのが分かった。