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碓氷鏡夜
しおりを挟む「珍しいですね、黒田先生が僕たちに絡むなんて」
「普段はあまり喋る機会もないし、こういう時にでもと思ってさ。前回酔い潰れた碓氷先生を介抱するのも楽しかったし...、碓氷先生の普段見れないような姿、2人にも見せたかったよ」
あはは、と爽やかに笑う黒田。
うーん、シンプルに顔がいい。
ジンジャーハイを受け取り、一気に飲み干す姿を見て、ああこいつは酒豪だな、と悟る。
「...その話はよしてくれ」
「えー、本当に面白かったから話したいのに、超陽気だったもんねぇ」
「ふふ、私も碓氷先生の普段見れないような姿は気になるな」
全てにおいて正反対だが、碓氷と黒田はこんなに仲が良かったのか。
隣の若王子は貼り付けた笑顔で「僕は絶対に御免です」と口にするが、碓氷の顔は見る見るうちに赤くなっていく。
「碓氷先生のってお酒じゃないよね?顔赤いけど、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です...ちょっとこの部屋が熱いだけで...」
?いつもの碓氷じゃない。
心配して様子を見ていると、お手洗いから戻った石井が黒田と若王子に文句を言い放った。
黒田先生!?退いてください!てかなんで若王子先生がそこに座ってるんですか!?と甲高い声で口にする彼女は、仕事終わりの時よりも可愛く見える。
若王子も黒田も退く素振りは一切見せないため、結局石井が折れて、おじさん教員の輪に混じりに行った。
「化粧直しバッチリだったでしょ、香水の匂いもさせて...。僕がここに座ってなかったら確実にお持ち帰りされてましたよ」
「はは、彼女は本当に姫神先生のことが好きなんだね。オレのところにもよく婚期のことで相談に来るよ」
「ええ...それは、なんかすみません...」
「人の相談に乗るのもオレの仕事だから気にしないで?」
優男...。
それから他愛も無い会話を繰り広げた。
酒も食もすすみ、いい感じに酔いが回ってきてフワフワしてる。
「本当に呑まないの?また介抱してあげるよ」
「結構だ、話しかけないでくれ」
10分後
「あれ、碓氷先生が飲んでるのって、オレのウーロンハイじゃない?」
「「「あ...」」」
20分後
「僕外に出て煙草吸っていいですか、その人うるさいんで」
「だーかーらー、俺は神崎のあの態度がさー」
またしてもモンスターが出来上がってしまった。
「じゃあ、オレも1本付き合おうかな」
待ってくれ、私とこの状態の碓氷を置いていくのか。
耳打ちで「待ってて」と囁いた若王子は、煙草とスマホをポケットにしまい、黒田と席を立ってしまった。
......逃げたい...!
「う、碓氷せんせ...?」
「なぁに?」
なぁに?ではない。
頼む、いつもの硬派で冷徹な君に戻ってくれ。
このままでは私の中の碓氷像が崩壊する。
「あっ、こらこら...!それは黒田先生のお酒だって!君はお水!」
「やだ!...姫神せんせーのお酒1口ちょーだい」
「だめだよ、これ以上酔っ払ってどうすんの!」
「酔ってない!お酒ちょーだい。あっ、若王子の奴もらお~」
タチが悪いとかそう言うレベルではない。
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