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しおりを挟む─ ラフィアside ─
シュライク様との婚約が正式に結ばれ、幸せいっぱいだった。
でも、あの一件以降ヴィンセントが何をしてくる事もなく却って不気味というか、嫌な予感しかしないんですけど。
それまでヴィンセントと一緒になって絡んできていたロザリーも、以前のように…いいえ、それ以上にヴィンセントとの距離が近くなったような?
あの二人が幸せそうにしているのはいいけれど、これがまた嫌な予感に拍車をかけるというか何というか……。
シュライク様やベレッタ様、ロバート様も同じように感じているみたい。
兎に角、あの二人とは極力関わらないようにする事にしたのだけれど……。
シュライク様と観劇をした後、一緒にディナーに行く約束をした日、事件が起こった。
婚約後、初めてのデートだったのと、チケットを手に入れるのも難しいと言われていた超話題の恋愛劇を観る事が出来てとても浮かれていた私は油断していたのだと、後になって深く後悔した。
劇が終わった後、一番近い位置にあった化粧室に行ったら、化粧室内の水廻りの故障で使用禁止になっていた。
劇場のスタッフらしき人達の説明と誘導で化粧室に行った観客達は他の化粧室に振り分けられて行った。
人が多く混雑した中、一緒に来ていた家の護衛と侍女と逸れてしまい、不安だったけど劇場内だし、誘導のスタッフ達もいるからだから大丈夫だろうと思ってしまった。
そして、気付けば劇場の出入り口から一番遠い化粧室に……。
劇場のスタッフの人が化粧室入り口に居るからと言われ、化粧室内に入った。
用を足し、化粧を直して出口に向かった時には気にしすぎだったかと思って安心した。
でもその直後、後ろから鼻と口に布を押し当てられて意識を失った。
△▽△▽△▽△▽△▽△
─ シュライクside ─
あの一件の後、ラフィアの両親にも婚約の承諾を貰う為、王都に来ていた父と共にコルト家を訪問した。
先ずは彼女が怖い思いをする前に助けられなかった事を詫びた後、この先もラフィアを堂々と護る為に婚約したい旨を伝えた。
当然、政略結婚ではなく彼女を愛している上で強く望んでいる事も伝えた。
そしてヴィンセントの父親であるクラーク伯爵と父の因縁話も伝えた。
まあラフィア父、コルト子爵もその因縁話は知っていたらしく、その事を酷く心配していた。
だからこそ、この先も護りたいのだと強く訴えた。
認めて貰えなかったら……と不安だったが彼女の両親から認めて貰う事が出来た。
その日の内に彼女にプロポーズしてOKの返事を貰い天にも昇る心地だった。
だが、あの一件以降ヴィンセントが不気味なほど静かで却って不安になる。
どう考えても何か企んでいるとしか思えなかった。
父やコルト子爵、ロバート様からも警戒を怠らないように言われていた。
なのに……!!
婚約後の初デートだったのと、その日のラフィアの美しさに浮かれていた自分を殴りたくなる。
観劇後、ディナーを予約していた店に行く前に化粧室に行きたいとラフィアはコルト家から連れて来ていた護衛と侍女と共に化粧室に向かった。
劇場の入り口近くで待っていた俺の前に顔色を失くし、慌てふためいたコルト家の護衛と侍女が現れた時、悪魔に心臓を掴み出されたような恐怖に眩暈を感じた。
そして、その嫌な予感の通りの言葉をその二人の口から聞いた俺は従者の制止も聞かず、劇場内に駆け込んだ。
劇場から出てきた観客達を押し退けながら彼女の名を叫んだ。
そして、劇場の支配人やスタッフ達と共に劇場内の化粧室全てを探し終わった俺は絶望を感じると共に血が沸騰するかと思うほどの怒りを感じた。
劇場内を探し回る前に知らせたレミントン家の騎士達が駆け付けて来たと知るや指示を出し、怪しい人物や目撃者の身柄を確保し、尋問又は協力を求めた。
自らも探しに行きたいが、情報を集めあらゆる方向からラフィアの行方を探さねばならない。
もちろん、ヴィンセントやクラーク伯爵家は容疑が濃厚ではあるが何の確証も無しに乗り込む事は出来ない。
勿論、ヴィンセントにへばり付いているロザリーの家も調査対象に入っている。
クラーク伯爵家が所有する建物は全て調べに走らせ、ロバート様のウィンチェスター家もベレッタ様のガーランド家も少しでも可能性のある場所を探し回ってくれている。
コルト家も商人ギルドの伝手を使って情報を集めている。
だが、未だ有力な情報は無い。
時間だけがただ過ぎていく。
ラフィア何処に!!
頼む!無事で居てくれ!!
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*いつもお付き合い(お読み)いただきありがとうございます!
*お気に入り、しおり、エール等も本当にありがとうございます!!
応援ありがとうございます!
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