上 下
112 / 224
第18章 未来

第112話 進級、急転

しおりを挟む
 ダークエルフとの戦い後から暫くお休みとなっていた学校も今日から始まったのだが、再開初日から驚く発表があった。

「「え、Aクラスに昇格!?」」バーミリアン先生が僕とジャックを呼び出してそう伝えてきた。

「あぁ。先のダークエルフ達との戦いで特にギガントって奴との戦いの事を聞いてな。それにこれまでの授業の成績なども考慮して実技はもう問題ないだろうと思い、筆記の結果次第ではAクラスに昇格させても大丈夫だろうとスティーブン先生とも相談したんだ」

「や、やったな! レックス」「うん! そうだね、ジャック」「まぁ後は筆記の勉強を頑張るんだな」「「はい!」」

 そうして後日筆記の試験が行われ、結果は······"3年Aクラス昇格"だった。(やったーーー!)と大喜びし、同じくジャックも昇格が決まり2人で大喜びした。


 その日の午後、アリスと共にマーシュのお見舞いへ行った。

「やぁマーシュ」「っ! レックス!」元気な声でマーシュは僕達を迎えてくれた。

「元気になったみたいだね」「ああ。レックス、君が僕の命を助けてくれたんだって?」 

 アリスかドクトリー先生から聞いたんだろう「たまたま素材を持ってたから提供したまでだよ」「それでも、僕にとっては命の恩人だよ。本当にありがとう!」と言って手を差し出してきたので、僕はその手を握った。

「この恩は一生忘れないよ」「大袈裟だよ」「いや、本当にそれぐらいの事をしてもらったんだから」「······分かったよ」とマーシュの言った言葉を受け入れたのだった······。

 そして僕だけ診療所を出て気になる事が出来たのでハウル様の下を訪れた。


 ーーこの恩は一生忘れないよーー

 この言葉が本当なら、それでも真ん中の男はマーシュのままなのか、それを確認したくなったのだ······。

「そうか。あの真ん中の男とそんな関係となったのか」「はい。もしあの言葉が本当なら、真ん中の男はマーシュじゃなくなっているのではと思いまして。それで今一度水晶玉で確かめておきたいと思いまして」「確かにそうじゃのぉ。もしかすると未来が変わっておるかもしれぬからな」「はい」

 ハウル様の許可を得て1人で運命の洞窟を訪れ、無事水晶玉の部屋に来れたので、(これからの未来はどうなりますか?)と思いながら水晶玉に手を置いた。

 すると水晶玉は強く光だし、前回同様上空に3人の顔が映し出された。

 左右のヒト族とエルフ族の顔は前回と同じ顔でまだ見た事のない顔であったが、中央に映し出された顔が前回と変わっており、しかも映し出された顔を見て(っ!? ま、まさか!?)と驚いたのだ。

 そしてその後映像が2回変わって3つの物の映像と男女1人ずつ2人の後ろ姿の映像が映し出されて映像は消えた。


 映像が消えたらすぐに部屋を出てハウル様の所へは戻らず兄ちゃんとお姉ちゃん、そしてアリスを探して一緒にハウル様の所へ飛んだ。

 そしてハウル様の家にて水晶玉で未来を見た事を伝えた上で、「映像が、変わっていたんだ!」と皆に告げた。

「え、映像が変わってたって、どういう事だ?」兄ちゃんが真っ先に聞いてきた。

「水晶玉には最初に3人の顔が映し出されて、左右の顔は前回と同じヒト族とエルフ族の人の顔だったんだけど、中央の顔がマーシュから変わってたんだ」と答えた。

「変わってたって、誰に?」アリスが聞いて来たので、「それが······ジャックにだったんだ!」と僕が答えると、全員が驚いていた。

「ジャックって、ジャック・スミスか!?」「うん、そうだよ」「ど、どうしてマーシュからジャックに?」

「分からない。しかもジャックも僕と同じく来年はAクラスに昇格となったんだ」「それじゃあ、1年間頻繁にジャック君と顔を合わせることになるのね」

「うん。あ、あと······」そこまで言って持っていた紙に2つ目に映し出された3つの物である、全体が青色の玉と白い小さな木の枝のような物と全体が真っ黒の短剣の絵を描いて皆に見せた。

「この3つの物が次に映し出されたんだ」「これは?」「何かは今のところはどれも分からない。ただ、恐らく未来のあの状況を阻止するための鍵となる物になると思うんだ」

「青い玉に白い枝に黒い短剣。種類もみんなバラバラみたいだけど」「けどきっと今までのように必要となって意味の為す物になるはずよ」「確かにそうかもな」3人がそれぞれ思う事を語った。

 そして今まで黙って僕達の会話を聞いていたハウル様が、「いずれにせよ、お主への試練はまだ続くという事じゃな、レックスよ」と仰った事に僕も含め、他の3人も無言でそれぞれ反応したのだった······。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

追放された運送屋、僕の【機械使役】は百年先の技術レベルでした ~馬車?汽船? こちら「潜水艦」です ドラゴンとか敵じゃない装甲カチカチだし~

なっくる
ファンタジー
☆気に入っていただけましたら、ファンタジー小説大賞の投票よろしくお願いします!☆ 「申し訳ないが、ウチに必要な機械を使役できない君はクビだ」 ”上の世界”から不思議な”機械”が落ちてくる世界……機械を魔法的に使役するスキル持ちは重宝されているのだが……なぜかフェドのスキルは”電話”など、そのままでは使えないものにばかり反応するのだ。 あえなくギルドをクビになったフェドの前に、上の世界から潜水艦と飛行機が落ちてくる……使役用の魔法を使ったところ、現れたのはふたりの美少女だった! 彼女たちの助力も得て、この世界の技術レベルのはるか先を行く機械を使役できるようになったフェド。 持ち前の魔力と明るさで、潜水艦と飛行機を使った世界最強最速の運び屋……トランスポーターへと上り詰めてゆく。 これは、世界最先端のスキルを持つ主人公が、潜水艦と飛行機を操る美少女達と世界を変えていく物語。 ※他サイトでも連載予定です。

異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました

平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。 騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。 そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...