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# 夏
スターマイン③
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当時の私は、周りについて行くのがやっとで、何とか仲間の輪に入ろうと必死だった。
本来、花火大会なんて好んで行くタイプではない。
仲間外れにならないように、無理に参加していた。
花火大会に対する興味もそこまでないし、浴衣も適当で大丈夫だと考えていた。
だけど、それは大きな間違い。
当日のみんなは、それぞれのキャラクターに合った、綺麗な模様が施されている浴衣で現れた。
一方私は、どこにでも売ってそうな、地味で面白みのない浴衣を着ている。
明らかに周囲から浮いている私は、その場から逃げ出したくなった。
集団の最後尾を歩いているのは、抜け出すのにちょうどいいから。
花火に見惚れるみんなを置き去りにして、後ろを振り返ろうとした時、大きな手が私の腕を掴んだ。
『どこ行くの?』
驚きと共にその手の方を見てみると、日焼けで真っ黒になっているユウキが居た。
『いや、別に……』
何とかごまかそうと、ボソボソ言い訳してみるけど、花火の音で聞こえないのだろう。
ユウキが耳を近づけて、聞こえないというジェスチャーをする。
上手く伝えられずに困っていると、今度はユウキが私の耳に声を届けてきた。
『何かわかんないけど、ナオが帰るなら俺も帰るわ!』
『ええ!?』
あの時も、ユウキの言葉に救われた気がする。
結局二人でその場を抜け出して、マンションの前から花火を見た。
特に何を言うわけでもなく、ただじーっと見つめていた。
朦朧とする意識の中、あの光景が脳内のスクリーンに再生されている。
わかった、きっとこれは夢の中なのだろう。
本来、花火大会なんて好んで行くタイプではない。
仲間外れにならないように、無理に参加していた。
花火大会に対する興味もそこまでないし、浴衣も適当で大丈夫だと考えていた。
だけど、それは大きな間違い。
当日のみんなは、それぞれのキャラクターに合った、綺麗な模様が施されている浴衣で現れた。
一方私は、どこにでも売ってそうな、地味で面白みのない浴衣を着ている。
明らかに周囲から浮いている私は、その場から逃げ出したくなった。
集団の最後尾を歩いているのは、抜け出すのにちょうどいいから。
花火に見惚れるみんなを置き去りにして、後ろを振り返ろうとした時、大きな手が私の腕を掴んだ。
『どこ行くの?』
驚きと共にその手の方を見てみると、日焼けで真っ黒になっているユウキが居た。
『いや、別に……』
何とかごまかそうと、ボソボソ言い訳してみるけど、花火の音で聞こえないのだろう。
ユウキが耳を近づけて、聞こえないというジェスチャーをする。
上手く伝えられずに困っていると、今度はユウキが私の耳に声を届けてきた。
『何かわかんないけど、ナオが帰るなら俺も帰るわ!』
『ええ!?』
あの時も、ユウキの言葉に救われた気がする。
結局二人でその場を抜け出して、マンションの前から花火を見た。
特に何を言うわけでもなく、ただじーっと見つめていた。
朦朧とする意識の中、あの光景が脳内のスクリーンに再生されている。
わかった、きっとこれは夢の中なのだろう。
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