41 / 173
# 春
予期せぬエラー⑧
しおりを挟む
「もう、何やってるのよ! 百歩譲ってケガしたのはいいけど、何でボーっとしながら包丁使ってるのよ! そんなの危ないじゃないの!」
真っ青な顔した三人組の無言を、私の怒りが切り裂いた。
立場的に迷惑をかけていたから、何にも言えずにいたけど、どうしても包丁を使いながらボーっとしていたことが許せなかった。
「え、そこ? ごめん、それはシンプルに不注意。今日のことを考えていたら不安でさ」
少し外れた指摘を、失笑しながら返答する彼のリアクションを見ると、入来ちゃんも吹き出しそうになっている。
いつの間にか和やかな雰囲気に様変わりしているけど、私の不安は落ち着くことがない。
「それで、どうするの? 戸部君は施術できなそうだし」
みんなに問いかけたところで、答えは二つに一つだ。
私か入来ちゃんが、今日の施術を行う。
自分が不安な顔つきをしているのは、鏡を見なくてもわかる。
その表情で伝わったのか、入来ちゃんが口を開きそうになった瞬間、戸部君の力強い目が訴えかけているのを感じた。
その真っ直ぐな目と、私の弱々しい目が合うと、戸部君はゆっくりと頷く。
それは、もはやメッセージだった。
背中を押されるように、挙手をする。
入来ちゃんはその動作を見ると、一瞬開いた口を閉じて、嬉しそうに微笑んだ。
「私に……やらせて!」
真っ青な顔した三人組の無言を、私の怒りが切り裂いた。
立場的に迷惑をかけていたから、何にも言えずにいたけど、どうしても包丁を使いながらボーっとしていたことが許せなかった。
「え、そこ? ごめん、それはシンプルに不注意。今日のことを考えていたら不安でさ」
少し外れた指摘を、失笑しながら返答する彼のリアクションを見ると、入来ちゃんも吹き出しそうになっている。
いつの間にか和やかな雰囲気に様変わりしているけど、私の不安は落ち着くことがない。
「それで、どうするの? 戸部君は施術できなそうだし」
みんなに問いかけたところで、答えは二つに一つだ。
私か入来ちゃんが、今日の施術を行う。
自分が不安な顔つきをしているのは、鏡を見なくてもわかる。
その表情で伝わったのか、入来ちゃんが口を開きそうになった瞬間、戸部君の力強い目が訴えかけているのを感じた。
その真っ直ぐな目と、私の弱々しい目が合うと、戸部君はゆっくりと頷く。
それは、もはやメッセージだった。
背中を押されるように、挙手をする。
入来ちゃんはその動作を見ると、一瞬開いた口を閉じて、嬉しそうに微笑んだ。
「私に……やらせて!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる