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第4章 冒険 -王都編-

レモネード

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197 レモネード



 さて、困ったぞ。

 急いで料理を作るしかないのだが、どうしていいのかさっぱりわからん。

 まだ手をつけていないワイバーンとポイズンスネークの他に、採ってきたばかりのキノコもある。
 この世界に醤油でもあれば話は随分と早くなるのだが、見たこともなければ聞いたこともないので期待するだけ無駄なんだろう。

 とりあえずワイバーンはステーキ、ポイズンスネークは白焼きにしようかと思ってたけど、それだと何だか味気ないような気がするんだよなー。それこそ、誰でも作れるような気がするし…。

 うーん。困った。


 まぁ、ただ考えててもしょうがないのでとりあえず何か作ろう。
 疲れてるからレモンの砂糖漬けでも作ろっかな…。今から漬けておけば夕方頃にはそれなりになるだろ。

 ん?
 そういえば、この世界に来てから全然作ってなかったなー。
 一応これも新メニューになりそうだ。
 女の子たちの取り合いにならないといいけど...いいや、考えないことにしよう。

 
 その他には...
 やっぱりこの前出してないもののほうがいいよな。
 となると、デミグラスかー。
 とりあえず継ぎ足して煮込んでおくか。
 あとはテキトーに何かつくっておこう。


 そうこうしてるうちに夕方になった。
 レモンの砂糖漬けもまだ浅い感じではあるが、その粗さが逆に良かったりもしてまぁまぁの出来だ。
 少しハチミツを垂らしてお湯を注げばホットレモネードが出来上がった。
 

「自分だけ美味しそうなもの飲んでてズルいんじゃない?」


 突然声をかけてきたのはフィリア王女だ。
 いったいこの人の感知能力は何なんだろう笑
 いつもちょうどいい頃に現れるんだよなー。監視カメラでもついてるんじゃないかっていうくらいだ。


「...わかりましたよ。フィリア王女も飲みますか? ちょっと変わった味ですけど」

「そんなに変わってるの? レモが入ってるみたいだからちょっと酸っぱいくらいじゃないの?」

「まぁその通りですね。これは食事会でみんなに初披露しようとしてたものなんですけど、それでも飲みますか?」


 ちょっと意地悪なことを言ってみた。
 果たしてフィリア王女はフライングしてしまうのか。


「大丈夫よ。今ここで飲んでも、食事会の時には初めてなフリをするから任せて❤」


 そういう問題なのか?
 天下の王女様に逆らうわけにはいかないのでお出ししますけど...。


「おっ、新作の匂いがするね。喉が渇いてたんだよ。私にもおくれよ」

「…」

「イルマさん、この新作は食事会で初披露したいんですって」

「...」

「それを飲もうとしているフィリアは食事会には行かないってことなのかい?」

「わ、私はと、特別なのよ!!」


 フィリア王女、思いっきり動揺してて笑けてくる。
 

「そもそも私は食事会なんて関係ないからね。どうでもいいことなんだよ」

「そうだったわね笑」


 そんな変なやり取りが繰り広げられた結果、2人とも飲むことになった。


「あっ、これは美味しい...」

「ホッとする味だね…」

「あっ、2人とも戻って来ないと思ったら!!」

「自分たちだけズルいです!!」


 あーぁ、ポーション組のセレナとノエルさんも来ちゃった。


「おっ、シーマくん、それ美味しそうだね」

「ボクにもちょうだい」


 外出組のシェリルとクリスさんも戻ってきちゃった。


 結局、全員で飲むことになってしまった。
 そしてその夜、
 俺はレモンの砂糖漬けを大量に作らされることとなった。




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