132 / 316
第4章 冒険 -王都編-
あっという間
しおりを挟むもうすぐ王都に到着する割りには、みんなに笑顔がない。
どちらかというと、暗い。
はっきりと、暗い。
理由は分かってる。
『 別れ』だ。
当然のことだが、王都に入ればフィリア王女は王城に戻らなければならない。
約15日間くらいのことだが、過ぎてみればあっという間だった。出会い方としてはあまり良いとは言えないものだったが、徐々にではあるがお互いに心を開きながら王都に向かって歩んできた。ずっと一緒にいて仲良く過ごしていれば離れるのが寂しくなるのは無理もない。
フィリア王女を王城へ送り届けた後でも頻繁に会えるかといえば、身分が余りにも違い過ぎるため、それもかなり難しいだろう。
俺たちが冒険者としてBランクまで上げられれば指名依頼を受けられるから、フィリア王女にはそこまで待ってもらうしかないし、セレナとシェリルもそこまでは必死になっていろんな依頼をこなす必要がある。どちらにしても簡単なことではないのだ。
偶然とはいえ、この世界で年齢の近い者同士が出会い、意気投合することなんて極めて稀なだけに、当人たちの気持ちを考えるとかわいそうに思えてくる。
楽しい時間であればあるほど、
過ぎていくのはあっという間だ。
誰が悪いという訳でもないのに、もうすぐ来てしまう別れに誰もが沈黙している。
セレナも
シェリルも
フィリア王女も
何故かアルテさんまでも...。
フィリア王女に至っては、いろいろと考えを巡らせて思い詰めているようにも見える。
王都に着いたら離れてしまうけど、
いつかまたどこかで会えて、
楽しい時間を過ごせたらいいな。
あっ!
エルピスにお願いしたら
どうにかなるのかな?
何か知ってるっぽいよな...。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
253
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる