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第4章 冒険 -王都編-
王女フィリア
しおりを挟む「終わったねー、シーマ」
「それよりもシェリル、馬車の中はどうなってる?」
「それがねー、ボクも馬車の中に入ろうとしたんだけど鍵がかかっててさ。でも、中を覗いたらフィリア王女と執事さんがいて、どうやらショックで気を失ってたみたいだからさ、そのままにしてボクも戦闘に参加したってわけ」
「えっ?! この国の王女様だったの?」
セレナがビックリしてるが、それは仕方ないよな…。
「いい判断だった。よくやったくれたシェリル」
「えへへー」
「こらこら! 私も頑張ったんですけどー?」
「ごめんごめん。セレナも弓でよくやってくれたよ」
「もっと褒めて!」
「「ハハハッ」」
バタン!!
俺とシェリルが同時笑っていたその時、
王族の馬車の扉が開いた。
そこに立っていたのは執事らしき老年の男性と、シェリルくらいの年齢なのかな?ロングのブロンドヘアーに緑のドレスがよく似合う、パッチリお目めの可憐な少女だった。
そして、その少女が話しかけてきた。
「あなた達は冒険者ですか?」
「えぇ、そうです。ボクたちは偶然ここを通りかかった冒険者です。フィリア王女様」
「「!!」」
シェリルの言葉に驚いたのは、フィリア王女と執事だ。
「お嬢様、いけません!!」
「いいえアルテ、私たちはこの方々に命を助けていただいたのですよ? ここは素直に明かすべきです」
「しかし...」
「何かあれば責任は私が取ります。もっともこんな事態になってしまったことが大事でもありますが。
さて、そこのお嬢様。確かに私はこの国の第三王女のフィリアです。何故ご存知だったのでしょう?」
「ボクはルート商会会長の娘でシェリルっていいます。フィリア王女様は夜会でお見かけしたことがあったのです」
「なるほど。理解しました」
流石だな、シェリルは。
王女様相手にも臆せず対応出来てる。
「それでは王女様、どうしてこのような状況になったのかを説明していただいてもよろしいでしょうか」
「ええ、もちろんです。
まず、私たち一行はエピリシア教国の大聖堂に行き、その帰り道でレッドボアの群れに襲われてしまったのです。
当然、護衛も騎士団の者が10人程いたのですが、突然襲われたもので対応しきれずに次々と倒されてしまい、私たちだけが馬車に取り残されたショックであの状況になったということです」
王女様はともかく、執事もあの状況で気絶してるとなると、戦闘系ではなく頭脳系の執事なんだろうな。鑑定しようと思ったけどやめとこ。後で面倒なことになっても嫌だしな。
「状況についてはわかりましたが、これからはどうなさるおつもりですか?」
「...」
「姫様、ここからは私が!」
「いいえアルテ、私がお願いします。
冒険者の方々、命を救っていただいたにも関わらず失礼なお願いですが、もしよろしければ王都まで連れて行って下さいませんか?」
シェリルはここで俺の顔を見た。
えっ?! 何故ここで俺?
「シーマがリーダーでしょ? どうする?」
そうですよねー。
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