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第3章 冒険 -グランツ編-
シェリル
しおりを挟む護衛依頼当日。
冒険者ギルドに着くと、アイラと一緒に赤髪ショートの元気そうでスレンダーな女の子が待っていた。
アイラの友達っていうから大人しめかと思ったけど全然そんなことないようだ。
「シーマさん、セレナさん依頼を受けていただきありがとうございます。こちらが今回の依頼人のシェリルです」
「シェリルだよ。よろしくね!」
「シーマです。よろしくお願いします」
「セレナです。よろしくお願いします」
「2人とも固いなー。もっと肩の力抜いてさ、楽しくやっていこうよ」
アイラの友達なんだから年下なんだろうけど、いきなり仲良くはなれないだろ。しかも初対面だし。でも、ガチガチな感じよりはいいのかもな。
「わかったよ。でも依頼人と護衛の関係はそのままで頼む」
「うん。それでいいよ。じゃあ早速外に停めてある馬車で行こうか」
俺たちはギルドの外に出ると馬車に向かったが、その馬車を目にした途端驚いた。
その馬車には「ルート商会」のロゴが描かれていたのだ。
「ルート商会...」
「シェリルってルート商会の人だったのか?」
セレナのつぶやきに続いて、俺がシェリルに問いかけた。
「そうだよ。言ってなかったっけ?」
「あぁ。俺たちが聞かなかったのもあるけど」
「じゃあ改めて。ボクはルート商会のシェリル。会長であるロナルドの娘だよ」
「「...」」
マジか...。
ボクっ娘だよ。
いやいや、そっちじゃないな。
会長の娘って跡継ぎなのか?
結構な大物じゃん!
「まぁ細かいことは後にして出発しよ!」
そう言ってシェリルは馬車の中ではなく御者台に乗り込む。
え?
会長の娘が自分で御者するの?
「御者はいないの?」
「うん。いつもボクが自分でやってる。いざとなったらシーマさんも出来るでしょ?」
「あぁ。大丈夫だよ」
「それじゃ、行こうか。街を出るまでは歩いてついてきて」
街を出るまで?
どういうことだ?
街を出て、しばらくしたら馬車が止まってシェリルが声をかけてきた。
「もう街を出たから馬車の中に入っていいよ」
「俺たちが入るの?」
「そう。ずっと歩いてたら疲れるでしょ?」
「まぁそうだけど、護衛対象が外で護衛が中ってどうなんだ?」
「だって魔物に襲われた時に疲れてたら意味ないじゃん」
「わかった。そこまで言うならそうさせてもらうよ。ただし、御者は俺たちと交代でやろう」
「うん。それでお願い」
馬車の中に入ると椅子がある以外はガランとしていた。女の子が乗るには随分と質素な感じだ。
「ねぇ、シーマさん」
御者台からシェリルに声をかけられた。
意外と御者台からでもハッキリと声が聞こえるもんなんだなー。
「どうかしたか?」
「馬車の中が2人きりだからって、あまりイチャイチャしないでね笑」
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