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第2章 宿屋
実食
しおりを挟む「いやぁ、これは食べるのが楽しみだ」
「早く食べましょうよ」
肉と玉ねぎを焼いた時の香りが部屋に充満してるんだ。食欲とそそるだろう。
「私も食べたい!」
何故かセレナまでも参戦してきた。
いやいや、あなたはどっちの味方よ。ただ食べたいだけじゃん!
「まぁいいけど…ほどほどにね」
可愛い顔でお願いされてしまっては、断わる理由なんてなくなってしまう。
ついでに俺も食事を取ることにした。異世界に来て初めて食す料理が、まさか自分で作ったものになるとは全く思いもしなかったが。
「この卵の料理はソースがいいな。トマトの酸味がさわやかだ。こんな食べ方があるとは…」
「スープも深みがあっていいわね」
「美味しい。美味しい」
セレナさんや、もう少しコメントがあっても良くってよ…。
「トマトを潰して煮込んだら塩コショウで味を整えるだけですね。スープはトーストを浸して食べるのがおすすめです」
「なるほど。肉も敢えて薄くしてニンジンの甘みを引き出してるな」
「重くならないから朝にはピッタリね」
「うんうん」
気がつけば3人であっという間に完食してしまっていた。評価もなかなか良いようで、まずはホッとした。
「それで、俺の料理はどうでしたか?」
紅茶を3人に出しながら聞いてみた。
本当はコーヒーにしたかったが、ここには置いてなかった。もしかしたらこの世界にはコーヒーがないのかもしれないな。
「この他にも朝に出せる料理がまだあるのか?」
「いくつかはありますが、お客さんの反応を見て考えていきたいですね。」
実際のところ頭に転生前のレシピはあっても、再現出来るかがわからない。アレンジ次第でどうにもなりそうだが、あまり強気にも出れないのでちょっと曖昧に答えておく。
「よし、わかったシーマ。お前がこの宿屋をやっていけ」
「いいんですか?」
「いいも何も元々お前のものだしな。俺はお前の覚悟が見たかったんだ。料理のことは詳しくないが、リーザも認めたみたいだから問題ないだろう」
ガンマおじさんの言葉にリーザおばさん
もにこやかな笑みを浮かべている。肯定と捉えていいのだろう。
「今日の夜はどの冒険者も外で食べてくることになってるからちょうどいいな」
「えっ?」
「冒険者たちが帰ってきたら、お前から事情を説明しておけ。そして明日の朝からが本番だな」
「何かあれば私たちもまた手伝うから、何でも頼ってね」
たまたま今日の夜は冒険者たちが外で食べるらしいが、実際のところはお2人に気を使ってのことかもしれない。フォルティスさんたちなら有り得ることだ。
「ありがとうございます。これから頑張ります」
「最後になるがシーマ、セレナを頼むな」
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