幻獣使いの英雄譚

小狐丸

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激動編

閑話 アメリア団

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 ロンバルドの街の中を、子熊型ゴーレムのコロにまたがり、漆黒の梟を前に乗せ、闊歩するアメリアがいた。

 コロの背中で鼻歌を唄いながらご機嫌な様子は何時もの事だが、ただ何時もと違うのは、アメリアの後ろにゾロゾロと、同じ年頃の子供が列を成して続いていることだ。

「アメリアだんちょ~、きょうはどこへ行くんですか?」

 アメリアの直ぐ後ろにいる男の子が、アメリアに聞く。

「今日はユキトお兄ちゃんに、おねだりするの」

 アメリアはそう言うと、10人程の子供達を引き連れ、ユキトの工房へと向かう。



 バタンッ!

 ユキトが工房で、物作りのアイデアを練っていると、勢いよく扉が開いて、ユキトの工房にアメリアが入って来る。

「ユキトお兄ちゃんー!お願いがあるのー!」

 アメリアの後ろに10人位の子供がいるのを見て、嫌な予感がしながらも、アメリアに要件を聞いてみる。

「どうしたんだいアメリアちゃん。今日はお友だちを連れて来たのかい」

「お友だちじゃないです。団員です」

 アメリアの側にいた男の子が、胸を張って言い切る。

「…………団員?」

「そおなの、アメリアは団長なの!」

「…………団長?」

 理解出来ない事態に、馬鹿みたいにおうむ返ししか出来ないユキト。

「今日は、ユキトお兄ちゃんに団員達の武器と防具を作ってもらいに来たの」

 呆然とするユキトを置き去りにして、アメリアはマイペースに、ユキトへの頼みごとをする。

「おう、ユキト!何時からここは託児所になったんじゃ?」

 間が良いのか悪いのか、ドノバンがユキトの工房に顔を見せた。

「いや、託児所って「ちょうどよかったの!」」

 ユキトの言葉をさえぎり、アメリアがドノバンをロックオンする。

「良いところに来たの!ちょうど良いの!防具はドノバンのおじちゃんにお願いするの!それがいいの!」

 アメリアの勢いに、意味がわからないドノバンが、助けを求めるように、ユキトの方を見る。

「えっとですね、なんか団員の武器と防具が欲しいみたいなんです」

「団員?なんじゃそれは」

「アメリア団の団員です!」

 アメリアの後ろにいた女の子が、胸を張って自慢気に言う。

「「アメリア団?」」

「アメリア団は、アメリア団長とロンバルドの街を守る組織です」

 賢そうなメガネの男の子が、そんな事も知らないの?という感じで教えてくれた。

「あの、アメリアちゃん、街を守るなんて危ないと思うよ」

「そうなの!だから危なくないように武器と防具なの!」

 ふんすっと鼻息荒く、握りこぶしを振り主張するアメリア。

「……まぁ良いんじゃないかユキト。防具は儂が造ればええんじゃろう。なに、適当な素材を使って、革鎧とブーツ、籠手、ベッドギアで良いじゃろ」

「はぁ~、わかりました。じゃあサイズ調整と自動修復に、各種耐性系のエンチャントもお願いします」

「了解じゃ。じゃあおチビちゃん達は儂に着いて来い。採寸するぞ」

 そう言うドノバンが、子供達を引き連れ、出て行った。

「それでユキトお兄ちゃん。武器も欲しいの」

 ひとり残ったアメリアが、武器を要求してくる。

「武器かぁ~、アメリアちゃんにはナイフとメイスを渡してあるけど、武器は簡単に渡すと危ないよ」

 ユキトがそう言うと、アメリアは腕を組み、かわいい顔の眉間に皺を寄せ考えている。

(誰の真似してるんだろう。爺ちゃんかな)

「仕方がないの。アメリアと同じカミナリのバーンってなる奴で良いの」

 そこでユキトは少し考える。サンダーロッドならあまり危険はないだろうが、近接武器を持っているのが、アメリアだけでは少し不安が残る。かと言って、ゴーレムはさすがにあげれない。暫く考えたユキトは、サンダーロッドとトンファーを組み合わせた武器を造ろうと決めた。

「アメリアちゃん。サンダーロッドとトンファーっていう、短めの棍棒みたいな武器を、合わせたものを造ろうと思うけど、それでいいかな?」

 ユキトが紙に絵を描いて、アメリアに説明する。

「それでいいの!アメリアの分も欲しいから、お願いなの!」

「いや、アメリアちゃんには、ショットロッドとサンダーロッドがあるじゃない。いや、まあ、うん、じゃあ完成したら、使い方を教えるね」

 途中から、アメリアが泣きそうな顔をしたので、直ぐに降参するユキト。

「じゃあアメリアは、団員のようすを見て来るの」

 アメリアは、当初の目的を果たして、笑顔でユキトの工房を出て行った。

「はぁ~、アメリア団ねぇ、まさか魔物を狩りに出たりしないよね」

 ユキトの願いもむなしく、アメリア団は、小竜のエリンとキングエイプのジーブルを引き連れ、パワーレベリングに出かけるのだった。

 ロンバルドの街では、荒くれ者や犯罪者が、心を折られ、街の治安が良くなるという現象が確認される。荒くれ者に原因を聴いても、誰ひとり口を割らなかった。
 『アメリア団』その言葉だけが、裏社会でアンタッチャブルになっていく。



 そして、その様子を影から覗くメイド服を着た少女が、眼を輝かせ見ていた。

「アメリア団……、アメリアやるじゃない。だったらお姉ちゃんも…………」

 ユキトは暫く忙しくなりそうだ。

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