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激動編
閑話 バトルメイド
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アメリア団の装備を作った翌日、何故かアメリアの姉のイリスと兎獣人のティアがユキトの工房へ訪れた。
ただ、二人だけなら問題ないのだが、何故かイリスとティアの後ろには、お揃いのメイド服に身を包んだ、様々な種族の美少女が9人並んでいた。
「えっと、どうしたの?二人して珍しいね。後ろに居る人達は、初めましてだよね」
ユキトが戸惑いながら、イリスとティアに話しかける。
(どうしてメイドが9人も居るの?それに彼女達、レベルが異常に高いんだけど。イリスとティアも何気にレベルが上がっているし)
今現在、ユキトがノブツナ達と住む屋敷には、イリスとティアがメイドとして働いていたが、9人も新たに雇い入れた理由が思い付かなかった。
「ユキト様、紹介します。このお屋敷とフィリッポス様の執務室を、スリーマンセルで担当するメイド達です」
(スリーマンセルって、なに?戦いに行くの?)
「「「「ユキト様、よろしくお願いします」」」」
「あ、あゝ、よろしく……」
「「そこでユキト様にお願いがあります」」
イリスとティアが、何か頼みがあるらしい。何故かアメリア団の事を思い出すユキト。
「うん、何かな?」
「私達の武器を造って頂きたいのです」
(うん、やっぱりそうなんだね)
「いや、イリスにはメイスとショットロッドが、ティアにも戦槌とショットロッドを渡してあるよね。アイテムボックス機能の付いたブレスレットの中に入ってるんでしょ」
イリスとティアは、アイテムボックス機能付きのブレスレットをその手首にはめていた。
「はい、でもそれはそれ、これはこれです。アメリアだけにズルいです」
イリスから聞かされた本当の理由を聞いて、ユキトはがっくりする。
「……ズルいって、まあ、良いか。それで、何が欲しいの?よく見たら彼女達が着ているメイド服、普通のメイド服じゃあないよね」
パッと見ただけでもユキトには分かった。そのメイド服は、糸の素材から縫製から、仕上げのエンチャントまで、下手なフルプレートの防具より防御力が高い事がわかる。
「サティスさんと私とティアで、縫った物にドノバンさんにエンチャントをお願いしました」
「……うん、じゃあ彼女達の武器が欲しいのかな?」
「彼女達に、小さな容量で構わないので、アイテムボックス機能付きのブレスレットと、そこに収納するモップをお願いします」
モップと聞いて、ユキトはポカンとする。
「えっ、えっと、モップ?」
武器を造って欲しいと頼みに来た筈なのに、モップを造るのかと困惑するユキト。
「ふふふっ、ただのモップじゃありませんよ」
ティアがおかしそうに笑う。
「えっと、もしかして、モップ型の武器を造るの?」
ユキトは恐る恐るイリスとティアに聞いてみる。
「「はい!その通りです!」」
「は、ははっ、……モップなんだね……」
モップの是非を考えるのを放棄して、取り敢えず制作するモップの仕様を考える。
「モップヘッドを戦鎚と見立てると、ヘッドは最低でも金属、出来ればオリハルコン合金かアダマンタイト合金が良いよね。そうなるとシャフトもそれなりの素材が必要か……」
「出来ればショットロッドの機能も付けて下さい」
ユキトがモップの仕様を考えていると、ティアから追加のリクエストが入る。
「……(いったいメイドが何と戦うんだろう)」
モップ型の長柄武器兼遠距離攻撃用魔道具ってどうなのだろう。そう考えながらも、今のイリスとティアに逆らわない方が良いと、ユキトの本能が告げていた。
「じゃあ、モップ型の魔道具を人数分で良いんだね」
「「それともう一つ」」
そう確認したユキトに、イリスとティアが天使の微笑みで、追加のリクエストをして来た。
「えっ!」
ユキトの顔が引きつる。
「クロ!」「シロ!」
イリスとティアが呼ぶと、黒いクマ型ゴーレムと白いサーベルタイガー型ゴーレムが工房に入って来た。
「ま、まさか、ゴーレムを造るの?」
「「はい!」」
とても良い笑顔で返事する二人。
「欲しいのは三体です」
「シロやクロのように、乗れなくても大丈夫です」
「警備隊の犬型と梟型以外でお願いします」
「あまり大き過ぎるのも困ります」
イリスとティアが次々に要望を出して、ユキトが口を挟む間がない。
「……分かった……、造っておくよ」
「じゃあお願いしますね」
「ほら、貴方達もお礼を言わないと」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
その後、イリス達は嵐のように去って行った。
「……まあ、いいか」
ユキトは、ひとり取り残された工房で、早速モップの制作を始める。
ヘッドは、魔法を放つ事を考え、オリハルコン合金にした。シャフトも丈夫な素材という事で、トレント素材をエンチャントで強化。さらにショットロッドの機能を組み込む。
(うん、モップだ)
次にゴーレムについて考える。
(クロやシロだと大き過ぎるんだよな)
色々考えた末に、大型の山猫型ゴーレムを造ることにした。小さ過ぎると戦闘能力が足りないだろうし、大き過ぎると、連れ歩くのに困るだろう。
メイドなら室内での仕事が多い筈だから、この位のサイズで良いだろう。
ユキトは苦労して、イリスとティアからリクエストされた、装備とゴーレムを造り上げた。
(バトルメイドって……。メイドって、戦闘職だったんだね)
ロンバルドに、新たなアンタッチャブルが生まれた瞬間だった。
ただ、二人だけなら問題ないのだが、何故かイリスとティアの後ろには、お揃いのメイド服に身を包んだ、様々な種族の美少女が9人並んでいた。
「えっと、どうしたの?二人して珍しいね。後ろに居る人達は、初めましてだよね」
ユキトが戸惑いながら、イリスとティアに話しかける。
(どうしてメイドが9人も居るの?それに彼女達、レベルが異常に高いんだけど。イリスとティアも何気にレベルが上がっているし)
今現在、ユキトがノブツナ達と住む屋敷には、イリスとティアがメイドとして働いていたが、9人も新たに雇い入れた理由が思い付かなかった。
「ユキト様、紹介します。このお屋敷とフィリッポス様の執務室を、スリーマンセルで担当するメイド達です」
(スリーマンセルって、なに?戦いに行くの?)
「「「「ユキト様、よろしくお願いします」」」」
「あ、あゝ、よろしく……」
「「そこでユキト様にお願いがあります」」
イリスとティアが、何か頼みがあるらしい。何故かアメリア団の事を思い出すユキト。
「うん、何かな?」
「私達の武器を造って頂きたいのです」
(うん、やっぱりそうなんだね)
「いや、イリスにはメイスとショットロッドが、ティアにも戦槌とショットロッドを渡してあるよね。アイテムボックス機能の付いたブレスレットの中に入ってるんでしょ」
イリスとティアは、アイテムボックス機能付きのブレスレットをその手首にはめていた。
「はい、でもそれはそれ、これはこれです。アメリアだけにズルいです」
イリスから聞かされた本当の理由を聞いて、ユキトはがっくりする。
「……ズルいって、まあ、良いか。それで、何が欲しいの?よく見たら彼女達が着ているメイド服、普通のメイド服じゃあないよね」
パッと見ただけでもユキトには分かった。そのメイド服は、糸の素材から縫製から、仕上げのエンチャントまで、下手なフルプレートの防具より防御力が高い事がわかる。
「サティスさんと私とティアで、縫った物にドノバンさんにエンチャントをお願いしました」
「……うん、じゃあ彼女達の武器が欲しいのかな?」
「彼女達に、小さな容量で構わないので、アイテムボックス機能付きのブレスレットと、そこに収納するモップをお願いします」
モップと聞いて、ユキトはポカンとする。
「えっ、えっと、モップ?」
武器を造って欲しいと頼みに来た筈なのに、モップを造るのかと困惑するユキト。
「ふふふっ、ただのモップじゃありませんよ」
ティアがおかしそうに笑う。
「えっと、もしかして、モップ型の武器を造るの?」
ユキトは恐る恐るイリスとティアに聞いてみる。
「「はい!その通りです!」」
「は、ははっ、……モップなんだね……」
モップの是非を考えるのを放棄して、取り敢えず制作するモップの仕様を考える。
「モップヘッドを戦鎚と見立てると、ヘッドは最低でも金属、出来ればオリハルコン合金かアダマンタイト合金が良いよね。そうなるとシャフトもそれなりの素材が必要か……」
「出来ればショットロッドの機能も付けて下さい」
ユキトがモップの仕様を考えていると、ティアから追加のリクエストが入る。
「……(いったいメイドが何と戦うんだろう)」
モップ型の長柄武器兼遠距離攻撃用魔道具ってどうなのだろう。そう考えながらも、今のイリスとティアに逆らわない方が良いと、ユキトの本能が告げていた。
「じゃあ、モップ型の魔道具を人数分で良いんだね」
「「それともう一つ」」
そう確認したユキトに、イリスとティアが天使の微笑みで、追加のリクエストをして来た。
「えっ!」
ユキトの顔が引きつる。
「クロ!」「シロ!」
イリスとティアが呼ぶと、黒いクマ型ゴーレムと白いサーベルタイガー型ゴーレムが工房に入って来た。
「ま、まさか、ゴーレムを造るの?」
「「はい!」」
とても良い笑顔で返事する二人。
「欲しいのは三体です」
「シロやクロのように、乗れなくても大丈夫です」
「警備隊の犬型と梟型以外でお願いします」
「あまり大き過ぎるのも困ります」
イリスとティアが次々に要望を出して、ユキトが口を挟む間がない。
「……分かった……、造っておくよ」
「じゃあお願いしますね」
「ほら、貴方達もお礼を言わないと」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
その後、イリス達は嵐のように去って行った。
「……まあ、いいか」
ユキトは、ひとり取り残された工房で、早速モップの制作を始める。
ヘッドは、魔法を放つ事を考え、オリハルコン合金にした。シャフトも丈夫な素材という事で、トレント素材をエンチャントで強化。さらにショットロッドの機能を組み込む。
(うん、モップだ)
次にゴーレムについて考える。
(クロやシロだと大き過ぎるんだよな)
色々考えた末に、大型の山猫型ゴーレムを造ることにした。小さ過ぎると戦闘能力が足りないだろうし、大き過ぎると、連れ歩くのに困るだろう。
メイドなら室内での仕事が多い筈だから、この位のサイズで良いだろう。
ユキトは苦労して、イリスとティアからリクエストされた、装備とゴーレムを造り上げた。
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ロンバルドに、新たなアンタッチャブルが生まれた瞬間だった。
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