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3巻
3-1
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鬱蒼とした森の中を、冒険者パーティ『ノルンの翼』が進む。
先頭を行くのは、まだまだ新米錬金術師の僕、タクミ。
その隣を、索敵範囲が広くて森歩きではとても頼りになる、アルケニーのカエデが歩く。僕とカエデの後ろには、仲間になって間もないせいか緊張気味の狐人族レーヴァ。そして、メイド服型のドレスアーマーを着たマリアが、何故かニコニコと嬉しそうに歩いている。
さらにその後ろを、戦闘経験が豊富な護衛役のエルフのソフィア。最後尾には、木漏れ日を反射するアダマンタイト合金の巨体、タイタンが続いた。
マリアが不思議そうに空を見上げ、僕に尋ねる。
「地下なのに森の中で、それに空も見えますよ」
「本当に不思議な場所だな」
「そうですね。階層が変われば環境がコロッと変わる事も珍しくないそうですから」
そう、僕らが今いるここは普通の森の中じゃない。
バーキラ王国に古くからあるという、王都近郊のA級ダンジョン『獣王の森』に、僕達は潜っていた。
この大陸にあるダンジョンには、難易度によりランクが付けられている。一般的に冒険者が日々の稼ぎに使うのはDランクで、最高難度のものはSランク。当然の事ながら、難易度が高いほど、得られる素材や宝箱に入っているアイテムは貴重な物になっていく。
一攫千金を狙って、多くの冒険者がダンジョンへと挑むのだ。
タイタンという究極のタンク職を手に入れた僕達は、様々な思いを胸にこのA級ダンジョンへ足を踏み入れた。
1 ダンジョン探索
時を少し遡る。
それは、タイタンのボディが完成して数日経ったある日の事。
その日僕は、いつものように冒険者ギルドのギルドマスター・バラックさんとの鍛錬と、ボルトン辺境伯の騎士団訓練所での鍛錬をしてから、へとへとになって家に帰った。
そして、密かに考えていた事を、みんなに提案してみる。
これは、新光教会の暗殺部隊・狂信者の襲撃にあってから、ずっと考えていた事なんだけど――
「ダンジョンへ挑戦しようと思います」
「……えっと、ダンジョンへ行くのは構わないのですが、急にどうしたんですか?」
いつも僕の言う事なら何でも受け入れてくれるソフィアが疑問を呈してきた。
確かに唐突だったかもしれないので、僕は丁寧に説明する。
「僕達は狂信者達に狙われているじゃないですか。それなら、ダンジョンへ潜れば奴らを誘い出せるかもしれないでしょう。ダンジョンなら返り討ちにしやすいと思ってね。そう上手くいかなくても、ダンジョンに入れば僕達の実力アップと素材の確保が出来るし……」
「……で、タクミ様。本当の理由は?」
事前に考えに考えておいたダンジョン行きの理由は、ソフィアには一ミリも通用しなかったみたい。別に嘘を言ったわけでもないんだけど。
改めて僕は、ダンジョン行きを提案した一番の訳を正直に打ち明ける。
「いや、ダンジョンって見てみたいじゃない」
「……初めからそう仰ってください。私もマリアもレーヴァも反対しませんから」
「……はい、ごめんなさい」
ちなみに、数あるダンジョンの中から『獣王の森』を選んだのは、高難度であるゆえに他の冒険者がいないから。もし僕らを狙って狂信者達が追ってきても、無関係な人達を巻き込まずに済む。
あと、『獣王の森』は、他の高難度ダンジョンに比べて凶悪な罠が少ないという事も後押しになった。
戦力には自信がある僕達だけど、罠への対策は出来ていない。
普通、ダンジョンに潜る冒険者パーティには、斥候職、盗賊職など罠に精通した人材が必須になる。罠の察知や解除といった技術は、一朝一夕に身に付けるのは難しいのだ。
そこでこのダンジョン『獣王の森』だけど、罠の種類も少なく致死性の罠も滅多にないと冒険者ギルドの資料に書いてあった。
そんなわけで、『獣王の森』を選んだんだけど……
◇
ダンジョンに足を踏み入れた僕達は、早速A級ダンジョンの洗礼を受けていた。
ダンジョンなのに森というのも驚きだったけど、地下一階層から出てくる魔物がダンジョン外の魔物よりも強く、しかも数が多いんだ。
まぁ、それでも今の僕達の敵ではないけどね。カエデのお陰で、視界の悪い森でも不意を突かれる事はないし、鉄壁のタイタンが全ての攻撃を受け止めてくれる。
そんなふうにして僕達は危なげなく魔物を斃しながら、下の階層へと歩を進めていった。
「それにしても、出てくる魔物の種類が多いな」
「獣系、蟲系、アンデッド系とバリエーションが豊富ですよね」
まあ、どの魔物もレベルがそんなに高くないのでサクッと斃せたけど、初級の冒険者ならキツイ魔物密度だと思う。
不思議なのは、下の階層へと下りていっているのに、どの階層にも森と空がある事だ。地下なのに何故? と思うけど、考えてもわからないのでスルーしておく。
『ギャギャギャギャ!!』
そうこうしているうちに、手が異常に長い猿の魔物、クレイジーエイプが木の上から襲いかかってくる。
タイタンが前に出て大盾で防ぎ、カエデが硬糸で迎え撃ってくれた。続けてソフィアと僕が槍で突き刺し、マリアとレーヴァが魔法を放つ。
このくらいの魔物なら今の僕達には問題ないな。
「次はマリアが槍で、レーヴァが杖。僕とソフィアは魔法で戦おう」
まだ余裕があるうちに、スキルの訓練をしておく事にした。
ソフィアは槍と剣と魔法、マリアは槍と魔法、レーヴァは魔法と杖、カエデは糸と鉤爪、僕は槍と剣と体術に魔法。それぞれ連携を確認しながら、ローテーションで戦っていく。
「ふん!」
バゴォーン!
拳王術を修得するまで覚醒した僕の体術は、身体制御スキルと魔闘術スキルの上昇も相俟って、容易く魔物を葬る事が出来た。
森はカエデの独壇場だ。カエデは出す糸の性質を臨機応変に変え、襲いくる魔物を捕獲し蹂躙していく。
ソフィアの精霊魔法は相変わらず反則級の威力だし、騎士達との訓練を通して磨き上げられた彼女の剣術と槍術は、既に上位スキルに覚醒する目前だ。
マリアとレーヴァの成長は目覚ましく、その技量は一流冒険者の域に入るのも時間の問題だとバラックさんから言われている。
そういえばそのバラックさんからよく言われてたけど、パーティメンバーの成長速度のおかしさに僕もようやく気がついた。これは僕に与えられた女神ノルンの加護の効果が、パーティメンバーにまで及んでいるのだと思う。
カエデは単体でAランクの魔物を葬る実力を見せているし、タイタンの装甲はもうドラゴンの攻撃にも耐えるかもしれないな。
「ここが中ボスの部屋ってやつか」
僕達は、地下十階層の豪華な扉の前までやってきた。
地下十階層からは、森のダンジョンとオーソドックスな洞窟型ダンジョンが交互になると事前の情報収集でわかっている。
地下十階層は洞窟タイプで、石の壁で囲まれた広い通路と複数の部屋で構成されていた。部屋の一つひとつをしらみつぶしに探索した結果たどり着いたのが、この重厚な扉だった。
「中の魔物は何だろうね」
「私がボルトンの図書館と冒険者ギルドの資料室で調べてきた情報によると、何パターンかあるらしいです。オークジェネラルが率いるオークナイトとオーク合わせて十体ほどの群れか、狼系の上位種が率いるブラッドウルフ二十体って載ってました」
マリアは随分詳しく調べてくれたみたいだね。
このダンジョン『獣王の森』の最高到達階層は、地下三十階層。そこまでの地図やボス部屋の情報は、ギルドなどで手に入れる事が出来る。ちなみに浅い階層の地図は無料だが、五階層からは有料。深い階層になるほど高額で取引されている。
ギィッ。
扉を開いて覗いてみると、ボス部屋内には黒い煙が渦巻いていた。さらに目を凝らすと、3メートル近い巨体のオークジェネラル一体、オークナイト三体、オーク七体がいるのがわかった。
『ブゥオォォォォォーー!!』
オークジェネラルの雄叫びと共に、オークナイトとオークが襲いかかってくる。
すかさず僕はみんなに指示を出す。
「タイタンはオークジェネラルを! ソフィアと僕でオークナイトを! 後はマリア、カエデ、レーヴァで頼む!」
「「「はい!(はーい!)」」」
オークナイトに向かって駆けだす僕とソフィア。カエデはマリアとレーヴァをカバーし、タイタンは重い足音を立てながらオークジェネラルに突撃していった。
後衛のレーヴァが炎の球をばら撒く。
「焼き払え! 狐火!」
『ブゥモォォォォォーー!!』
顔を焼かれて苦しむオーク達。そこにマリアが焔槍【爆炎槍】を手に突撃する。
一方、オークナイトは僕に向かってロングソードを振り下ろそうとしていた。僕はそれを余裕を持って避けると、側頭部に掌底を打ち込む。
バフッ!!
オークナイトの脳が錬金術『分解』によって破壊され、糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
僕の横では、ソフィアが風槍【暴風槍】を横薙ぎにして、オークナイトを鎧ごと真っ二つにしている。
オークの群れを、焔槍【爆炎槍】を振るって仕留めていくマリアと、ファイヤーランスの魔法で焼き殺していくレーヴァ。その二人に近づこうとするオークは、カエデの糸でバラバラにされていった。
ガァァァァァァン!!
タイタンが大盾でオークジェネラルの大剣を防ぐ。
オークジェネラルの体勢が崩れたところへ、タイタンの巨大なメイスが振り下ろされ、その頭を叩き潰した。
ゴバァ!!
僕は一息つくと、ソフィアに話しかけた。
「ふぅ、十階層のボスならこの程度かな」
「そうですね。私達なら、よほどの事がない限り負けないと思います」
「タクミ様ー! 宝箱ですよー!」
マリアが宝箱が出現した事を教えてくれた。
宝箱には罠はないようだったので早速開けてみると、宝石や金貨、レアリティが中級のマジックアイテムが少し入っていた。
何故かマリアは残念そうにしている。
「マジックアイテムは……タクミ様が造った物の方が良いですね」
「でも、売れば高く買ってくれるだろう」
世間的には十階層のボスがドロップするアイテムは貴重な物なんだろうけど、確かに僕達的にはイマイチだった。
まぁ高額で売れそうだから、それはいいんだけどね。
2 歪んでいく
時代と場所は変わって、数年後のシドニア神皇国。
アキラ、ヤマト、アカネの三人がミルドガルドに召喚され、半年が過ぎようとしていた。
彼らは順調に成長しており、この世界の平均的な冒険者に比べて、その成長速度は目を見張るものがあった。
シドニア神皇国の教皇ワルバールを始めとした神光教の教会関係者は、そんな召喚勇者達に期待していた。何せ彼らは、召喚魔法陣が使えなくなった今となっては、増員が利かない貴重な戦力なのだ。
アキラとヤマトにまとわりついている女達が甘えた声を出す。
「アキラ様、今日は何処で遊びます?」
「外出します? それともまた部屋に籠るの?」
鼻の下を伸ばしたアキラが答える。
「そうだなぁ、今日は街へ繰り出すか」
「「は~い!」」
アキラとヤマトは女をあてがわれ骨抜きにされていた。煽てられて舞い上がった二人は、聖戦という名の侵略戦争に駆り出される事さえ良しとし始めている。
そんな二人に、冷たい視線を向けるのは、アカネである。
「あなた達、少しは恥ずかしいと思わないの?」
アカネがそう非難すると、二人は下卑た笑みを浮かべた。
「何だアカネ、お前も俺達に抱いてほしいのか? 俺はいつでもOKだぞ」
「あぁ、アカネが頼むんなら、抱いてやっても良いな」
二人が、アカネの身体を上から下まで舐めるように見る。
「最低ね。もう、あなた達と話すのも嫌だわ。今後、必要な事以外は話しかけてこないで!」
アカネはそう吐き捨てると、二人に背を向けて去っていった。
アキラとヤマトが下品に笑い合う。
「クックックッ、アカネ、かりかりしてんな」
「ヘヘヘッ、たぶん生理なんじゃねーの」
アキラとヤマトは、もはや完全に教会の言いなりになっていた。
二人は神光教の人族至上主義の考えを受け入れ、シドニア神皇国がバーキラ王国とロマリア王国を侵略しようとしている事に疑問を感じていない。
唯一アカネだけは、召喚当初からシドニア神皇国と神光教会に対して疑いを持っていた。そのため彼女は、この国からの脱出の機会を探し続けていた。
◆
「大変です、ノルン様!」
天使がノルンの元に慌ててやってきた。
「何? そんなに取り乱して」
「大変なんですよ! シドニア神皇国とトリアリア王国で、神光教が崇拝している主神を知っていますよね?」
「いもしない、アナトとかいうやつでしょ」
この世界では、存在しない神を崇拝する事自体はよくある話だ。それにもかかわらず、天使は随分慌てていた。
「それが、長年信仰対象になっていたからか、邪精霊に成りかけています。神格はさすがに得ていませんが」
「う~ん、邪精霊くらいなら問題ないんじゃない?」
邪精霊から神格を得るには長い年月がかかるし、そうして神格を得たとしても下級神に成長するのが限界だった。そんな存在、ミルドガルドの創造神であるノルンにとって塵芥と変わらない。ノルンの御使である天使よりも格は下に過ぎないのだ。
「これが普通の国なら問題ないでしょうけど。勇者召喚なんてやらかす国と、綺麗なエルフを好き勝手したいという欲望のみで戦争を始めるバカな国が関わっているんです。いつ大陸に戦乱が起きてもおかしくありません」
「はぁ~、そういう事ね。戦乱はきっと起こるでしょうね。邪精霊でもそのくらいの力はあるだろうし」
と言っても、邪精霊自身が直接何かをするわけではない。邪精霊には、奇跡や加護を与える事は出来ないからだ。
ただ、邪精霊を信仰するようになると、人々の魂に歪みが表れてしまう。より好戦的により、退廃的に、少しずつ人々の意識を歪ませてしまうのだ。さらに、魔物は強力になり数が増える。こうした邪精霊の被害は、大陸全土に及ぶ可能性があるという。
「でも、私が直接干渉するのは出来ないでしょう。そんな事したら、ミルドガルドが崩壊しかねないもの」
創造神であり、創世教の主神であり、そして大神でもある女神ノルンが、邪精霊ごときを直接排除に動くというのは、下界に与える影響が大きすぎるのだ。
天使がため息を吐いて言う。
「はぁ~、そうですよね。いっそ、ミルドガルドをリセットしちゃいます?」
「何言ってるの! 創造神の私が破壊神の真似事してどうするのよ」
ちなみに、ミルドガルドには破壊神は存在しない。あえて言えば、ノルンが創造と破壊の神を兼ねている。
ノルンは表情を和らげると、優しげに呟いた。
「大丈夫よ。きっとタクミ君が何とかしてくれるわ」
「あぁ、あの、ノルン様のお気に入りの子ですか。確か、ノルン様が直々に身体を創造して、過剰な加護を与えた子でしたよね」
ノルンはムッとして言う。
「何か言い方に棘がある気がするけど……でも、タクミ君は大当たりだったでしょう?」
「まぁ、否定はしませんけど。ともかく、ノルン様のお気に入りが、ミルドガルドの子達を救ってくれる事を期待します」
そうして会話を終えた天使と女神は、下界を覗き込むのだった。
3 アースドラゴン
十階層のボス部屋を抜けると、僕、タクミの前に転移魔法陣と下へ続く階段が現れた。魔法陣に飛び込めば、一階層の入り口近くに帰還出来るようだ。
少し休憩を取った後で階段を下りたんだけど、そんな僕達を出迎えるのは再び深い森だった。
「はぁ、また歩きにくい森タイプか。タイタン、先頭を頼むよ」
「リョウカイデス、マスター」
この階層辺りは探索し尽くされているため、寄り道しないで階段までまっすぐ進む事にする。
冒険者ギルドで購入した地図を頼りに、タイタンを先頭に進んでいると、ダンジョンのもう一つの洗礼を受けるハメになった。
カチッ。
ズドォォォォーーン!
「うわぁ! タイタン! 大丈夫か!」
『モンダイ、アリマセン』
小さな音がしたと思ったら、突然タイタンの姿が消えてしまった。
落とし穴の罠が発動し、タイタンが落ちたんだ。
穴に向かって声をかけたら、ちゃんと返答があったから大丈夫だとは思うんだけど……
ドォーン!
タイタンが、背中の魔力ジェット推進器から爆音を響かせ、地上に降り立った。
故障していないか確認したところ、アダマンタイト合金製のボディには、キズ一つ付いていないようだ。
「問題ないみたいだね」
続いてタイタンの落ちた罠の確認をすると、穴の底には石の槍が並んでいたみたいだけど、タイタンに踏み潰されて粉々になっていた。罠にかかったのがタイタンで良かった。人間だったら串刺しだったね。
しかしここに来て罠か。しかも、致死性が高そうじゃないか。
僕はみんなに注意喚起する。
「この階層から罠があるみたい。今まで以上に警戒して進もう」
「「「はい」」」
落とし穴を迂回して、先に進む。
その後も、矢や槍衾という罠があったんだけど、全てタイタンが受けてくれた。鉄の鏃や穂先くらいじゃ、タイタンのボディにはキズすら付ける事は出来ない。
全ての罠にかかって突破していくという、スマートさのカケラもない漢解除で、タイタンを先頭に進んでいく。
僕はそんな進み方にちょっと困惑しつつ、ソフィアとマリアに話しかける。
「斥候職や盗賊職の人が見たら怒りそうだね」
「解除とは言えませんからね」
「全部引っかかって罠を潰してますもんね」
そんなふうにタイタンにしか出来ない方法で罠を潰しながら、時折襲いくる魔物を斃して先へ進む。
カチッ。
カカカカッ!
何かのスイッチが入る音がしたと思ったら、タイタンめがけて壁や天井から複数の矢が襲ってきた。
当然、タイタンにはキズも付けられないから大丈夫だけど……
「今度は矢かよ」
「タクミ様、この矢、毒矢ですね」
ソフィアが落ちた矢を拾い、慎重に調べて言った。
このダンジョンの罠、本当に致死性の高い罠は少ないの? 毒矢なんて殺意高くない?
カチッ。
そんな事を思っていると、またもや嫌な音が聞こえた。スイッチを踏んでしまったらしい。
「へっ!? ウソ?」
ゴロゴロゴロゴロォォォォーー!!
まるで何かの映画のワンシーンのように、大岩が転がってくるのが見えた。
「た、退避ー! 曲がり角まで戻るんだぁーー!」
「キャァーー!」
必死で走る僕達をよそに、カエデは何かのアトラクションでも楽しんでいる感じだ。だって顔が満面の笑みだもの。
ズドォォォォン!!
脇道に逃げて大岩を避けると、僕はみんなに声をかける。
「ハァハァハァ、何とか助かったね」
「次にダンジョンへ来る時は、盗賊職の方をスカウトしてからにしましょう」
「帰ったらバラックさんに文句言ってやる」
「ハァハァ、死ぬかと思ったであります」
「あ~、面白かった」
ソフィアから準備不足を指摘されてしまった。マリアは拳を握って怒っていて、レーヴァは顔を真っ青にしている。
レーヴァ、仲間になって間もないのに、酷い目にあわせてゴメンよ。それと、やっぱりカエデは楽しんでいたんだね。
まぁ、いいんだけどさ。
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