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第十二話 ホクトとサクヤ狩をする
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ヴァルハイム家の広い庭で二人の子供が模擬戦をしていた。
ただその動きが異常だった。
二人は時折、何もない空中を蹴り、あり得ない軌道で動き回っている。
思わず目を疑ってしまいそうな信じられない動きを見せる二人の子供。ホクトとサクヤは今年で八歳になった。
あれからホクトは剣と体術の他に弓、槍、棍と投擲術と、様々な武器の修行していた。
サクヤは剣も体術の他に、双剣、弓、杖術、投擲術を身につけた。
この一年でお互い身体も大きくなった。もう少し大きくなった時点で本格的な鍛錬を始める。これまで成長を阻害しない様にセーブしていた二人。魔力のサポートなしで、生身の身体能力を鍛え始める予定だった。
高速で動きながら攻防を繰り返すホクトとサクヤ。実力が拮抗している様に見えるが、実は近接戦闘ではもうサクヤではホクトには敵わない。その為、ホクトが模擬戦の中で絶妙に加減して、サクヤよりも僅かに上回る程度の力量で相手をしている。そうする事によってサクヤの近接戦闘能力を少しづつ効果的に引き上げている。
パン!パン! 庭に手を叩く音がして、二人の模擬戦が終わる。
「二人共、それ位にして準備をして来なさい」
「「はーーい!」」
フローラが二人を呼ぶ。今日はこれからカインに森へと狩に連れて行って貰う日だ。元気よく返事した二人が準備をしに屋敷に走り込む。
ホクトとサクヤが、お揃いの革鎧を装備して表に出ると、カインが装備を整えた数名の従士を連れて待っていた。その中にはホクトの兄アルバンとサクヤの兄バジルも居た。
「今日は二人を狩に連れて行く。森の浅い場所だから危険は少ないが魔物が居ない訳じゃない。くれぐれも注意を怠らないこと」
「「はい!」」
「ホクトもサクヤちゃんも落ち着いてるな~」
「アルバン兄様、ヴァルハイム男爵領内にはそんなに強い魔物は居ませんから」
にこやかにそう言う十歳にも満たない弟に溜息を吐く。
「ホクト、ゴブリンでも数が多いと普通は驚異なんだよ」
やれやれと言ったように首を横に振る。
「アルバン、うちの妹とホクトは普通じゃないから」
バジルがニコニコしてサクヤの頭を撫でている。
そう言ったバジルはサクヤの実の兄だ。彼はサクヤの事を溺愛している。同じ血筋で人族とエルフと種族が違う兄妹だが二人はとでも仲が良い。
「またバジルのシスコンが始まった」
「そろそろ出発するぞ!」
カインが号令をかけて隊列を組み出発した。
ヴァルハイム男爵領内にも魔物が出没する場所は多数ある。と言うよりも魔物が居ない場所の方が少ないと言った方が正しいだろう。
この広大な大陸に複数の国があるが、全部の国を併せてもその人口は、東京都の人口よりも少ない。それは魔物の所為で大きな街を造れないという理由がある。人が大勢集まると、それを餌に魔物が集まって来るのだ。そう言った理由で比較的大きな街は全て高い城壁に囲まれた城郭都市となっている。
城郭都市はその高い城壁に囲まれている故に、都市の大きさに限界があり、この大陸最大の都市の人口は二万人だった。
辺境にあるヴァルハイム男爵領内には、小規模な魔物が生息するスポットがあり、カインも定期的に討伐している。
今回は魔物の調査も兼ねた狩にホクトとサクヤが同行する事になったのだ。
森の中を気配を消して先頭を歩くのは、フードを目深に被った子供。斥候をホクトが勤めているのだ。ローブのフードを目深に被って顔を隠しているのは、ホクトの美しい容姿がトラブルの種にならないよう。同じ理由でサクヤもフードで顔を隠している。
ホクトが斥候の役割を果たしているのは、彼が一番気配を消す技術に長け、索敵能力にも優れているからだ。
先頭を歩いていたホクトが立ち止まり、ハンドサインで獲物の位置を背後に伝える。
ホクトが見つけたのはビッグホーンと呼ばれる鹿の魔物。大型の魔物で肉が美味しい為、街でも需要が高い。
ホクトが後ろを見ると、カインがホクトに任せるとハンドサインをする。
ホクトは頷くと弓に矢をつがえ、慎重に狙い矢を放つ。
矢は狙い違わずビッグホーンの首に深く刺さる。
ビッグホーンは少し暴れたが、何時の間にか距離を詰めたホクトがナイフでとどめを刺した。
皆んながホクトの側に近付いて来る。
「なぁホクト。矢の威力が尋常じゃない様に見えたんだけど」
兄のアルバンが首を貫通した矢を見て聞いた。
「あゝそれは兄上、矢を放つ時に風の精霊が力を貸してくれましたから」
ホクトとサクヤは精霊に愛されている。
ホクトが矢に力が欲しいと思うだけで風精霊が力を貸してくれたのだ。そこに詠唱は必要ない。
「ふぅ、デタラメだな……、僕の弟は」
ビッグホーンの巨体を取り敢えずホクトが収納する。
その後もホクトが先頭に立ち森の探索を続ける。
ただその動きが異常だった。
二人は時折、何もない空中を蹴り、あり得ない軌道で動き回っている。
思わず目を疑ってしまいそうな信じられない動きを見せる二人の子供。ホクトとサクヤは今年で八歳になった。
あれからホクトは剣と体術の他に弓、槍、棍と投擲術と、様々な武器の修行していた。
サクヤは剣も体術の他に、双剣、弓、杖術、投擲術を身につけた。
この一年でお互い身体も大きくなった。もう少し大きくなった時点で本格的な鍛錬を始める。これまで成長を阻害しない様にセーブしていた二人。魔力のサポートなしで、生身の身体能力を鍛え始める予定だった。
高速で動きながら攻防を繰り返すホクトとサクヤ。実力が拮抗している様に見えるが、実は近接戦闘ではもうサクヤではホクトには敵わない。その為、ホクトが模擬戦の中で絶妙に加減して、サクヤよりも僅かに上回る程度の力量で相手をしている。そうする事によってサクヤの近接戦闘能力を少しづつ効果的に引き上げている。
パン!パン! 庭に手を叩く音がして、二人の模擬戦が終わる。
「二人共、それ位にして準備をして来なさい」
「「はーーい!」」
フローラが二人を呼ぶ。今日はこれからカインに森へと狩に連れて行って貰う日だ。元気よく返事した二人が準備をしに屋敷に走り込む。
ホクトとサクヤが、お揃いの革鎧を装備して表に出ると、カインが装備を整えた数名の従士を連れて待っていた。その中にはホクトの兄アルバンとサクヤの兄バジルも居た。
「今日は二人を狩に連れて行く。森の浅い場所だから危険は少ないが魔物が居ない訳じゃない。くれぐれも注意を怠らないこと」
「「はい!」」
「ホクトもサクヤちゃんも落ち着いてるな~」
「アルバン兄様、ヴァルハイム男爵領内にはそんなに強い魔物は居ませんから」
にこやかにそう言う十歳にも満たない弟に溜息を吐く。
「ホクト、ゴブリンでも数が多いと普通は驚異なんだよ」
やれやれと言ったように首を横に振る。
「アルバン、うちの妹とホクトは普通じゃないから」
バジルがニコニコしてサクヤの頭を撫でている。
そう言ったバジルはサクヤの実の兄だ。彼はサクヤの事を溺愛している。同じ血筋で人族とエルフと種族が違う兄妹だが二人はとでも仲が良い。
「またバジルのシスコンが始まった」
「そろそろ出発するぞ!」
カインが号令をかけて隊列を組み出発した。
ヴァルハイム男爵領内にも魔物が出没する場所は多数ある。と言うよりも魔物が居ない場所の方が少ないと言った方が正しいだろう。
この広大な大陸に複数の国があるが、全部の国を併せてもその人口は、東京都の人口よりも少ない。それは魔物の所為で大きな街を造れないという理由がある。人が大勢集まると、それを餌に魔物が集まって来るのだ。そう言った理由で比較的大きな街は全て高い城壁に囲まれた城郭都市となっている。
城郭都市はその高い城壁に囲まれている故に、都市の大きさに限界があり、この大陸最大の都市の人口は二万人だった。
辺境にあるヴァルハイム男爵領内には、小規模な魔物が生息するスポットがあり、カインも定期的に討伐している。
今回は魔物の調査も兼ねた狩にホクトとサクヤが同行する事になったのだ。
森の中を気配を消して先頭を歩くのは、フードを目深に被った子供。斥候をホクトが勤めているのだ。ローブのフードを目深に被って顔を隠しているのは、ホクトの美しい容姿がトラブルの種にならないよう。同じ理由でサクヤもフードで顔を隠している。
ホクトが斥候の役割を果たしているのは、彼が一番気配を消す技術に長け、索敵能力にも優れているからだ。
先頭を歩いていたホクトが立ち止まり、ハンドサインで獲物の位置を背後に伝える。
ホクトが見つけたのはビッグホーンと呼ばれる鹿の魔物。大型の魔物で肉が美味しい為、街でも需要が高い。
ホクトが後ろを見ると、カインがホクトに任せるとハンドサインをする。
ホクトは頷くと弓に矢をつがえ、慎重に狙い矢を放つ。
矢は狙い違わずビッグホーンの首に深く刺さる。
ビッグホーンは少し暴れたが、何時の間にか距離を詰めたホクトがナイフでとどめを刺した。
皆んながホクトの側に近付いて来る。
「なぁホクト。矢の威力が尋常じゃない様に見えたんだけど」
兄のアルバンが首を貫通した矢を見て聞いた。
「あゝそれは兄上、矢を放つ時に風の精霊が力を貸してくれましたから」
ホクトとサクヤは精霊に愛されている。
ホクトが矢に力が欲しいと思うだけで風精霊が力を貸してくれたのだ。そこに詠唱は必要ない。
「ふぅ、デタラメだな……、僕の弟は」
ビッグホーンの巨体を取り敢えずホクトが収納する。
その後もホクトが先頭に立ち森の探索を続ける。
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