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第7部 才能と現実の壁
4-7本物のヒーローってこういうものなのかもな
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私は〈あおぞら学園〉の敷地の中で、男たち数人に、袋叩きにされていた。完全に取り囲まれ、全方向からの同時攻撃で、全く身動きが取れなかった。ただ、虚しく、鈍い音だけが響く。
今できるのは、ひたすら、耐えるだけだ。滅茶苦茶、悔しいけど。こいつらの気が済んで、立ち去るまで、ジッと我慢するしかない。
奴らの意識は、完全に、私に向いている。これなら、子供たちが、被害に遭うことはないだろう。物凄く、情けない状況だけど。一応『みんなを守る』という目的は、達せられそうだ。
どうせ、こういうのは、子供のころから慣れてるし……。涙を呑んで、ほんの一時、恥辱に耐えさえすれば、嵐はいずれ通り過ぎるのだから――。
だが、その時、大きな声が響いた。
「あなたたち、やめなさいっ!! 私が相手よ!」
その言葉で、ピタリと攻撃が止まった。
私は、声の主のほうに視線を向ける。そこには、ほうきを手にした、風歌が立っていた。
って、馬鹿! お前みたいな素人が、敵う人数じゃないだろ……。
よく見ると、風歌は、膝がガクガクと震えていた。まったく、弱いくせに。何を強がってんだ、あいつは?
いや――そうじゃない。強さとは、腕力じゃないくて、心だ。風歌のやつ、普段は、ヘラヘラしてるくせに、意外と肝が据わってるんだよな。ミラ先輩も、いつも、言ってるじゃないか。強さとは、心の強さだって……。
ったく、しょうがないなぁ。あんな、へなちょこが、踏ん張ってるのに。私が、ビビッてる訳には、行かないよな。どうやら、この場で、まともに戦えるのは、私だけみたいだし――。
私は、覚悟を決めると、ゆっくり体を起こした。全身に痛みが走るが、まだ、体は動く。ただ、あの人数を相手に、どこまでやれるかは、分からない。それでも、精一杯あがいて、やれるだけのことは、やってやる。
そう思って構えた瞬間『ズーンッ!!』と、地面に衝撃が走った。風歌に向けられていた、男たちの視線が、一斉にそちらのほうに移る。
「おいっ、何だ?! 空から、人が降って来たぞ!!」
私は、その姿を見て唖然とした。
「……ミラ先輩っ!! なんで、こんな所にっ?! てか、あの高さから、飛び降りるとか、あり得ないでしょ?」
上空には、一台のエア・カートが浮遊している。運転しているのは、同じジムの人だが、彼女も、言葉にならない、驚きの表情を浮かべていた。
なんせ、十メートル近い、高さがあるのだから。そんな所から飛び降りるなんて、正気の沙汰じゃない。普通なら骨折。下手をしたら、命を落とすことだって、あり得る。それ以前に、普通なら怖くて、飛び降りられやしない。
「朝から、様子がおかしかっただろ? 相変わらず、嘘が下手くそだな。まぁ、お前が決めて始めたことだから、手を出すつもりは、なかったんだがな。見てたら、あまりに不甲斐ねぇ戦い方をするから。つい、しゃしゃり出ちまったじゃねーか」
「じゃあ、ずっと見てたんですか――?!」
「一部始終な」
ミラ先輩は、あっさり言い放つ。
「って、見てたなら、もっと早く、助けてくださいよっ!」
「馬鹿いえ。お前が買った喧嘩だろ? やるなら、最後まで、自分で責任を持って戦え。だが、今回だけは、特別レクチャーだ。しっかり、戦い方を見とけ」
ミラ先輩は、バキバキと指を鳴らす。よく見ると、滅茶苦茶、楽しそうな表情をしていた。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ……これは、超ヤバイ! あの顔は、マジでやる時の表情だ。あいつら、全員、死ぬぞ――。
「おいっ、勝手に割り込んで来たうえに、何をごちゃごちゃ、くっちゃべってんだ? このくそアマがっ!」
「おー、悪ぃ悪ぃ、待たせちまったな。てめえら、全員ぶっ潰してやるから、そう焦んなよ」
ミラ先輩は、拳を突き出すと、親指をグッと下に向けた。
「このっ、舐めやがって! ぶっ殺してやる!!」
一番、長身の大柄の男が、思い切り殴り掛かって来る。
だが、拳が、ミラ先輩の顔面に当たる寸前、男の巨体が、後方に放物線を描いて吹っ飛んだ。あまりに一瞬の出来事に、皆、声を出すこともできず、場が静まり返った。
あの高速のカウンターは、素人には、見えなかっただろう。それに、ミラ先輩のカウンターは、私のなんかとは、威力が比べ物にならない。そもそも、普段は、そんな技巧派の攻撃をしないのに。本気で、私に戦い方を、見せるつもりだろうか?
「お……おいっ、全員で取り囲むんだ! 相手は、女一人。油断しなければ、なんてことはない」
眼鏡の男が指示を出すと、再び男たちは、組織的に動き始めた。先ほど倒れていた男も、戦線に復帰しているので、全員で七人だ。
いくら、格闘のプロでも、MMAは、一対一のルールのある戦い。しかも、相手は、喧嘩慣れした、裏の世界の連中だ。いくら世界チャンピオンとはいえ、これは、分が悪い。でも、不思議と、ミラ先輩が負ける気が、全くしなかった。
男たちは、ジリジリと近づくと、一斉に攻撃を開始した。ある者は拳で、ある者は足で。後方からは警棒で。だが、ミラ先輩は、最低限の動きで、その全てをかわす。まるで、後ろにも、目が付いているような動きだった。
しかも、かわすと同時に、しっかり攻撃を繰り出している。男たちの体が、次々と吹っ飛んでいく。あっという間に、残りが三人になった。
強い……強すぎる。次元の違う強さだ。まだ、全然、本気を出してないのに。しかも、あれだけの人数を、相手にして――。
「何だ、ただの雑魚かよ。こんなんじゃ、ウォーミング・アップにもならねーな」
「このっ、言わせておけばっ!!」
後方にいた男が、警棒を振りかぶり、殴りかかった。しかし、
「まっ、待てっ!! そいつは、ヤバイっ!」
眼鏡をかけた男が、少し青ざめた表情で、警告を発する。
次の瞬間、警棒を持った男は、振り下ろした腕を、ガッチリ掴まれていた。男は、必死に腕を動かそうとするが、ピクリとも動かない。その直後、鈍い音を立て、ミラ先輩の右こぶしが、男の腹部に深々とめり込んだ。
あまりの威力に、思わず目を背けそうになる。もろに入ったので、痛みが、こっちまで伝わって来そうだった。男は、今の一撃で、白目をむいて、気絶していた。ミラ先輩は、無造作に、その男を放り投げる。
立て続けに、側面にいた男が、殴りかかって来た。だが、男の拳が届くよりも早く、ミラ先輩のハイキックが、男の顔面に直撃する。男は、鼻血を吹き出しながら、大きく吹っ飛んだ。
相変わらず、容赦がない。加えて、あの楽しそうな笑顔。私は、その鬼のような姿を見て、背中にゾクゾクと寒気が走った。
これが、本来のミラ先輩――。クールに戦っている試合の時も、滅茶苦茶、強いけど。普段は、意識的に、抑えてたのか……。
どうやら、こっちの、感情むき出しで荒っぽい戦い方が、本来のミラ先輩のファイティング・スタイルらしい。
そういえば、トレーナーが、以前、言っていた。ミラ先輩は昔、手が付けられないほど、荒れてた時期があったって。あれは、間違いなく、喧嘩慣れしてる動きだ。おそらく、そうとうの修羅場を、くぐって来たのだろう。
周りの男たちを、全て蹴散らすと、ミラ先輩は、眼鏡の男に、ゆっくりと近づいて行った。一歩、近付くにつれ、男の表情が、恐怖でゆがむ。
「てめぇだな、こいつらの頭は? うちの後輩を、ずいぶんと、可愛がってくれたようじゃないか。たっぷり、礼をしねぇとな」
「なっ――なんで、MMAチャンピオンが、こんな所にいるんだ?! ま、待て……話せば分かる。こんな所で、暴力沙汰を起こしたら、選手生命が断たれるぞ――」
「なんだ、知らねえのか?『正当防衛』って、便利な言葉。正当防衛なら、なにをやっても、許されんだよ」
ミラ先輩は、男に近付くと、笑みを浮かべながら、楽しそうに答えた。あの、凄く悪そうな表情。どっちがマフィアだか、分からないな……。
「おっ、お前、それでもチャンピオンか? それに、シルフィード・クイーンが、暴力なんて、振るっていいのか――?」
「フッ、知るか、そんなもん。俺は、俺だっ!!」
次の瞬間、男の顔面に、重い拳が突き刺さった。男は、ものの見事に、大きく吹っ飛んだ。まるで、アクション映画でも見てるかのような、派手な吹っ飛び方だった。地面には、粉々に砕け散った眼鏡が落ちている。とんでもない、破壊力だ。
いくら、正当防衛とはいえ、あの男、死んでないだろうな……? ミラ先輩、本当に、容赦ないからなぁ。間違いなく、殺す気でやってたよな――?
何か、別の意味で、心配になって来た。私は、痛む体を押さえながら、ゆっくり近づいて行き、声を掛ける。
「あの……大丈夫なんですか?」
「あぁ、しっかり、手加減はしておいた」
「いや、そっちじゃなくて。MMAチャンピオンが、暴力沙汰だなんて、流石にマズくないですか? 最悪、試合の出場停止とか――」
一番の心配はそこだ。プロが素人を殴ったとなると、大問題になる。しかも、ミラ先輩ほどの有名人となると、マスコミ連中が、黙っていないだろう。下手をすれば、プロ格闘家のライセンスを、はく奪されかねない。
「そんな細かいこと、気にするな。こう見えても、シルフィード・クィーンだぞ。俺の人脈、舐めんなよ」
「はぁ……。それは、そうですけど」
「それより、何で最初から、俺に言わなかった? 人一倍、弱いくせによ」
「うっ――」
『弱くない』と反論しようとしたが、声が出なかった。実際には、ボコボコに、返り討ちにあった訳だし。もし、ミラ先輩が来なかったら、どうなってたか分からない。
「ったく、つまんねぇ、気ぃ回してんじゃねーよ。俺を気遣うなんて、十年、早ぇっての」
「あだっ!」
ミラ先輩のげんこつが、脳天に直撃する。でも、いつもよりも、優しい感じがした……。
******
〈あおぞら学園〉の件から、一週間後。私は〈東地区〉の、海岸沿いを走っていた。あのあと、病院に行ったが、骨などに異常はなかった。お蔭で、無事に試合に出ることができ、しっかり、勝利もつかんだ。
あの一件で、ボコボコにされたことで奮起し、滅茶苦茶、気合が入っていたのも、勝因だったと思う。それに、本物の戦いで、自分の甘さや欠点も、色々と見えた。
ちなみに、あの事件のあと、世間では、大きな動きがあった。大々的に、マスコミで報道され、大変な話題になったのだ。
孤児院に、マフィアが押し入ったところを、偶然『金剛の戦乙女』が通りかかり、助けに入った。という話になっている。
連日のこの報道により、ミラ先輩は『正義のヒーロー』として、ますます、人気に火がついた。リアルでもスピでも、ミラ先輩の武勇伝で、持ちきりだ。
なお、マフィアを全員のしたあと、ミラ先輩は、知り合いの刑事に連絡して、上手く処理してもらった。何でも、昔、よく喧嘩をした際に、お世話になった人らしい。
また、この取り調べの際に、ミラ先輩は『自分一人でやった』と、答えていた。私に被害が及ばないように、全て一人で、罪をかぶってくれたのだ。当然、私は反論したが、無理矢理、口裏を合わさせられた。
あと〈アクア・リゾート〉の社長にも連絡し、マスコミ関連の根回しを依頼した。ミラ先輩は、シルフィードとしても、MMA選手としても、会社の大看板だ。なので、社長は、すぐさま、関係各所に手を回してくれた。
加えて〈MMA本部〉や〈シルフィード協会〉にも連絡。ミラ先輩の人脈を、フル活用して、全てを理想的な方向に、情報操作していた。
最終的に、ミラ先輩の暴力問題は、一切、不問。それどころか、英雄的な扱いになった。また、孤児院の惨状を表に出し、多くの人たちの、関心と同情を集めた。
〈アクア・リゾート〉〈シルフィード協会〉〈MMA本部〉を始め、一般人からも、沢山の寄付金が送られて来た。しかも〈グリュンノア〉だけじゃなく、世界中からだ。
中でも、ミラ先輩のファンが、最も積極的に行動し、寄付のための、クラウド・ファンディングが、立ち上げられた。その結果、一日で、五千万ベルを越える、とんでもない額の寄付金が集まった。
さらに、行政府の福祉課の、対応のずさんさも、マスコミで、大きく取り上げられた。世間からの批判が集中し、流石に福祉課も、重い腰を上げ〈あおぞら学園〉を、特別保護施設に認定。
これによって〈あおぞら学園〉は、正式に、行政府の保護下に入った。そのお蔭で、行政府より、永続的な運営資金の援助が、行われることに。
当然、マフィアの事務所にも、警察の捜査が徹底的に入った。捜査によって、様々な不正や、リゾートホテルを建てるために、違法な地上げをやっていた事実も、明るみに出た。
〈あおぞら学園〉を、襲撃した者は、もちろん。沢山の関係者たちが、逮捕された。これで、二度と、マフィアによる被害は、出ないだろう。
今回の一件で、私はミラ先輩の凄さを、改めて思い知った。何でも、腕力で強引に解決することが多いが、それは、彼女の強さの、一端に過ぎない。
多くの人脈を持っているのもあるが、それを上手く使ったのは、ミラ先輩の、機転と知略だ。恐ろしいまでに、計算しつくされており、全てが、彼女の思惑通りに進んでしまった。
前々から思っていたが、ミラ先輩は、物凄く頭がいい。とりわけ、戦いのことに関しては、とんでもなく頭が切れる。武力だけじゃなく、頭脳戦でも、滅茶苦茶、強い。正々堂々を胸にしてるけど、本気を出したら、ここまでやれてしまうのだ。
本物の正義の味方とは、こういうものなのかも知れない。ルールや法律などの、形にこだわらず、強引でも、しっかり解決する。世間が正しいと認識すれば、それは正義なのだ。あまりの、完璧さに、私は、ぐうの音も出なかった。
世界一の腕っぷしがある上に、頭も切れるって、完全に反則級だよな。結局、全ては、ミラ先輩のお蔭で解決したし。私は、ただ、チンピラにボコられただけ。本当に、自分が情けない――。
MMAの世界ランキングも上がって、ちょっと調子に乗っていた自分が、とんでもなく恥ずかしい。今回の一件で、ますます、ミラ先輩の背中が、遠くなってしまった。『もう、永遠に追いつけないんじゃないか?』という気がする……。
悶々と考えながら、ランニングをしていると、公園が見えてきた。視線を向けると、そこには、例の子供たちが集まっていた。その中心には、見慣れた人物もいる。
ったく、あいつ、また油売ってんのか? もう、問題は、解決したはずなのに。どんだけ、暇してんだよ?
私は、ブツブツ呟きながら、通りを渡ると、公園に入って行った。
「おいっ、真昼間から、何やってんだ? まだ、仕事中だろ?」
私は、子供たちと、楽しそうに話していた風歌に、声を掛けた。
「あっ、キラリンちゃん」
「キラリンだ―!」
「キラリンが来たぞー!」
「よおっ、キラリン!」
風歌に合わせて、子供たちも、元気に声を掛けて来る。
「だからっ、キ・ラ・リ・スだっつーの!!」
相変わらず、くそ生意気なガキどもだ。
「その後、どうなったのか。この子たちから、話を聴いてたんだ。今、老朽化した施設を、新しく建て替えてるんだって。あと、ご飯も、豪華になったらしいよ」
「そうそう、昨日は、夕飯に肉が出た!」
「肉、超おいしかったー!」
「おやつに、ケーキも出たんだよ!」
みんな、物凄く、嬉しそうな笑顔を浮かべている。まったく、子供ってのは、現金だよな。
「へ、へぇー……。まぁ、良かったじゃないか」
でも、沈んだ顔をしてるよりは、いいけどな。
「これも、全ては、キラリンちゃんが、頑張ってくれたお蔭だね」
「私は、何もしてないだろ。結局、全部、ミラ先輩がやったんだから」
「そんなことないよ。体を張って、みんなを、守ってくれたじゃない」
風歌が笑顔を浮かべながら言うと、子供たちの視線が、一斉に私に向いた。以前とは、ちょっと、見る目が変わった気がする。
「キラリン、超かっこよかった!」
「弱っちいと思ってたけど、わりとやるよな!」
「最後は、ボコボコにされてたけど。二人は、倒したし!」
「元気だせ、キラリン。次は、きっと勝てるよ!」
子供たちは、ワーワーと、言いたいことを、言いまくっている。
「くっ――お前ら。誰が、弱っちいだっ!! これでも、プロの格闘家だぞ! ちゃんと公式戦にも出てて、先日も、試合で勝ってるんだからな!」
「えー、ウソっぽーい!」
「じゃぁ、これで勝負しようぜ!」
子供の一人が、ボールを前に掲げた。
「クフフフッ、いいだろう。今日こそ、我の真の本気を見せてやる。貴様ら、全員、処刑だー!」
私が、両手を挙げ、ガーッと吠えると、みんな、キャーキャー言いながら、元気一杯に逃げ回った。
ったく、これだから、ガキどもは嫌いなんだよ。やたら煩いし、言いたいことを、遠慮なく言いやがって。
まだ、弱いのは事実だし。ミラ先輩の、足元にも及ばない。だが、今に見てろよ。必ず追い付いて、私の強さを、世界中に知らしめてやるからな。
でも、ま、今はいっか。道のりは、果てしなく遠いし。ミラ先輩みたく、天才じゃないんだから、一歩ずつ、進むしかないからな。
私は、頭を真っ白にして、子供たちと一緒に、走り回るのだった……。
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次回――
『夏服に着替えると身も心も軽くなる気がする』
不思議だね。夏は毎年やって来るけど、同じ夏は二度と来ない
今できるのは、ひたすら、耐えるだけだ。滅茶苦茶、悔しいけど。こいつらの気が済んで、立ち去るまで、ジッと我慢するしかない。
奴らの意識は、完全に、私に向いている。これなら、子供たちが、被害に遭うことはないだろう。物凄く、情けない状況だけど。一応『みんなを守る』という目的は、達せられそうだ。
どうせ、こういうのは、子供のころから慣れてるし……。涙を呑んで、ほんの一時、恥辱に耐えさえすれば、嵐はいずれ通り過ぎるのだから――。
だが、その時、大きな声が響いた。
「あなたたち、やめなさいっ!! 私が相手よ!」
その言葉で、ピタリと攻撃が止まった。
私は、声の主のほうに視線を向ける。そこには、ほうきを手にした、風歌が立っていた。
って、馬鹿! お前みたいな素人が、敵う人数じゃないだろ……。
よく見ると、風歌は、膝がガクガクと震えていた。まったく、弱いくせに。何を強がってんだ、あいつは?
いや――そうじゃない。強さとは、腕力じゃないくて、心だ。風歌のやつ、普段は、ヘラヘラしてるくせに、意外と肝が据わってるんだよな。ミラ先輩も、いつも、言ってるじゃないか。強さとは、心の強さだって……。
ったく、しょうがないなぁ。あんな、へなちょこが、踏ん張ってるのに。私が、ビビッてる訳には、行かないよな。どうやら、この場で、まともに戦えるのは、私だけみたいだし――。
私は、覚悟を決めると、ゆっくり体を起こした。全身に痛みが走るが、まだ、体は動く。ただ、あの人数を相手に、どこまでやれるかは、分からない。それでも、精一杯あがいて、やれるだけのことは、やってやる。
そう思って構えた瞬間『ズーンッ!!』と、地面に衝撃が走った。風歌に向けられていた、男たちの視線が、一斉にそちらのほうに移る。
「おいっ、何だ?! 空から、人が降って来たぞ!!」
私は、その姿を見て唖然とした。
「……ミラ先輩っ!! なんで、こんな所にっ?! てか、あの高さから、飛び降りるとか、あり得ないでしょ?」
上空には、一台のエア・カートが浮遊している。運転しているのは、同じジムの人だが、彼女も、言葉にならない、驚きの表情を浮かべていた。
なんせ、十メートル近い、高さがあるのだから。そんな所から飛び降りるなんて、正気の沙汰じゃない。普通なら骨折。下手をしたら、命を落とすことだって、あり得る。それ以前に、普通なら怖くて、飛び降りられやしない。
「朝から、様子がおかしかっただろ? 相変わらず、嘘が下手くそだな。まぁ、お前が決めて始めたことだから、手を出すつもりは、なかったんだがな。見てたら、あまりに不甲斐ねぇ戦い方をするから。つい、しゃしゃり出ちまったじゃねーか」
「じゃあ、ずっと見てたんですか――?!」
「一部始終な」
ミラ先輩は、あっさり言い放つ。
「って、見てたなら、もっと早く、助けてくださいよっ!」
「馬鹿いえ。お前が買った喧嘩だろ? やるなら、最後まで、自分で責任を持って戦え。だが、今回だけは、特別レクチャーだ。しっかり、戦い方を見とけ」
ミラ先輩は、バキバキと指を鳴らす。よく見ると、滅茶苦茶、楽しそうな表情をしていた。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ……これは、超ヤバイ! あの顔は、マジでやる時の表情だ。あいつら、全員、死ぬぞ――。
「おいっ、勝手に割り込んで来たうえに、何をごちゃごちゃ、くっちゃべってんだ? このくそアマがっ!」
「おー、悪ぃ悪ぃ、待たせちまったな。てめえら、全員ぶっ潰してやるから、そう焦んなよ」
ミラ先輩は、拳を突き出すと、親指をグッと下に向けた。
「このっ、舐めやがって! ぶっ殺してやる!!」
一番、長身の大柄の男が、思い切り殴り掛かって来る。
だが、拳が、ミラ先輩の顔面に当たる寸前、男の巨体が、後方に放物線を描いて吹っ飛んだ。あまりに一瞬の出来事に、皆、声を出すこともできず、場が静まり返った。
あの高速のカウンターは、素人には、見えなかっただろう。それに、ミラ先輩のカウンターは、私のなんかとは、威力が比べ物にならない。そもそも、普段は、そんな技巧派の攻撃をしないのに。本気で、私に戦い方を、見せるつもりだろうか?
「お……おいっ、全員で取り囲むんだ! 相手は、女一人。油断しなければ、なんてことはない」
眼鏡の男が指示を出すと、再び男たちは、組織的に動き始めた。先ほど倒れていた男も、戦線に復帰しているので、全員で七人だ。
いくら、格闘のプロでも、MMAは、一対一のルールのある戦い。しかも、相手は、喧嘩慣れした、裏の世界の連中だ。いくら世界チャンピオンとはいえ、これは、分が悪い。でも、不思議と、ミラ先輩が負ける気が、全くしなかった。
男たちは、ジリジリと近づくと、一斉に攻撃を開始した。ある者は拳で、ある者は足で。後方からは警棒で。だが、ミラ先輩は、最低限の動きで、その全てをかわす。まるで、後ろにも、目が付いているような動きだった。
しかも、かわすと同時に、しっかり攻撃を繰り出している。男たちの体が、次々と吹っ飛んでいく。あっという間に、残りが三人になった。
強い……強すぎる。次元の違う強さだ。まだ、全然、本気を出してないのに。しかも、あれだけの人数を、相手にして――。
「何だ、ただの雑魚かよ。こんなんじゃ、ウォーミング・アップにもならねーな」
「このっ、言わせておけばっ!!」
後方にいた男が、警棒を振りかぶり、殴りかかった。しかし、
「まっ、待てっ!! そいつは、ヤバイっ!」
眼鏡をかけた男が、少し青ざめた表情で、警告を発する。
次の瞬間、警棒を持った男は、振り下ろした腕を、ガッチリ掴まれていた。男は、必死に腕を動かそうとするが、ピクリとも動かない。その直後、鈍い音を立て、ミラ先輩の右こぶしが、男の腹部に深々とめり込んだ。
あまりの威力に、思わず目を背けそうになる。もろに入ったので、痛みが、こっちまで伝わって来そうだった。男は、今の一撃で、白目をむいて、気絶していた。ミラ先輩は、無造作に、その男を放り投げる。
立て続けに、側面にいた男が、殴りかかって来た。だが、男の拳が届くよりも早く、ミラ先輩のハイキックが、男の顔面に直撃する。男は、鼻血を吹き出しながら、大きく吹っ飛んだ。
相変わらず、容赦がない。加えて、あの楽しそうな笑顔。私は、その鬼のような姿を見て、背中にゾクゾクと寒気が走った。
これが、本来のミラ先輩――。クールに戦っている試合の時も、滅茶苦茶、強いけど。普段は、意識的に、抑えてたのか……。
どうやら、こっちの、感情むき出しで荒っぽい戦い方が、本来のミラ先輩のファイティング・スタイルらしい。
そういえば、トレーナーが、以前、言っていた。ミラ先輩は昔、手が付けられないほど、荒れてた時期があったって。あれは、間違いなく、喧嘩慣れしてる動きだ。おそらく、そうとうの修羅場を、くぐって来たのだろう。
周りの男たちを、全て蹴散らすと、ミラ先輩は、眼鏡の男に、ゆっくりと近づいて行った。一歩、近付くにつれ、男の表情が、恐怖でゆがむ。
「てめぇだな、こいつらの頭は? うちの後輩を、ずいぶんと、可愛がってくれたようじゃないか。たっぷり、礼をしねぇとな」
「なっ――なんで、MMAチャンピオンが、こんな所にいるんだ?! ま、待て……話せば分かる。こんな所で、暴力沙汰を起こしたら、選手生命が断たれるぞ――」
「なんだ、知らねえのか?『正当防衛』って、便利な言葉。正当防衛なら、なにをやっても、許されんだよ」
ミラ先輩は、男に近付くと、笑みを浮かべながら、楽しそうに答えた。あの、凄く悪そうな表情。どっちがマフィアだか、分からないな……。
「おっ、お前、それでもチャンピオンか? それに、シルフィード・クイーンが、暴力なんて、振るっていいのか――?」
「フッ、知るか、そんなもん。俺は、俺だっ!!」
次の瞬間、男の顔面に、重い拳が突き刺さった。男は、ものの見事に、大きく吹っ飛んだ。まるで、アクション映画でも見てるかのような、派手な吹っ飛び方だった。地面には、粉々に砕け散った眼鏡が落ちている。とんでもない、破壊力だ。
いくら、正当防衛とはいえ、あの男、死んでないだろうな……? ミラ先輩、本当に、容赦ないからなぁ。間違いなく、殺す気でやってたよな――?
何か、別の意味で、心配になって来た。私は、痛む体を押さえながら、ゆっくり近づいて行き、声を掛ける。
「あの……大丈夫なんですか?」
「あぁ、しっかり、手加減はしておいた」
「いや、そっちじゃなくて。MMAチャンピオンが、暴力沙汰だなんて、流石にマズくないですか? 最悪、試合の出場停止とか――」
一番の心配はそこだ。プロが素人を殴ったとなると、大問題になる。しかも、ミラ先輩ほどの有名人となると、マスコミ連中が、黙っていないだろう。下手をすれば、プロ格闘家のライセンスを、はく奪されかねない。
「そんな細かいこと、気にするな。こう見えても、シルフィード・クィーンだぞ。俺の人脈、舐めんなよ」
「はぁ……。それは、そうですけど」
「それより、何で最初から、俺に言わなかった? 人一倍、弱いくせによ」
「うっ――」
『弱くない』と反論しようとしたが、声が出なかった。実際には、ボコボコに、返り討ちにあった訳だし。もし、ミラ先輩が来なかったら、どうなってたか分からない。
「ったく、つまんねぇ、気ぃ回してんじゃねーよ。俺を気遣うなんて、十年、早ぇっての」
「あだっ!」
ミラ先輩のげんこつが、脳天に直撃する。でも、いつもよりも、優しい感じがした……。
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〈あおぞら学園〉の件から、一週間後。私は〈東地区〉の、海岸沿いを走っていた。あのあと、病院に行ったが、骨などに異常はなかった。お蔭で、無事に試合に出ることができ、しっかり、勝利もつかんだ。
あの一件で、ボコボコにされたことで奮起し、滅茶苦茶、気合が入っていたのも、勝因だったと思う。それに、本物の戦いで、自分の甘さや欠点も、色々と見えた。
ちなみに、あの事件のあと、世間では、大きな動きがあった。大々的に、マスコミで報道され、大変な話題になったのだ。
孤児院に、マフィアが押し入ったところを、偶然『金剛の戦乙女』が通りかかり、助けに入った。という話になっている。
連日のこの報道により、ミラ先輩は『正義のヒーロー』として、ますます、人気に火がついた。リアルでもスピでも、ミラ先輩の武勇伝で、持ちきりだ。
なお、マフィアを全員のしたあと、ミラ先輩は、知り合いの刑事に連絡して、上手く処理してもらった。何でも、昔、よく喧嘩をした際に、お世話になった人らしい。
また、この取り調べの際に、ミラ先輩は『自分一人でやった』と、答えていた。私に被害が及ばないように、全て一人で、罪をかぶってくれたのだ。当然、私は反論したが、無理矢理、口裏を合わさせられた。
あと〈アクア・リゾート〉の社長にも連絡し、マスコミ関連の根回しを依頼した。ミラ先輩は、シルフィードとしても、MMA選手としても、会社の大看板だ。なので、社長は、すぐさま、関係各所に手を回してくれた。
加えて〈MMA本部〉や〈シルフィード協会〉にも連絡。ミラ先輩の人脈を、フル活用して、全てを理想的な方向に、情報操作していた。
最終的に、ミラ先輩の暴力問題は、一切、不問。それどころか、英雄的な扱いになった。また、孤児院の惨状を表に出し、多くの人たちの、関心と同情を集めた。
〈アクア・リゾート〉〈シルフィード協会〉〈MMA本部〉を始め、一般人からも、沢山の寄付金が送られて来た。しかも〈グリュンノア〉だけじゃなく、世界中からだ。
中でも、ミラ先輩のファンが、最も積極的に行動し、寄付のための、クラウド・ファンディングが、立ち上げられた。その結果、一日で、五千万ベルを越える、とんでもない額の寄付金が集まった。
さらに、行政府の福祉課の、対応のずさんさも、マスコミで、大きく取り上げられた。世間からの批判が集中し、流石に福祉課も、重い腰を上げ〈あおぞら学園〉を、特別保護施設に認定。
これによって〈あおぞら学園〉は、正式に、行政府の保護下に入った。そのお蔭で、行政府より、永続的な運営資金の援助が、行われることに。
当然、マフィアの事務所にも、警察の捜査が徹底的に入った。捜査によって、様々な不正や、リゾートホテルを建てるために、違法な地上げをやっていた事実も、明るみに出た。
〈あおぞら学園〉を、襲撃した者は、もちろん。沢山の関係者たちが、逮捕された。これで、二度と、マフィアによる被害は、出ないだろう。
今回の一件で、私はミラ先輩の凄さを、改めて思い知った。何でも、腕力で強引に解決することが多いが、それは、彼女の強さの、一端に過ぎない。
多くの人脈を持っているのもあるが、それを上手く使ったのは、ミラ先輩の、機転と知略だ。恐ろしいまでに、計算しつくされており、全てが、彼女の思惑通りに進んでしまった。
前々から思っていたが、ミラ先輩は、物凄く頭がいい。とりわけ、戦いのことに関しては、とんでもなく頭が切れる。武力だけじゃなく、頭脳戦でも、滅茶苦茶、強い。正々堂々を胸にしてるけど、本気を出したら、ここまでやれてしまうのだ。
本物の正義の味方とは、こういうものなのかも知れない。ルールや法律などの、形にこだわらず、強引でも、しっかり解決する。世間が正しいと認識すれば、それは正義なのだ。あまりの、完璧さに、私は、ぐうの音も出なかった。
世界一の腕っぷしがある上に、頭も切れるって、完全に反則級だよな。結局、全ては、ミラ先輩のお蔭で解決したし。私は、ただ、チンピラにボコられただけ。本当に、自分が情けない――。
MMAの世界ランキングも上がって、ちょっと調子に乗っていた自分が、とんでもなく恥ずかしい。今回の一件で、ますます、ミラ先輩の背中が、遠くなってしまった。『もう、永遠に追いつけないんじゃないか?』という気がする……。
悶々と考えながら、ランニングをしていると、公園が見えてきた。視線を向けると、そこには、例の子供たちが集まっていた。その中心には、見慣れた人物もいる。
ったく、あいつ、また油売ってんのか? もう、問題は、解決したはずなのに。どんだけ、暇してんだよ?
私は、ブツブツ呟きながら、通りを渡ると、公園に入って行った。
「おいっ、真昼間から、何やってんだ? まだ、仕事中だろ?」
私は、子供たちと、楽しそうに話していた風歌に、声を掛けた。
「あっ、キラリンちゃん」
「キラリンだ―!」
「キラリンが来たぞー!」
「よおっ、キラリン!」
風歌に合わせて、子供たちも、元気に声を掛けて来る。
「だからっ、キ・ラ・リ・スだっつーの!!」
相変わらず、くそ生意気なガキどもだ。
「その後、どうなったのか。この子たちから、話を聴いてたんだ。今、老朽化した施設を、新しく建て替えてるんだって。あと、ご飯も、豪華になったらしいよ」
「そうそう、昨日は、夕飯に肉が出た!」
「肉、超おいしかったー!」
「おやつに、ケーキも出たんだよ!」
みんな、物凄く、嬉しそうな笑顔を浮かべている。まったく、子供ってのは、現金だよな。
「へ、へぇー……。まぁ、良かったじゃないか」
でも、沈んだ顔をしてるよりは、いいけどな。
「これも、全ては、キラリンちゃんが、頑張ってくれたお蔭だね」
「私は、何もしてないだろ。結局、全部、ミラ先輩がやったんだから」
「そんなことないよ。体を張って、みんなを、守ってくれたじゃない」
風歌が笑顔を浮かべながら言うと、子供たちの視線が、一斉に私に向いた。以前とは、ちょっと、見る目が変わった気がする。
「キラリン、超かっこよかった!」
「弱っちいと思ってたけど、わりとやるよな!」
「最後は、ボコボコにされてたけど。二人は、倒したし!」
「元気だせ、キラリン。次は、きっと勝てるよ!」
子供たちは、ワーワーと、言いたいことを、言いまくっている。
「くっ――お前ら。誰が、弱っちいだっ!! これでも、プロの格闘家だぞ! ちゃんと公式戦にも出てて、先日も、試合で勝ってるんだからな!」
「えー、ウソっぽーい!」
「じゃぁ、これで勝負しようぜ!」
子供の一人が、ボールを前に掲げた。
「クフフフッ、いいだろう。今日こそ、我の真の本気を見せてやる。貴様ら、全員、処刑だー!」
私が、両手を挙げ、ガーッと吠えると、みんな、キャーキャー言いながら、元気一杯に逃げ回った。
ったく、これだから、ガキどもは嫌いなんだよ。やたら煩いし、言いたいことを、遠慮なく言いやがって。
まだ、弱いのは事実だし。ミラ先輩の、足元にも及ばない。だが、今に見てろよ。必ず追い付いて、私の強さを、世界中に知らしめてやるからな。
でも、ま、今はいっか。道のりは、果てしなく遠いし。ミラ先輩みたく、天才じゃないんだから、一歩ずつ、進むしかないからな。
私は、頭を真っ白にして、子供たちと一緒に、走り回るのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『夏服に着替えると身も心も軽くなる気がする』
不思議だね。夏は毎年やって来るけど、同じ夏は二度と来ない
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