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第7部 才能と現実の壁
4-6やっぱ正義の味方なんて性に合わないんだが
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今日も、シルフィードの仕事は休んで、私は〈ATFジム〉に顔を出していた。どうせ、お客も少ないし。試合直前なので、トレーニングに力を入れるほうが、効率的だからだ。
だが、今日の目的は、トレーニングではなく、他に行く場所があった。私は、ジムの空中モニターのボードに『ロードワーク』と書き込んだ。そのあと、周りの様子を確認すると、トレーニング・ウェアのまま、そっと部屋を出た。
今日は、ミラ先輩が来ているはずだが、リングに姿は見えなかった。たぶん、トレーニング・ルームで、筋トレでもしているのだろう。
私は、視線をキョロキョロと動かしながら、慎重に廊下を進んで行く。万一、ミラ先輩に出会ったりでもしたら、色々やっかいだからだ。サッと、フローターに乗り込むと、下に向かう。
一階に着くと、早足で外に出た。本来なら、ロードワークに行くところだが、私が向かったのは、大きな駐車場だ。停めてあった、黒いエア・ドルフィンに乗ると、スーッと宙に舞い上がる。海上に出ると、高速ですっ飛ばし、対岸を目指した。
海を渡り〈エメラルド・ビーチ〉に着くと、そのまま砂浜沿いに、東に向かっていった。しばらく飛ぶと、だんだん人気がなくなって来る。ここは、いつも、ランニングに来る場所だ。
さらに、東に飛び続けると、やがて、目的の建物が見えてきた。古びた平屋の建物だが、敷地はかなり大きい。入り口には、手作りの木のプレートに『あおぞら学園』と書かれていた。
庭には、十人ほどの子供と、その隣には、シルフィードの制服姿の女性が一人。何やら、話をしている最中だった。
私は、敷地の端に、エア・ドルフィンを着陸させる。すると、皆の視線が集まり、数人の子供たちが、こちらに走り寄って来た。
「あーっ、キラリンだ!」
「すげーっ、真っ黒の機体っ!」
「このドルフィン、かっけー!」
「クフフッ。我が愛機『ブラック・ライトニング』は、特別製だからな」
この機体は、私が時間を掛けて完成させた、カスタマイズ機だ。特に、デザインには、細部まで、滅茶苦茶こだわっている。私、自慢の、超クールな機体だった。
むかつくガキたちだが、この機体のカッコよさが分かるとは、少しは可愛げがあるじゃないか。まぁ、子供ってのは、素直だからな。よい物には、素直に関心を示すものだ。
「でも、名前はダメだな」
「ブラック・ライトニングは、ないわー」
「機体はかっけーのに、名前は超ダセーな」
「って、黙れガキどもっ! グォォー!!」
私が両手を挙げ、威嚇しながら追いかけると、子供たちは、キャーキャー言いながら逃げていく。
「何、追いかけっこ? 私も一緒にやるよー」
「私もー!」
「私もやるー!」
風歌が声をあげると、他の子どもたちも歓声を上げて、一緒に走り始める。
「って、違うわっ!!」
いつの間にか、風歌と子供たちが逃げ回り、私が鬼になっていた。
つーか、何やってんだ、私。試合直前の、貴重なトレーニングをサボって、来てんのに。あー、くそっ! これだから、ガキどもは嫌いなんだよ。
だが、笑顔で走り回っている子供たちを見ると、つい、かまってしまう。子供は苦手だが、子供たちの笑顔は、嫌いじゃない。
「あらあら、とても楽しそうね」
しばらくすると、年配の女性がやって来た。
「初めまして。私は〈ホワイト・ウイング〉所属の、如月風歌です」
「おはようございます。〈アクア・リゾート〉所属、キラリス・ローランドです」
私と風歌は、足を止めると、頭を下げて挨拶する。
「ようこそ。私は、学園長のマーサです。お二人のことは、子供たちから聴いているわ。一緒に遊んでくれた、優しいシルフィードさんたちね。いつも、子供たちの面倒を見てくださって、ありがとう」
彼女は、とても穏やかな笑顔で、話し掛けてきた。いかにも、子供好きそうな、優しい雰囲気の人だ。
「いやー、そんな大げさなものでは」
「って、お前は、ガチで遊んでただけだろ」
「それは、そうだけど。キラリンちゃんだって、本気でやってたじゃない」
「んなこと、ないわっ! ちゃんと、手加減してたし。って、そんなのは、どうでもいいんだよ。今日は、立ち退きの件で、来たんだろうが」
ニコニコしながら見ていた、学園長の表情が、急に暗くなった。
「なぜ、その話を……?」
「先日、子供たちから聴いたんです」
「事情が分かれば、多少なりとも、力になれるかと思って」
ただ、予想通りマフィアがらみなら、残念だが、力にはなれない。むしろ、早く立ち退くように勧めるのが、正解だと思う。
学園長は、しばらく考え込んだあと、
「分かりました。お二人を信頼して、お話しさせていただきます」
今までの経緯を、静かに語り始めるのだった――。
******
事の発端は、二十年ほど前。彼女の遠い親戚の子が、病気で親を亡くしてしまった。元々父子家庭で、仕事が忙しく、いつもその子は、一人で過ごしていた。そのせいか、無口で暗い性格だったらしい。
父親は、親戚付き合いもしておらず、他に身寄りもなく、その子は、行き場のない状態だった。そのため、葬儀の際、集まった親戚たちの間で、誰が引き取るかで、かなり揉めたそうだ。
父親は、親戚の間では、とても評判が悪かった。しかも、子供のほうは、無口で暗いので、大人たちは、気味悪がっていた。
結局、親戚一同で話し合い『行政府の福祉課に相談して、孤児院に入れて貰おう』という結論に。だが、後日、それを耳にした、遠縁のマーサさんが、彼女の里親に立候補した。
彼女は、子供を産めない体だったため、実の子のように、その子を大そう可愛がったそうだ。その後も、似たような境遇の子を引き取り、少しずつ、子供の人数が増えて行った。
ただ、家が手狭になって来たので、新しい物件を探していた。その折、たまたま廃園になった、保育園を発見する。格安で売りに出ていたので、それを買い取って作ったのが〈あおぞら学園〉だった。
その後も、親のいない子供や、複雑な家庭の子を引き取り、我が子のように育ててきた。だが、資金的に厳しく困っていたとろ、ある人物が訪れ、融資を申し出てくれたのだ。『無利子で無期限』という、好条件。それが、今から約一年前だ。
しかし、最近になって突然、全額返済を求めて来た。しかも『返せなければ、この土地を明け渡せ』と、言って来たのだ。さらに、ここ最近は、粗っぽい連中が、何度も、立ち退き要求に来ているらしい。
話を聴き終わったあと、私と風歌は、無言になっていた。借りている金額は、一千万ベル以上。とてもじゃないが、すぐに用意できる金額ではない。
それに、やり口からして、間違いなく、一般人ではなさそうだ。最初から、この土地を奪い取るため、計画的にやったとしか思えない。
ここ最近、この海沿いの地価は、物凄く上がっている。しかも、ここは敷地が広いので、普通に買えば、結構、高いはずだ。
行政府に相談したものの、個人間の金銭問題には、立ち入れない。また、民間の孤児院への援助は、一切、行っていないと、あっさり断られてしまった。また、行政府が運営する孤児院に、子供たちを移すように、勧められたそうだ。
これじゃ、打つ手なしだな……。行政府のお役所対応には、ちょっとムカつくが、一理あるし。このままじゃ、子供たちにも、被害が出る可能性があるからな――。
私たちが、難しい顔をして考え込んでいると、子供たちの声が聞こえてきた。
「あっ、また、アイツらが来たっ!」
「黒いやつらだっ!」
「わる者たちだっ!」
入口の方に視線を向けると、黒いスーツで身を固めた男たちが、門をくぐって入って来た。目つきの悪い奴、サングラスを掛けた奴、派手な髪形をした奴。いかにも、という格好で、どう見たって、一般人じゃないのが分かる。
いくら何でも、こいつら、ベタ過ぎだろ。どうして悪役ってのは、揃いも揃って、同じ格好をしてるんだよ――?
男たちが、ぞろぞろと敷地内に入って来ると、緊張が走る。
「あなたたちっ、家の中に入っていなさい!」
園長先生の声が響くと、子供たちは、蜘蛛の子を散らすかのように、サーッと走り去っていった。
一人の男が近づいてくると、
「よう、園長先生。約束の金は、用意できたんだろうな?」
高圧的に話しかけてきた。
「いえ……ですから、もう少しだけ、待っていただけませんか? そんなすぐには、用意できませんので――」
「はぁ? とっくに、期限は切れてるんだよ。こっちは、ボランティアじゃないんだ。それに、人から借りたカネは返す。これ、世の中の常識だよねぇ、ん?」
男は、ジリジリと距離を詰め、威圧的に睨みつけて来る。これは、話し合いじゃなくて、完全に脅しだ。マーサさんは、固まったまま、声も出せずにいた。
「まぁ、俺も鬼じゃないからさ。できれば、穏便に済ませたい訳よ。老人や子供に、実力行使ってのも、趣味じゃないからさ。でも、こっちも仕事なんでね。やっぱり、やることは、キッチリやらないと。分かる?」
男は、彼女の目の前まで来ると、顔を近づけ凄んだあと、彼女の胸ぐらを掴もうとした。だが、私はその手を、反射的に振り払った。バシッと音が響く。
「あぁ? 何だこの女はっ!」
今度は、私に鋭い視線が飛んできた。
「風歌っ!! マーサさんを連れて中に!」
「えっ、でもっ……」
「守りながら戦うのは、大変なんだよっ!! いいから、中で大人しくしてろ!」
「うっ、うん――分かった。気を付けてね」
風歌とマーサさんは、こちらを気にしながら、ゆっくりと、建物に向かっていく。
「はぁ?! 戦うだと? お前、頭湧いてるんじゃねーのか? テメェみたいな、ガキ一匹が、俺らを相手に?」
一緒にいた男たちからは、一斉に笑い声があがった。
「ここは、お前らみたいな、汚れたやつが来るところじゃない。さっさと帰れ!」
「あぁ? んだとっ?! 舐めてんのか、このアマっ!!」
凄んだ顔をして、滅茶苦茶、鋭い視線を向けてくる。だが、そんなのは慣れていた。素人の、形だけの威嚇の表情なんて、屁でもない。こっちは、普段から、もっと怖いのを見ているんだから。
本当の強者が向けてくる視線は、殺気が籠っているので、マジで怖い。睨まれただけで、背筋が寒くなり、死を覚悟するほどだ。特に、ミラ先輩やミシュリー選手の眼力は、半端なかった。
とはいえ、相手は、一般人じゃない。間違いなく、マフィアの一員だ。こんな連中とは、一生関わりたくないし。やっぱり、怖いものは怖い。
いくら、格闘技をやってるとはいえ、私は、かなり臆病だ。試合の時だって、いつも、大きな恐怖と戦っている。本来、戦いに向いている性格ではない。こればっかりは、いくら鍛えても、変わらないよな……。
でも、精一杯の虚勢を張って、相手を睨み返す。気持ちで負けたら、全てが終わりだからだ。
「ぐだぐだ言ってないで、実力で来いよ! それとも、吠えるしか出来ないのか?」
「はぁっ?! このクソガキが、調子こいてんじゃねーぞっ!!」
男は、私の胸ぐらを掴もうと、手を伸ばして来る。だが、私は、サッとその手をかわすと同時に、相手の急所に、素早く膝蹴りを叩きこんだ。男は、うめき声をあげながら、ゆっくりくずおれる。そのまま、地面にうずくまり、動かなくなった。
素人は、すぐに、胸ぐらを掴もうとしてくる。だが、この動きは、隙だらけだ。そもそも、そんな単純な動きが、プロに通用する訳がない。もし、リングの上なら、あっさり返り討ちにあって、即終了だ。
今の一撃で、周囲で、ヘラヘラしていた男たちの表情が、一瞬で凍り付いた。直後、その顔が、怒りに変わった。
「てめぇー! いい気になってんじゃねーぞっ!!」
正面にいた男が、小走りで殴り掛かって来る。威力は、そこそこ有りそうだ。ま、当たれば、の話だけど。いくら何でも、大ぶり過ぎだ。これだから、素人は――。
私は、最小限の動きでかわすと同時に、左の拳を叩きこんだ。カウンターが、もろに顔面にヒットする。立て続けに、右から左のワンツー。相手がよろめいたところに、上段への、素早い回し蹴りを繰り出す。
顔の側面に当たり、そのまま、勢いよくなぎ倒した。男は地面に倒れると、ピクリとも動かなくなった。
何だ、大したことないじゃないか。ただ、カッコだけで、完全にど素人だな。相手は、あと六人。これなら、私一人でも、大丈夫そうだ……。
だが、その時、一番、後ろにいた男から、声が上がった。
「馬鹿やろう、むやみに突っ込むな! そいつ、格闘技か何か、かじってるぞ。おそらく、テクニカル・アーツか――。一人ずつじゃなく、周りを取り囲んで、一斉に掛かれっ」
眼鏡の男の指示があると、みんな、サッと広がり、私の周りを取り囲んだ。おそらく、あの目の細い男が、こいつらのリーダーなんだろう。
ちっ、少しは頭が切れる奴が、いるじゃないか。各個撃破なら、楽に行けたのに……。
急に、男たちの動きが変わった。怒りの表情から、狩りをする者の目に変わり、組織立って動き始めた。
私は、息を整えながら、周囲に視線を向ける。一人一人は、大したことなくても、人数が多いと、非常にやり辛い。いくら、日ごろから鍛えているとはいえ、私は、一対一の戦いが専門だ。こんな大人数を相手に、一人で戦った経験はない。
連中は、ジリジリと包囲を狭め、まずは、正面の男から殴りかかって来た。私は、難なくステップでかわす。カウンターを合わせようとしたが、側面から気配を感じ、慌ててよけた。
その後も、次々と、全方位から攻撃が飛んでくる。かわすのが精一杯で、なかなか反撃に移れなかった。相手の攻撃は、完全に見切っているだけに、何とも歯がゆい状態だ。
くそっ、一対一なら、こんな奴らに負けないのに。こいつらは、正々堂々と戦う精神は、持ってないのかよ?
それでも、かわしながら隙を見つけては、反撃をする。しかし、体勢が悪くて、威力のある攻撃が、繰り出せない。大きな攻撃をすると、次の攻撃が、かわせなくなるからだ。
しかも、囲まれていて狭いので、自慢のフットワークが使えない。小さな動きだけで、辛うじて、かわして行く。
ひたすら、防戦に徹していると、背中に、大きな痛みと衝撃が走った。ちらりと後方を見ると、男が、金属製の警棒のような物を持っていた。次の瞬間、側面からの蹴りが、脇腹に入った。よろけたところに、次々と攻撃が飛んでくる。
私はたまらず、地面にうずくまった。だが、容赦なく攻撃は続けられた。完全に、袋叩き状態だ。体を丸め、頭を腕で守る。
私は、ふと、昔を思い出した。子供のころも、何度もこうして、袋叩きにされたことがある。もう二度と、あんな目に遭わないために、必死に努力して来たのに。結局、私は、昔の弱いままなのか――。
体に受ける痛みよりも、心のほうが、はるかに痛かった。体に走る衝撃と共に、心がギシギシと音を立て、砕けそうになる。
くそっ……くそっ……くそぉぉぉぉーー……!!
動きたくても、一斉に攻撃されて、身動きが取れない。試合なら倒れても、すぐに攻撃がやむので、立ち上がれる。だが、こんな状態じゃ、体勢を立て直すこともできない。
相手は多人数なうえに、武器まで持っている。あまりにも、汚すぎるし、スポーツマン・シップの欠片もない。だが、これは喧嘩なのだ。喧嘩には、ルールなんて何もない。やるかやられるかの、二つに一つだ。
そういや、ミラ先輩が『試合も喧嘩と同じ気持ちでやっている』って、よく言ってたっけ。つまりは、私が甘すぎた、ってことなのか――?
私は、悔しさと絶望に、打ちひしがれながら、なすすべもなく、一方的に攻撃を受け続けるのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『本物のヒーローってこういうものなのかもな』
ヒーローは忘れた頃にやってくるってなぁ!
だが、今日の目的は、トレーニングではなく、他に行く場所があった。私は、ジムの空中モニターのボードに『ロードワーク』と書き込んだ。そのあと、周りの様子を確認すると、トレーニング・ウェアのまま、そっと部屋を出た。
今日は、ミラ先輩が来ているはずだが、リングに姿は見えなかった。たぶん、トレーニング・ルームで、筋トレでもしているのだろう。
私は、視線をキョロキョロと動かしながら、慎重に廊下を進んで行く。万一、ミラ先輩に出会ったりでもしたら、色々やっかいだからだ。サッと、フローターに乗り込むと、下に向かう。
一階に着くと、早足で外に出た。本来なら、ロードワークに行くところだが、私が向かったのは、大きな駐車場だ。停めてあった、黒いエア・ドルフィンに乗ると、スーッと宙に舞い上がる。海上に出ると、高速ですっ飛ばし、対岸を目指した。
海を渡り〈エメラルド・ビーチ〉に着くと、そのまま砂浜沿いに、東に向かっていった。しばらく飛ぶと、だんだん人気がなくなって来る。ここは、いつも、ランニングに来る場所だ。
さらに、東に飛び続けると、やがて、目的の建物が見えてきた。古びた平屋の建物だが、敷地はかなり大きい。入り口には、手作りの木のプレートに『あおぞら学園』と書かれていた。
庭には、十人ほどの子供と、その隣には、シルフィードの制服姿の女性が一人。何やら、話をしている最中だった。
私は、敷地の端に、エア・ドルフィンを着陸させる。すると、皆の視線が集まり、数人の子供たちが、こちらに走り寄って来た。
「あーっ、キラリンだ!」
「すげーっ、真っ黒の機体っ!」
「このドルフィン、かっけー!」
「クフフッ。我が愛機『ブラック・ライトニング』は、特別製だからな」
この機体は、私が時間を掛けて完成させた、カスタマイズ機だ。特に、デザインには、細部まで、滅茶苦茶こだわっている。私、自慢の、超クールな機体だった。
むかつくガキたちだが、この機体のカッコよさが分かるとは、少しは可愛げがあるじゃないか。まぁ、子供ってのは、素直だからな。よい物には、素直に関心を示すものだ。
「でも、名前はダメだな」
「ブラック・ライトニングは、ないわー」
「機体はかっけーのに、名前は超ダセーな」
「って、黙れガキどもっ! グォォー!!」
私が両手を挙げ、威嚇しながら追いかけると、子供たちは、キャーキャー言いながら逃げていく。
「何、追いかけっこ? 私も一緒にやるよー」
「私もー!」
「私もやるー!」
風歌が声をあげると、他の子どもたちも歓声を上げて、一緒に走り始める。
「って、違うわっ!!」
いつの間にか、風歌と子供たちが逃げ回り、私が鬼になっていた。
つーか、何やってんだ、私。試合直前の、貴重なトレーニングをサボって、来てんのに。あー、くそっ! これだから、ガキどもは嫌いなんだよ。
だが、笑顔で走り回っている子供たちを見ると、つい、かまってしまう。子供は苦手だが、子供たちの笑顔は、嫌いじゃない。
「あらあら、とても楽しそうね」
しばらくすると、年配の女性がやって来た。
「初めまして。私は〈ホワイト・ウイング〉所属の、如月風歌です」
「おはようございます。〈アクア・リゾート〉所属、キラリス・ローランドです」
私と風歌は、足を止めると、頭を下げて挨拶する。
「ようこそ。私は、学園長のマーサです。お二人のことは、子供たちから聴いているわ。一緒に遊んでくれた、優しいシルフィードさんたちね。いつも、子供たちの面倒を見てくださって、ありがとう」
彼女は、とても穏やかな笑顔で、話し掛けてきた。いかにも、子供好きそうな、優しい雰囲気の人だ。
「いやー、そんな大げさなものでは」
「って、お前は、ガチで遊んでただけだろ」
「それは、そうだけど。キラリンちゃんだって、本気でやってたじゃない」
「んなこと、ないわっ! ちゃんと、手加減してたし。って、そんなのは、どうでもいいんだよ。今日は、立ち退きの件で、来たんだろうが」
ニコニコしながら見ていた、学園長の表情が、急に暗くなった。
「なぜ、その話を……?」
「先日、子供たちから聴いたんです」
「事情が分かれば、多少なりとも、力になれるかと思って」
ただ、予想通りマフィアがらみなら、残念だが、力にはなれない。むしろ、早く立ち退くように勧めるのが、正解だと思う。
学園長は、しばらく考え込んだあと、
「分かりました。お二人を信頼して、お話しさせていただきます」
今までの経緯を、静かに語り始めるのだった――。
******
事の発端は、二十年ほど前。彼女の遠い親戚の子が、病気で親を亡くしてしまった。元々父子家庭で、仕事が忙しく、いつもその子は、一人で過ごしていた。そのせいか、無口で暗い性格だったらしい。
父親は、親戚付き合いもしておらず、他に身寄りもなく、その子は、行き場のない状態だった。そのため、葬儀の際、集まった親戚たちの間で、誰が引き取るかで、かなり揉めたそうだ。
父親は、親戚の間では、とても評判が悪かった。しかも、子供のほうは、無口で暗いので、大人たちは、気味悪がっていた。
結局、親戚一同で話し合い『行政府の福祉課に相談して、孤児院に入れて貰おう』という結論に。だが、後日、それを耳にした、遠縁のマーサさんが、彼女の里親に立候補した。
彼女は、子供を産めない体だったため、実の子のように、その子を大そう可愛がったそうだ。その後も、似たような境遇の子を引き取り、少しずつ、子供の人数が増えて行った。
ただ、家が手狭になって来たので、新しい物件を探していた。その折、たまたま廃園になった、保育園を発見する。格安で売りに出ていたので、それを買い取って作ったのが〈あおぞら学園〉だった。
その後も、親のいない子供や、複雑な家庭の子を引き取り、我が子のように育ててきた。だが、資金的に厳しく困っていたとろ、ある人物が訪れ、融資を申し出てくれたのだ。『無利子で無期限』という、好条件。それが、今から約一年前だ。
しかし、最近になって突然、全額返済を求めて来た。しかも『返せなければ、この土地を明け渡せ』と、言って来たのだ。さらに、ここ最近は、粗っぽい連中が、何度も、立ち退き要求に来ているらしい。
話を聴き終わったあと、私と風歌は、無言になっていた。借りている金額は、一千万ベル以上。とてもじゃないが、すぐに用意できる金額ではない。
それに、やり口からして、間違いなく、一般人ではなさそうだ。最初から、この土地を奪い取るため、計画的にやったとしか思えない。
ここ最近、この海沿いの地価は、物凄く上がっている。しかも、ここは敷地が広いので、普通に買えば、結構、高いはずだ。
行政府に相談したものの、個人間の金銭問題には、立ち入れない。また、民間の孤児院への援助は、一切、行っていないと、あっさり断られてしまった。また、行政府が運営する孤児院に、子供たちを移すように、勧められたそうだ。
これじゃ、打つ手なしだな……。行政府のお役所対応には、ちょっとムカつくが、一理あるし。このままじゃ、子供たちにも、被害が出る可能性があるからな――。
私たちが、難しい顔をして考え込んでいると、子供たちの声が聞こえてきた。
「あっ、また、アイツらが来たっ!」
「黒いやつらだっ!」
「わる者たちだっ!」
入口の方に視線を向けると、黒いスーツで身を固めた男たちが、門をくぐって入って来た。目つきの悪い奴、サングラスを掛けた奴、派手な髪形をした奴。いかにも、という格好で、どう見たって、一般人じゃないのが分かる。
いくら何でも、こいつら、ベタ過ぎだろ。どうして悪役ってのは、揃いも揃って、同じ格好をしてるんだよ――?
男たちが、ぞろぞろと敷地内に入って来ると、緊張が走る。
「あなたたちっ、家の中に入っていなさい!」
園長先生の声が響くと、子供たちは、蜘蛛の子を散らすかのように、サーッと走り去っていった。
一人の男が近づいてくると、
「よう、園長先生。約束の金は、用意できたんだろうな?」
高圧的に話しかけてきた。
「いえ……ですから、もう少しだけ、待っていただけませんか? そんなすぐには、用意できませんので――」
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「まぁ、俺も鬼じゃないからさ。できれば、穏便に済ませたい訳よ。老人や子供に、実力行使ってのも、趣味じゃないからさ。でも、こっちも仕事なんでね。やっぱり、やることは、キッチリやらないと。分かる?」
男は、彼女の目の前まで来ると、顔を近づけ凄んだあと、彼女の胸ぐらを掴もうとした。だが、私はその手を、反射的に振り払った。バシッと音が響く。
「あぁ? 何だこの女はっ!」
今度は、私に鋭い視線が飛んできた。
「風歌っ!! マーサさんを連れて中に!」
「えっ、でもっ……」
「守りながら戦うのは、大変なんだよっ!! いいから、中で大人しくしてろ!」
「うっ、うん――分かった。気を付けてね」
風歌とマーサさんは、こちらを気にしながら、ゆっくりと、建物に向かっていく。
「はぁ?! 戦うだと? お前、頭湧いてるんじゃねーのか? テメェみたいな、ガキ一匹が、俺らを相手に?」
一緒にいた男たちからは、一斉に笑い声があがった。
「ここは、お前らみたいな、汚れたやつが来るところじゃない。さっさと帰れ!」
「あぁ? んだとっ?! 舐めてんのか、このアマっ!!」
凄んだ顔をして、滅茶苦茶、鋭い視線を向けてくる。だが、そんなのは慣れていた。素人の、形だけの威嚇の表情なんて、屁でもない。こっちは、普段から、もっと怖いのを見ているんだから。
本当の強者が向けてくる視線は、殺気が籠っているので、マジで怖い。睨まれただけで、背筋が寒くなり、死を覚悟するほどだ。特に、ミラ先輩やミシュリー選手の眼力は、半端なかった。
とはいえ、相手は、一般人じゃない。間違いなく、マフィアの一員だ。こんな連中とは、一生関わりたくないし。やっぱり、怖いものは怖い。
いくら、格闘技をやってるとはいえ、私は、かなり臆病だ。試合の時だって、いつも、大きな恐怖と戦っている。本来、戦いに向いている性格ではない。こればっかりは、いくら鍛えても、変わらないよな……。
でも、精一杯の虚勢を張って、相手を睨み返す。気持ちで負けたら、全てが終わりだからだ。
「ぐだぐだ言ってないで、実力で来いよ! それとも、吠えるしか出来ないのか?」
「はぁっ?! このクソガキが、調子こいてんじゃねーぞっ!!」
男は、私の胸ぐらを掴もうと、手を伸ばして来る。だが、私は、サッとその手をかわすと同時に、相手の急所に、素早く膝蹴りを叩きこんだ。男は、うめき声をあげながら、ゆっくりくずおれる。そのまま、地面にうずくまり、動かなくなった。
素人は、すぐに、胸ぐらを掴もうとしてくる。だが、この動きは、隙だらけだ。そもそも、そんな単純な動きが、プロに通用する訳がない。もし、リングの上なら、あっさり返り討ちにあって、即終了だ。
今の一撃で、周囲で、ヘラヘラしていた男たちの表情が、一瞬で凍り付いた。直後、その顔が、怒りに変わった。
「てめぇー! いい気になってんじゃねーぞっ!!」
正面にいた男が、小走りで殴り掛かって来る。威力は、そこそこ有りそうだ。ま、当たれば、の話だけど。いくら何でも、大ぶり過ぎだ。これだから、素人は――。
私は、最小限の動きでかわすと同時に、左の拳を叩きこんだ。カウンターが、もろに顔面にヒットする。立て続けに、右から左のワンツー。相手がよろめいたところに、上段への、素早い回し蹴りを繰り出す。
顔の側面に当たり、そのまま、勢いよくなぎ倒した。男は地面に倒れると、ピクリとも動かなくなった。
何だ、大したことないじゃないか。ただ、カッコだけで、完全にど素人だな。相手は、あと六人。これなら、私一人でも、大丈夫そうだ……。
だが、その時、一番、後ろにいた男から、声が上がった。
「馬鹿やろう、むやみに突っ込むな! そいつ、格闘技か何か、かじってるぞ。おそらく、テクニカル・アーツか――。一人ずつじゃなく、周りを取り囲んで、一斉に掛かれっ」
眼鏡の男の指示があると、みんな、サッと広がり、私の周りを取り囲んだ。おそらく、あの目の細い男が、こいつらのリーダーなんだろう。
ちっ、少しは頭が切れる奴が、いるじゃないか。各個撃破なら、楽に行けたのに……。
急に、男たちの動きが変わった。怒りの表情から、狩りをする者の目に変わり、組織立って動き始めた。
私は、息を整えながら、周囲に視線を向ける。一人一人は、大したことなくても、人数が多いと、非常にやり辛い。いくら、日ごろから鍛えているとはいえ、私は、一対一の戦いが専門だ。こんな大人数を相手に、一人で戦った経験はない。
連中は、ジリジリと包囲を狭め、まずは、正面の男から殴りかかって来た。私は、難なくステップでかわす。カウンターを合わせようとしたが、側面から気配を感じ、慌ててよけた。
その後も、次々と、全方位から攻撃が飛んでくる。かわすのが精一杯で、なかなか反撃に移れなかった。相手の攻撃は、完全に見切っているだけに、何とも歯がゆい状態だ。
くそっ、一対一なら、こんな奴らに負けないのに。こいつらは、正々堂々と戦う精神は、持ってないのかよ?
それでも、かわしながら隙を見つけては、反撃をする。しかし、体勢が悪くて、威力のある攻撃が、繰り出せない。大きな攻撃をすると、次の攻撃が、かわせなくなるからだ。
しかも、囲まれていて狭いので、自慢のフットワークが使えない。小さな動きだけで、辛うじて、かわして行く。
ひたすら、防戦に徹していると、背中に、大きな痛みと衝撃が走った。ちらりと後方を見ると、男が、金属製の警棒のような物を持っていた。次の瞬間、側面からの蹴りが、脇腹に入った。よろけたところに、次々と攻撃が飛んでくる。
私はたまらず、地面にうずくまった。だが、容赦なく攻撃は続けられた。完全に、袋叩き状態だ。体を丸め、頭を腕で守る。
私は、ふと、昔を思い出した。子供のころも、何度もこうして、袋叩きにされたことがある。もう二度と、あんな目に遭わないために、必死に努力して来たのに。結局、私は、昔の弱いままなのか――。
体に受ける痛みよりも、心のほうが、はるかに痛かった。体に走る衝撃と共に、心がギシギシと音を立て、砕けそうになる。
くそっ……くそっ……くそぉぉぉぉーー……!!
動きたくても、一斉に攻撃されて、身動きが取れない。試合なら倒れても、すぐに攻撃がやむので、立ち上がれる。だが、こんな状態じゃ、体勢を立て直すこともできない。
相手は多人数なうえに、武器まで持っている。あまりにも、汚すぎるし、スポーツマン・シップの欠片もない。だが、これは喧嘩なのだ。喧嘩には、ルールなんて何もない。やるかやられるかの、二つに一つだ。
そういや、ミラ先輩が『試合も喧嘩と同じ気持ちでやっている』って、よく言ってたっけ。つまりは、私が甘すぎた、ってことなのか――?
私は、悔しさと絶望に、打ちひしがれながら、なすすべもなく、一方的に攻撃を受け続けるのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『本物のヒーローってこういうものなのかもな』
ヒーローは忘れた頃にやってくるってなぁ!
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小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
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お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
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注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
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え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
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2021/05/05 第二部完結
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アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
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https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
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ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
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主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
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スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
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※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
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〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
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様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
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