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第7部 才能と現実の壁
3-4たまには全力で遊ぶのもいいかもね
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私たちは、三人並んで〈フォレスト・タウン〉の商店街を、見物しながら歩いていた。町の中には、色んな露店が、所せましと並んでいる。また、私たちと同じように、鎧やローブを着ている、たくさんのプレイヤーが往来していた。
近代的な〈グリュンノア〉とは対照的で、中世風の古い街並みだ。でも、人通りも多く、町は活気であふれていた。あと、見たことのない物も、色々と売られている。周囲を見ながら、歩いているだけでも、とても新鮮で楽しかった。
ふと気付くと、フィニーちゃんの姿が、見えなくなっていた。辺りを見回すと、ある露店の前に、立っているのを発見する。彼女は、お店の人とやり取りすると、紙袋を抱えて戻って来た。彼女は、袋から取り出した物を、私たちに差し出す。
「へぇぇー、この世界にも、ウイング焼きってあるんだね。しかも、焼き立てで、ホカホカしてる」
「まったく、どこに行っても、食べることばかりね」
「新しい町にいったら、まずは、食べ物の確認。これ、基本」
フィニーちゃんは、さっそく、モグモグと食べ始めている。私も試しに、一口、食べてみた。
「うわっ、超美味しい! ゲームの中なのに、味までするの?!」
驚くべきことに、温かさや、生地の食感。中のクリームの、とろっとした舌触りまで、リアルと同じだ。想像をはるかに超える、完ぺきな再現性だった。
「……悪くないわね」
ナギサちゃんも、さすがに、驚いた表情を浮かべていた。
「SWSは、第四世代の、最新のVS技術を使ってる」
「へぇぇー。よく分かんないけど、なんか凄いね」
「相変わらず、変なことばかり、詳しいわね――」
私たちは、町の中をぶらぶら歩きながら、フィニーちゃんから、システムの説明を受ける。物凄く詳しくて、ちょっと、目を通したレベルじゃないと思う。
ちなみに、このゲームは、個人の魔力を読み取り、自動的にキャラが作成される。属性や職業も、個々の魔力形質に、合わせて選択されるんだって。
ナギサちゃんは、火属性のバルキリー。バルキリーは、攻撃バフと槍のスキルに特化した、超攻撃型のレア職だ。確かに、ナギサちゃんっぽい職種だよね。
フィニーちゃんは、風属性の精霊魔術師。魔法と回復の両方が使える、万能職だ。これも、雰囲気的に、フィニーちゃんに、ピッタリな感じがする。
私は、光属性の聖騎士。防御力の高さと、防御バフが使える、超防御型のレア職。ナギサちゃんとは、正反対だ。なお、光属性は、超レアらしい。私が、防御型なのは、体が丈夫だから……?
一通り説明が終わると、
「じゃ、狩り行く!」
フィニーちゃんにしては珍しく、やる気満々に声をあげる。
「ちょっと、待ちなさいよ。普通は、装備とか、整えるんじゃないの?」
「お金持ってない」
「最初から、少し所持金があるじゃない」
「それなら、全部、屋台で使った」
「って、何やってるのよ!」
また、二人の言い争いが始まる。パーティーの職業バランスは、いいみたいだけど。こんなんで、上手く行くんだろうか――?
******
私は、縦横無尽に、空を飛び回っていた。町を出たあとは、一度も地上に降りず、飛び続けている。飛んでいても、全く疲れないし、速いので、むしろ、歩くよりも楽だった。
SWSは、空を自由に飛び回れるのが、売りのゲームで、敵も飛行タイプがほとんどだ。そのため、ずっと空を飛んだまま、空中戦をすることになる。
ただ、最初は、上手く戦えずに苦戦した。三人の息が合わず、うまく連携が取れないし。地上を歩くのと違って、脚で踏ん張れないので、飛行と戦闘の両立は、思った以上に難しい。でも、何回か戦っている内に、だんだん慣れて来た。
なお、私は、真っ先に斬り込んで、敵の注意を、自分に引き付ける役割だ。私は、フィニーちゃんに教わった通り、ヘイト調整スキルを、何発も打ち込む。これが、盾役の正しい戦い方らしい。
私が、敵の攻撃を引き付けている間に、アタッカーの、ナギサちゃんとフィニーちゃんの攻撃で、素早く敵を倒していく。
バラバラだった攻撃が、徐々にまとまり始め、上手く連携が取れて来た。ナギサちゃんも、フィニーちゃんも、自由自在に飛び回り、華麗に攻撃を決めている。流石はシルフィード。やっぱ、空を飛ぶことに関しては、プロフェッショナルだよね。
最初は、渋々だったナギサちゃんも、いつの間にか、物凄く真剣にやっていた。どんなことでも、一切、手を抜かずに、完ぺきにこなすのも、彼女らしいよね。『ゲームは生まれて初めて』という割には、かなり上手いし。
フィニーちゃんは、相変わらず、ボーッとした表情をしてるけど、攻撃も回復も、とても的確だった。やる時は、しっかりやるのが、フィニーちゃん。何だかんだで、器用だし。SWSは初めてだけど、他のゲームは、結構やっていたらしい。
「じゃ、次いくよー!」
飛行も戦闘も慣れて来たら、物凄く楽しくなって来た。私は、次の標的に向け、意気揚々と突っ込んで行く。
目の前に飛んでいる敵は、ロックバードだ。動きは、あまり早くないけど、大型で耐久力が高い。
私は、一気に距離を詰めると、敵が攻撃してくる前に、技を繰り出した。
「ライト・スラッシュ!」
白い光の残像が、軌跡を描き、剣撃が敵に命中する。
すぐに敵は、こちらに向き直り、大きな翼をはためかせ、威嚇して来る。私は、すかさず、次の技を叩きこんだ。
「シールド・ストライク!」
突きだした盾が『ガーン!』と音を立て、敵の体に直撃する。威力は大したことないけど、敵の攻撃を引き付ける、ヘイト・コントロール・スキルだ。
ロックバードは、ギャーギャーと鳴き声を上げながら、私に襲い掛かって来た。鋭いくちばしの攻撃を、私は咄嗟に盾で防いだ。それでも、しっかりと、ダメージが通って来る。
痛覚フィードバックは、最小限に設定してあるが、それでも、盾を持った手が、ビリビリとしびれる。思った以上に、攻撃力が高い。
私が攻撃を受けている間に、二人は素早く散開し、攻撃を始めていた。
「フレイム・スピア!」
上空から急降下しながら、ナギサちゃんが、炎に包まれた槍を突き刺す。
「ウインド・カッター」
フィニーちゃんは、両手を前に構えると、風の刃の魔法を撃ち出した。
二人の攻撃は、ほぼ同時に命中する。ロックバードは、大きな鳴き声をあげ、攻撃がさらに激しくなった。私は、盾で攻撃を防ぎながら、剣で反撃する。
ほどなくして、敵のHPがゼロになり『パーン』と弾けて、消滅した。直後、経験値とドロップ・アイテムが表示される。
「ふぅー。だいぶ、いい感じになって来たね。まぁ、私は、攻撃に貢献できてない気がするけど……」
私は、ステータスが、物凄く防御よりになっている。加えて、火力の高い攻撃スキルを、一つも持っていない。一応、高レベルになれば、強力な攻撃スキルを覚えるらしく、かなり大器晩成な職業だ。
「タンクは、重要。いないと、パーティーが崩壊する」
「ようするに、適材適所ってことでしょ。攻撃職じゃないのだから、いいじゃない」
「そうなんだけどねぇー。私も、攻撃職がよかったなぁー。もっとこう、ズバーッと、派手に攻撃したいんだよね」
私は、性格的に、じっとしているのが、性に合わない。やはり、素早く飛び回って、思いっきり戦闘したいのだ。動くほうが好きだし、そもそも、守りの性格じゃないもんね。
「キャラクリしなおせば、別の職になるかも」
「えっ、職業変えられるの?」
「レベル1に、もどるけど」
「って、ダメじゃーん!」
そんなこんなで、戦闘の合間に、世間話をしながら進めて行く。みんなで、ワイワイ話しながらだと、何をやっても楽しいよね。
「それより、もう十分、遊んだでしょ。そろそろ、帰るわよ」
「やだ、もっとやる」
「いったい、何時間やるつもり? いい加減にしなさいよ」
駄々をこねるフィニーちゃんと、それを、いさめるナギサちゃん。毎度のことだけど、母親と子供の会話にしか見えない――。
メニューを開いて確認すると、プレイ時間が、すでに、三時間半を超えていた。夢中になっていて、全く気付かなかったけど、結構、やり込んでたんだねぇ。
「まだ、今日の目的、果たしてない」
「目的って、期間限定イベントのこと?」
「そう。限定アイテムもらえる」
いつもなら、すぐにバテちゃうのに。今日のフィニーちゃんは、全く疲れた様子もなく、物凄くやる気満々だ。
メニュー内の、イベントのお知らせを見ると『ブルー・ワイバーン討伐イベント』の情報が出ていた。期間限定のエリアボスを倒すと、報酬がもらえるらしい。
「でも、エリアボスって、強いんじゃないの? 始めたばかりの私たちで、倒せるのかなぁ?」
画像を見る限り、物凄く強そうだ。
「レベル上がったし、ギリギリ大丈夫。あとは、ナギサしだい」
「何で、私なのよ?」
「バルキリーは、最強の火力職。それに、風歌の聖騎士は、ボス戦、必須職。ヒーラーもいるから、バランスいい。あとは、バーストしだい」
どうやら、このパーティーは、三人で完結するほど、バランスがいいみたいだ。通常は、四人で組むらしいんだけど。このメンバーだと、雑魚戦からボス戦まで、幅広く対応できるんだって。
あと、バーストは、攻撃してバースト・ゲージを溜めると発動できる、強力な連携技のこと。ただし、連携の受付時間が非常に短く、タイミングが難しい技だ。何度も戦闘している内に、だんだん三人の息が合い、成功率も上がって来た。
「じゃあ、折角だし、イベントだけやってから戻ろうか。何事も、チャンレンジすることが、大事だからね」
「……まったく、しょうがないわね。これが終わったら、本当に帰るわよ」
何だかんだで、ナギサちゃんも付き合ってくれるのは、いつも通りだ。
私たちは、フィニーちゃんの解説をもとに、軽く作戦会議をする。何でも、事前に、攻略動画で予習してきたらしい。一通り、打ち合わせが終わると、イベントボスのいるエリアに向かった。
しばらく北に飛んで、森林を抜けると、山岳ゾーンに入る。そこから、どんどん高度を上げて行くと、かなり先のほうに、何かが飛んでいるのが見えた。
「ねぇ、アレじゃない?」
「青いから、たぶんそう」
「この距離で見えるということは、そうとう、大きいんじゃないの?」
三人そろって、はるか遠方の敵を視認する。流石は、全員シルフィードだけあって、みんな目がいい。
「アクティブって、どれぐらい?」
「たぶん、50ぐらい」
「なら、60まで近づいたら、バフを掛けて、戦闘開始するね」
アクティブとは、敵に発見される距離だ。一定の距離まで近づくと、襲い掛かって来る。ただ、幸いこちらの方向からは、背後をとっているので、近付きやすい。
私たちは、背後から、ゆっくりと距離を詰めていく。まだ、こちらに気付いている様子はなかった。それにしても、近くで見ると、想像以上の大きさだ。翼を広げていると、二十メートルぐらいある。
「アンカー・シールド! バイタル・ブースト! プロテクション・フィールド! 行っくよー!!」
距離60まで近付くと、私は、バフを掛けて、戦闘準備を整える。二人に目配せして、合図を送ると、一気に突っ込んで行った。
ギリギリまで近づいたところで、
「ライト・スラッシュ! シールド・ストライク!」
すかさず二連続で、先制攻撃を叩き込んだ。
すぐさま『グォォォー!!』と、大きな咆哮をあげ、ワイバーンは、こちらに向き直った。とんでもなく、大きいうえに、滅茶苦茶、凶悪そうに見える。雑魚敵とは、迫力が段違いだ。
私が、敵を引き付けている間に、二人は、素早く左右に分かれて、戦闘態勢に入っていた。完全に、打ち合わせ通りだ。
ワイバーンは、体をひねると『ブンッ!』と音を立て、太い尻尾を、豪快に振り回した。私は、盾を構えて、真正面から受け止める。『ガーーンッ!!』と激しい音と共に、後方に弾き飛ばされた。体力の三分の一を、一瞬で持って行かれる。
「えぇっ?! ガードしても、こんなに減るのぉ!」
ボス戦前に、痛覚フィードバックを切っておいて、正解だった。もし、オンにしてあったら、痛みで動けなくなっていたはずだ。
「エア・ヒール」
だが、フィニーちゃんの魔法で、すぐに回復する。
そうだ、うちには、優秀なヒーラーがいるんだった。だから、落ち着いてやれば、大丈夫。今でやってきたことを、正確にやるだけ。私には、とても心強い仲間が、いるんだから――。
私は、すぐに冷静さを取り戻し、敵にピッタリ張り付きながら、剣で斬り付けていく。滅茶苦茶、硬いので、ダメージは、ほとんど出てないけど。しっかり、注意は、引き付けられている。
その間にも、ナギサちゃんが、巧みに槍を振り回しながら、果敢に攻撃を仕掛けていた。やはり、ナギサちゃんの攻撃が、一番ダメージが出ている。
フィニーちゃんも攻撃しているが、ワイバーンも同じ風属性なので、ダメージが、今一つ通っていなかった。
フィニーちゃんが『ナギサちゃんしだい』と言ったのは、こういう意味だったんだ。私の攻撃は、完全にオマケ程度なので、ナギサちゃんに、頑張ってもらうしかない。
私は、敵の攻撃を冷静に見極め、確実に攻撃を受け止めた。その都度、ごっそり体力を削られるが、フィニーちゃんの回復で、何とかしのぎ切る。
しかし、敵のHPが非常に多いので、なかなか倒せない。しかも、凄く硬いので、ゲージも、少しずつしか、減って行かなかなかった。私は、必死に防戦に徹しているが、完全に押されており、じり貧状態だ。
戦闘開始から、かなりの時間が経った。タイマーを見ると、すでに、ニ十分を経過している。元々私たちは、レベルがギリギリなうえに、四人以上が推奨のボスだ。なので、時間が掛かっても、しょうがない。
だんだん集中力が切れ、さすがに、私も疲れて来た。フィニーちゃんは、つい先ほど、最後のMP回復ポーションを、使い切った。ワイバーンの残り体力は、約一割ほど。ぎりぎり間に合うかどうか、非常に微妙な状況だ――。
その時、ナギサちゃんから、合図の声があがった。
「ゲージ満タン。最後のフルバースト、行くわよ!」
「了解!」
「おk」
全員のバースト・ゲージが、MAXの三本まで溜まっていた。ただ、バルキリーだけは、五本まで溜められるので、少し時間が掛かるのだ。
私は、敵の噛みつき攻撃をガードしたあと、バースト・スキルを発動した。
「セイクリッド・クロス!!」
白く輝く十字型の斬撃が、敵を切り裂く。
「トルネード・カッター!」
フィニーちゃんの周囲からは、無数の風の刃が、ブーメランのように、グルグル回りながら、一斉に敵の巨体に襲い掛かる。
「バルキリー・フォース! クリムゾン・フレイム・シュート!!」
攻撃バフを掛けたあと、ナギサちゃんは、全身に燃え盛る炎をまとい、槍を構え、敵に一直線に突っ込んで行った。
最後の攻撃が当たった瞬間、フルバーストが発動する。『ズーーンッ!!』と派手な音と共に、目の前が白くフラッシュした。直後、敵の体の中から、光が漏れ出しはじめる。光はゆっくりと拡散し、大きく弾けて消滅した。
『ミッション・コンプリート』の表示と共に、派手なファンファーレが、鳴り響く。獲得経験値と、いくつかの情報が表示された。クリアタイムは、26分32秒だ。
「ふぅーー、何とか、クリアできたね」
「全然、よゆう」
「どこが余裕なのよ? 物凄く、ギリギリだったじゃない」
「それは、ナギサが下手だから」
「何ですって?! 私はやるべき役目を、完璧にこなしたわよ!」
またもや、いつもの言い合いが、始まってしまう。
「まぁまぁ、折角、クリアできたんだし。後半は、息ピッタリだったじゃない」
相変わらず、性格や考え方は、バラバラだけど。ここ一番では、上手くまとまるのが、私たちだ。
「ところで、これって何なの?」
先ほどワイバーンを倒した時に、ドロップ・アイテムで、青い水晶が出て来た。
「これ、町で報告すると、限定アイテムもらえる」
「へぇー、そうなんだ」
「ほら、さっさと報告を済ませて、帰るわよ」
「やだ、もうちょっと遊ぶ」
「って、いい加減にしなさいよ! もう、十分に遊んだでしょ?」
「まだ、足りない」
本当に、二人とも飽きないよねぇ、このやり取り。でも、見ていると、何か和む。二人が出会った、初日から、こんな感じだったもんね。結局、このあと町に戻って、今日は、ここで終わりにすることにした。
VSって、初めての経験だったけど、想像以上に充実した時間だった。空を飛ぶのは、気持ちいいし。何から何まで、凄くリアルだし。仲間との連係プレーも、とても楽しかった。確かに、大人気なのも、うなずける。
ゲームの中とはいえ、しっかり、体も動かせて、大満足だ。今まで休日は、家事や勉強ばかりだったから。たまには、こうやって、思いっきり遊ぶ休日も、ありかもしれない。
いくら、一人前のシルフィードになったとはいえ、私たちも、一人の人間だ。適度に、ストレスを発散しないとね。今度は、私のほうから、二人を遊びに誘ってみようかな……。
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次回――
『自分は冒険しても親友には安定した人生を送って欲しい』
人生は怖れを知らぬ冒険か、それとも無かのどちらか
近代的な〈グリュンノア〉とは対照的で、中世風の古い街並みだ。でも、人通りも多く、町は活気であふれていた。あと、見たことのない物も、色々と売られている。周囲を見ながら、歩いているだけでも、とても新鮮で楽しかった。
ふと気付くと、フィニーちゃんの姿が、見えなくなっていた。辺りを見回すと、ある露店の前に、立っているのを発見する。彼女は、お店の人とやり取りすると、紙袋を抱えて戻って来た。彼女は、袋から取り出した物を、私たちに差し出す。
「へぇぇー、この世界にも、ウイング焼きってあるんだね。しかも、焼き立てで、ホカホカしてる」
「まったく、どこに行っても、食べることばかりね」
「新しい町にいったら、まずは、食べ物の確認。これ、基本」
フィニーちゃんは、さっそく、モグモグと食べ始めている。私も試しに、一口、食べてみた。
「うわっ、超美味しい! ゲームの中なのに、味までするの?!」
驚くべきことに、温かさや、生地の食感。中のクリームの、とろっとした舌触りまで、リアルと同じだ。想像をはるかに超える、完ぺきな再現性だった。
「……悪くないわね」
ナギサちゃんも、さすがに、驚いた表情を浮かべていた。
「SWSは、第四世代の、最新のVS技術を使ってる」
「へぇぇー。よく分かんないけど、なんか凄いね」
「相変わらず、変なことばかり、詳しいわね――」
私たちは、町の中をぶらぶら歩きながら、フィニーちゃんから、システムの説明を受ける。物凄く詳しくて、ちょっと、目を通したレベルじゃないと思う。
ちなみに、このゲームは、個人の魔力を読み取り、自動的にキャラが作成される。属性や職業も、個々の魔力形質に、合わせて選択されるんだって。
ナギサちゃんは、火属性のバルキリー。バルキリーは、攻撃バフと槍のスキルに特化した、超攻撃型のレア職だ。確かに、ナギサちゃんっぽい職種だよね。
フィニーちゃんは、風属性の精霊魔術師。魔法と回復の両方が使える、万能職だ。これも、雰囲気的に、フィニーちゃんに、ピッタリな感じがする。
私は、光属性の聖騎士。防御力の高さと、防御バフが使える、超防御型のレア職。ナギサちゃんとは、正反対だ。なお、光属性は、超レアらしい。私が、防御型なのは、体が丈夫だから……?
一通り説明が終わると、
「じゃ、狩り行く!」
フィニーちゃんにしては珍しく、やる気満々に声をあげる。
「ちょっと、待ちなさいよ。普通は、装備とか、整えるんじゃないの?」
「お金持ってない」
「最初から、少し所持金があるじゃない」
「それなら、全部、屋台で使った」
「って、何やってるのよ!」
また、二人の言い争いが始まる。パーティーの職業バランスは、いいみたいだけど。こんなんで、上手く行くんだろうか――?
******
私は、縦横無尽に、空を飛び回っていた。町を出たあとは、一度も地上に降りず、飛び続けている。飛んでいても、全く疲れないし、速いので、むしろ、歩くよりも楽だった。
SWSは、空を自由に飛び回れるのが、売りのゲームで、敵も飛行タイプがほとんどだ。そのため、ずっと空を飛んだまま、空中戦をすることになる。
ただ、最初は、上手く戦えずに苦戦した。三人の息が合わず、うまく連携が取れないし。地上を歩くのと違って、脚で踏ん張れないので、飛行と戦闘の両立は、思った以上に難しい。でも、何回か戦っている内に、だんだん慣れて来た。
なお、私は、真っ先に斬り込んで、敵の注意を、自分に引き付ける役割だ。私は、フィニーちゃんに教わった通り、ヘイト調整スキルを、何発も打ち込む。これが、盾役の正しい戦い方らしい。
私が、敵の攻撃を引き付けている間に、アタッカーの、ナギサちゃんとフィニーちゃんの攻撃で、素早く敵を倒していく。
バラバラだった攻撃が、徐々にまとまり始め、上手く連携が取れて来た。ナギサちゃんも、フィニーちゃんも、自由自在に飛び回り、華麗に攻撃を決めている。流石はシルフィード。やっぱ、空を飛ぶことに関しては、プロフェッショナルだよね。
最初は、渋々だったナギサちゃんも、いつの間にか、物凄く真剣にやっていた。どんなことでも、一切、手を抜かずに、完ぺきにこなすのも、彼女らしいよね。『ゲームは生まれて初めて』という割には、かなり上手いし。
フィニーちゃんは、相変わらず、ボーッとした表情をしてるけど、攻撃も回復も、とても的確だった。やる時は、しっかりやるのが、フィニーちゃん。何だかんだで、器用だし。SWSは初めてだけど、他のゲームは、結構やっていたらしい。
「じゃ、次いくよー!」
飛行も戦闘も慣れて来たら、物凄く楽しくなって来た。私は、次の標的に向け、意気揚々と突っ込んで行く。
目の前に飛んでいる敵は、ロックバードだ。動きは、あまり早くないけど、大型で耐久力が高い。
私は、一気に距離を詰めると、敵が攻撃してくる前に、技を繰り出した。
「ライト・スラッシュ!」
白い光の残像が、軌跡を描き、剣撃が敵に命中する。
すぐに敵は、こちらに向き直り、大きな翼をはためかせ、威嚇して来る。私は、すかさず、次の技を叩きこんだ。
「シールド・ストライク!」
突きだした盾が『ガーン!』と音を立て、敵の体に直撃する。威力は大したことないけど、敵の攻撃を引き付ける、ヘイト・コントロール・スキルだ。
ロックバードは、ギャーギャーと鳴き声を上げながら、私に襲い掛かって来た。鋭いくちばしの攻撃を、私は咄嗟に盾で防いだ。それでも、しっかりと、ダメージが通って来る。
痛覚フィードバックは、最小限に設定してあるが、それでも、盾を持った手が、ビリビリとしびれる。思った以上に、攻撃力が高い。
私が攻撃を受けている間に、二人は素早く散開し、攻撃を始めていた。
「フレイム・スピア!」
上空から急降下しながら、ナギサちゃんが、炎に包まれた槍を突き刺す。
「ウインド・カッター」
フィニーちゃんは、両手を前に構えると、風の刃の魔法を撃ち出した。
二人の攻撃は、ほぼ同時に命中する。ロックバードは、大きな鳴き声をあげ、攻撃がさらに激しくなった。私は、盾で攻撃を防ぎながら、剣で反撃する。
ほどなくして、敵のHPがゼロになり『パーン』と弾けて、消滅した。直後、経験値とドロップ・アイテムが表示される。
「ふぅー。だいぶ、いい感じになって来たね。まぁ、私は、攻撃に貢献できてない気がするけど……」
私は、ステータスが、物凄く防御よりになっている。加えて、火力の高い攻撃スキルを、一つも持っていない。一応、高レベルになれば、強力な攻撃スキルを覚えるらしく、かなり大器晩成な職業だ。
「タンクは、重要。いないと、パーティーが崩壊する」
「ようするに、適材適所ってことでしょ。攻撃職じゃないのだから、いいじゃない」
「そうなんだけどねぇー。私も、攻撃職がよかったなぁー。もっとこう、ズバーッと、派手に攻撃したいんだよね」
私は、性格的に、じっとしているのが、性に合わない。やはり、素早く飛び回って、思いっきり戦闘したいのだ。動くほうが好きだし、そもそも、守りの性格じゃないもんね。
「キャラクリしなおせば、別の職になるかも」
「えっ、職業変えられるの?」
「レベル1に、もどるけど」
「って、ダメじゃーん!」
そんなこんなで、戦闘の合間に、世間話をしながら進めて行く。みんなで、ワイワイ話しながらだと、何をやっても楽しいよね。
「それより、もう十分、遊んだでしょ。そろそろ、帰るわよ」
「やだ、もっとやる」
「いったい、何時間やるつもり? いい加減にしなさいよ」
駄々をこねるフィニーちゃんと、それを、いさめるナギサちゃん。毎度のことだけど、母親と子供の会話にしか見えない――。
メニューを開いて確認すると、プレイ時間が、すでに、三時間半を超えていた。夢中になっていて、全く気付かなかったけど、結構、やり込んでたんだねぇ。
「まだ、今日の目的、果たしてない」
「目的って、期間限定イベントのこと?」
「そう。限定アイテムもらえる」
いつもなら、すぐにバテちゃうのに。今日のフィニーちゃんは、全く疲れた様子もなく、物凄くやる気満々だ。
メニュー内の、イベントのお知らせを見ると『ブルー・ワイバーン討伐イベント』の情報が出ていた。期間限定のエリアボスを倒すと、報酬がもらえるらしい。
「でも、エリアボスって、強いんじゃないの? 始めたばかりの私たちで、倒せるのかなぁ?」
画像を見る限り、物凄く強そうだ。
「レベル上がったし、ギリギリ大丈夫。あとは、ナギサしだい」
「何で、私なのよ?」
「バルキリーは、最強の火力職。それに、風歌の聖騎士は、ボス戦、必須職。ヒーラーもいるから、バランスいい。あとは、バーストしだい」
どうやら、このパーティーは、三人で完結するほど、バランスがいいみたいだ。通常は、四人で組むらしいんだけど。このメンバーだと、雑魚戦からボス戦まで、幅広く対応できるんだって。
あと、バーストは、攻撃してバースト・ゲージを溜めると発動できる、強力な連携技のこと。ただし、連携の受付時間が非常に短く、タイミングが難しい技だ。何度も戦闘している内に、だんだん三人の息が合い、成功率も上がって来た。
「じゃあ、折角だし、イベントだけやってから戻ろうか。何事も、チャンレンジすることが、大事だからね」
「……まったく、しょうがないわね。これが終わったら、本当に帰るわよ」
何だかんだで、ナギサちゃんも付き合ってくれるのは、いつも通りだ。
私たちは、フィニーちゃんの解説をもとに、軽く作戦会議をする。何でも、事前に、攻略動画で予習してきたらしい。一通り、打ち合わせが終わると、イベントボスのいるエリアに向かった。
しばらく北に飛んで、森林を抜けると、山岳ゾーンに入る。そこから、どんどん高度を上げて行くと、かなり先のほうに、何かが飛んでいるのが見えた。
「ねぇ、アレじゃない?」
「青いから、たぶんそう」
「この距離で見えるということは、そうとう、大きいんじゃないの?」
三人そろって、はるか遠方の敵を視認する。流石は、全員シルフィードだけあって、みんな目がいい。
「アクティブって、どれぐらい?」
「たぶん、50ぐらい」
「なら、60まで近づいたら、バフを掛けて、戦闘開始するね」
アクティブとは、敵に発見される距離だ。一定の距離まで近づくと、襲い掛かって来る。ただ、幸いこちらの方向からは、背後をとっているので、近付きやすい。
私たちは、背後から、ゆっくりと距離を詰めていく。まだ、こちらに気付いている様子はなかった。それにしても、近くで見ると、想像以上の大きさだ。翼を広げていると、二十メートルぐらいある。
「アンカー・シールド! バイタル・ブースト! プロテクション・フィールド! 行っくよー!!」
距離60まで近付くと、私は、バフを掛けて、戦闘準備を整える。二人に目配せして、合図を送ると、一気に突っ込んで行った。
ギリギリまで近づいたところで、
「ライト・スラッシュ! シールド・ストライク!」
すかさず二連続で、先制攻撃を叩き込んだ。
すぐさま『グォォォー!!』と、大きな咆哮をあげ、ワイバーンは、こちらに向き直った。とんでもなく、大きいうえに、滅茶苦茶、凶悪そうに見える。雑魚敵とは、迫力が段違いだ。
私が、敵を引き付けている間に、二人は、素早く左右に分かれて、戦闘態勢に入っていた。完全に、打ち合わせ通りだ。
ワイバーンは、体をひねると『ブンッ!』と音を立て、太い尻尾を、豪快に振り回した。私は、盾を構えて、真正面から受け止める。『ガーーンッ!!』と激しい音と共に、後方に弾き飛ばされた。体力の三分の一を、一瞬で持って行かれる。
「えぇっ?! ガードしても、こんなに減るのぉ!」
ボス戦前に、痛覚フィードバックを切っておいて、正解だった。もし、オンにしてあったら、痛みで動けなくなっていたはずだ。
「エア・ヒール」
だが、フィニーちゃんの魔法で、すぐに回復する。
そうだ、うちには、優秀なヒーラーがいるんだった。だから、落ち着いてやれば、大丈夫。今でやってきたことを、正確にやるだけ。私には、とても心強い仲間が、いるんだから――。
私は、すぐに冷静さを取り戻し、敵にピッタリ張り付きながら、剣で斬り付けていく。滅茶苦茶、硬いので、ダメージは、ほとんど出てないけど。しっかり、注意は、引き付けられている。
その間にも、ナギサちゃんが、巧みに槍を振り回しながら、果敢に攻撃を仕掛けていた。やはり、ナギサちゃんの攻撃が、一番ダメージが出ている。
フィニーちゃんも攻撃しているが、ワイバーンも同じ風属性なので、ダメージが、今一つ通っていなかった。
フィニーちゃんが『ナギサちゃんしだい』と言ったのは、こういう意味だったんだ。私の攻撃は、完全にオマケ程度なので、ナギサちゃんに、頑張ってもらうしかない。
私は、敵の攻撃を冷静に見極め、確実に攻撃を受け止めた。その都度、ごっそり体力を削られるが、フィニーちゃんの回復で、何とかしのぎ切る。
しかし、敵のHPが非常に多いので、なかなか倒せない。しかも、凄く硬いので、ゲージも、少しずつしか、減って行かなかなかった。私は、必死に防戦に徹しているが、完全に押されており、じり貧状態だ。
戦闘開始から、かなりの時間が経った。タイマーを見ると、すでに、ニ十分を経過している。元々私たちは、レベルがギリギリなうえに、四人以上が推奨のボスだ。なので、時間が掛かっても、しょうがない。
だんだん集中力が切れ、さすがに、私も疲れて来た。フィニーちゃんは、つい先ほど、最後のMP回復ポーションを、使い切った。ワイバーンの残り体力は、約一割ほど。ぎりぎり間に合うかどうか、非常に微妙な状況だ――。
その時、ナギサちゃんから、合図の声があがった。
「ゲージ満タン。最後のフルバースト、行くわよ!」
「了解!」
「おk」
全員のバースト・ゲージが、MAXの三本まで溜まっていた。ただ、バルキリーだけは、五本まで溜められるので、少し時間が掛かるのだ。
私は、敵の噛みつき攻撃をガードしたあと、バースト・スキルを発動した。
「セイクリッド・クロス!!」
白く輝く十字型の斬撃が、敵を切り裂く。
「トルネード・カッター!」
フィニーちゃんの周囲からは、無数の風の刃が、ブーメランのように、グルグル回りながら、一斉に敵の巨体に襲い掛かる。
「バルキリー・フォース! クリムゾン・フレイム・シュート!!」
攻撃バフを掛けたあと、ナギサちゃんは、全身に燃え盛る炎をまとい、槍を構え、敵に一直線に突っ込んで行った。
最後の攻撃が当たった瞬間、フルバーストが発動する。『ズーーンッ!!』と派手な音と共に、目の前が白くフラッシュした。直後、敵の体の中から、光が漏れ出しはじめる。光はゆっくりと拡散し、大きく弾けて消滅した。
『ミッション・コンプリート』の表示と共に、派手なファンファーレが、鳴り響く。獲得経験値と、いくつかの情報が表示された。クリアタイムは、26分32秒だ。
「ふぅーー、何とか、クリアできたね」
「全然、よゆう」
「どこが余裕なのよ? 物凄く、ギリギリだったじゃない」
「それは、ナギサが下手だから」
「何ですって?! 私はやるべき役目を、完璧にこなしたわよ!」
またもや、いつもの言い合いが、始まってしまう。
「まぁまぁ、折角、クリアできたんだし。後半は、息ピッタリだったじゃない」
相変わらず、性格や考え方は、バラバラだけど。ここ一番では、上手くまとまるのが、私たちだ。
「ところで、これって何なの?」
先ほどワイバーンを倒した時に、ドロップ・アイテムで、青い水晶が出て来た。
「これ、町で報告すると、限定アイテムもらえる」
「へぇー、そうなんだ」
「ほら、さっさと報告を済ませて、帰るわよ」
「やだ、もうちょっと遊ぶ」
「って、いい加減にしなさいよ! もう、十分に遊んだでしょ?」
「まだ、足りない」
本当に、二人とも飽きないよねぇ、このやり取り。でも、見ていると、何か和む。二人が出会った、初日から、こんな感じだったもんね。結局、このあと町に戻って、今日は、ここで終わりにすることにした。
VSって、初めての経験だったけど、想像以上に充実した時間だった。空を飛ぶのは、気持ちいいし。何から何まで、凄くリアルだし。仲間との連係プレーも、とても楽しかった。確かに、大人気なのも、うなずける。
ゲームの中とはいえ、しっかり、体も動かせて、大満足だ。今まで休日は、家事や勉強ばかりだったから。たまには、こうやって、思いっきり遊ぶ休日も、ありかもしれない。
いくら、一人前のシルフィードになったとはいえ、私たちも、一人の人間だ。適度に、ストレスを発散しないとね。今度は、私のほうから、二人を遊びに誘ってみようかな……。
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次回――
『自分は冒険しても親友には安定した人生を送って欲しい』
人生は怖れを知らぬ冒険か、それとも無かのどちらか
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