266 / 363
第7部 才能と現実の壁
3-5自分は冒険しても親友には安定した人生を送って欲しい
しおりを挟む
午後三時を、少し回ったころ。私は、大型のエア・ドルフィンに乗り〈西地区〉の上空を飛んでいた。つい先ほど、観光案内を、終えたばかりだった。ただ、今からだと、中途半端な時間なので、お客様を見つけるのは、まず無理だ。
それでも、余った時間は、ずっと町の上空を飛び回っている。なぜなら、目的地を探していたり、迷子になっていたり、助けを必要としている人も、たまにいるからだ。ようするに、ボランティア活動みたいな感じかな。
相変わらず、予約は少ないし。飛び込み営業も、成功率はかなり低い。なので、最近は『人助けに専念しよう』と、割り切っていた。昔のシルフィードは、人助けが仕事だった訳だし。これも、接客の練習になるからね。
私は、ゆっくり飛びながら、地上の状況を、くまなく観察していった。〈ウインド・ストリート〉は、今日も、観光客や地元の若者で、物凄く賑わっていた。みんな、とても楽しそうで、見ていて嬉しくなる。
「うーん、今日も変わらず、とっても平和。何もないのが、一番だよねぇ。ん……あれって、もしかして?」
視線を動かしていると、あるお店のテラス席で、ふと目がとまった。見知った人物がいたからだ。
私は、ゆっくり高度を落とすと、お店の前に、静かに着陸する。エア・ドルフィンを降りて、近付いて行くと、そっと声を掛けた。
「こんにちは、ユメちゃん。学校の帰り?」
「って、風ちゃん?! 何で、こんな所に?」
本を読んでいたユメちゃんは、こちらを見て、物凄く驚いた表情を浮かべる。
「ごめんね、驚かせちゃった? 上空を飛んでたら、たまたま、姿が見えたから」
「あんな高いところから、見分けがつくの?」
「それが、私の仕事だからね。ユメちゃんのことは、一発で分かったよ」
「へぇぇーー。やっぱり、シルフィードって、凄いんだねぇ」
「これでも、一応、エア・マスターだし。視力は、元々いいから」
単純に外見だけではなく、その人の仕草でも、ある程度の判断がつく。ちなみに、ベテランになると、雰囲気だけで、人の区別がつくようになるらしい。なんでも、魔力の違いを、読み取ってるそうだ。私には、サッパリ分からないけど――。
私は、ユメちゃんの前の席に座ると、店員さんを呼んで、ユメちゃんと同じ、ケーキセットを注文する。ここのオススメは、レアチーズ・ケーキだ。以前、雑誌のスイーツ特集で、見たことがあった。
片っ端から、情報をチェックしているので、この通りの全てのお店の、オススメ商品を知っている。これも、毎日、コツコツやっている、勉強の賜物だよね。
「なんか、こういうのって、初めてだね」
「えっ? 風ちゃんとは、いつも、お茶してるじゃない?」
ユメちゃんは、定期的に、予約を入れてくれていた。なので、お茶したり、食事したりは、何度もやっている。
「普段は、そうだけど。制服のユメちゃんを見るのは、初めてだから」
「あぁー、そういえば、そうかも」
「私服姿しか見たことないから、何か凄く新鮮だね」
ユメちゃんは、大富豪の家のお嬢様だけど、割とラフな格好が多い。自室にいる時は、短パンにTシャツ。時には、パジャマのままとか。あと、ベッドで、ゴロゴロしていることが多いので、緩いイメージしかない。
だから、こうして、フォーマルな格好をしているのは、初めて見る。まるで、全く別人のようだ。
「その制服いいね。とても、ビシッとした感じで」
「んー、ちょっと地味じゃないかな? あんまり、可愛くないし」
黒のブレザーに、紺色のチェック柄のネクタイ。スカートも黒で、丈は少し長め。飾っ気が全くなく、物凄くシンプルだ。でも、黒で統一されているから、物凄く、引き締まって見える。
彼女が通っている〈ナターシャ叡智学館〉は、この町で『最も学力レベルが高い学校』と言われていた。『叡智の魔女』の名を冠しているだけあり、伝統的に、学問に非常に力を入れている。そのため、秀才たちが、多く集まっていた。
入学試験も、滅茶苦茶、難関であることで有名だった。でも、そこの試験に、あっさり、受かってしまうのだから。やっぱり、ユメちゃんの頭のよさは、本物だ。
「でも、とても、知的に見えるよ。カッコイイし」
「えぇー。私は、可愛いほうがいいよー」
「例えば〈聖アルティナ学園〉の制服みたいな?」
「そう、それ! あの白いブレザー、超可愛いよねぇ」
何度か見かけたことがあるけど、確かに、清楚で物凄くカワイイ。ナギサちゃんが通ってた〈南地区〉の学校だよね。
「なら、そっちに行けば、よかったんじゃないの? あそこは、お嬢様学校だし。むしろ、あっちのほうが、ユメちゃんには、向いていると思うけど」
〈聖アルティナ学園〉は『シルフィード校一のお嬢様学校』と言われており、お金持ちのご令嬢が多いらしい。まさに、ユメちゃんには、ピッタリだよね。
「一応、考えはしたんだけどね。親にも勧められたし。でも、叡智学館には、超巨大な図書館があるんだもん。蔵書数もピカイチだし、新書もどんどん入って来るし。制服がダサくても、本の誘惑には、勝てないよぉ……」
「あははっ、ユメちゃんらしいねぇ」
ユメちゃんの本好きは、相変わらずだ。学校には、ちゃんと通っているけど。暇さえあれば、本を読んでいる生活は、以前と全く変わらない。
「学校はどう? 楽しい?」
「うん。それなりに、楽しいよ。勉強は、好きだから」
「でも、叡智学館って、とんでもなく、レベル高いんでしょ? ちゃんと、ついて行けてる?」
以前〈ナターシャ叡智学館〉について調べてみたら、この町どころか、大陸を含めても、五本の指に入るぐらいの、超名門校だった。こちらの世界に、偏差値はないけど、向こうの世界基準だと『偏差値78』ぐらいらしい。
常に、偏差値50前後を、ウロウロしていた私には、完全に異次元すぎる。なので、どれぐらい凄いのか、さっぱり想像がつかない――。
「うーん、そんなに難しくはないよ。こないだの試験、学年で一位だったし」
「えぇーー?! 一位なのっ?!」
「一応、高校三年までの勉強は、個人的に終えてるし」
「あははっ……。全く問題なさそうだね」
心配する必要なんて、何もなかった。そういえば、昇級試験の時、私のほうが教わってたもんね。悲しいけど、私とでは、頭のレベルが違いすぎる――。
「でも、勉強だけ出来ても、しょうがないよね。その他は、サッパリだから」
「そうなの?」
「体育の授業は、準備運動するだけで、息切れするし。家庭科の授業では、クッキーを炭にしたし。歩いてると、よく躓いて転ぶし。もう、学校では、すっかり、ドジっ子認定されちゃったよ」
「へ、へぇぇ……」
二年も、引きこもっていたのも有るけど。そもそも、箱入り娘の、生粋のお嬢様だもんね。大豪邸に住んでいて、沢山の使用人がいて、何でもやってもらえるし。何不自由なく、生きて来たのだろう。
前々から感じてはいたけど、ユメちゃんって、物凄くアンバランスなんだよね。滅茶苦茶、頭はいいのに、結構、不器用だし。生活能力も、極端に低いし。
「でも、いいんじゃない? ユメちゃんの場合、家には、やってくれる人がいるから。それだけ頭が良ければ、将来の選択肢も広いし。大学まで行って、政治家や行政府の高官なんかになる道も、選べるよね」
この世界の大学進学率は、20%ぐらいと、非常に低い。『十代で就職するのが当り前』という常識に加え、大学が、とんでもなく、ハイレベルだからだ。どの大学も、向こうの世界の『東大』と、同じぐらいのレベルなんだって。
学力レベルの高さに加え、学費も物凄く高い。なので、大学に進学するのは、一握りの秀才かつ、経済的に余裕のある人だけだ。その代わり、大学卒業後は、確実に、エリート街道が約束されていた。
「だーかーらー、私は、シルフィードになりたいのっ!」
ユメちゃんは、ブーッと、むくれた表情で答える。
「どうしても、シルフィードになりたいの?」
「もちろんだよ。だから、シルフィード校に、行ったんじゃない」
それもそうだ。でも、私は、少し不安だった。ユメちゃんは、単なる憧れだけで、シルフィードを目指しているように、見えるからだ。仕事自体に憧れるなら、まだしも。私なんかに憧れている、という理由だけで。
シルフィードの世界は、物凄く不安定だ。成功するのは、ほんの一握りだけで、途中で辞めていく人が、非常に多い。芸能界などに、近いと思う。
私の場合は、自分の意思で選んだし、他に選べるような仕事もなかった。でも、ユメちゃんなら、頭がいいから、選択肢が物凄く広い。それに、家がお金持ちだから、親の会社を継いだり、実業家になる道だってある。
とても恵まれた環境にあって、沢山の可能性があるのに、道を一本に絞ってしまって、本当にいいのだろうか? しかも、とんでもなく厳しい、いばらの道に――。
「風ちゃんは、私がシルフィードになるの、反対なの?」
「そんなことないよ。ただ、とても厳しい業界だからね。親友の立場としては、あまり、オススメできないかな。もっと平和で、安定した道もあるんだから」
安定した将来を送りたいなら、けっして、オススメできない職業だ。
「それぐらい、分かってるもん。ちゃんと、覚悟はできてるから」
「私と同じこと、ユメちゃんも出来る?」
「……できるよ。私、風ちゃんみたいになりたくて、頑張ってるんだから」
ユメちゃんは、真剣な表情で答える。
「じゃあ、家を出て、一人暮らしをして。何の援助も受けずに、パンと水だけで、生きて行ける? 本もお菓子も、自由には買えないよ」
「えぇっ――?!」
「同じことが、できるんでしょ?」
「……」
ユメちゃんは、何かを言いかけたが、俯いて黙り込んでしまった。しばしの沈黙が訪れ、重い空気が流れる。
「ゴメンね。別に、意地悪をしてる訳じゃないんだ。ただ、私は、本気でユメちゃんを心配してるだけ。一般的なイメージと違って、とても厳しい世界だから。親友だからこそ、本当のことを知ってほしくて」
「うん。親切で言ってくれてるのは、分かってる。それに、世間知らずだし、一人じゃ何もできないし。風ちゃんみたいに、しっかりしてないし――」
「いやいや、私も、そうとうな世間知らずだったよ。向こうにいた時は、家事一つ、やったこと無かったから」
思い返せば、こちらの世界に来たばかりのころは、何も知らなかったし、何もできなかった。世間知らずで、常識知らず。今のユメちゃんよりも、もっとひどい状態だった。
「最初はね、何も知らなくても、何もできなくてもいい。でも、問題は、それを埋めるために、必死に頑張れるかどうか。あと、どんなに辛くても、耐えられるかだね。あまり、精神論は言いたくないけど。結局は、覚悟の問題だと思うよ」
スタートの時の差なんて、一、二年頑張れば、埋まってしまう。覚悟のある人間なら、どんな酷い状況からだって、はい上がる。でも、逆に、どんなに恵まれた環境にいても、本気で頑張れない人は、どんどん、置いて行かれてしまうと思う。
毎年、たくさんの新人が入ってきて、中には、抜きん出て優秀な子もいる。ちょっとでも、気を抜いたら、一瞬で、抜き去られてしまうのだ。
「ゴメンね。私、説明とか下手で。分かり辛かったかな?」
「ううん。風ちゃんの言いたいことは、分かるよ。今まで、ずっと風ちゃんの、努力や覚悟を、見て来たもん」
ユメちゃんは、ジッと私の目を見つめると、真剣な表情で尋ねてきた。
「ねぇ、風ちゃん。お世辞とか抜きで、正直に言って。今の私は、甘いかな? このままじゃ、シルフィードには、なれないのかな?」
「えっ……?」
私は、一瞬、答えに詰まった。どう答えるのが、正解だろうか? 自信を付けてもらうために、優しく、大丈夫と言うべきだろうか? それとも、厳しく、真実を伝えるべきだろうか?
今でこそ、普通に外に出られるようになり、学校にも通っている。でも、かなり長いこと、心を病んでいた。大変な事故に遭って、人生が狂ってしまい、普通の子とは、歩んできた道が、全く違う。
特殊な状況だったので、周囲の人たちも、物凄く気遣って接していた。だから、誰も厳しい言葉は、言わなかったし、現実には、あえて触れなかったと思う。
私だって、親友に、厳しいことは言いたくない。しかも、彼女はまだ、病み上がりだ。でも、彼女の目はとても切実で、本当の言葉を、求めているように感じた。
私は、息を大きく吸い込むと、静かに話し始める。
「――正直に言うと、今のままじゃ、たぶんダメかな。例え、どこかの会社に入れたとしても、見習い期間で、挫折してしまうかも。覚悟もそうだけど、色々足りない部分が多いから」
「うっ……。薄々分かってはいたけど、やっぱりショック……」
ユメちゃんは、両手で顔を覆った。
「あぁ、でも『今のままでは』だからね。まだ、時間もたっぷりあるし。学校を卒業するまでに、改善すればいいだけだから」
「例えば――?」
ユメちゃんは手をどけて、そっと上目遣いで、私を見つめてくる。
「丸一日、動き回っても、平気な体力とか。家事や身の回りのことを、自分で全てできるようになるとか。あと、誰とでも、気兼ねなく、話せるようになることかな」
「えぇーー?! それって、全部、私が苦手なことじゃん。ハードル高っ!!」
「じゃあ、シルフィードを、あきらめる?」
「嫌っ! それだけは絶対にダメ。私、何があっても、必ず克服するから!」
「うん、いい覚悟だね。応援するから、頑張って」
ユメちゃんは、頭は抜群によくて、天才と言ってもいいレベルだ。ただ、それ以外は何もできない、極端な頭でっかちだ。体力だけが取り柄だった、かつての私とは、正反対だよね。
でも、おそらく、大丈夫だと思う。一見、ひ弱そうなお嬢様だけど。彼女は、滅茶苦茶、頑固で芯の強い性格だ。タイプは違うけど、私と同じで、物凄く負けず嫌いなんだよね。
「よし、じゃあ、早朝にでも、一緒にランニングする? 毎日、十キロぐらい走れば、体力つくよ」
「むーりー!! 百メートルでも、死にそうになるのに。絶対に、むりーー!!」
「って、あきらめるの早っ!」
「そうじゃなくって、いきなり、ハードルが高すぎるんだよー」
「あははっ、そっかー。私って、最初から飛ばすタイプだから」
「飛ばすにも、限度があるでしょっ!」
その後も、ユメちゃん強化計画の話で、盛り上がった。やっぱ、何をするにしても、まずは、体力からだ。引きこもっていた時は、病人扱いだったけど。今は、健全な若者なんだから、人並みには、鍛えて行かないとね。
先は長そうだけど、本気を出せば、人は思った以上に、早いスピードで成長していく。私が、そうだったように。
前に進む気持ちがある限り、きっとユメちゃんも、見違えるように、成長して行くと思う……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『元々人見知りなので距離感が上手くつかめない……』
人見知りの人間にとって心の垣根は大切な城壁だ
それでも、余った時間は、ずっと町の上空を飛び回っている。なぜなら、目的地を探していたり、迷子になっていたり、助けを必要としている人も、たまにいるからだ。ようするに、ボランティア活動みたいな感じかな。
相変わらず、予約は少ないし。飛び込み営業も、成功率はかなり低い。なので、最近は『人助けに専念しよう』と、割り切っていた。昔のシルフィードは、人助けが仕事だった訳だし。これも、接客の練習になるからね。
私は、ゆっくり飛びながら、地上の状況を、くまなく観察していった。〈ウインド・ストリート〉は、今日も、観光客や地元の若者で、物凄く賑わっていた。みんな、とても楽しそうで、見ていて嬉しくなる。
「うーん、今日も変わらず、とっても平和。何もないのが、一番だよねぇ。ん……あれって、もしかして?」
視線を動かしていると、あるお店のテラス席で、ふと目がとまった。見知った人物がいたからだ。
私は、ゆっくり高度を落とすと、お店の前に、静かに着陸する。エア・ドルフィンを降りて、近付いて行くと、そっと声を掛けた。
「こんにちは、ユメちゃん。学校の帰り?」
「って、風ちゃん?! 何で、こんな所に?」
本を読んでいたユメちゃんは、こちらを見て、物凄く驚いた表情を浮かべる。
「ごめんね、驚かせちゃった? 上空を飛んでたら、たまたま、姿が見えたから」
「あんな高いところから、見分けがつくの?」
「それが、私の仕事だからね。ユメちゃんのことは、一発で分かったよ」
「へぇぇーー。やっぱり、シルフィードって、凄いんだねぇ」
「これでも、一応、エア・マスターだし。視力は、元々いいから」
単純に外見だけではなく、その人の仕草でも、ある程度の判断がつく。ちなみに、ベテランになると、雰囲気だけで、人の区別がつくようになるらしい。なんでも、魔力の違いを、読み取ってるそうだ。私には、サッパリ分からないけど――。
私は、ユメちゃんの前の席に座ると、店員さんを呼んで、ユメちゃんと同じ、ケーキセットを注文する。ここのオススメは、レアチーズ・ケーキだ。以前、雑誌のスイーツ特集で、見たことがあった。
片っ端から、情報をチェックしているので、この通りの全てのお店の、オススメ商品を知っている。これも、毎日、コツコツやっている、勉強の賜物だよね。
「なんか、こういうのって、初めてだね」
「えっ? 風ちゃんとは、いつも、お茶してるじゃない?」
ユメちゃんは、定期的に、予約を入れてくれていた。なので、お茶したり、食事したりは、何度もやっている。
「普段は、そうだけど。制服のユメちゃんを見るのは、初めてだから」
「あぁー、そういえば、そうかも」
「私服姿しか見たことないから、何か凄く新鮮だね」
ユメちゃんは、大富豪の家のお嬢様だけど、割とラフな格好が多い。自室にいる時は、短パンにTシャツ。時には、パジャマのままとか。あと、ベッドで、ゴロゴロしていることが多いので、緩いイメージしかない。
だから、こうして、フォーマルな格好をしているのは、初めて見る。まるで、全く別人のようだ。
「その制服いいね。とても、ビシッとした感じで」
「んー、ちょっと地味じゃないかな? あんまり、可愛くないし」
黒のブレザーに、紺色のチェック柄のネクタイ。スカートも黒で、丈は少し長め。飾っ気が全くなく、物凄くシンプルだ。でも、黒で統一されているから、物凄く、引き締まって見える。
彼女が通っている〈ナターシャ叡智学館〉は、この町で『最も学力レベルが高い学校』と言われていた。『叡智の魔女』の名を冠しているだけあり、伝統的に、学問に非常に力を入れている。そのため、秀才たちが、多く集まっていた。
入学試験も、滅茶苦茶、難関であることで有名だった。でも、そこの試験に、あっさり、受かってしまうのだから。やっぱり、ユメちゃんの頭のよさは、本物だ。
「でも、とても、知的に見えるよ。カッコイイし」
「えぇー。私は、可愛いほうがいいよー」
「例えば〈聖アルティナ学園〉の制服みたいな?」
「そう、それ! あの白いブレザー、超可愛いよねぇ」
何度か見かけたことがあるけど、確かに、清楚で物凄くカワイイ。ナギサちゃんが通ってた〈南地区〉の学校だよね。
「なら、そっちに行けば、よかったんじゃないの? あそこは、お嬢様学校だし。むしろ、あっちのほうが、ユメちゃんには、向いていると思うけど」
〈聖アルティナ学園〉は『シルフィード校一のお嬢様学校』と言われており、お金持ちのご令嬢が多いらしい。まさに、ユメちゃんには、ピッタリだよね。
「一応、考えはしたんだけどね。親にも勧められたし。でも、叡智学館には、超巨大な図書館があるんだもん。蔵書数もピカイチだし、新書もどんどん入って来るし。制服がダサくても、本の誘惑には、勝てないよぉ……」
「あははっ、ユメちゃんらしいねぇ」
ユメちゃんの本好きは、相変わらずだ。学校には、ちゃんと通っているけど。暇さえあれば、本を読んでいる生活は、以前と全く変わらない。
「学校はどう? 楽しい?」
「うん。それなりに、楽しいよ。勉強は、好きだから」
「でも、叡智学館って、とんでもなく、レベル高いんでしょ? ちゃんと、ついて行けてる?」
以前〈ナターシャ叡智学館〉について調べてみたら、この町どころか、大陸を含めても、五本の指に入るぐらいの、超名門校だった。こちらの世界に、偏差値はないけど、向こうの世界基準だと『偏差値78』ぐらいらしい。
常に、偏差値50前後を、ウロウロしていた私には、完全に異次元すぎる。なので、どれぐらい凄いのか、さっぱり想像がつかない――。
「うーん、そんなに難しくはないよ。こないだの試験、学年で一位だったし」
「えぇーー?! 一位なのっ?!」
「一応、高校三年までの勉強は、個人的に終えてるし」
「あははっ……。全く問題なさそうだね」
心配する必要なんて、何もなかった。そういえば、昇級試験の時、私のほうが教わってたもんね。悲しいけど、私とでは、頭のレベルが違いすぎる――。
「でも、勉強だけ出来ても、しょうがないよね。その他は、サッパリだから」
「そうなの?」
「体育の授業は、準備運動するだけで、息切れするし。家庭科の授業では、クッキーを炭にしたし。歩いてると、よく躓いて転ぶし。もう、学校では、すっかり、ドジっ子認定されちゃったよ」
「へ、へぇぇ……」
二年も、引きこもっていたのも有るけど。そもそも、箱入り娘の、生粋のお嬢様だもんね。大豪邸に住んでいて、沢山の使用人がいて、何でもやってもらえるし。何不自由なく、生きて来たのだろう。
前々から感じてはいたけど、ユメちゃんって、物凄くアンバランスなんだよね。滅茶苦茶、頭はいいのに、結構、不器用だし。生活能力も、極端に低いし。
「でも、いいんじゃない? ユメちゃんの場合、家には、やってくれる人がいるから。それだけ頭が良ければ、将来の選択肢も広いし。大学まで行って、政治家や行政府の高官なんかになる道も、選べるよね」
この世界の大学進学率は、20%ぐらいと、非常に低い。『十代で就職するのが当り前』という常識に加え、大学が、とんでもなく、ハイレベルだからだ。どの大学も、向こうの世界の『東大』と、同じぐらいのレベルなんだって。
学力レベルの高さに加え、学費も物凄く高い。なので、大学に進学するのは、一握りの秀才かつ、経済的に余裕のある人だけだ。その代わり、大学卒業後は、確実に、エリート街道が約束されていた。
「だーかーらー、私は、シルフィードになりたいのっ!」
ユメちゃんは、ブーッと、むくれた表情で答える。
「どうしても、シルフィードになりたいの?」
「もちろんだよ。だから、シルフィード校に、行ったんじゃない」
それもそうだ。でも、私は、少し不安だった。ユメちゃんは、単なる憧れだけで、シルフィードを目指しているように、見えるからだ。仕事自体に憧れるなら、まだしも。私なんかに憧れている、という理由だけで。
シルフィードの世界は、物凄く不安定だ。成功するのは、ほんの一握りだけで、途中で辞めていく人が、非常に多い。芸能界などに、近いと思う。
私の場合は、自分の意思で選んだし、他に選べるような仕事もなかった。でも、ユメちゃんなら、頭がいいから、選択肢が物凄く広い。それに、家がお金持ちだから、親の会社を継いだり、実業家になる道だってある。
とても恵まれた環境にあって、沢山の可能性があるのに、道を一本に絞ってしまって、本当にいいのだろうか? しかも、とんでもなく厳しい、いばらの道に――。
「風ちゃんは、私がシルフィードになるの、反対なの?」
「そんなことないよ。ただ、とても厳しい業界だからね。親友の立場としては、あまり、オススメできないかな。もっと平和で、安定した道もあるんだから」
安定した将来を送りたいなら、けっして、オススメできない職業だ。
「それぐらい、分かってるもん。ちゃんと、覚悟はできてるから」
「私と同じこと、ユメちゃんも出来る?」
「……できるよ。私、風ちゃんみたいになりたくて、頑張ってるんだから」
ユメちゃんは、真剣な表情で答える。
「じゃあ、家を出て、一人暮らしをして。何の援助も受けずに、パンと水だけで、生きて行ける? 本もお菓子も、自由には買えないよ」
「えぇっ――?!」
「同じことが、できるんでしょ?」
「……」
ユメちゃんは、何かを言いかけたが、俯いて黙り込んでしまった。しばしの沈黙が訪れ、重い空気が流れる。
「ゴメンね。別に、意地悪をしてる訳じゃないんだ。ただ、私は、本気でユメちゃんを心配してるだけ。一般的なイメージと違って、とても厳しい世界だから。親友だからこそ、本当のことを知ってほしくて」
「うん。親切で言ってくれてるのは、分かってる。それに、世間知らずだし、一人じゃ何もできないし。風ちゃんみたいに、しっかりしてないし――」
「いやいや、私も、そうとうな世間知らずだったよ。向こうにいた時は、家事一つ、やったこと無かったから」
思い返せば、こちらの世界に来たばかりのころは、何も知らなかったし、何もできなかった。世間知らずで、常識知らず。今のユメちゃんよりも、もっとひどい状態だった。
「最初はね、何も知らなくても、何もできなくてもいい。でも、問題は、それを埋めるために、必死に頑張れるかどうか。あと、どんなに辛くても、耐えられるかだね。あまり、精神論は言いたくないけど。結局は、覚悟の問題だと思うよ」
スタートの時の差なんて、一、二年頑張れば、埋まってしまう。覚悟のある人間なら、どんな酷い状況からだって、はい上がる。でも、逆に、どんなに恵まれた環境にいても、本気で頑張れない人は、どんどん、置いて行かれてしまうと思う。
毎年、たくさんの新人が入ってきて、中には、抜きん出て優秀な子もいる。ちょっとでも、気を抜いたら、一瞬で、抜き去られてしまうのだ。
「ゴメンね。私、説明とか下手で。分かり辛かったかな?」
「ううん。風ちゃんの言いたいことは、分かるよ。今まで、ずっと風ちゃんの、努力や覚悟を、見て来たもん」
ユメちゃんは、ジッと私の目を見つめると、真剣な表情で尋ねてきた。
「ねぇ、風ちゃん。お世辞とか抜きで、正直に言って。今の私は、甘いかな? このままじゃ、シルフィードには、なれないのかな?」
「えっ……?」
私は、一瞬、答えに詰まった。どう答えるのが、正解だろうか? 自信を付けてもらうために、優しく、大丈夫と言うべきだろうか? それとも、厳しく、真実を伝えるべきだろうか?
今でこそ、普通に外に出られるようになり、学校にも通っている。でも、かなり長いこと、心を病んでいた。大変な事故に遭って、人生が狂ってしまい、普通の子とは、歩んできた道が、全く違う。
特殊な状況だったので、周囲の人たちも、物凄く気遣って接していた。だから、誰も厳しい言葉は、言わなかったし、現実には、あえて触れなかったと思う。
私だって、親友に、厳しいことは言いたくない。しかも、彼女はまだ、病み上がりだ。でも、彼女の目はとても切実で、本当の言葉を、求めているように感じた。
私は、息を大きく吸い込むと、静かに話し始める。
「――正直に言うと、今のままじゃ、たぶんダメかな。例え、どこかの会社に入れたとしても、見習い期間で、挫折してしまうかも。覚悟もそうだけど、色々足りない部分が多いから」
「うっ……。薄々分かってはいたけど、やっぱりショック……」
ユメちゃんは、両手で顔を覆った。
「あぁ、でも『今のままでは』だからね。まだ、時間もたっぷりあるし。学校を卒業するまでに、改善すればいいだけだから」
「例えば――?」
ユメちゃんは手をどけて、そっと上目遣いで、私を見つめてくる。
「丸一日、動き回っても、平気な体力とか。家事や身の回りのことを、自分で全てできるようになるとか。あと、誰とでも、気兼ねなく、話せるようになることかな」
「えぇーー?! それって、全部、私が苦手なことじゃん。ハードル高っ!!」
「じゃあ、シルフィードを、あきらめる?」
「嫌っ! それだけは絶対にダメ。私、何があっても、必ず克服するから!」
「うん、いい覚悟だね。応援するから、頑張って」
ユメちゃんは、頭は抜群によくて、天才と言ってもいいレベルだ。ただ、それ以外は何もできない、極端な頭でっかちだ。体力だけが取り柄だった、かつての私とは、正反対だよね。
でも、おそらく、大丈夫だと思う。一見、ひ弱そうなお嬢様だけど。彼女は、滅茶苦茶、頑固で芯の強い性格だ。タイプは違うけど、私と同じで、物凄く負けず嫌いなんだよね。
「よし、じゃあ、早朝にでも、一緒にランニングする? 毎日、十キロぐらい走れば、体力つくよ」
「むーりー!! 百メートルでも、死にそうになるのに。絶対に、むりーー!!」
「って、あきらめるの早っ!」
「そうじゃなくって、いきなり、ハードルが高すぎるんだよー」
「あははっ、そっかー。私って、最初から飛ばすタイプだから」
「飛ばすにも、限度があるでしょっ!」
その後も、ユメちゃん強化計画の話で、盛り上がった。やっぱ、何をするにしても、まずは、体力からだ。引きこもっていた時は、病人扱いだったけど。今は、健全な若者なんだから、人並みには、鍛えて行かないとね。
先は長そうだけど、本気を出せば、人は思った以上に、早いスピードで成長していく。私が、そうだったように。
前に進む気持ちがある限り、きっとユメちゃんも、見違えるように、成長して行くと思う……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『元々人見知りなので距離感が上手くつかめない……』
人見知りの人間にとって心の垣根は大切な城壁だ
0
お気に入りに追加
107
あなたにおすすめの小説
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
実家が没落したので、こうなったら落ちるところまで落ちてやります。
黒蜜きな粉
ファンタジー
ある日を境にタニヤの生活は変わってしまった。
実家は爵位を剥奪され、領地を没収された。
父は刑死、それにショックを受けた母は自ら命を絶った。
まだ学生だったタニヤは学費が払えなくなり学校を退学。
そんなタニヤが生活費を稼ぐために始めたのは冒険者だった。
しかし、どこへ行っても元貴族とバレると嫌がらせを受けてしまう。
いい加減にこんな生活はうんざりだと思っていたときに出会ったのは、商人だと名乗る怪しい者たちだった。
騙されていたって構わない。
もう金に困ることなくお腹いっぱい食べられるなら、裏家業だろうがなんでもやってやる。
タニヤは商人の元へ転職することを決意する。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる