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第5部 厳しさにこめられた優しい想い

2-6小さな巨人が挑むお祭り最終日のパン喰い競争

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 私は〈西地区〉の〈ウインド・ストリート〉来ていた。ナギサちゃんとフィニーちゃんも一緒だ。今日は『アルティナ祭』の最終日なので、見学に来ているのだ。周囲は沢山の人たちで、賑わっている。

 営業停止処分もあけて、ギリギリで、最終日には間に合った。ちゃんと、リリーシャさんにも、イベント参加の許可を取ってあるので、今日は思う存分に楽しめる。

 ただ、町中で、イベントや出店をやっているので、さすがに一日では、全て回り切れない。そこで、ナギサちゃんのオススメの〈西地区〉にやって来た。

 ちなみに〈南地区〉が、一番、盛り上がっている。あそこは、パン屋街の〈豊穣通り〉もあるため、このお祭の、中心地になっているからだ。ただ、元々観光客が多い地区なので、身動きできないほど、混んでいるらしい。

 その点〈西地区〉は、そこまで混んでないし、道幅も広くて、動きやすかった。それに、装飾も非常に凝っている。

 あと、美味しい出店が、物凄く多いんだって。フィニーちゃんも『今年は〈西地区〉が当たり』って、ナギサちゃんの意見に、賛同していた。二人の意見が合うなんて、珍しいんだよね。

 二人は、初日から、色んな地区を回り、結局、六つの地区を、全て回って来たらしい。出店のチェックに関しては、フィニーちゃんが、ほぼ全ての店の商品を、味見のために、食べまくったとか。

 その他にも、様々なパンのイベントに、参加したらしい。ナギサちゃんは、パンの創作コンテストと、プロが教えるパン作り講座。フィニーちゃんは、巨大パンの制作イベントを、熱く語っていた。

 うーむ、私も参加したかったなぁ……。特に、巨大パンのイベント。

 私は、歩きながら、周りをキョロキョロ見回していた。どこもかしこも、パン・パン・パンだらけ。売り物だけじゃなくて、装飾も全てパンで出来ている。通常だと花で作るリースが、パンで作られていた。

 いやー、本当に凄いね。まさに、パンの感謝祭。やっぱり、この町の人たちって、パンが大好きなんだよね。私も、パンが好きだから、超嬉しい。

 飾りはどれも、麦のデザインが入っている。これは、収穫の感謝と、来年も豊作であることを、願ってのことだ。ディスプレイ・ウインドウ、店の軒下、店の扉など、いたる所に、パンの飾が付けてあった。

 この期間は、一般の家庭でも、扉にパンのリースを付けている。健康運や金運アップの効果も、あるんだって。向こうの世界の、正月飾りみたいな感じだね。

 もちろん、ちゃんと食べることは出来るけど、飾りだけに使うなんて、何か贅沢だよね。ちなみに、使い終わった飾りは、専門の業者が回収して、全て肥料に作り替える。その後、町の畑で再利用するので、とてもエコな仕組みだよね。

「ここは、クリームパン。あと、あそこ、かぼちゃパンがおいしい」

 先ほどから、フィニーちゃんが歩きながら、美味しい出店を教えてくれている。フィニーちゃんにしては珍しく、今日は、よくしゃべっていた。それに、物凄くテンションが高い。

 私は、お勧めされたパンを、試しに買ってみる。食べ物に関しては、フィニーちゃんのおすすめは、外れたことがないからね。

「んー、このクリームパン、超美味しい! クリームが、別次元に美味しいよ!!」
「ひまわり牧場の、とれたての牛乳で、バターとクリーム作ってる」

「へぇー、新鮮なノア産を、使ってるんだね」
「あと、クリーム焼いてない。パン焼いたあとに、入れてる」

 滅茶苦茶、トロっとしてコクのある、超濃厚なクリーム。しかも、たっぷり入っている。なんか、シュークリームを、食べてるみたいな感じ。パンというより、デザートに近いかも。

 しかも、使われてるクリームも、パンの小麦粉も、全てノア産だ。ここに限らず、売られているパンのほぼ全てが、材料は地元のものなんだよね。元々は『収穫祭』だったので、地元産に、こだわっているんだって。

 この町の人たちは、普段から食べ慣れてるけど。よそから来る人たちにとっては、物凄く珍しいらしい。大陸のほうでは、ノア産の物って、かなり高いし。それが、通常価格で買えちゃうんだからね。

「相変わらず、変な知識だけは、詳しいわね。何で産地や製法まで、知ってるのよ?」
「この町の住人なら、常識」

「そんな常識、聴いたことないわよ。それより、そんなに食べて、大丈夫なの? このあと、イベントに参加するんでしょ?」
「全然へいき。空腹は、むしろよくない」

 私は、フィニーちゃんに、オススメしてもらった出店で、パンを買って、食べながら歩いていた。といっても、数個だけ。

 でも、フィニーちゃんは、手さげ袋を持ちながら、先ほどから、休みなく食べて続けている。すでに、十個以上、食べてる気が――。

「イベントって、何があるの? 最終日も、イベントやってるんだ?」
「一番の目玉イベント。パン喰い競争」
「あー、あの、山積みのパンを食べるやつね……」

 図書館に行った時、映像アーカイブで見て、物凄く印象に残っている。観客もたくさん集まり、かなり盛り上がっていた。あれって、最終日だったんだねぇ。

「はぁー。正直、シルフィードが出るような、競技じゃないわよね。大食いなんて、はしたない」
「大丈夫かな? 協会から、怒られたりしない?」

 私は、別の意味で心配だった。マラソンを走っただけで、呼び出されたんだから。大食い大会とかに、シルフィードが出ても、大丈夫なんだろうか?

「まぁ、MVには出ないみたいだから、大丈夫だと思うけど。それに、私服なら大丈夫でしょ」
「あぁー、それでフィニーちゃん、今日は私服だったんだ」

 休日じゃないのに、何で私服なのか、微妙に気になってたんだけど。そういうことだったのね――。

「変装も、ばっちり」
 フィニーちゃんは、ポケットから取り出した、銀縁の眼鏡をかけた。

「うわぁー、カワイイ。凄く似合ってるね!」
「見る人が見れば、分かるだろうけど。ないよりは、マシよね」

 ナギサちゃんは、今一つ、気に入らないみたいだけど。フィニーちゃんの眼鏡顔、凄くカワイイ。いつも、眠そうな目をしてるから、むしろ眼鏡があるほうが、バランスよく見える。

「一応、サングラスも、持って来た」 
 今度は、フィニーちゃんが、サングラスをかけた。

「あははっ、何かそれは、違う気がする」
「って、逆に、目立ってるじゃないのよ!」 
 
 そんなこんなで、大会が始まるまで、あちこちを食べ歩きしたのだった……。


 ******


 時間は、十二時ニ十分。私たちは〈西地区・第一競技場〉に来ていた。ここは、地元の人には『西一にしいち』と呼ばれている、割りと有名な競技場だ。陸上競技はもちろん、各種イベントも、頻繁に行われている。

 競技場は、かなり大きく、観客席も沢山ついていた。広場や公園で、ちょこっとやる程度だと思ってたので、あまりに本格的で、びっくりだ。

 選手たちは、トラックの中に設置された、特設テーブルに着いている。参加者は全部で四十人。全て、事前に応募した中から、選ばれた人たちだ。抽選らしいけど、実績も考慮されているので、有名なフードファイターも参加している。

 ざっと見まわした限り、大人ばかりだし、いかにも食べそうな、ガタイのいい人たちばかりだ。なので、フィニーちゃん一人だけ、妙に小さく見える。

 各選手の前には、大皿が置かれ、そこには『ツイスト揚げパン』が、十個のっていた。大会用の特製で、かなり大きなサイズだ。

 揚げパンの上には、たっぷりと、白い砂糖が掛けられている。凄く美味しそうだけど、普通の人なら、一個でお腹いっぱいになりそうだ。

 制限時間は、六十分。ただし、一皿『十分』の時間制限がついているので、クリアできないと、途中で失格になる。あと、三分以上、手が止まった場合も、リタイアだ。

 一分で一個は、食べないとならないので、結構、きついルールだよね。しかも、揚げパンって、脂っこいから、かなりお腹に溜まりそうだし。フィニーちゃん、さっきまで、モリモリ食べ歩いてたし、大丈夫なんだろうか――? 

 たくさん食べるのは、よく知ってるけど。速さ勝負だと、あの小さい体は、不利なんじゃないかな? どちらかというと、速く食べるより、ゆっくり延々と、食べ続けるスタイルだもんね。
 
 しばらくして、十二時半になると、試合開始のブザーが鳴り響く。いよいよ『パン喰い競争』がスタートした。ブザーと同時に、みんな、物凄い勢いで食べ始める。流石に選ばれただけあって、物凄い食べっぷりだ。

 フィニーちゃんはというと、特に急いだ様子もなく、いつも通り、普通に食べている。急ぐどころか、じっくりと、味わってるみたいだ。だいたい最初は、あんな感じなんだよね。

 空中に表示された、大型のモニターには、会場内のピックアップされた選手たちが、でかでかと映される。そこには、名前・年齢・実績などの、テロップも出ていた。やはり、有名選手が、優先的に映っているようだ。

「フィニーツァ、大丈夫なの? あまりスピードが、出てないみたいだけど。さっき出店で、食ベ過ぎたからじゃない?」 

「あははっ、すっごい食べてたんもんね。でも、平気じゃない。フィニーちゃんの強さは、後半からだから」

 これから、大食い大会があるとは思えないほど、普段と同じペースで、出店で買い食いしてたもんね。でも、フィニーちゃんは『空腹すぎると、むしろ沢山たべられない』と言っていた。どうやら、腹ごなしが、必要らしい。

 時間が刻々と過ぎて行き、速い選手は、すでに二皿目に入っている。でも、フィニーちゃんは、マイペースで食べていた。

 結局、一皿目を食べ終わるのに『九分三十秒』と、割とギリギリでクリアだった。でも、一皿に『ジャンボ揚げパン』十個だから、食べきるだけでも凄いことだ。

 十分が経過したところで、空中モニターに『脱落者5名』と表示された。タイムアップで、落とされてしまった人たちだ。脱落した人たちは、悔しそうに席を立ち去っていく。

 一皿、食べ切るだけでも大変なのに、やっぱり、十分で十個はきついよね……。

 二皿目に入ったところで、少し様子が変わって来た。最初は、みんな勢いよく食べていたのに、ペースの遅くなった人たちが、ちらほら出てきたのだ。水で無理やり押し込んだり、辛そうな表情をしている人たちもいる。
 
 だが、ペースを落とさずに、食べ続けている人たちもいた。やはり、有力選手たちは非常に強く、体も大きな人が多い。体格を見ただけで、いかにも強そうなのが、伝わってくる。

 そんな中、フィニーちゃんは、相変わらずペースを落とさずに、黙々と食べ続けていた。特に早いわけじゃないけど、全く止まらない。何というか、見ていて安心できる、物凄い安定感だ。

 周りの人たちは、一生懸命、水で押し込んでいるのに、フィニーちゃんは、飲み物に、全く手を付けていなかった。

 表情もいつも通りで、苦しむどころか、むしろ、楽しそうな感じする。きっと、食べ放題で、物凄く嬉しいんだと思う。そもそも、大会に優勝するためじゃなくて、単に食べたくて、参加したっぽいからね。

 その後も、フィニーちゃんは、マイペースで食べ続ける。しばらくして、十九分ジャストで、無事に二皿目を完食した。

 やがて、ニ十分が経過すると、空中モニターに『脱落者13名』と表示される。失格になった人たちが、続々と退出していくと、だいぶ席が空いてきた。二皿目で、約半数が脱落。これは、想像以上に、キツイ戦いになりそうだ。

 三皿目に突入すると、さらに、ペースに差がついて来る。ここまで来た人たちも、かなり辛そうだ。もう、完全に手が止まって、動けなくなっている人たちもいる。さすがに、一分で一個のペースを続けるのは、無理があると思う。

 それでも、数名は、黙々と食べ続けていた。その中には、フィニーちゃんの姿もあった。先ほどから、全然ペースが変わっていない。相変わらず、時間を一杯に使いながら、マイペースで食べていた。

「フィニーツァは、大丈夫なのかしら? ずいぶん、ゆっくり食べてるようだけど」
「たぶん、わざと、ゆっくりなんじゃないかな?」

「それって、計算しているってこと?」
「そこまでは、考えてないと思うけど。最適なペース配分が、分かってるんじゃないかな?」

 たぶん、そんな細かな計算は、してないと思う。ただ、本能的に、時間内に間に合うペースで、無理なく食べているんだろう。今まで見た限りでは、本気を出せば、もっと速く、食べられるはずだから。

 やがて、ニ十分も後半になって来ると、黙々と食べていた人たちも、立ち上がって、体を動かしたりしている。だが、フィニーちゃんは、相変わらず座ったまま、口だけを黙々と動かしていた。

 しばらくすると、三十分経過の、アラーム音が鳴った。と同時に『脱落者15名』と、空中モニターに表示される。

 加えて『残り三十分 時間ノルマ無し 1分以上停止で失格』と、でかでか表示された。観客席から、大きな歓声があがる。どうやら、ここからが『決勝戦』のようだ。

 途中で脱落した人たちが去り、残りは七名。流石に、ここまで来ただけあって、みんな迫力があって、いかにも強そうだ。

 そんな中、一人だけ、完全に場違いな感じがするのが、フィニーちゃんだった。でも、本人は、特に気にした様子もなく、黙々と食べ続けている。

 フィニーちゃんが、モニターに映った瞬間、会場中がざわつき始めた。テロップには『参加者最年少の十五歳』と表示されている。

 さらに『ノア中のデカ盛りを制覇した、小さな巨人』の表示が出たところで、会場内から『おぉー!!』と、歓声があがった。そこら中で『あの眼鏡の少女は何者だ?』と、次々声が上がっている。

「結局、目立ってるじゃないのよ……」 
「あははっ。まぁ、あの小柄な体形で、あの食べっぷりじゃ、やっぱこうなるよね」 

 何となく、予想はしていたけど、想像以上に、会場内の反応が大きかった。

 その後も、熾烈な戦いが続いて行く。『四十二分』が経過したところで、ついに、残ったのは、二人だけになる。みんな、途中で手が止まって、続々と退場していったからだ。

 一人は『アイアン・ストマック』の異名を持つ、有名フードファイターのダイアンさん。そして、もう一人は、フィニーちゃんだ。二人の様子が、大型の空中モニターで、分割表示されていた。一個、食べるごとに、会場中から歓声があがる。

 特に、フィニーちゃんは物凄い人気で、一つ食べるたびに、大歓声があがっていた。『小さなお嬢ちゃん、頑張れー!』と、沢山の応援も飛び交っている。

 二人とも『五皿目』に突入しており、ダイアンさんが、三個リードしている状態だ。体も大きいし、流石に強い。だが、四十八個目を食べたところで、立ち上がって、腰を振り始めた。

 フィニーちゃんは、その間も、ひたすら食べ続ける。だが、四十五個目を、食べ終わったところで、急に動きが変わった。食べるペースが、速くなったのだ。それに気づいたのか、ダイアンさんが席について、急いで食べ始める。

 水で押し込みながら、ダイアンさんが、五皿目を完食。だが、フィニーちゃんも、その少しあとに完食。残り時間は、十二分。差は、たったの一個に迫っていた。物凄い大接戦だ。

 二人が『六皿目』に入ったところで、会場中が大熱狂に包まれた。体の大きな男性と、小さな少女の一騎打ち。互いに譲らず、食べ続ける。

 だが、苦しそうなダイアンさんとは対照的に、フィニーちゃんは、表情を変えずに、黙々と食べ続けていた。真剣な表情をしているけど、これは、本気を出してる時の顔だ。

 途中、ダイアンさんが、パンをのどに詰まらせた。胸を叩きながら、必死に水を飲んでいる。その間に、フィニーちゃんが追いついた。二人とも『六十二個』で並ぶ。

 ダイアンさんは、復活して食べ始めるが、今度はフィニーちゃんが優勢になった。ついには、フィニーちゃんが、一個差でリードする。会場から、物凄い大歓声が巻き起こった。

 その後も、フィニーちゃんは、ハイペースで食べ続けた。すでに、ダイアンさんは、戦意喪失したのか、ほとんど進んでいない。フィニーちゃんの完食数だけが、どんどん伸びて行く。

 やがて、大歓声の中、ついに終了のブザーが鳴った。大型モニターには『試合終了』の文字が表示されている。

 あっという間の、六十分だった。会場中から、大きな拍手が巻き起こる。私も、最後まで戦った二人に、健闘を称える拍手を送った。

 いやー、本当に凄い戦いだった。特に、最後の一騎打ちは、物凄い見ごたえがあったもん。流石に有名フードファイターだけあって、ダイアンさんは強かった。でも、その上を行ったフィニーちゃんが、あまりに強過ぎただけだと思う。

 しばらくすると、空中モニターに、集計結果が表示された。選手名と食べた個数が、四十位から順に、ゆっくりと、スクロール表示されていく。十位からは、一人ずつ表示され、その都度、拍手が起こる。

 そしてついに、第二位が発表される。
『準優勝 ダイアン・クルーズ選手 64個』
 会場内から、大きな拍手が起こった。

 拍手が鳴りやみ、しばしの静寂のあと、いよいよ一位の発表だ。

『優勝 フィニーツァ・カリバーン選手 71個』
 
 表示された瞬間、嵐のような大歓声が巻き起こった。観客席の人達が、総立ちになって、惜しみのない拍手と称賛の声を送る。最後の怒涛のラストスパートで、七個差をつけての、完全勝利だった。

「やっぱ、フィニーちゃん凄いね」
「何となく、やりそうな気はしてたけど。素直に、喜んでいいのかどうか――」
「喜んでいいに、決まってるよ! 優勝だもん!!」 
 
 その後、表彰式の準備をしている間、フィニーちゃんが、余っていた揚げパンをつまみ食いして、会場内で爆笑が起こったりとか。最初から最後まで、大盛り上がりのイベントだった。

 色んな意味で、後世まで語り継がれる、伝説の大会だと思う。何というか、まぁ、実にフィニーちゃんらしいよね。やりたいように、自由にやって、これだけ評価されちゃうんだから。

 私は、今回の『アルティナ祭』には、最終日しか、参加できなかった。でも、とてもいい思い出が出来た。ナギサちゃんと、フィニーちゃんのお蔭だね。

 滅茶苦茶、元気が出たし。気を取り直して、明日からまた、頑張りまっしょい!


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次回――
『二人で飛ぶ空にはとても優しい風が吹いていた』

 風が止んだのなら、もう一度起こせばいい!
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