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初級ダンジョン 探索編
新しいハズレドロップ
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ビュッと刃についた血を払い落し、ハルトムートさんがドロップアイテムを拾っている。
どうやら、わさわさといっぱいいたゴブリンたちは倒してもアイテムを落とすことはなかったが、ゴブリンソルジャーとゴブリンメイジは違ったらしい。
ぼくもタタタッとレオの元へ走り寄り、ゴブリンメイジが落としたアイテムを拾う。
「なんだろう、これ」
石? 色付きの石かな?
「そりゃ、魔石だ」
いつの間にか、ぼくの後ろにハルトムートさんが立っていました。
「魔石ですか?」
「ああ。ゴブリンメイジが落とすのは魔石だ。あんまりレベルの高い物じゃないが、魔道具の動力になったりポーションの素材だったりする。お前が今持っている青い魔石は水の魔力が込められているからスラ……レオのおやつにでもすればいい」
えっ? レオってば水以外も食べる雑食になっちゃったけど、こんな石まで食べるの?
ぼくはハルトムートさんに言われたまま、持っていた魔石をすーっとレオに差し出した。
レオはぼくの手の上の魔石を左右から眺めた後、パクリと体に呑み込んだ。
「だ、大丈夫?」
変なモノ食べてお腹壊さない?
はっ! さっきゴブリンメイジが魔法で作りだした水の塊とか火の玉とか石の礫とか食べてたよね?
ぼくの心配を余所に、レオはぴょーんと高く飛んだかと思えば体全体をもごもごと動かして、プルンと雫型に戻った。
気のせいか、ご機嫌モードで体の縁のキラキラ度が増しているように見える。
「お、おいしかったの?」
まさかね、と思いつつ味の感想を聞いてみると、レオは頷くように体を上下に動かした。
そ、そっかー、美味しかったか……あの、変な石。
「水の魔力を体に取り込んだから嬉しいんだろうよ。これでさらに水の魔法が扱いやすくなったはずだ」
「えっ!」
なんですと! あの石にそんなお得な能力があったなんて!
「おい、クルト。お前は間違っても食べるなよ。ありゃ、人がそのまま食べたら魔力暴走を起こして廃人になるからな。魔物はそのまま食べても平気なんだけどなぁ。あ、ほんの少しならポーションの材料にはなるぞ」
ハルトムートさんは、難しい事は俺にはわからんとガシガシ頭を掻いて、ボス部屋の奥、オスカーさんたちがいるところへゆっくりと歩いていった。
そ、そんな、ぼくは魔石を食べて能力アップができないなんて……がっかりだよ。
ぴょん。
レオがぼくの頭の上に飛び乗った。
「うん。また魔石が出たらレオにあげるよ。でも、オスカーさんに許可をもらってからだから、勝手に食べちゃダメだよ?」
ぼくは残りの魔石を鞄にしまって、オスカーさんへ報告しようとタタタと走っていく。
オスカーさんとビアンカさんとディーターさん三人が丸く囲んで、何かを見下ろしている。
何があるんだろう?
その横でハルトムートさんが呆れた顔で立っていた。
「どうしました?」
とりあえず、ハルトムートさんに話しかけてみる。
「あぁ? なんかハズレドロップに興奮してるみてぇだが、何を考えてるんだ? ハズレドロップはハズレだろう?」
「ここに来るまでもハズレドロップを拾ってたじゃないですか?」
ハズレドロップの歪んだ瓶の中身は黒い調味料だったし、十階のボス部屋では根っこもどきを拾ったでしょ?
みんな美味しいご飯になる食材なんですよ?
「はっ! じゃあ、あれも美味しいご飯の元か!」
ハルトムートさんがグワッと目を剥きだして迫ってくるのを、その顔を両手でいや~んと押して背ける。
「わ、わからないですけどっ、何かの食材だと思いますよっ」
ただ、見ただけではどんな料理になるか、どんな使い方をすればいいのかわからないんだけどね。
興奮してきたハルトムートさんの体の横をすり抜けて、オスカーさんの服の裾をクイクイッとひっぱる。
「何が出ました?」
「……クルト」
三人が囲んでいたのは大きな袋が五つ。
この袋って、小麦が入っている袋とよく似ているような?
ぼくは、袋の口を開けて中身を確認してみる。
「……これ、なんだろう?」
小麦とは違うけど、やっぱり穀物かな?
「坊主ーっ! でかしたっ!」
「わー、また和のジャンルですか?」
「……オレも」
ぼくの頭から、ぴょんぴょんぴょんと三人の小さいおじさんが飛び出してきた!
そして和のおじさんと珍しく中のおじさんが興奮しているみたい。
「カズ。これなに?」
両手で掬って和のおじさんに見せると、彼は満面の笑顔でその中にダイブした。
「これはな、美味しい、美味しい、ご飯だーっ」
「いや、それじゃわかんないよ」
ご飯はご飯だろうけど、何のご飯なのさ。
「これはコメと言ってな。ワシの主食なのだ! どんなおかずにも合う最高に美味いご飯なのだっ!」
ぼくの手の中にある、そのコメとやらの中をバタバタと泳いで至福を味わう和のおじさんの説明はさっぱりわからない。
「フフフ。よっぽど嬉しかったのですね、カズは。これはクルトたちが食べているパンのようなモノです」
パンのようなモノ?
じゃあ、これは小麦なの?
「このまま食べる物ではないのか?」
ぼくが謎の食材に首を傾げていると、オスカーさんが洋のおじさんに大事なことを確認している。
「そうですよ。これは精米してから炊いて食べるんです」
「……せいまい?」
なんですか、それ?
どうやら、わさわさといっぱいいたゴブリンたちは倒してもアイテムを落とすことはなかったが、ゴブリンソルジャーとゴブリンメイジは違ったらしい。
ぼくもタタタッとレオの元へ走り寄り、ゴブリンメイジが落としたアイテムを拾う。
「なんだろう、これ」
石? 色付きの石かな?
「そりゃ、魔石だ」
いつの間にか、ぼくの後ろにハルトムートさんが立っていました。
「魔石ですか?」
「ああ。ゴブリンメイジが落とすのは魔石だ。あんまりレベルの高い物じゃないが、魔道具の動力になったりポーションの素材だったりする。お前が今持っている青い魔石は水の魔力が込められているからスラ……レオのおやつにでもすればいい」
えっ? レオってば水以外も食べる雑食になっちゃったけど、こんな石まで食べるの?
ぼくはハルトムートさんに言われたまま、持っていた魔石をすーっとレオに差し出した。
レオはぼくの手の上の魔石を左右から眺めた後、パクリと体に呑み込んだ。
「だ、大丈夫?」
変なモノ食べてお腹壊さない?
はっ! さっきゴブリンメイジが魔法で作りだした水の塊とか火の玉とか石の礫とか食べてたよね?
ぼくの心配を余所に、レオはぴょーんと高く飛んだかと思えば体全体をもごもごと動かして、プルンと雫型に戻った。
気のせいか、ご機嫌モードで体の縁のキラキラ度が増しているように見える。
「お、おいしかったの?」
まさかね、と思いつつ味の感想を聞いてみると、レオは頷くように体を上下に動かした。
そ、そっかー、美味しかったか……あの、変な石。
「水の魔力を体に取り込んだから嬉しいんだろうよ。これでさらに水の魔法が扱いやすくなったはずだ」
「えっ!」
なんですと! あの石にそんなお得な能力があったなんて!
「おい、クルト。お前は間違っても食べるなよ。ありゃ、人がそのまま食べたら魔力暴走を起こして廃人になるからな。魔物はそのまま食べても平気なんだけどなぁ。あ、ほんの少しならポーションの材料にはなるぞ」
ハルトムートさんは、難しい事は俺にはわからんとガシガシ頭を掻いて、ボス部屋の奥、オスカーさんたちがいるところへゆっくりと歩いていった。
そ、そんな、ぼくは魔石を食べて能力アップができないなんて……がっかりだよ。
ぴょん。
レオがぼくの頭の上に飛び乗った。
「うん。また魔石が出たらレオにあげるよ。でも、オスカーさんに許可をもらってからだから、勝手に食べちゃダメだよ?」
ぼくは残りの魔石を鞄にしまって、オスカーさんへ報告しようとタタタと走っていく。
オスカーさんとビアンカさんとディーターさん三人が丸く囲んで、何かを見下ろしている。
何があるんだろう?
その横でハルトムートさんが呆れた顔で立っていた。
「どうしました?」
とりあえず、ハルトムートさんに話しかけてみる。
「あぁ? なんかハズレドロップに興奮してるみてぇだが、何を考えてるんだ? ハズレドロップはハズレだろう?」
「ここに来るまでもハズレドロップを拾ってたじゃないですか?」
ハズレドロップの歪んだ瓶の中身は黒い調味料だったし、十階のボス部屋では根っこもどきを拾ったでしょ?
みんな美味しいご飯になる食材なんですよ?
「はっ! じゃあ、あれも美味しいご飯の元か!」
ハルトムートさんがグワッと目を剥きだして迫ってくるのを、その顔を両手でいや~んと押して背ける。
「わ、わからないですけどっ、何かの食材だと思いますよっ」
ただ、見ただけではどんな料理になるか、どんな使い方をすればいいのかわからないんだけどね。
興奮してきたハルトムートさんの体の横をすり抜けて、オスカーさんの服の裾をクイクイッとひっぱる。
「何が出ました?」
「……クルト」
三人が囲んでいたのは大きな袋が五つ。
この袋って、小麦が入っている袋とよく似ているような?
ぼくは、袋の口を開けて中身を確認してみる。
「……これ、なんだろう?」
小麦とは違うけど、やっぱり穀物かな?
「坊主ーっ! でかしたっ!」
「わー、また和のジャンルですか?」
「……オレも」
ぼくの頭から、ぴょんぴょんぴょんと三人の小さいおじさんが飛び出してきた!
そして和のおじさんと珍しく中のおじさんが興奮しているみたい。
「カズ。これなに?」
両手で掬って和のおじさんに見せると、彼は満面の笑顔でその中にダイブした。
「これはな、美味しい、美味しい、ご飯だーっ」
「いや、それじゃわかんないよ」
ご飯はご飯だろうけど、何のご飯なのさ。
「これはコメと言ってな。ワシの主食なのだ! どんなおかずにも合う最高に美味いご飯なのだっ!」
ぼくの手の中にある、そのコメとやらの中をバタバタと泳いで至福を味わう和のおじさんの説明はさっぱりわからない。
「フフフ。よっぽど嬉しかったのですね、カズは。これはクルトたちが食べているパンのようなモノです」
パンのようなモノ?
じゃあ、これは小麦なの?
「このまま食べる物ではないのか?」
ぼくが謎の食材に首を傾げていると、オスカーさんが洋のおじさんに大事なことを確認している。
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「……せいまい?」
なんですか、それ?
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