27 / 29
27話
しおりを挟む
━━━次の日。
「将軍、会いたかったですー!」
朝、号泣しながら身体に抱きつくカインに俺は苦笑しながら「ただいま。」と伝える。
「絶対に、絶対に将軍は死なないと信じてました!」 グスッ
「信じてくれただけでも嬉しいよ」
カインの涙を袖で拭いていると、まるで犬を世話している様な感覚になる。
「半数しか帰ってこられなかったんですね…」カインが訓練に参加している兵士達を見ながら、そう呟く。
「……あぁ。」自分の事に必死で近くに居た仲間を救えなかった事に罪悪感を感じてしまう。戦場へ出て改めて自分の無力さを思い知った。思わず拳に力が入る。
━━━「自分の無力さを思い知った分、いい経験もできたよ」少し間を置き、木刀を手に取りながら話す。
「どんなことか後で教えてください」カインも木刀を手に取る。
「あぁ。」
そしてお互いに身体を向け訓練する。今回のグリード族との戦いを思い出しながら。
━━━数時間後
空が赤く染まろうとしていた時に、俺とカインは訓練をやめた。いつか見た光景のようにお互いボロボロになりながら。食堂へ向かい列に並ぶ。今回は頭も身体も使いお腹は限界だった。パンとスープを受け取ると、席に着き食べ始める。
「……。」
周りの兵士達は、無事に帰還できた兵士達と喜びあい騒いでいた。時間が経つにつれて、段々と騒がしくなってくる食堂を俺は離れ1人落ち着ける場所へ避難する。
兵舎へ戻る道の廊下は月明かりがとても綺麗で、窓を少しだけ開き羽を休める。心地よい風が頬を掠める。何も考えず目を閉じる。
コツコツッ
遠くから足音が近くなってきているのを感じ、俺は目を開けて音の鳴るほうへ顔を向ける。暗い影から見知った顔が出てくる。
「何をしているんだ」
セドリック軍団長は、俺を見るなり声を掛けてきた。
「風が心地よいので…」
「はぁ、…食堂で兵士達が帰還パーティーをしているみたいだな」
「その様ですね」
(自分には関係の無い話だ…)
「参加しないのか…?」
(兵士達に嫌われているのを知っての嫌味か……?………まぁ、今は1人で居たい気分だからいいか…)
「俺は行っても歓迎されません」
「そうか。」
そこからお互い沈黙の時間が流れ、俺は再び空を見上げる。
「話は変わるがー」
「……はい。」
「弓矢の扱いは何処で学んだ?」
「扱い……ですか?」
「あぁ。戦場で見たケイラの弓は軸がぶれず、正確に的を得ていた。鳥を狩れる程度とは到底思えない。」
セドリックの分析に思わずドキッとしてしまう。そこまで見ていたのかと冷や汗が出る。
「……たまたま上手くいっただけですよ…」
「本当にそれだけか……?」セドリックは目を細めながら尋ねてくる。
「…はい。」
弓矢の扱いは独学半分、グレンから教わった事が半分だった。鳥を狩れる程度と思わず嘘をついてしまったが、生前は小動物や大きい獲物等を狩っていた。半月程だけ弓騎兵にいた事もあった。
「…そうか。」まだ疑いの目を持ったままセドリックは返事をし、暗闇の中へと消えていった。
「将軍、会いたかったですー!」
朝、号泣しながら身体に抱きつくカインに俺は苦笑しながら「ただいま。」と伝える。
「絶対に、絶対に将軍は死なないと信じてました!」 グスッ
「信じてくれただけでも嬉しいよ」
カインの涙を袖で拭いていると、まるで犬を世話している様な感覚になる。
「半数しか帰ってこられなかったんですね…」カインが訓練に参加している兵士達を見ながら、そう呟く。
「……あぁ。」自分の事に必死で近くに居た仲間を救えなかった事に罪悪感を感じてしまう。戦場へ出て改めて自分の無力さを思い知った。思わず拳に力が入る。
━━━「自分の無力さを思い知った分、いい経験もできたよ」少し間を置き、木刀を手に取りながら話す。
「どんなことか後で教えてください」カインも木刀を手に取る。
「あぁ。」
そしてお互いに身体を向け訓練する。今回のグリード族との戦いを思い出しながら。
━━━数時間後
空が赤く染まろうとしていた時に、俺とカインは訓練をやめた。いつか見た光景のようにお互いボロボロになりながら。食堂へ向かい列に並ぶ。今回は頭も身体も使いお腹は限界だった。パンとスープを受け取ると、席に着き食べ始める。
「……。」
周りの兵士達は、無事に帰還できた兵士達と喜びあい騒いでいた。時間が経つにつれて、段々と騒がしくなってくる食堂を俺は離れ1人落ち着ける場所へ避難する。
兵舎へ戻る道の廊下は月明かりがとても綺麗で、窓を少しだけ開き羽を休める。心地よい風が頬を掠める。何も考えず目を閉じる。
コツコツッ
遠くから足音が近くなってきているのを感じ、俺は目を開けて音の鳴るほうへ顔を向ける。暗い影から見知った顔が出てくる。
「何をしているんだ」
セドリック軍団長は、俺を見るなり声を掛けてきた。
「風が心地よいので…」
「はぁ、…食堂で兵士達が帰還パーティーをしているみたいだな」
「その様ですね」
(自分には関係の無い話だ…)
「参加しないのか…?」
(兵士達に嫌われているのを知っての嫌味か……?………まぁ、今は1人で居たい気分だからいいか…)
「俺は行っても歓迎されません」
「そうか。」
そこからお互い沈黙の時間が流れ、俺は再び空を見上げる。
「話は変わるがー」
「……はい。」
「弓矢の扱いは何処で学んだ?」
「扱い……ですか?」
「あぁ。戦場で見たケイラの弓は軸がぶれず、正確に的を得ていた。鳥を狩れる程度とは到底思えない。」
セドリックの分析に思わずドキッとしてしまう。そこまで見ていたのかと冷や汗が出る。
「……たまたま上手くいっただけですよ…」
「本当にそれだけか……?」セドリックは目を細めながら尋ねてくる。
「…はい。」
弓矢の扱いは独学半分、グレンから教わった事が半分だった。鳥を狩れる程度と思わず嘘をついてしまったが、生前は小動物や大きい獲物等を狩っていた。半月程だけ弓騎兵にいた事もあった。
「…そうか。」まだ疑いの目を持ったままセドリックは返事をし、暗闇の中へと消えていった。
492
あなたにおすすめの小説
才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。
誉コウ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。
その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。
胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。
それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。
運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。
君の恋人
risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。
伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。
もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。
不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年。
かつて自分を救った玲に再会した静は玲に対して同じ苦しみを味合わせようとする。
【BL】無償の愛と愛を知らない僕。
ありま氷炎
BL
何かしないと、人は僕を愛してくれない。
それが嫌で、僕は家を飛び出した。
僕を拾ってくれた人は、何も言わず家に置いてくれた。
両親が迎えにきて、仕方なく家に帰った。
それから十数年後、僕は彼と再会した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる