生まれ変わりは嫌われ者

青ムギ

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26話

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馬を走らせ続け、城へ帰りついたのが夜も更けてきた頃だった。

見張りの兵士が門を開けてセドリック率いる兵士を中へ通す。

パカッパカッ

馬の足音だけが響く。真っ直ぐグレンがいる城へと向かう。

城へ着くと、セドリックは馬から降りて「報告へ行くぞ」と指示を出す。俺と他の兵士も馬から降り、セドリックの後をついていく。

長い廊下を進んだ先に、グレンがいる部屋に着いた。

コンコン

セドリックが扉を叩き、グレンを呼ぶ。

「入って来い」

部屋の中からグレンの声がすると、セドリックは扉を開け中へ入る。その後を俺達も続く。

グレンの部屋へ入り、辺りを見渡す。

あの頃と変わらない飾り気のないシンプルな部屋。懐かしさのあまり、泣きそうになる涙をグッと堪えて下を俯く。そして、グレンの方を見る。

「生き残ったのは数人程か…」

グレンが机の上に置いてある資料から俺たちの方へ視線を移す。そして、目が合う。直ぐに逸らされてしまったが、俺の中では長い時間見つめられたかのように感じられた。

「はい。今回の戦ではグリード族の━━━━」

報告の内容を頭に入れず、俺はグレンだけを見つめた。
幼さが残る顔はまだ可愛らしいが、性格は大人びていた。セドリックの報告に何かを考えるような仕草をする。その仕草は生前と変わらないグレン特有の癖のようなものだった。

「…………。」

そして、またグレンと目が合う。今度は長い間見られている。

「━━い、」

「ーい、」

「おい!」

ハッ

「話を聞いているのか?」

眉間に皺を寄せて怒るグレン。
俺は慌てて頭を下げて謝る。

「すいませんでした…!」

セドリックは隣でハァとため息を吐いて指示を出す。

「お前らはもう休め」

「えっ……、……ですが…」

「近々、兵士選抜試験が控えている。怪我の治療に専念して挑め。」セドリックの言葉に俺は我に返り、「分かりました。」と返事をしてから部屋を後にする。


兵舎に他の兵士と戻っている際、1人の兵士に声を掛けられた。

「な、なぁ。」

「……?」

「ケイラだったよな……?名前…。」

「そうですが…」

敬語を使い、相手の反応を見る。

「もしかして物怖じしない性格なのか…?」

「……?」
相手の言っている意味がわからず、俺は首を傾げた。

「ほら、だって…俺らでさえグレン王子やセドリック軍団長を前にすると萎縮しちまうのに、平気そうな顔で他の事考えてただろ……?」

「…………あぁ。」
言葉の意味を理解し、俺は口に手を当てて少しだけ笑う。

「あれは、グレン王子の容姿に見惚れていただけです…」
そう返事を返せば、相手は口をポカンと開けて固まっていた。

相手の反応をお構い無しに俺は、歩くスピードを早めて兵舎へと戻る。
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