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15話
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「僕…、ソラという奴が大嫌いです。ソラの魅力に魅了されたグレン王子も他の者も…。証拠が不十分な者に対して、処罰の対象にするというのは少なくとも反感を持たれると思います。セドリック軍団長もやり過ぎだと仰っていましたし…。この判断を王子だけの独断でしていた場合、僕は真っ先にソラの喉元を掻っ切ってやりますよ。」
カインに今までの事、そして昨夜起きた事を伝えると耐えきれないといった様子で怒っていた。俺は他者に聞かれていないか警戒しながらもカインから出た物騒な言葉を聞いていた。
「確かに反感は持たれるだろうな…。」
「ソラの怪我が心配なら部屋で手鎖と首輪でもつけて監視しておけばいい話じゃないですか。」
「まるで牢屋だな…」
「将軍、何言ってるんですか。年中薄暗く鼠が住まう地下で過ごすより贅沢ですよ。」呆れ顔でカインに言われ、俺は(確かに…)と思った。
「王子に正常な判断がつかない程とは……ハァ。」頭に手を置きながら深いため息を吐くカイン。
「グレンはまだ16歳なんだ。」
「将軍…16の子供は無責任な言動の善し悪しくらい分別出来ますよ。いくら相手に惚れこんでるといっても正常な判断はつきます。王子はソラに魂でも売ったんですか?」
「……。」
カインに正論を言われ思わず口を閉ざした。これ以上言い訳ばかりを並べて話していたらカインが鬼になってしまう。今でさえ、見た事のない怒りっぷりに困惑している。
カインは怒りが収まらないのか部屋の中をウロウロしながら抑えている。時折「化けの皮を剥いでやる…」と物騒な言葉が聞こえてくるが、聞こえない振りをして静かに過ごす。
(カインのおかげで大分気持ちが和らいだな…)
━━━━「将軍!訓練に付き合ってください。」
ニコリと微笑む顔からは先程までの怒りは含まれておらず、俺はホッとした。
「あぁ。」ベッドに深く腰かけていた体を起こし立ち上がると、グイッとカインに腕を掴まれた。強引に掴まれた腕には力がこもっており振り解けないと直ぐに悟った。
「なぁ、カイン…ありがとうな。」
訓練場へ移動中、一言も喋らないカインに俺は感謝を伝えた。
「本当は、同情でも何でもいいから言葉が欲しかったんだ。グレンを好きな気持ちに嘘はない。だが…「僕もですよ。」ピタリと立ち止まり俺の言葉を遮ったカインは目線を合わせ、
「僕は、2人の幸せを1番近くで見てきました。だから今度も結ばれて欲しいと切実に願っています。この言葉に嘘は無いです。」
カインに今までの事、そして昨夜起きた事を伝えると耐えきれないといった様子で怒っていた。俺は他者に聞かれていないか警戒しながらもカインから出た物騒な言葉を聞いていた。
「確かに反感は持たれるだろうな…。」
「ソラの怪我が心配なら部屋で手鎖と首輪でもつけて監視しておけばいい話じゃないですか。」
「まるで牢屋だな…」
「将軍、何言ってるんですか。年中薄暗く鼠が住まう地下で過ごすより贅沢ですよ。」呆れ顔でカインに言われ、俺は(確かに…)と思った。
「王子に正常な判断がつかない程とは……ハァ。」頭に手を置きながら深いため息を吐くカイン。
「グレンはまだ16歳なんだ。」
「将軍…16の子供は無責任な言動の善し悪しくらい分別出来ますよ。いくら相手に惚れこんでるといっても正常な判断はつきます。王子はソラに魂でも売ったんですか?」
「……。」
カインに正論を言われ思わず口を閉ざした。これ以上言い訳ばかりを並べて話していたらカインが鬼になってしまう。今でさえ、見た事のない怒りっぷりに困惑している。
カインは怒りが収まらないのか部屋の中をウロウロしながら抑えている。時折「化けの皮を剥いでやる…」と物騒な言葉が聞こえてくるが、聞こえない振りをして静かに過ごす。
(カインのおかげで大分気持ちが和らいだな…)
━━━━「将軍!訓練に付き合ってください。」
ニコリと微笑む顔からは先程までの怒りは含まれておらず、俺はホッとした。
「あぁ。」ベッドに深く腰かけていた体を起こし立ち上がると、グイッとカインに腕を掴まれた。強引に掴まれた腕には力がこもっており振り解けないと直ぐに悟った。
「なぁ、カイン…ありがとうな。」
訓練場へ移動中、一言も喋らないカインに俺は感謝を伝えた。
「本当は、同情でも何でもいいから言葉が欲しかったんだ。グレンを好きな気持ちに嘘はない。だが…「僕もですよ。」ピタリと立ち止まり俺の言葉を遮ったカインは目線を合わせ、
「僕は、2人の幸せを1番近くで見てきました。だから今度も結ばれて欲しいと切実に願っています。この言葉に嘘は無いです。」
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