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親子でし

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「だいぶ、元気、なりまた!」

 リトが両手を掲げる。

 テデが毎日治癒魔法を掛けてくれて、料理長の元気と血を造るご飯をもりもり戴いたリトは、日を追うごとに回復した。

 セバのお菓子講座は大変だったけど、レォンと一緒に食べた料理長渾身の力作の沢山のお菓子は、めちゃくちゃ元気をくれた!

 ふわふわの耳としっぽも、ぽふぽふしてる。


 元気なリトの満面の笑顔に

「ぐ──!」

 ジゼとセバとゲォルグとテデとレォンとお邸の皆が胸を押さえてうずくまった。

「まだ完全じゃないんだから、無理したらだめだよ。帝宮でのお茶会も心配だけど、リトが行かないとレォンさまもお寂しいだろうし……」

 テデが心配そうにリトの目を覗き、脈を診てくれる。

「苦しくなったらすぐに言うんだよ。ジゼさまも、抱っこはそーっとです!」

「重々肝に銘じる」

 いかめしく頷くジゼに

「がんばるのだよ、ジゼ」

 ゲォルグがやさしい目をしてる。


「本日は闇龍レォンさまを帝宮にご案内し、陛下にご紹介する予定です。本来ならばレォンさまのもとに陛下が伺うところですが、レォンさまにドディア帝国の帝宮をご案内し、人間の暮らしぶりを見ていただきたいと。いかがでしょうか、レォンさま」

 レォンの前に膝をつき、視線を合わせて微笑むゲォルグに、ちょっと赤くなったレォンのお背なのちっちゃな羽がぱたぱたしてる。

「う、うむ!」

「帝宮の料理長が腕によりをかけて作ったお菓子もご用意しているようです」

「そ、そうか!」

 おっきな闇色の瞳が、きらきらしてる。


 というわけで、今日は皆で、帝宮へとお出かけです!

 レォンとジゼとリト、ゲォルグとセバで向かうので、2台の馬車で行くのかな、と思っていたが

「セバ」

 とろけるような甘い微笑みで、ゲォルグがお膝をぽんぽんしてる。

 ゲォルグのお膝を見つめたセバが、耳まで紅に染まった。
 銀縁眼鏡も、傾いてる。

「……あ、あの、わがきみ、馬車は揺れますので……」

「セバ」

 とろけるような甘い声で呼ばれたセバが、陥落した。

 ちょこんとゲォルグのお膝のうえに座ったセバが、真っ赤な顔を両手で覆ってる。


「最近セバのそういう顔が見れて、楽しい」

 くつくつ笑ったジゼが、お膝をぽんぽんした。


「リト」

 とろけるような甘い声で、名を呼んでくれる。


 ぴょこんと跳びあがるリトの隣で、レォンの羽としっぽが、しょんもりしてる。

 いつも元気にぱたぱたしているのに、畳まれてしまう翼が、切ない……!


「あ、あのあの、ジゼしゃま、あの……」

 レォンが、しょんぼりしてるから。

 きゅ、とレォンの手を握る。


「……リト……!」

 うるうるになった闇の瞳で、真っ赤なほっぺで見あげてくれるレォンに、リトはちっちゃな胸を叩いた。


「レォンしゃま、ぉ世話係、僕でし!」

 ぎゅ、とリトの手を握る真っ赤なレォンと、胸を張るリトを見比べたジゼは、赤い頬でちょっと唇を尖らせたものの頷いた。

「じゃあ、隣に」

「あい! レォンしゃま、どぞでし!」

 一番上座の席が、セバをお膝抱っこしているゲォルグの隣になったレォンが、引き攣ってる。






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