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みんなで、魔王さまのお家へ!
しおりを挟むグィザと獣人の皆さんと、ゆくところがないらしい風磨を連れて、魔王さまのお家に帰ったら、迎えてくれたジァルデもゼドも仰け反った。
「拾い過ぎ」
ご、ごめんなさい。
「じゃあ、泊まるところ、つくろう」
一服して早々に、レトゥリアーレが精霊の樹を宿舎にしようとするのを、皆が全力で止めた。
わかる!!
代わりにジァルデが魔王軍を召喚してくれて、あっという間に、建材を担いだ魔王軍の皆さんが集まってくれた。
転移魔法、便利だなあ、すごい!
いや、ジアやキュトたんやレトゥリアーレさまが規格外なことは分かってます。
ふつうはこんなにさっくり大勢、転移できないみたいだよ。
物凄い魔力喰うから、倒れちゃうんだって。
さすがチート主人公ふたりと、最終兵器ジア!
招集された魔王軍土木部隊の皆さんが、ジァルデの前に整列する。
「ジァルデさまに、敬礼!」
「はー♡ ジァルデさまのご尊顔が拝めるなんて♡」
「緊急招集最高♡」
「ジァルデさま、尊い──!!」
ジァルデを拝みだす魔王軍の皆さんは、いつもどおりだ。
隣のゼドは怒らないのかな、と思うけど、軍の前に佇むジァルデの凛々しさに、ゼドの目も♡だった。
いつもどおり、大丈夫みたいだよ。
「は! ま、魔王さまに、敬礼!」
あわあわしてゼドに敬礼する皆も、いつもどおりだ。
「うむ。傷ついた獣人たちのために、力を貸してほしい」
「御意!」
凛々しく膝をついた魔王軍の皆さんの目は、ジァルデを見つめつつ♡だった。
ゼドも♡なので問題ないみたいだよ!
軍隊というのは、さくっと進軍、さくっと野営、さくっと橋を架けたり落としたり、長期戦のときはさくっと逗留できるよう、土木作業専門部隊まで雇われてる。
勇者の村を復興してくれた皆さんだよ。
その皆さんが、魔物なので、ものすんごくでっかくて、力持ちだ。
魔物は、魔力があるために、魔力がないのとは形が違うのも多くて、ちょっと見た目が怖く見えることもあるけど、後は人間や獣人、エルフたちと一緒だ。
怒ったり笑ったり歌ったり、むかつくのも、やさしいのもいる。
傍でこっそり見ているだけで、一緒なんだと解って、ほっとした。
熊さんに似てるのとか、象さんに似てるのとか、不思議な形の魔物もたくさんいて、皆でお家を造ってるなんて、メルヘンだ。
「かわいー!」
手を叩く僕の向こうで、風磨も手を叩いて喜んでたから、気は合うと思うんだけどな。
魔王軍の皆が、どこんどこん建材を運び、がこんがこん宿舎を建ててくれた。
驚異の速度だった。
獣人たちも、よれよれなのに一生懸命手伝って、物凄くお礼を言ってて、魔物たちも、うれしそうに赤くなってた。
ふわふわもふもふ獣人さんと、ごつごついかつい魔物さんたちが、手を繋いで仲良くしてる!
見てるだけでうっとりするよ……!
僕がぽーっとしてると、クロがやってきて、ぽふぽふ僕をふわふわの尻尾ではたいてくれる。
ありがとうクロ!
僕もお手伝いしないとね!
皆をねぎらうために、僕はレトゥリアーレとキュトと一緒に、ご飯を作ったよ。
適材適所。
僕が建材運んだら、潰れるからね!
釘を打とうとして、手を打つからね!
ご飯の腕は、びみょうかもしれないけど、ちょぴっとは役に立つのです。
魔王軍の皆さんが貸してくれたお鍋は、巨大だ。
こんなにおっきい鍋、初めて見た!
「何つくる?」
首を傾げる僕に、キュトは親指をたてた。
「とりあえず、材料入れて煮る!」
「全力で同意」
キュトと仲良しなレトゥリアーレと一緒に、僕は、がこんがこん野菜とお肉を切った。
闇の魔剣の一撃一閃でみじん切りもできるよ!
便利!
…………みんな、なんか、青くなってたけど、なんでかな?
「栄養満点、疲労回復スープ、できたよ!
どうぞ、たくさん食べてくださいー!」
お玉を掲げて、にっこり笑う。
「ひめさま……!」
涙を流して拝まないでください!
「ひめじゃないから」
主に僕が作った栄養満点、疲労回復スープは、なんだかよく解らない色で、見た目は不気味だ。
うん。
ちょっと切り過ぎた、かな?
ポタージュ?
なんか、めちゃくちゃにんにくっぽい匂いがする。
めちゃくちゃ疲労回復しそう。
味は大丈夫な、はず──!!
ちょっと口をつけてみる。
うん?
うううん??
おおむね、だいじょうぶと思う。
皆泣きながら食べてくれたけど…………え、美味しかった、よね?
応援ありがとうございます!
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