クラスで話題の美少女配信者がデブスの俺だとは推ししか知らない〜虐げられても関係ない、推しに貢ぐ為にスキルのガチャを引く〜

ネリムZ

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 俺はジャック。
 アメリカナンバーワンの探索者であり、富豪だ。
 Aランクダンジョンを完全攻略すると、十億は軽く手に入る業界となっている。

 ただ、Aランクは数が少ない。
 主導権が欲しい奴らはうじゃうじゃおり、そいつらは金を積み重ねる。
 俺でもAランクダンジョンを攻略出来たのは数回だ。

 そんな俺、ジャックは当然金持ちであり、ユニークスキルと呼ばれる特別な力を持っている。
 それにダンジョンの融通も効く。
 なぜなら、俺がジャックだから!

 実際はアメリカを代表する探索者だからだ。
 国家の力を示すとも呼ばれる世界ランカーの三位、アメリカの代表。それがこの俺⋯⋯ジャック!

 日本は五人居るらしい。一人に絞れないとか。
 面白いよな。

 俺のような優れたユニークスキル持ちでも世界ランキング三位なのは理由がある、上二人が俺よりも強力なユニークスキルを持っているからだ。
 ま、あくまで予想だが。情報が出回ってない。

 いずれは超えてやるさ。

 そんな俺ジャックは女にモテる。
 何故かと言うと、俺がジャックだから!
 
 さて、そろそろ着く頃か。

 「ジャック様が到着しましたっと」

 アメリカ政府に呼び出されていた。
 俺が呼び出される時は大抵スキルに関してだ。

 中に入る。

 「なんだねこの俺を呼ぶとは」

 「よく来てくれたジャック」

 アメリカの政府でも俺には偉そうに出来ない。
 国はそれだけ探索者の価値を高く見積もっている。
 もしも神が矛を向けた時に対策出来るのが探索者だから。
 国家の力が今や探索者の力となっている。

 神が敵対したら、神の創り出したデータなどは消えると噂されているが、それはありえない。
 俺が過去のイベントで獲得した質問券を使って質問したからだ。
 神は自分達が敵対した時でも面白さを求める、ただの殲滅はつまらないらしい。
 だから戦う力を残すとの事。

 なんとも愉快!
 神ってのはそう言う奴らだ!
 信仰を捧げれば時に応え、金を積めば時々恵を与える。

 ま、神の概念が固定されたせいで、宗教が滅びかけているのだがな。

 「さて、この俺ジャック様を呼び出した理由は何かな?」

 「ふむ、まずはこれを見てくれ」

 「これは?」

 「日本だけで行われた国内イベントだ」

 「なに?」

 それは嘘だと思いたい。
 神が国内イベントを主催する時、外に情報が出ないように細工される。
 神の力を人間は越えられない。

 なのに日本では無いここにその情報がある。
 それはおかしい。

 「それは事実なのか?」

 「あぁ。情報王の情報だから信憑性は高い」

 「なるほど」

 情報王、政府が全力で詳細を探っているが出て来ない謎の人物。
 この俺でも正体は知らない。

 だが、情報収集の実力は確かだ。
 噂では権能を持っていると言われている。多分事実だ。
 なぜなら、国内イベントの情報を外国に流せているのだからな。
 一体どんな権能なんだ? それにどこで手に入れた?

 権能が得られるイベントなら、その詳細が分かっても良いと思うが。

 「ごほん!」

 「おっとこれは失礼。つい考え込んでしまった。いつもの癖でな。それで、その国内イベントがどうした?」

 「この探索者だ」

 出された映像には、大量のメイド服を着た女性が白い龍を襲っている映像だった。

 「これは?」

 「これは全て、モンスターだ」

 「ひゅー。それは素晴らしい。召喚系のスキルが使えるモンスターカードは珍しいからね」

 俺は当たり前の事を言った。
 だが、目の前の男の顔は曇っていた。
 つまり、これはただの召喚では無い。

 「⋯⋯これはなんだ?」

 「代理召喚⋯⋯と言うのらしい。本人がイベント中に言った内容では、戦っているメイド達は二級以上だ」

 「⋯⋯は? 四枚以上も確実に使っているのにか!」

 「ああ。しかもこのイベントは、本来は一枚しか使えない」

 「おいおいなんだよそれ。そんなのが国家対抗戦に出で来たら、日本の圧勝じゃないか」

 「ああ。色々と調べて、情報王にも色々と聞いた。だが、リアルの情報は一切出て来ない。モンカドの入手経路も不明。予想としてはスキルだ。あの人を使うのに、あそこまで安い報酬は初めてだ」

 「それだけ情報が少ないのか⋯⋯」

 ユニークスキルか。

 「なるほど。理解した。この俺だから分かる。その女をスカウトしたいのだろう。アメリカに」

 「その通りだ。金ならいくらでも出す。名誉も、要求は全て呑む。全力を持って連れてこい! 最悪はスキルだけでもコピーしろ」

 「おいおいむちゃ言うな。ユニークスキルをコピーするには凄く条件が難しいし、内容によってはコピー出来ない。しかも、出来たとしてもかなり性能が落ちる⋯⋯でも、やるだけの価値はあるんだろ? なんだって、この俺をアメリカの外に出すんだからな」

 俺は俺の価値を十分に理解している。
 だからこの生活にも満足している。

 「もしもこの依頼をクリア出来たら、俺に何を与える?」

 「そうだな⋯⋯」

 「金ならもう必要ないぜ。十分にある。ファミリーみんなが幸せに暮らせる程にな」

 「妹の安全」

 「政府直属の部隊を寄越してくれるのか?」

 「ああ」

 「乗ったぜ。ま、もしろクリア出来なくてもデメリットはねぇ。それに、俺自身が興味ある!」

 「頼むぞ」

 「任せろ。手ぶらでは帰って来ない。あぁそうだ。俺の親友を連れて行くが、構わないか?」

 「もちろんだ。元々そのつもりだ」

 「なるほど。久しぶりに自家用ジェットの出番だぜ」

 「お前が運転するなよ!」

 「⋯⋯わかってるって」

 ち、なんでバレた。
 金持ちでも免許を取るのは難しいぜ。
 スキルで誤魔化したいが、あいにくそのようなスキルがない。

 俺は妹の家を訪れた。
 俺が建てた家だ。

 「あれ? 兄貴どうしたの?」

 「ゼクトを借りに来た」

 俺の親友ゼクトは妹の旦那だ。

 「ジャック、何? ダンジョン?」

 「いや、場合によってはそうだが、今回は日本だ! 政府直々の依頼だぞ!」

 「ちょ、兄貴! 安全なんでしょうね?」

 「問題ない。スカウトだからな!」

 「ゼクト、良い?」

 「もちろんだよ。つーか、ジャック一人の方が怖い」

 なんでや!
 この俺はジャックだぞ!
 どこが怖いと言うのだ。

 「ゼクトが良いなら、反対はしないよ」

 「流石は我が妹!」

 「まぁ、助けられた身だしね」

 「その話はナッシング! ゼクト、ジェットを運転してくれ! 俺はダメだと言われた!」

 妹を救う為に探索者になったら、国を代表する探索者になった。
 流石はこの俺だ!

 日本到着!

 「さぁ、ジャック様が来たぞ! もてなせ、日本人共!」

 「ここに殆どの人はいねーよ。それよか、早くターゲットと接触しようぜ」

 「それがなゼクト。逃げられると思って言わなかったが、あまり情報がない!」

 「は?」

 「あるのは異常なモンスターカードと配信者な事だけだ! 日本政府も手を焼いているらしい!」

 「は?」

 「それに俺は堂々と手ぶらでは帰らないと宣言した!」

 「おいお前⋯⋯」

 「なので当分は日本で滞在だ! 安心しろ! 金ならある!」

 「嫌だ! 俺は自分と家族との時間を大切にしたいんだ!」

 「それは俺も同じだ! さぁ、ゆくぞ親友よ! 日陰とやらを見つけ出そう!」

 それから俺は日陰の目撃情報が出るまでネットをさまよった。
 住んでいる大まかな場所は割れている。
 攻略する場所が近いからだ。

 さらに、他の配信者であり日本を代表する一人とリア友説の浮上。
 その人は高校生。
 日陰も高校生の可能性は十分にある。

 攻略しているダンジョンから大まかな場所は割り出せている。
 イベントで転移した場所からも考えて絞込み、高校はいくつかに絞った。
 さらに剣術がかなりの高さなので、そこら辺も調べた。

 俺の予想としては『霧外道場』が怪しいと睨んでいる。
 だが、あそこが教えているのは剣道であり剣術じゃない。
 もしかしたら剣術を教えている人がいるかもしれない。

 おいおい調べていこう。
 まずは日陰の目撃情報があった場所に突撃して、本人と接触する。

 データ世界系列でしか目撃情報のない人間だ。
 現実世界で見つけ出そうなんて、そんなバカなマネはしないさ。

 「見つけたぞ日陰!」

 て、なんか絶望した顔で出ようとしてる!
 俺もすぐに出る。
 ダンジョンに入った場所は同じだから、同じタイミングで出れば接触出来る!
 寧ろ、近くで出るタイミングを見れたのはラッキーだ!

 出ると、そこには背筋が曲がり、凹んでいる太った男子だけが存在した。

 「くっそ。日陰はどこに行った!」

 何故か太った男子がビビった。
 こんなに流暢な日本語で叫ぶ外国人が居たら驚くのも無理ないか。

 つーか、俺の事を知らないのか? 探索者なのに?
 俺はアメリカを代表するジャックだぞ!

 「まぁ、良い。今回は逃げられたが、次は絶対に接触する。道場の方に行くか」

 逃した事を拠点に潜んでいるゼクトに報告した。
 帰りたいメールは無視だ。
 実は俺もマイハニーの声を聞きたいとか思ってる!
 電話しよっ!
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