陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

・壱 第ニ集 本家の現当主

・壱 第四集 紫苑と藺折の出会い

紫苑｢確かに、神様を忘れてしまった人間は居るよ。でも、忘れてない人間もいる。｣　

＜お前…ただの人間じゃないよね？>


　人間を拒絶し憎むこころでいっぱいだった狛犬は、少し冷静になっていた。主を守り神の秘書たる神使としての矜持が、彼をそうさせているようだ。


しかし、暴走寸前なのには変わりない。


紫苑は護身用の符を袖の中に握りしめ、他の陰陽師たちは、紫苑と狛犬のまわりを囲うようにしていつでも捕縛や闘いができる準備は整っていた。