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第17話・夜と朝のあいだに

【酒場にて】

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時は、7月10日の夜8時半頃であった。

またところ変わって、福岡ドーム(ペイペイドーム)の観客席《スタンド》にて…

この日、私はビール売りのバイトをしていた。

(ピュー、ピュー、ピュー、ピュー…)

この時、7回裏の福岡ダイエーホークス(福岡ソフトバンクホークス)の攻撃が始まる合図のジェット風船が球場内に乱舞《らんぶ》した。

その中で、私はビール売りのバイトをつづけた。

夜10時頃であった。

事務所で日当7000円を受け取った私は、事務所を出たあと地下鉄唐人町駅ヘ歩いて向かった。

(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

その後、唐人町駅から地下鉄に乗って中洲川端駅ヘ向かった。

ところ変わって、那珂川《なかがわ》沿いにある公園で営業している屋台の飲食店《のみや》にて…

私は、おでんを肴《さかな》にかぼす汁入りの(ショーチューの)お湯割りをのんでいた。

通りのスピーカーから、江利チエミさんの歌で『酒場にて』が流れていた。

7月1日から10日にかけてゆかさんの行方を探していたが、これと言った手がかりを得ることはできなかった。

一刻もはやくゆかさんを見つけないと…

イワマツを作るお仕事ができなくなる…

大番頭《おおばんと》はんたちの居場所を知っているのは…

ゆかさんしかいない…

イワマツの財産書《もくろく》は、大番頭《おおばんと》はんたちが連帯して管理している…

どのみちにしても、時間がない…

急がなきゃ…

(ミーンミンミンミンミンミンミン…ジーッ…ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミン…ジーッ…ミーンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミンミン…)

時は、7月15日の午前11時頃であった。

この時、気象庁から西日本全域(九州~近畿にかけて)で梅雨明けしたと言う発表があった。

この日の福岡の予想最高気温は36度であった。

ところ変わって、姪浜《めいのはま》(福岡市西区)にあるリサイクル業者の敷地内にて…

私は、日雇いでアルミのカンカンをつぶす作業をしていた。

おんまく暑いのう…

腹減った…

韓国冷麺《ねんみょん》食いてぇ~

そんな中であった。

事務所のおばちゃんが私のもとにやって来た。

おばちゃんは、作業している私に対してあつかましい声で言うた。

「ちょっとコリントさん、竹宮と言う人からコリントに電話だけど…」

私は、大急ぎで事務所ヘ行った。

ところ変わって、事務所にて…

受話器は、黒電話機の後ろに取り付けているオルゴールにのせられていた。

オルゴールの音楽は、江利チエミさんの歌で『酒場にて』であった。

私は、オルゴールの上にのっている受話器を手にしたあと話をした。

「もしもし、かわりました。」

番頭《ばんと》はんは、ヘラヘラした声で私に言うた。

「コリントさん、おいそがしいところえろうすんまへん…」

ヘラヘラした声で言うんじゃねえよボケ!!

私は、思わず怒りそうになった。

私は、めんどくさい声で言うた。

「もしもし、こっちはいそがしいねん…手短に話してください。」

番頭《ばんと》はんは、ものすごくヘラヘラした声で私に言うた。

「ああ、どうも失礼いたやした。」

あんたは、植木等か加藤茶かよ…

ツッコミを入れたくなったわ…

私は、ややいらついた声で言うた。

「番頭《ばんと》はん!!あんたは下の人たちに『勤務中に私用電話するな!!』と小うるさく言よるのに、自分はなんやねん!!」

番頭《ばんと》はんは、ますますふざけた声で私に言うた。

「まあまあ、そないに目くじらたてんでもええねん~」

怒るぞしまいにゃ…

私は、怒りが噴出する一歩手前に来ていた。

番頭《ばんと》はんは、ヘラヘラした口調で言うた。

「話し変わりますけど…この数日の間にフツギョウ芸能の津乃峰《つのみね》を見かけませんでしたか?」
「番頭《ばんと》はん。」
「なんでしょうか?」
「津乃峰《つのみね》と言う人は知りまへんけど…」

私が言うた言葉に対して、番頭《ばんと》は『なんやコラ!!』と言うて怒鳴りつけた。

なんやねん…

なんで私がおらばれなアカンねん…

番頭《ばんと》はんは、私に怒った声で言うた。

「津乃峰《つのみね》を知らんだと!!」
「分かりましたよ番頭《ばんと》はん…そないにおらばんといてーな…要は、私に津乃峰《つのみね》を見かけたら知らせてほしいと言う事でしょ…」

番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で私に言うた。

「そう言うことでおます…もし、津乃峰《つのみね》をみかけたらすまんけどワシに知らせてくれまへんか?…いつ、どのあたりで見かけたかを知らせてくれるだけで結構です。」
「(やる気がない声で)分かりました。」

番頭《ばんと》はんは、さらに気色悪い声で私に言うた。

「ああコリントさん…それとですねぇ…もうあとふたりの人物についても、お見かけになりましたら知らせてくれまっか?」
「あとふたり。」
「ひとりは、大井野會《おおいのかい》の福成寺《ふくじょうじ》と言う構成員《チンピラ》でおます。」

ひとりは、京橋駅《きょうばしのえき》の高架《ガード》下の電話ボックスを勝手に使った福成寺《ふくじょうじ》だ…

番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で私に言うた。

「実はですね…福成寺《ふくじょうじ》は、JRと平成筑豊鉄道の田川伊田駅の近くにあるガード下の電話ボックスも勝手に使っていたのですよ…」
「番頭《ばんと》はん、ソレホンマのことでしょうか?」
「ホンマだから言うたのですよ…あともう一人は…コリントさんのお友だちの尾儀原《おぎわら》健太です…」
「健太…健太はどなな悪さをしたのですか?」
「コリントさんはそななことは知らなくて結構です…とにかく3人を見かけたら私どもに知らせてください…たのみはそれだけでございます…最後にもうひとつ言うておきますが…田川伊田駅の近くにあるガード下の電話ボックスも使わないでくださいね…そこつこたらおそろしい目にあいまっせ~…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…」

(ガチャーン!!)

電話は、そこで切れた。

津乃峰《つのみね》と福成寺《ふくじょうじ》と健太を見かけたら番頭《ばんと》はんに知らせてくれ…

この3人は、番頭《ばんと》はんを怒らせるようなことをして逃げ回っている…と思う。

こなな時は、どないしたらええねん…

私は、頭を抱えた状態で座り込んだ。
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