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第17話・夜と朝のあいだに
【余呉(よご)の雨】
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時は、7月9日の朝10時過ぎであった。
ところ変わって、北近江の余呉湖《よごこ》の湖畔《こはん》にあるキャンプ場にて…
駐車場に黒のタウナスが停まった。
車から、田嶋《くみちょう》と小林停まった山岡の3人とお付きの構成員《チンピラ》の4人が降りた。
私は、駐車場の死角になっている場所で様子を見ていた。
ところ変わって、場内にあるマゼンタの屋根のバンガローにて…
田嶋《くみちょう》と小林と山岡とお付きの構成員《チンピラ》がバンガローの入口に到着した。
(トントン…)
構成員《チンピラ》が玄関の戸をノックした。
中から溝端屋のダンナの声が響いた。
「誰や!?」
戸をノックした構成員《チンピラ》は、中にいる溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんに言うた。
「ダンナ、組長たちをおつれしやした。」
「入れ!!」
(ガラガラ…)
このあと、4人はバンガローの中に入った。
私は、バンガローの影に隠れて様子を見たあとバンガローに接近した。
バンガローの中では、溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんと小林と山岡の5人による密談が行われていた。
田嶋《くみちょう》は、心配げな声で溝端屋のダンナに言うた。
「溝端屋、大丈夫か?」
「ああ、心配いらへん…着物の下に防弾防刃チョッキを着ていたから大事には至らなかった。」
「そうか。」
小林は、怒った声で言うた。
「溝端屋のダンナを斬《き》ったあのしょうたれの男は、どこの組織《くみ》の構成員《クソガキ》や!?」
小林の問いに対して、番頭《ばんと》はんは気色悪い声で答えた。
「ダンナを斬《き》った男の目星はついてやす。」
「竹宮、それは誰や!?」
「風早連合《かざはやれんごう》から絶縁された福成寺《ふくじょうじ》でおます。」
「ああ、かつて田嶋《くみちょう》の事務所で電話番していたひ弱なクソガキか…」
「へえ。」
「福成寺《そいつ》はたしか、ヤクザから足を洗った…と言うたな!!」
「(ヤクザから)足を洗ってカタギになるとは聞いてやしたが…残念ながら、また極道に出戻ったようです。」
溝端屋のダンナは、腕組みしながら言うた。
「…だと思ったよ…あななしょうたれヤローはなにやってもダメなんだよ…せやから、極道に出戻った…それだけのことや…それで、福成寺《そいつ》は今、どこの組織《くみ》にいる!?」
番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で答えた。
「福成寺《そいつ》は今、具同會系の組織《くみ》に所属している構成員《クソガキ》でおます。」
具同會…
ゆりこに愛を求めたあのしょうたれの男は…
北九州にある極悪非道の組織《くみ》の構成員《チンピラ》だったのか…
番頭《ばんと》はんの話によると、福成寺《ふくじょうじ》が現在いる組織《くみ》の事務所は、筑豊田川《ちくほうたがわ》にあることを聞いた。
私がかつてバイトしていた田川伊田町《たがわいだちょう》の居酒屋の近くにあったとも聞いた。
組織《くみ》の構成員《チンピラ》たちがグループで店にのみに来ていたのを何度か見かけたことがあった。
そのグループの中に福成寺《ふくじょうじ》がいたと思う。
組織《くみ》の名前は…
大井野會《おおいのかい》だった…
番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で溝端屋のダンナに言うた。
「福成寺《あのクソガキ》は、京橋駅《きょうばしのえき》の高架《ガード》下にある例の電話ボックスを繰り返して使っていやした。」
番頭《ばんと》はんの話を聞いた溝端屋のダンナは、ものすごく怒った声で言うた。
「あのヤロー!!やっぱりそうだったのか!?」
「ダンナ、こないなったら大井野會《おおいのかい》の構成員《クソガキ》どもいわしまひょか?」
「せやな…せやけど、それ以上ことをあらだてん方がええ…」
小林は、怒った声で溝端屋のダンナに言うた。
「溝端屋!!」
「なんぞぉ~」
「溝端屋はくやしくないのか!?」
「おちつけ小林…昨夜《ゆうべ》、味園《みその》ビルの裏手で起きた事件については福成寺《あのヤロー》の単独犯行だ…ワシラは福成寺《あのヤロー》一人だけに目をつける…大井野會《おおいの》の構成員《ほかのれんちゅう》には手出しはするな!!」
「分かった…」
溝端屋のダンナは、ひと呼吸おいてから番頭《ばんと》はんに言うた。
「話を変えるぞ…おい、竹宮。」
「へえ。」
「フツギョウ芸能(週刊誌)のやくざ担当の記者だった津乃峰《つのみね》が数日前から行方不明になったみたいだな。」
「へえ。」
「お前、いつぞや警固《けご》神社の境内《けいだい》で津乃峰《あのクソッタレ》におうたな!!」
「へえ。」
「その時、合わせて1億の小切手を津乃峰《あのクソッタレ》に渡したな。」
「へえ。」
「ちょっと、ワシの都合が急に悪くなったので…1億が必要になったんや。」
「溝端屋の都合が急に悪くなったって!?」
「ああ…ワシの末の弟《きょうだい》から『たったひとりの娘を助けくれ…』と泣きつかれた…」
「ヨシワラに売られた溝端屋のめいごを助けるために…1億が必要になった…のか…」
「ああ。」
このあとも、溝端屋のダンナたちの密談はつづいた。
私は、危険をさけるためにバンガローから離れた。
ところ変わって、湖畔にて…
私は、のんびりとした表情で余呉湖《よごのうみ》をながめていた。
…と、その時であった。
(ポンポン…)
突然、何者かが私の背中をたたいた。
私がふりかえった時、実松《さねまつ》どんがいた。
私は、実松《さねまつ》どんに声をかけた。
「実松《さねまつ》どん。」
「コ、コリントさん…ちょっと話しがおます。」
実松《さねまつ》どんは、私を森林ヘ無理やり連れて行った。
コラ!!待たんかい!!
私をどないするつもりだ!!
ところ変わって、近くにある森林にて…
実松《さねまつ》どんに無理やり引っ張られた私は、怒った声で言うた。
「コラ!!」
「ヒィィィィィィィィ…」
「こななところにオレを押し込めてどないする気や!?」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…そないに怒らんといてーな~」
「オンドレ!!どついたろか!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…こらえてーな~」
「コラ!!」
「なんやねん…」
「こななところにオレを押し込めてどないする気や!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ…」
「あんたこの前、オレに浅田飴《あのかんかん》をオレに預けたよな…あの中身に入っていたのはただのアメ玉だったと聞いたけん思い切り怒っとんや!!」
「すんまへん…」
「オンドレはふざけとんか!!」
「ヒィィィィィィィィィ…」
「ほんなら、和歌山のぶらくり丁で洲和会の連中にボコボコにどつかれたあの事件はなんやねん!?」
「それは人違いでおました…」
「コラ!!」
「ヒィィィィィィィィィ…」
実松《さねまつ》どんは、泣きそうな声で私に頼み事をした。
「コリントさん、それよりもたのみがおますねん…」
「頼み!?」
「コリントさん、先月頃に番頭《ばんと》はんから預かっていたものがおましたね。」
「それって、カワイのカンユドロップのかんかんのことか!?」
「そうでおます!!番頭《ばんと》はんからそれ取ってこいと頼まれたのです~」
「分かったよ!!そのかんかんを出せばいいんだろ!!」
私は、ショルダーバッグの中からカワイのカンユドロップのかんかんを取り出したあと実松《さねまつ》どんに手渡した。
「これか?」
「それでおます~」
「また中身はただのアメ玉でしたと言うたらこらえへんぞ!!」
「分かってまんねん~」
時は、夕方5時過ぎであった。
(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)
私は、近江塩津駅からJR湖西線の新快速電車に乗って大阪方面ヘ逃げた。
京都駅で新快速電車を降りたあと関空特急はるか号に乗り換えて関西国際空港ヘ向かった。
(ゴーッ)
そして、最終のエアーニッポン機に乗って福岡空港ヘ向かった。
飛行機に乗っている私は、雲の上の世界を見つめながらあれこれと考えごとをしていた。
ところ変わって、北近江の余呉湖《よごこ》の湖畔《こはん》にあるキャンプ場にて…
駐車場に黒のタウナスが停まった。
車から、田嶋《くみちょう》と小林停まった山岡の3人とお付きの構成員《チンピラ》の4人が降りた。
私は、駐車場の死角になっている場所で様子を見ていた。
ところ変わって、場内にあるマゼンタの屋根のバンガローにて…
田嶋《くみちょう》と小林と山岡とお付きの構成員《チンピラ》がバンガローの入口に到着した。
(トントン…)
構成員《チンピラ》が玄関の戸をノックした。
中から溝端屋のダンナの声が響いた。
「誰や!?」
戸をノックした構成員《チンピラ》は、中にいる溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんに言うた。
「ダンナ、組長たちをおつれしやした。」
「入れ!!」
(ガラガラ…)
このあと、4人はバンガローの中に入った。
私は、バンガローの影に隠れて様子を見たあとバンガローに接近した。
バンガローの中では、溝端屋のダンナと番頭《ばんと》はんと小林と山岡の5人による密談が行われていた。
田嶋《くみちょう》は、心配げな声で溝端屋のダンナに言うた。
「溝端屋、大丈夫か?」
「ああ、心配いらへん…着物の下に防弾防刃チョッキを着ていたから大事には至らなかった。」
「そうか。」
小林は、怒った声で言うた。
「溝端屋のダンナを斬《き》ったあのしょうたれの男は、どこの組織《くみ》の構成員《クソガキ》や!?」
小林の問いに対して、番頭《ばんと》はんは気色悪い声で答えた。
「ダンナを斬《き》った男の目星はついてやす。」
「竹宮、それは誰や!?」
「風早連合《かざはやれんごう》から絶縁された福成寺《ふくじょうじ》でおます。」
「ああ、かつて田嶋《くみちょう》の事務所で電話番していたひ弱なクソガキか…」
「へえ。」
「福成寺《そいつ》はたしか、ヤクザから足を洗った…と言うたな!!」
「(ヤクザから)足を洗ってカタギになるとは聞いてやしたが…残念ながら、また極道に出戻ったようです。」
溝端屋のダンナは、腕組みしながら言うた。
「…だと思ったよ…あななしょうたれヤローはなにやってもダメなんだよ…せやから、極道に出戻った…それだけのことや…それで、福成寺《そいつ》は今、どこの組織《くみ》にいる!?」
番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で答えた。
「福成寺《そいつ》は今、具同會系の組織《くみ》に所属している構成員《クソガキ》でおます。」
具同會…
ゆりこに愛を求めたあのしょうたれの男は…
北九州にある極悪非道の組織《くみ》の構成員《チンピラ》だったのか…
番頭《ばんと》はんの話によると、福成寺《ふくじょうじ》が現在いる組織《くみ》の事務所は、筑豊田川《ちくほうたがわ》にあることを聞いた。
私がかつてバイトしていた田川伊田町《たがわいだちょう》の居酒屋の近くにあったとも聞いた。
組織《くみ》の構成員《チンピラ》たちがグループで店にのみに来ていたのを何度か見かけたことがあった。
そのグループの中に福成寺《ふくじょうじ》がいたと思う。
組織《くみ》の名前は…
大井野會《おおいのかい》だった…
番頭《ばんと》はんは、気色悪い声で溝端屋のダンナに言うた。
「福成寺《あのクソガキ》は、京橋駅《きょうばしのえき》の高架《ガード》下にある例の電話ボックスを繰り返して使っていやした。」
番頭《ばんと》はんの話を聞いた溝端屋のダンナは、ものすごく怒った声で言うた。
「あのヤロー!!やっぱりそうだったのか!?」
「ダンナ、こないなったら大井野會《おおいのかい》の構成員《クソガキ》どもいわしまひょか?」
「せやな…せやけど、それ以上ことをあらだてん方がええ…」
小林は、怒った声で溝端屋のダンナに言うた。
「溝端屋!!」
「なんぞぉ~」
「溝端屋はくやしくないのか!?」
「おちつけ小林…昨夜《ゆうべ》、味園《みその》ビルの裏手で起きた事件については福成寺《あのヤロー》の単独犯行だ…ワシラは福成寺《あのヤロー》一人だけに目をつける…大井野會《おおいの》の構成員《ほかのれんちゅう》には手出しはするな!!」
「分かった…」
溝端屋のダンナは、ひと呼吸おいてから番頭《ばんと》はんに言うた。
「話を変えるぞ…おい、竹宮。」
「へえ。」
「フツギョウ芸能(週刊誌)のやくざ担当の記者だった津乃峰《つのみね》が数日前から行方不明になったみたいだな。」
「へえ。」
「お前、いつぞや警固《けご》神社の境内《けいだい》で津乃峰《あのクソッタレ》におうたな!!」
「へえ。」
「その時、合わせて1億の小切手を津乃峰《あのクソッタレ》に渡したな。」
「へえ。」
「ちょっと、ワシの都合が急に悪くなったので…1億が必要になったんや。」
「溝端屋の都合が急に悪くなったって!?」
「ああ…ワシの末の弟《きょうだい》から『たったひとりの娘を助けくれ…』と泣きつかれた…」
「ヨシワラに売られた溝端屋のめいごを助けるために…1億が必要になった…のか…」
「ああ。」
このあとも、溝端屋のダンナたちの密談はつづいた。
私は、危険をさけるためにバンガローから離れた。
ところ変わって、湖畔にて…
私は、のんびりとした表情で余呉湖《よごのうみ》をながめていた。
…と、その時であった。
(ポンポン…)
突然、何者かが私の背中をたたいた。
私がふりかえった時、実松《さねまつ》どんがいた。
私は、実松《さねまつ》どんに声をかけた。
「実松《さねまつ》どん。」
「コ、コリントさん…ちょっと話しがおます。」
実松《さねまつ》どんは、私を森林ヘ無理やり連れて行った。
コラ!!待たんかい!!
私をどないするつもりだ!!
ところ変わって、近くにある森林にて…
実松《さねまつ》どんに無理やり引っ張られた私は、怒った声で言うた。
「コラ!!」
「ヒィィィィィィィィ…」
「こななところにオレを押し込めてどないする気や!?」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…そないに怒らんといてーな~」
「オンドレ!!どついたろか!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…こらえてーな~」
「コラ!!」
「なんやねん…」
「こななところにオレを押し込めてどないする気や!!」
「ヒィィィィィィィィィィィィィィィ…」
「あんたこの前、オレに浅田飴《あのかんかん》をオレに預けたよな…あの中身に入っていたのはただのアメ玉だったと聞いたけん思い切り怒っとんや!!」
「すんまへん…」
「オンドレはふざけとんか!!」
「ヒィィィィィィィィィ…」
「ほんなら、和歌山のぶらくり丁で洲和会の連中にボコボコにどつかれたあの事件はなんやねん!?」
「それは人違いでおました…」
「コラ!!」
「ヒィィィィィィィィィ…」
実松《さねまつ》どんは、泣きそうな声で私に頼み事をした。
「コリントさん、それよりもたのみがおますねん…」
「頼み!?」
「コリントさん、先月頃に番頭《ばんと》はんから預かっていたものがおましたね。」
「それって、カワイのカンユドロップのかんかんのことか!?」
「そうでおます!!番頭《ばんと》はんからそれ取ってこいと頼まれたのです~」
「分かったよ!!そのかんかんを出せばいいんだろ!!」
私は、ショルダーバッグの中からカワイのカンユドロップのかんかんを取り出したあと実松《さねまつ》どんに手渡した。
「これか?」
「それでおます~」
「また中身はただのアメ玉でしたと言うたらこらえへんぞ!!」
「分かってまんねん~」
時は、夕方5時過ぎであった。
(ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)
私は、近江塩津駅からJR湖西線の新快速電車に乗って大阪方面ヘ逃げた。
京都駅で新快速電車を降りたあと関空特急はるか号に乗り換えて関西国際空港ヘ向かった。
(ゴーッ)
そして、最終のエアーニッポン機に乗って福岡空港ヘ向かった。
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