乳房星(たらちねぼし)〜再出発版

佐伯達男

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第17話・夜と朝のあいだに

【学生街の喫茶店】

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(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…)

時は、午後3時半頃であった。

またところ変わって、JR松井山手駅にて…

私は、関西国際空港から特急はるか号と大阪環状線~片町線の電車を乗り継いでここにやって来た。

電車が松井山手駅に到着した時、雨の降り方は少し落ち着いていた。

ショルダーバッグを持って列車を降りた私は、ゆかさんの知人の女性と待ち合わせをしている場所へ向かった。

(カランコロンカランコロンカランコロンカランコロン…)

ところ変わって、駅から歩いて4分のところにある純喫茶店にて…

店に入った私は、あたりを見渡した。

この時、店の奥の席から大きく手をふっている女性を見かけた。

あっ…

あの方だ…

ドナ姐《ねえ》はんが言うてたゆかさんの知人の女性《ひと》だ…

私は、女性に声をかけた。

「あの~」
「あっ、コリントイワマツヨシタカグラマシーさまでございますね。」
「はい…イワマツです。」
「どうぞ。」
「失礼いたします。」

私は、女性が座っている席の向かい側にゆっくりと座った。

その後、店員《ウエイトレス》さんにブレンドコーヒーをたのんだ。

それから1分後であった。

私は、女性にゆかさんのことをたずねた。

「あの~。」
「はい。」
「韓国でゆかさんとお会いしたのは6月のいつ頃でございましたか?」
「あ~、たしか6月26日だったわ。」
「6月26日…」
「はい。」
「その時、どちらにいらっしゃいましたか?」
「えーと、飛行場で会いました。」
「飛行場…」
「プサンのキメ国際空港でゆかちゃんと会いました…その時…ゆかちゃん…ものすごくあせっていたみたいよ。」
「ものすごくあせっていた…」
「そうみたいよ。」

女性は、ゆかさんとプサンキメ国際空港で会った時の様子を私に話した。

しかし、ゆかさんがものすごくあせっていたくわしい理由を聞くことはできなかった。

(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…)

時は、夕方6時半頃であった。

昼過ぎにいったん弱まった雨が再びザーザー降りになった。

ところ変わって、JRと京阪電車の京橋駅の待合室にて…

私は、テーブルの席に座って調べものをしていた。

テーブルの上には、(昭文社の)九州地方の道路地図と『地球の歩き方』(学研)のプサンとその周辺の2冊が置かれていた。

私はまず、九州の道路地図の下関市のページをひらいた。

地図上に、赤のラッションペンで記された部分が多くあった。

6月25日にゆかさんを探しに行った際に立ち寄った場所が記されていた。

私は、ラッションペンのキャップを使ってゆかさんの足どりを調べた。

ゆかさんは、6月24日の夕方頃にプサン行きの関釜《かんぷ》フェリーに乗った…

ゆかさんの知人の女性は、6月26日頃にプサンキメ国際空港のロビーでゆかさんとお会いした…

それじゃあ…

その間の6月25日…

ゆかさんは…

なにをしていたのだろうか?

なんぞ気になる…

時は、夜7時頃であった。

またところ変わって、京橋駅の北側にある大阪環状線の高架《ガード》下にある電話ボックスにて…

(チャリンチャリンチャリン…かちゃカチャカチャカチャカチャカチャカチャ…)

私は、みどりのカード式の電話機に10円玉3枚を入れてボタンを押した。

大阪府内で暮らしているゆかさんの友人知人宅に片っぱしから電話して、ゆかさんのことをたずねることにした。

「もしもし、おいそがしいところもうしわけございません…あの…八尾市の(ゆかさんの友人)さまのお宅でございますか?…あの、私…君波ゆかさまの知人のイワマツともうします…あの…先月の23日頃までの間に君波ゆかさまとお会いになられたでしょうか?…そうですか分かりました…失礼いたします。」

(ガチャ…)

私は、電話を切ったあと黒のラッションペンでメモ書きをした。

その後、私は府内各地で暮らしているゆかさんの友人知人宅に電話をしたが、ゆかさんとお会いした人はひとりもいなかった。

時は、夜9時半頃であった。

またところ変わって、大阪ミナミの道頓堀川にかかる戎橋《えびすばし》の近くにある広場にて…

ベンチに座っている私は、カネテツ(デリカフーヅ)のちくわを肴《さかな》にワンカップ大関をのんでいた。

そこへ、ヤキソバヘアーで黒のサングラスをかけていてももけた腹巻き姿の番頭《ばんと》はんが私のもとにやって来た。

番頭《ばんと》はんは、やや気色悪い声で私に言うた。

「これはこれはコリントさん。」
「番頭《ばんと》はん…なんの用でおますか?」

番頭《ばんと》はんは、ものすごく気色悪い声で私に言うた。

「コリントさん、さっきあんた京橋駅《きょうばし》の大阪環状線《かんじょうせん》の高架《ガード》下の電話ボックスを使ってましたね。」

私は、ボーゼンとした表情で『はあ~』と言うた。

番頭《ばんと》はんがいよる言葉の意味がよく分からない…

番頭《ばんと》はんは、ボーゼンとした表情を浮かべている私に対して、ものすごく気色悪い声で言うた。

「あの~…次からは…あそこの電話ボックスは使わないでくださいね。」

えっ?

ソレ、どう言うこっちゃねん?

ワケが分からなくなった私は、番頭《ばんと》はんにワケをたずねた。

「あの~、番頭《ばんと》はん…それはどう言う意味でしょうか?…京橋駅《きょうばし》の高架《ガード》下の電話ボックスを使わないでくださいと言う理由がよくわからないんです。」

番頭《ばんと》はんは、私の耳元に近づいたあとものすごく気色悪い声で私に言うた。

「コリントさん…チューコクしておきますが…京橋駅《きょうばし》の高架《ガード》下の電話ボックスをつこたら…おそろしい目に遭いますよ…へたしたら、命《たま》取られる可能性もあるという事を忘れないでくださいね…ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…ほな、ワテはこれで失礼いたしやす…」

その後、番頭《ばんと》はんは口笛を吹きながら立ち去った。

京橋駅の高架《ガード》下の電話ボックスを使ったら命《たま》取られる…

…ってことは…

あの電話ボックスは、番頭《ばんと》はんが裏の取引をする時に使っていた…

…と言うことなのか?

気になる…

ヒジョーに気になる…

番頭《ばんと》はんは、なにを考えているのだろうか?

よくわからない…
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