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第17話・夜と朝のあいだに
【夜と朝のあいだに】
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(ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…)
時は、7月4日の朝7時前であった。
この日は、朝から雷を伴った雨が降っていた。
中国大陸《たいりく》からのびている梅雨前線《ぜんせん》の活動が活発になっているために、雨の降り方がいびつになっていた。
ところ変わって、西鉄二日市駅の南西側の地区にあるマンスリーアパートにて…
(ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ…ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ…ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ…)
部屋の中にあるハウディ(プッシュホン)の着信音が十数回に渡って鳴っていた。
私は、電話の着信音で叩き起こされた。
「なんやねんもう~」
私は、ねむい目をこすりながら起き上がったあと受話器をあげた。
(ガチャ…)
「もしもし…」
電話は、マンスリーアパートの運営会社の中にある電話交換室からであった。
受話器の向こう側から、オペレーターの女性の声が聞こえた。
「おはようございます…コリントイワマツヨシタカグラマシーさまですね…松山市にお住いのパク・ドナさまからお電話がかかっています。」
「大至急、つないでください!!」
ドナ姐《ねえ》はんが私に電話をかけてきた。
なんぞあったんかもしれない…
(プププ…カチャッ…)
このあと、受話器からドナ姐《ねえ》はんの切羽詰まった声が聞こえた。
「もしもし、もしもしよーくん聞こえる!?」
「ドナ姐《ねえ》はん!!」
「よーくん、起きてたのね!!よーくん!!ニュース速報が入ったわよ!!大至急テレビをつけて!!」
「えっ?なにがあったん?」
「よーくん!!もうすぐ『ズームイン朝』(昔、日テレ系で平日の朝7時から放送されていた朝の情報番組)が始まるわよ!!急いで!!」
私は、ドナ姐《ねえ》はんの言うとおりにテレビの電源を入れた。
(パチッ…)
テレビの電源が入ったと同時に、福岡放送が映った。
番組は、朝6時の情報番組『ジパング朝6』が終わる10秒前であった。
その後、すぐに『ズームイン朝』が始まった。
総合キャスターの福留功《ふくとめ》さんが『おはようございます…』とあいさつしたあと、ニュース速報ですと言うた。
それによると、3日の深夜11時50分頃に今治市高地町《いまばりしこうちちょう》で30代の主婦と生後間もない男の子の赤ちゃんが行方不明になったニュースが伝えられた。
テレビの画面は、ヘリコプターから撮影された今治市の山沿いの地域の中継が映っていた。
たしか、近見山《ちかみやま》のわきにある集落だったと思う。
中継映像は、1分間映った。
その後、各地の天気を伝えるリレー中継に変わった。
私は、テレビの音量をしぼったあと受話器ごしにいるドナ姐《ねえ》はんに言うた。
「もしもし…」
「よーくん。」
「テレビ見たよ。」
「テレビ見たのね…電源切ってもいいわよ。」
(パチッ…)
私は、リモコンを使って電源を切ったあとドナ姐《ねえ》はんに話をした。
「もしもし…」
「よーくん、気をたしかにして聞いてちょうだい…高地町《こうちちょう》で行方不明になった母子は…健太くんとゆりこちゃんの結婚のバイシャクニンを務める予定だったご夫婦の一人娘《むすめ》さんと孫《ひとつぶだね》ちゃんだったのよ…」
「えっ?…ソレホンマですか!?」
「ホンマにホンマよ…あの様子だと…ユーカイされたみたいよ。」
「ユーカイ…」
「うん…あとのことは、ケーサツに任せた方がケンメイよ。」
「せやな…」
「話を変えるけど…よーくんが探し求めていたゆかさんのことで新たな情報が入ったわよ。」
「えっ?」
「ゆうべ、ドナのもとにゆかさんの友人の女性から電話があったのよ…その方、プサンの国際ターミナルでゆかさんと会ったみたいよ。」
「プサンの…国際ターミナル…」
「うん。」
「その人は…6月25日頃にゆかさんと会ったのかな…」
「そこまでは言うてへんかったわ…」
「そう…その方は、どちらに住んでいるの?」
「松井山手って、言うてたわ。」
「松井山手…ドナ姐《ねえ》はん…オレ、今から旅に出る…ドナ姐《ねえ》はん…おおきに…おおきに…」
(ゴーッ!!)
午前11時過ぎであった。
私は、福岡空港から関西国際空港行きのエアーニッポン機に乗って再び旅に出た。
もう一度…
ゆかさんを探しに行こう…
大番頭《おおばんと》はんたちの居場所を知っているのは…
ゆかさんだけ…
急げ…
急ぐのだ!!
時は、7月4日の朝7時前であった。
この日は、朝から雷を伴った雨が降っていた。
中国大陸《たいりく》からのびている梅雨前線《ぜんせん》の活動が活発になっているために、雨の降り方がいびつになっていた。
ところ変わって、西鉄二日市駅の南西側の地区にあるマンスリーアパートにて…
(ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ…ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ…ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ…)
部屋の中にあるハウディ(プッシュホン)の着信音が十数回に渡って鳴っていた。
私は、電話の着信音で叩き起こされた。
「なんやねんもう~」
私は、ねむい目をこすりながら起き上がったあと受話器をあげた。
(ガチャ…)
「もしもし…」
電話は、マンスリーアパートの運営会社の中にある電話交換室からであった。
受話器の向こう側から、オペレーターの女性の声が聞こえた。
「おはようございます…コリントイワマツヨシタカグラマシーさまですね…松山市にお住いのパク・ドナさまからお電話がかかっています。」
「大至急、つないでください!!」
ドナ姐《ねえ》はんが私に電話をかけてきた。
なんぞあったんかもしれない…
(プププ…カチャッ…)
このあと、受話器からドナ姐《ねえ》はんの切羽詰まった声が聞こえた。
「もしもし、もしもしよーくん聞こえる!?」
「ドナ姐《ねえ》はん!!」
「よーくん、起きてたのね!!よーくん!!ニュース速報が入ったわよ!!大至急テレビをつけて!!」
「えっ?なにがあったん?」
「よーくん!!もうすぐ『ズームイン朝』(昔、日テレ系で平日の朝7時から放送されていた朝の情報番組)が始まるわよ!!急いで!!」
私は、ドナ姐《ねえ》はんの言うとおりにテレビの電源を入れた。
(パチッ…)
テレビの電源が入ったと同時に、福岡放送が映った。
番組は、朝6時の情報番組『ジパング朝6』が終わる10秒前であった。
その後、すぐに『ズームイン朝』が始まった。
総合キャスターの福留功《ふくとめ》さんが『おはようございます…』とあいさつしたあと、ニュース速報ですと言うた。
それによると、3日の深夜11時50分頃に今治市高地町《いまばりしこうちちょう》で30代の主婦と生後間もない男の子の赤ちゃんが行方不明になったニュースが伝えられた。
テレビの画面は、ヘリコプターから撮影された今治市の山沿いの地域の中継が映っていた。
たしか、近見山《ちかみやま》のわきにある集落だったと思う。
中継映像は、1分間映った。
その後、各地の天気を伝えるリレー中継に変わった。
私は、テレビの音量をしぼったあと受話器ごしにいるドナ姐《ねえ》はんに言うた。
「もしもし…」
「よーくん。」
「テレビ見たよ。」
「テレビ見たのね…電源切ってもいいわよ。」
(パチッ…)
私は、リモコンを使って電源を切ったあとドナ姐《ねえ》はんに話をした。
「もしもし…」
「よーくん、気をたしかにして聞いてちょうだい…高地町《こうちちょう》で行方不明になった母子は…健太くんとゆりこちゃんの結婚のバイシャクニンを務める予定だったご夫婦の一人娘《むすめ》さんと孫《ひとつぶだね》ちゃんだったのよ…」
「えっ?…ソレホンマですか!?」
「ホンマにホンマよ…あの様子だと…ユーカイされたみたいよ。」
「ユーカイ…」
「うん…あとのことは、ケーサツに任せた方がケンメイよ。」
「せやな…」
「話を変えるけど…よーくんが探し求めていたゆかさんのことで新たな情報が入ったわよ。」
「えっ?」
「ゆうべ、ドナのもとにゆかさんの友人の女性から電話があったのよ…その方、プサンの国際ターミナルでゆかさんと会ったみたいよ。」
「プサンの…国際ターミナル…」
「うん。」
「その人は…6月25日頃にゆかさんと会ったのかな…」
「そこまでは言うてへんかったわ…」
「そう…その方は、どちらに住んでいるの?」
「松井山手って、言うてたわ。」
「松井山手…ドナ姐《ねえ》はん…オレ、今から旅に出る…ドナ姐《ねえ》はん…おおきに…おおきに…」
(ゴーッ!!)
午前11時過ぎであった。
私は、福岡空港から関西国際空港行きのエアーニッポン機に乗って再び旅に出た。
もう一度…
ゆかさんを探しに行こう…
大番頭《おおばんと》はんたちの居場所を知っているのは…
ゆかさんだけ…
急げ…
急ぐのだ!!
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