ミコナとかぷせるあにまるず

せんのあすむ

文字の大きさ
10 / 114

王様

しおりを挟む
「オウ? 王様!?」

女の子は目を真ん丸にして声を上げました。

「鳥さん、王様なの!?」

キラキラした感じで問い掛ける女の子に、オウは、

「そうだ! 俺は王様だ!」

と口にします。確かにオウは今、<王様>としてドンキーに乗ってたんですけどね。家でも本人的には王様のつもりなんでしょうし、間違ってはいないのでしょう。

すると女の子は、

「王様! お仕事頑張ってください!」

声を上げながら大きく頭を下げました。まるで臣下のように。そんな女の子の姿を見て、オウはますますふんぞり返って、

「うむ! 苦しゅうない! 大儀である!」

とか上機嫌で。そして青信号になり横断歩道を渡ると、女の子はオウやカリナとは別の方向へ歩いていきました。

「ばいばーい! 王様♡」

女の子が手を振り、母親はちょっと困ったような表情しながらも頭を下げて。そんな光景に、カリナはすごく微笑ましいものを感じたのでした。

それからカリナは改めてオウと一緒に買い物のためにスーパーに向かいます。自転車置き場にドンキーを置き、店に。オウはカリナの肩に乗って。すると今度は、

「王様! こんにちは!」

五歳くらいの男の子が声をかけてきました。このスーパーでこれまでも何度も顔を合わせたことのある子でした。

「うむ! 相変わらず元気よの。重畳重畳!」

オウが男の子にそう応えている傍らで、

「こんにちは」

「こんにちは」

男の子の父親とカリナが挨拶を交わします。実はその子の父親は<主夫>であり、いつも父親と一緒に買い物に来てたのです。カリナはそれを自然と受け入れていました。彼女はそういうところには拘りがないからです。

彼女自身、ルリアに対して憧れ以上の気持ちを抱いていましたからね。『普通』とか『普通じゃない』とかはどうでもよかったのでした。

「王様、こんにちは!」

「王様、こんち~」

先ほどの男の子と別れても、次々と声が掛けられます。オウの存在は、このスーパーではすっかり有名になっていたようです。

「うむ! 重畳である!」

そうしてご機嫌でオウが子供達の相手をしてくれている間に、カリナは買い物を済ませます。子供達の親も、その隙にとばかりに買い物を進めてました。本当なら目を離すべきじゃないんでしょうが、どうしてもあれやこれやと煩わされますからね。子供と一緒に買い物って。

だけど、オウを前にすると子供達は、

「王様、王様、それで亀のお話は!?」

「亀さん、助かった?」

オウが語ってくれるお話を楽しみにしてるみたいで、おとなしく話を聞きながら待っててくれるんです。

「それだがな、亀は……!」

もったいぶってオウがそう言うと、子供達も前のめりになって、

「しっかりと助けられおったわ! 今は元の池で元気にしておる!」

オウが明かすと、

「やったあ!」

「よかった!」

満面の笑みになったのでした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...