いきすだま奇譚

せんのあすむ

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炎上

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まさか自分の子供が人を殺すなんて、思ってもみなかった。あんなとろくさい、はっきりものも言えないような出来損ないにそこまでの度胸があるなんて誰が思う?

(どうして…どうしてこんなことに……)

私には似ても似つかないブッサイクな子供だった。あんまり似てないから病院で取り違えられたんじゃないかって何度も思った。DNA鑑定してもらおうかと心底思ったこともあった。

でも、似てる。イヤだけど、確かに私の子だって、と言うか、あの人の子だっていうのがはっきり分かる証拠もある。あの人の、夫の母親に似てるんだ。夫の母親の若い頃の写真を見せられた時に、私は絶望さえした。

写真の古さが違うだけで、全く同じ顔をしてた。娘の写真と。

まったく…冗談じゃない。あんなのの遺伝子がこんな形で出るとか、私の人生メチャクチャよ…!

「お前はいったい何を見てたんだ!」

あの人が、いや、あの男が、仕事から帰るなりそう怒鳴った。

はあ!? 自分は大した稼ぎもないくせに家のことも子供のことも私に押し付けて縛り付けたくせに、何言ってんの!?

私はね、本当はもっと仕事したかったのよ!? それをあんたが、『苦労はさせないから』とかできもしないことを言って辞めさせたんじゃない!

クソ…クソ……どいつもこいつもホントにクソ……!



家じゃマスコミが煩いからって、あの男は実家に帰った。

「当分戻らんからな! お前がちゃんとやっとけ!」

とか言って。

ふざけるな…ふざけるな…ふざけるな……!

だから私は、あいつらの自宅の住所とか家族構成とか家族全員の勤務先とか、顔写真付きでネットに上げてやった。

そしたら案の定、嫌がらせとか中傷の電話が鳴りっぱなしだって、勤め先にまで。

あはは! いい気味だ!!

さあ、燃えろ、燃えろ、もっと炎上しろ!! あいつら全員、自殺するまで追い詰めてやれ……!

愉快な気分で部屋に戻ろうと思ったら、隣の部屋の前で変な臭いに気が付いた。

「くさっ! 何なのこの臭い?」

と思った瞬間……

ごおっ!!ってこれまで聞いたこともない音と共に目の前が真っ赤になって、そして私の体は何かものすごい力で突き飛ばされたみたいに宙を舞ってた。

下を見たはずなのにそこに見えたのは…空? 真っ赤に燃えてる空?

いや、違う、燃えてるのは私だ。私の体が炎に包まれながら、落ちてるんだ。地面に向かって真っ逆さまに。

どうやら隣の部屋でガス漏れしてて、私が前を通りかかった時にそれが爆発して炎上して、私を吹き飛ばしたらしい。



……なんでこうなるの…? 私、何か悪いことした…?

そう思った次の瞬間、私は真っ暗などこかへと落ちていったのだった。



FIN~

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