猫被り令嬢の恋愛結婚

玉響

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新婚編

51.作者?

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「勿論、リリアーナは私にとって唯一無二の存在ですからね」

リリアーナを見つめながら、ラファエロはどこか得意気な顔で断言する。
するとベッキオは更に満足そうに目を細めた。

「あの小さくて、まるで天使のように可愛らしかったラファエロ殿下がこんなにも成長なされたとは、何とも感慨深いものですなあ………」
「あなたが年を取るのと同様に、私だって成長するのですから、いつまでも子供のままではありませんよ。それに、フィリッポ前国王は子供でいることを許してはくれませんでしたからね」

ラファエロの口元に、皮肉げな笑みが浮かぶ。
敢えて実父を『父』ではなく『前国王』と表現したのは、彼自身が心からフィリッポの事を父として認めていないからだろう。

ラファエロ自身がフィリッポについて話をする場面自体は、何度も見てきているが、こうしてあからさまに線引きをするところは初めて見た気がした。

「ふぉっふぉっ。これはまた手厳しいことじゃの。………じゃがその厳しさを学ぶのもまた人生。殿下はきちんと、大切な事を学ばれたようじゃ」

流石は年の功、といったところだろうか。
全てを悟り、見透かしているかのようなベッキオの発言に、リリアーナもラファエロも、頷かざるをえなかった。

「学ぼうとして、学んだのではありませんが、全ては必然だったのかもしれませんね」
「ええ、そうですわね」

ラファエロもまた、ベッキオと同じく哲学的な言葉を口にした。

「………お二人に、儂からの結婚祝いじゃ。妃殿下が手にしている恋物語は、差し上げよう。何、ささやかじゃが儂の気持ちじゃよ」

少ししんみりとした雰囲気が漂い始めたかと思った矢先、何故かベッキオは不自然なほどに明るい声と笑顔をリリアーナ達に向けた。

「えっ……………?」

一瞬、何が起きたのか理解出来ず、ただ固まることしか出来ずに途方に暮れるリリアーナに向かっては更に、ベッキオは更に頷いた。

「妃殿下があれほどまで怒るくらいに夢中になってらっしゃると知れば、その本の作者もきっと喜んで下さるでしょうしのう………」
「はあ……………」

今度は呆れる程に唐突に、本の作者の話が出てきて、リリアーナは戸惑いながらも、彼の気が済むようにするのが一番だと思い、ベッキオに合わせた。
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