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新婚編
28.似た者同士
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そんなリリアーナを見つめるラファエロの笑みが、深くなった気がした。
「………あぁ、ひょっとして………口付けをして欲しかったんですか?」
「……………っ!」
リリアーナの顔が、水平線の向こうに沈む夕陽のように真っ赤になる。
人前、それもこんなに純真無垢な幼い子供達の前で口付けをして欲しいなどと、思うはずがない。
ーーーでも、果たして本当にそうだろうか。
リリアーナは火照る顔を隠すように俯きながら、自分の中にふとそんな疑問が浮かび上がってくることに気が付いた。
心の中のどこかで、ラファエロの口付けを望んでいたのではないだろうか。
だからこそラファエロの口付けを確信して、目を閉じたりなどしたのではないだろうか。
(………だって、ラファエロ様が好きで仕方ないのだもの)
ラファエロにだからこそ、人前での口付けも、許せてしまう。ーーーいや、寧ろ自分もそれを望んでいるのかもしれない。
いつだったか、ラファエロは彼と自分を『似た者同士』だと表現したことがあった。
その時は、自身の気持ちを表に出すことをせずに、笑顔という仮面で武装しているところが似ているのだと思っていたが、意外にもそんな隠れた性癖も似ているのかもしれない。
その事実に気がついた時、リリアーナは自分の頬にラファエロの大きな掌が優しく触れるのを感じた。
「ラファエロ様…………?」
驚いて、リリアーナが顔を上げると、ラファエロは優しく、けれどどこか含みのある笑顔でリリアーナの顔を覗き込んだ。
「皆、そろそろお祈りの時間ですよ。手を洗って聖堂にお入りなさい」
まるで子供達を二人から遠ざけてくれるかのように、カタリーナが子供達を呼び寄せる。
ラファエロから目が離せないリリアーナは気がついていなかったが、カタリーナはちらりと彼らの方を見やり、それから集まってきた子供達を連れて建物の中へと入っていった。
子供達が消えた聖堂の庭に、暖かな陽の匂いを含んだ柔らかな風が駆け抜けていく。
その風からリリアーナを守るように、ラファエロは更にリリアーナとの距離を詰めてきた。
「否定しないのならば、お姫様のお望み通りにして差し上げましょう」
ラファエロのエメラルド色の瞳が僅かに欲望を孕んだかと思うと、次の瞬間、リリアーナの唇がラファエロによって奪われた。
触れ合い方は優しいのに、まるでリリアーナの漏らす吐息まで全て吸い尽くすような執拗な口付けに、リリアーナは心が満たされていくのを感じ、静かに目を閉じて身を委ねたのだった。
「………あぁ、ひょっとして………口付けをして欲しかったんですか?」
「……………っ!」
リリアーナの顔が、水平線の向こうに沈む夕陽のように真っ赤になる。
人前、それもこんなに純真無垢な幼い子供達の前で口付けをして欲しいなどと、思うはずがない。
ーーーでも、果たして本当にそうだろうか。
リリアーナは火照る顔を隠すように俯きながら、自分の中にふとそんな疑問が浮かび上がってくることに気が付いた。
心の中のどこかで、ラファエロの口付けを望んでいたのではないだろうか。
だからこそラファエロの口付けを確信して、目を閉じたりなどしたのではないだろうか。
(………だって、ラファエロ様が好きで仕方ないのだもの)
ラファエロにだからこそ、人前での口付けも、許せてしまう。ーーーいや、寧ろ自分もそれを望んでいるのかもしれない。
いつだったか、ラファエロは彼と自分を『似た者同士』だと表現したことがあった。
その時は、自身の気持ちを表に出すことをせずに、笑顔という仮面で武装しているところが似ているのだと思っていたが、意外にもそんな隠れた性癖も似ているのかもしれない。
その事実に気がついた時、リリアーナは自分の頬にラファエロの大きな掌が優しく触れるのを感じた。
「ラファエロ様…………?」
驚いて、リリアーナが顔を上げると、ラファエロは優しく、けれどどこか含みのある笑顔でリリアーナの顔を覗き込んだ。
「皆、そろそろお祈りの時間ですよ。手を洗って聖堂にお入りなさい」
まるで子供達を二人から遠ざけてくれるかのように、カタリーナが子供達を呼び寄せる。
ラファエロから目が離せないリリアーナは気がついていなかったが、カタリーナはちらりと彼らの方を見やり、それから集まってきた子供達を連れて建物の中へと入っていった。
子供達が消えた聖堂の庭に、暖かな陽の匂いを含んだ柔らかな風が駆け抜けていく。
その風からリリアーナを守るように、ラファエロは更にリリアーナとの距離を詰めてきた。
「否定しないのならば、お姫様のお望み通りにして差し上げましょう」
ラファエロのエメラルド色の瞳が僅かに欲望を孕んだかと思うと、次の瞬間、リリアーナの唇がラファエロによって奪われた。
触れ合い方は優しいのに、まるでリリアーナの漏らす吐息まで全て吸い尽くすような執拗な口付けに、リリアーナは心が満たされていくのを感じ、静かに目を閉じて身を委ねたのだった。
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