猫被り令嬢の恋愛結婚

玉響

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結婚編

124.舞踏会の再開

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「………どうやら全て落ち着くところに落ち着いたようですね」

長らく事の成り行きを見守り、黙っていたクラリーチェが、嫋やかな微笑みを浮かべて声を上げた。

「皆さんお忘れかもしれませんけれど、今宵はエドアルド様と私の主催する舞踏会です。それも、ラファエロ様達の結婚のお祝いの意味が加わった、とても特別なものです。そろそろ余興は終わりにして、楽しみましょう?」

まるでラヴィニアのルカが、これ以上見世物になるのを避けるかのように、クラリーチェは上手に自分に注目を向けさせ、この騒ぎで中断していた舞踏会の再開を宣言した。
そして、仕切り直しだとでも言うように、エドアルドがクラリーチェの手を取り、広間の中央に進み出てくる。

「………インサーナ侯爵令息、王女殿下を連れて、隣の控室に行って下さい」

楽団が音楽を流し始めたのを見計らって、ラファエロが小声でルカに囁く。

「え………、しかし…………」

ルカは戸惑ったようにラファエロを見上げた。

「そちらの控室で王女殿下の身なりを整えて差し上げてください。いくら何でも、がそのような格好で舞踏会に参加するわけにはいかないでしょう?」

世話が焼ける、とでも言うかのように、ラファエロは肩を竦めて見せた。

主賓。
ラファエロが口にしたその言葉に、ルカも、そして当人であるラヴィニアも少し驚いたようだった。

「………わたくしのしたことを、怒ってはいないのですか?」

ラヴィニア自身も、このまま国外追放になることを覚悟していたのだろう。
拍子抜けしたような表情で、ラファエロに疑問をぶつけた。

「いいえ?当然怒っていますよ。………ですが、今日の私はとても気分が良いので、今日一日だけは大目に見て差し上げます。何せ、私達の結婚祝いの舞踏会ですからね。我が国の優秀な侍女に言えば、ドレスの替えも用意してくれるでしょう。………あなた達にがあるのでしたら………ですが、今日だけは、我々の結婚祝に駆けつけてくれた他国の客人、という形で舞踏会に参加していただいても、構いませんよ」

あちこちに棘を含んだ台詞を口にしながら、ラファエロはその顔に天使のような美しい笑みを浮かべたのだった。
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