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婚約編
閑話 お茶会の支度
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夜のお茶会は、早速翌週に開かれる事になった。
お茶会の当日。
いつもよりも遅い時間に王宮へと到着したリリアーナは、ラファエロに与えられた例の部屋で簡単な夕餉と湯浴みを済ませたあとに、シンプルなワンピースへと着替えた。
「こちらは、ジャクウィント女侯爵様が手配してくださったものなのですよ」
支度を手伝ってくれたマリカが、そっと教えてくれた。
「クラリーチェ様が?」
意外な事実にリリアーナは驚いて、纏ったワンピースを見下ろした。
手触りのいい、柔らかい絹で作られたワンピースは、可愛らしいデザインでありながらも、夜着としても使えそうな、ゆったりとした作りだった。
女性同士、ということならば堂々と、夜着を纏えば良かったが、いくら無礼講であるとは言っても、エドアルドがいるというのに夜着で参加するわけには行かないと思っていたところだった。
「何でも、女侯爵とはお揃いなのだそうですよ」
「えっ…………!」
リリアーナは顔をぱっと輝いた。
だがその直後、今度はどんよりと沈んだ表情へと変わる。
「………お泊まり会を提案しただけで、あんなにもお怒りになったのだから、きっのクラリーチェ様とお揃いの服を来たりしたら、またラファエロ様のご機嫌を損ねてしまわないかしら…………」
「まあ、お嬢様!それは問題ないかと思いますわ。ジャクウィント女侯爵は陛下と殿下の分の部屋着も用意されておりましたから。全て同じ生地を使って作られているらしいですよ」
心配するリリアーナを励ますように、マリカがこっそりと教えてくれた。
「ご自身が提案したものだからと………皆様をおもてなしするつもりで用意されたのだとリディアが言っていました。………本当に、律儀で気遣いの出来る、素晴らしいお方なのですね」
マリカがクラリーチェを褒めると、リリアーナは嬉しくなり、身を乗り出した。
「ええ!お優しくて、美しくて、本当に非の打ち所のない方ですの」
にっこりとリリアーナが微笑むと、マリカは納得したように頷いた。
「なるほど。………何となく、殿下が何故、あんなにもジャクウィント女侯爵に対して嫉妬心を燃やしているのかが、わかった気がします」
マリカがぽつりと零したその独り言が、リリアーナの耳に届くことはなかった。
お茶会の当日。
いつもよりも遅い時間に王宮へと到着したリリアーナは、ラファエロに与えられた例の部屋で簡単な夕餉と湯浴みを済ませたあとに、シンプルなワンピースへと着替えた。
「こちらは、ジャクウィント女侯爵様が手配してくださったものなのですよ」
支度を手伝ってくれたマリカが、そっと教えてくれた。
「クラリーチェ様が?」
意外な事実にリリアーナは驚いて、纏ったワンピースを見下ろした。
手触りのいい、柔らかい絹で作られたワンピースは、可愛らしいデザインでありながらも、夜着としても使えそうな、ゆったりとした作りだった。
女性同士、ということならば堂々と、夜着を纏えば良かったが、いくら無礼講であるとは言っても、エドアルドがいるというのに夜着で参加するわけには行かないと思っていたところだった。
「何でも、女侯爵とはお揃いなのだそうですよ」
「えっ…………!」
リリアーナは顔をぱっと輝いた。
だがその直後、今度はどんよりと沈んだ表情へと変わる。
「………お泊まり会を提案しただけで、あんなにもお怒りになったのだから、きっのクラリーチェ様とお揃いの服を来たりしたら、またラファエロ様のご機嫌を損ねてしまわないかしら…………」
「まあ、お嬢様!それは問題ないかと思いますわ。ジャクウィント女侯爵は陛下と殿下の分の部屋着も用意されておりましたから。全て同じ生地を使って作られているらしいですよ」
心配するリリアーナを励ますように、マリカがこっそりと教えてくれた。
「ご自身が提案したものだからと………皆様をおもてなしするつもりで用意されたのだとリディアが言っていました。………本当に、律儀で気遣いの出来る、素晴らしいお方なのですね」
マリカがクラリーチェを褒めると、リリアーナは嬉しくなり、身を乗り出した。
「ええ!お優しくて、美しくて、本当に非の打ち所のない方ですの」
にっこりとリリアーナが微笑むと、マリカは納得したように頷いた。
「なるほど。………何となく、殿下が何故、あんなにもジャクウィント女侯爵に対して嫉妬心を燃やしているのかが、わかった気がします」
マリカがぽつりと零したその独り言が、リリアーナの耳に届くことはなかった。
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