74 / 473
リリアーナ編
74.惨めな姿
しおりを挟む
「莫迦な………。そんな………はずは………っ!クラリーチェ姫は今頃………っ」
明らかに動揺する様子が見て取れる。大きく肩で呼吸を繰り返しすと、頭を振る。
その様子はあまりにも滑稽で、無様だった。
「私達の計画は完璧だった筈だ………っ!なのに何故………っ?!何故それを阻止出来た………?そうか、さては私を騙そうとしているな………?………そうか?そうなんだろう?!」
初めから全く勝ち目のない戦いだったということにすら、気がついていないのだろうか。
それともそんなことすら理解していないのだろうか。
先程までは退屈で仕方ないから死にたいと口にしていたというのに、言っていることが支離滅裂で、自分では気がついていないのだろうか。
「騙してなどいないさ。そうでなければクラリーチェを害されておきながら、私がこんなにも冷静でいられるはずがないだろう?………しかし、計画は完璧だった筈だと………?それこそ莫迦げているな。現に、そなたらの計画は失敗し、ブラマーニ家は破滅した。その事実が全てだ」
エドアルドに指摘されると、ジュストは狼狽えたように視線を彷徨わせ、そして部屋の隅に静かに佇むフェラーラ侯爵を捉えた。
途端に口元が醜く歪むのを見て、リリアーナはまた溜息を零す。
この男は………いや、この一族は学習能力というものが完全に欠如しているらしい。
ラファエロ達と同じ先祖に繋がっているとは到底思えないとは常々思っていたが、対極のような存在に感じられた。
「フェラーラ侯爵………全てお前のせいだっ!何もかも台無しではないか………っ!クラリーチェ姫を取り込んでエドアルドを操ろうというのも、王位の簒奪も、お前のせいで………!」
「………もう、何を言っても遅いのですよ。ジュスト殿」
まるでジュストを諭すようにフェラーラ侯爵が囁くが、それはジュストのみ耳には届かないようだった。
「………うるさい!うるさい、うるさい!!」
「………駄々をこねる子供のようですわね………」
「全くです。このような醜態を晒して、リリアーナ嬢の同情でも買いたいのでしょうか。………だとしたら、この場で切り捨ててやりますけれどね」
呆れ顔を隠そうともしないリリアーナに、ラファエロが同意を示しなから、さらりと恐ろしいことを口走る。
「あとは、任せた」
そんなジュストに、エドアルドはもう付き合いきれないといったように、コルシーニ伯爵夫妻にそう告げると、部屋を立ち去っていった。
「では私達もそろそろ失礼しましょうか、リリアーナ嬢?」
「え、ええ………そうですわね」
ラファエロが微笑みながら、流れるような動作で手を差し出してくる。
(………もう少しだけ、ラファエロ様と一緒にいたいのだけれど、そんな事を申し上げたらご迷惑よね………)
別にこの部屋に残りたいわけではなかったが、名残惜しい気持ちは拭えない。
リリアーナは人知れず唇を噛むと、差し出されたラファエロの手に己の手を重ね合わせたのだった。
明らかに動揺する様子が見て取れる。大きく肩で呼吸を繰り返しすと、頭を振る。
その様子はあまりにも滑稽で、無様だった。
「私達の計画は完璧だった筈だ………っ!なのに何故………っ?!何故それを阻止出来た………?そうか、さては私を騙そうとしているな………?………そうか?そうなんだろう?!」
初めから全く勝ち目のない戦いだったということにすら、気がついていないのだろうか。
それともそんなことすら理解していないのだろうか。
先程までは退屈で仕方ないから死にたいと口にしていたというのに、言っていることが支離滅裂で、自分では気がついていないのだろうか。
「騙してなどいないさ。そうでなければクラリーチェを害されておきながら、私がこんなにも冷静でいられるはずがないだろう?………しかし、計画は完璧だった筈だと………?それこそ莫迦げているな。現に、そなたらの計画は失敗し、ブラマーニ家は破滅した。その事実が全てだ」
エドアルドに指摘されると、ジュストは狼狽えたように視線を彷徨わせ、そして部屋の隅に静かに佇むフェラーラ侯爵を捉えた。
途端に口元が醜く歪むのを見て、リリアーナはまた溜息を零す。
この男は………いや、この一族は学習能力というものが完全に欠如しているらしい。
ラファエロ達と同じ先祖に繋がっているとは到底思えないとは常々思っていたが、対極のような存在に感じられた。
「フェラーラ侯爵………全てお前のせいだっ!何もかも台無しではないか………っ!クラリーチェ姫を取り込んでエドアルドを操ろうというのも、王位の簒奪も、お前のせいで………!」
「………もう、何を言っても遅いのですよ。ジュスト殿」
まるでジュストを諭すようにフェラーラ侯爵が囁くが、それはジュストのみ耳には届かないようだった。
「………うるさい!うるさい、うるさい!!」
「………駄々をこねる子供のようですわね………」
「全くです。このような醜態を晒して、リリアーナ嬢の同情でも買いたいのでしょうか。………だとしたら、この場で切り捨ててやりますけれどね」
呆れ顔を隠そうともしないリリアーナに、ラファエロが同意を示しなから、さらりと恐ろしいことを口走る。
「あとは、任せた」
そんなジュストに、エドアルドはもう付き合いきれないといったように、コルシーニ伯爵夫妻にそう告げると、部屋を立ち去っていった。
「では私達もそろそろ失礼しましょうか、リリアーナ嬢?」
「え、ええ………そうですわね」
ラファエロが微笑みながら、流れるような動作で手を差し出してくる。
(………もう少しだけ、ラファエロ様と一緒にいたいのだけれど、そんな事を申し上げたらご迷惑よね………)
別にこの部屋に残りたいわけではなかったが、名残惜しい気持ちは拭えない。
リリアーナは人知れず唇を噛むと、差し出されたラファエロの手に己の手を重ね合わせたのだった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
786
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる